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2話
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奴隷市場が開く、少し前。
王都では凱旋パレードが行われていた。戦場に行っていた、騎士達が行進してくると、賑は最高潮に達していた。
その中に1人だけ、浮かない顔をしている騎士がいた。名を、ジルヴィス・バルフォアと言う。この決戦では武勲を立てていたが、親友を失っていた。そのショックから、戦争に勝利しようと喜べなかった。
まるで抜け殻のように、落ち込んでいたのだった。
ガックリと肩を落とす姿に、同じく騎士のダンがジルヴィスの肩に手を置く。
「おいジル。ほら、見ろよ。街行く美女たちが手を振ってくれてるぜ?」
それを見ていた騎士のリオンが、横から言う。
「今回の決戦でも、大活躍でしたね。城に帰ったら、次の隊長はジルになるって噂です。」
ジルヴィスは、2人をチラリと見てから言った。
「……興味無い。」
「おいおい、元気だせよ!隊長になったら、俺はお前の隊に入るわ!な?ジル隊長!」
「あ、僕も!」
「俺も俺もー!」
「俺も俺も俺も!」
ジルヴィスは、眉間に皺を寄せて、困った顔をする。自分で所属する隊を選べもしないのに、みんなふざけているのである。
「あ~~っ、もう!おまえら引っ付くな!」
スタスタと仲間たちを置いて、先に歩いて行く。それを、見送りながらダンが言った。
「あいつ…やっぱ、落ち込んでんな。」
「無理も無いですよ。親友を失ったんですから…」
ダンとリオンは、顔を見合わせる。
「ジルのやつ、1人暮らしだったよな?大丈夫か?」
「僕なら放っておいて欲しいです。」
「いやいや、案外、ジルみたいな真面目タイプは思い詰めるんじゃないかなって。」
「ん~。そんなタイプですかね?」
「いや、長年一緒にいるけど、ジルのあんな姿、始めて見るぜ?いつも、余裕そうな顔して何でもこなすくせに。今回は流石に…」
「……」
2人は、顔を見合わせてから、同時に走り出す。そして、ジルヴィスを追いかけて捕まえた。
「飲み行きましょう!ジル!」
「………今日は遠慮しておく。」
「遠慮すんなって!俺らが奢ってやるから!」
「なんで同期に奢られるんだ?意味が解らん。」
「硬いこと言うなって!よし、出世するおまえに賄賂だよ!」
「そうです!今日飲まずに、いつ飲みに行くんですか!」
2人はジルヴィスを両脇から捕獲する。そして、強引に飲み屋に連れて行ったのである。
その後、3人はガンガンお酒を飲んだ。
それはもう、浴びるように飲んだ。
だいぶ早い時間から飲み始めていた3人は、日が落ちる頃には、いい具合に酔い始めていた。
ダンとリオンは、最初は他愛も無い話をしていたけれど、話は次第に、ジルヴィスの親友であり、2人の同期でもあるルシオの話になった。
「あいつ、良いやつだったよな?」
「あぁ、そうだな。良いやつほど、先に逝くんだ。」
3人で思い出話しをして、あーだった、こーだった。と話していると、どんどん悲しくなってきて、暗い雰囲気になっていった。
すると、ダンが急に立ち上がった。
「今から娼館に行こう!」
「は?」
「え?」
ジルヴィスもリオンも、目が点になる。
「ダメだ!あいつの話してたら、泣きそうになるじゃないか!しみったれた顔で、こんな悲しい話して、真夜中に暗い夜道を帰れるか!ダメだダメだ!朝までパーッと女遊びしようぜ?」
ジルヴィスが溜息をつく。
「おまえ1人で行け。」
ジルとダンの2人を見ていたリオンは、真剣な顔になって、急に立ち上がって言った。
「いいえ!ダンの言う通りです!このままじゃ、ジル!あなた1人で家に帰って、誰も居ない真っ暗な部屋の中で、自殺でもされたら嫌ですから!」
「はぁ?おまえら、何言って‥‥?」
「そうだ!おまえを1人で帰らせねーぞ!こんな夜は1人にさせねーからな!」
そうゆう話になり、今度は酔った勢いで、飲み屋を出て、3人で娼館の多い怪しい通りの一角にやってきた。
王都は戦勝に賑わい、お祭り騒ぎのままで、まだまだ人出も多く、出店が多く出ていた。客引きに、3人は捕まっていた。
「あらぁ~♡聖騎士さん方、うちのお店に来てヨォ!サービスしちゃう♪」
客引きに、ダンはニコニコして対応する。
そこへ、大きな声が響き渡った。
「嫌だ!!離してよ!!」
