女神なんかじゃない

月野さと

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1話

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どうしたら良いのだろう。


 正解の選択は、どれなんだろう?

 別に苦労したくないわけじゃないし、失敗したくないわけじゃない。
 最後に「苦労したけど、これで良かった」という人生にしたいだけ。  
 今、目の前にある選択を、間違えたくないだけ。

 私はいつも、そんな事ばかりを考えてた