女性の切羽詰まった声に、その場に居た人々が注目していた。
王都では凱旋パレードが行われていた。戦場に行っていた、騎士達が行進してくると、賑は最高潮に達していた。
その中に1人だけ、浮かない顔をしている騎士がいた。名を、ジルヴィス・バルフォアと言う。この決戦では武勲を立てていたが、親友を失っていた。そのショックから、戦争に勝利しようと喜べなかった。
まるで抜け殻のように、落ち込んでいたのだった。
ガックリと肩を落とす姿に、同じく騎士のダンがジルヴィスの肩に手を置く。
「おいジル。ほら、見ろよ。街行く美女たちが手を振ってくれてるぜ?」
それを見ていた騎士のリオンが、横から言う。
「今回の決戦でも、大活躍でしたね。城に帰ったら、次の隊長はジルになるって噂です。」
ジルヴィスは、2人をチラリと見てから言った。
「……興味無い。」
「おいおい、元気だせよ!隊長になったら、俺はお前の隊に入るわ!な?ジル隊長!」
「あ、僕も!」
「俺も俺もー!」
「俺も俺も俺も!」
ジルヴィスは、眉間に皺を寄せて、困った顔をする。自分で所属する隊を選べもしないのに、みんなふざけているのである。
「あ~~っ、もう!おまえら引っ付くな!」
スタスタと仲間たちを置いて、先に歩いて行く。それを、見送りながらダンが言った。
「あいつ…やっぱ、落ち込んでんな。」
「無理も無いですよ。親友を失ったんですから…」
ダンとリオンは、顔を見合わせる。
「ジルのやつ、1人暮らしだったよな?大丈夫か?」
「僕なら放っておいて欲しいです。」
「いやいや、案外、ジルみたいな真面目タイプは思い詰めるんじゃないかなって。」
「ん~。そんなタイプですかね?」
「いや、長年一緒にいるけど、ジルのあんな姿、始めて見るぜ?いつも、余裕そうな顔して何でもこなすくせに。今回は流石に…」
「……」
2人は、顔を見合わせてから、同時に走り出す。そして、ジルヴィスを追いかけて捕まえた。
「飲み行きましょう!ジル!」
「………今日は遠慮しておく。」
「遠慮すんなって!俺らが奢ってやるから!」
「なんで同期に奢られるんだ?意味が解らん。」
「硬いこと言うなって!よし、出世するおまえに賄賂だよ!」
「そうです!今日飲まずに、いつ飲みに行くんですか!」
2人はジルヴィスを両脇から捕獲する。そして、強引に飲み屋に連れて行ったのである。
その後、3人はガンガンお酒を飲んだ。
それはもう、浴びるように飲んだ。
だいぶ早い時間から飲み始めていた3人は、日が落ちる頃には、いい具合に酔い始めていた。
ダンとリオンは、最初は他愛も無い話をしていたけれど、話は次第に、ジルヴィスの親友であり、2人の同期でもあるルシオの話になった。
「あいつ、良いやつだったよな?」
「あぁ、そうだな。良いやつほど、先に逝くんだ。」
3人で思い出話しをして、あーだった、こーだった。と話していると、どんどん悲しくなってきて、暗い雰囲気になっていった。
すると、ダンが急に立ち上がった。
「今から娼館に行こう!」
「は?」
「え?」
ジルヴィスもリオンも、目が点になる。
「ダメだ!あいつの話してたら、泣きそうになるじゃないか!しみったれた顔で、こんな悲しい話して、真夜中に暗い夜道を帰れるか!ダメだダメだ!朝までパーッと女遊びしようぜ?」
ジルヴィスが溜息をつく。
「おまえ1人で行け。」
ジルとダンの2人を見ていたリオンは、真剣な顔になって、急に立ち上がって言った。
「いいえ!ダンの言う通りです!このままじゃ、ジル!あなた1人で家に帰って、誰も居ない真っ暗な部屋の中で、自殺でもされたら嫌ですから!」
「はぁ?おまえら、何言って‥‥?」
「そうだ!おまえを1人で帰らせねーぞ!こんな夜は1人にさせねーからな!」
そうゆう話になり、今度は酔った勢いで、飲み屋を出て、3人で娼館の多い怪しい通りの一角にやってきた。
王都は戦勝に賑わい、お祭り騒ぎのままで、まだまだ人出も多く、出店が多く出ていた。客引きに、3人は捕まっていた。
「あらぁ~♡聖騎士さん方、うちのお店に来てヨォ!サービスしちゃう♪」
客引きに、ダンはニコニコして対応する。
そこへ、大きな声が響き渡った。
「嫌だ!!離してよ!!」
女性の切羽詰まった声に、その場に居た人々が注目していた。
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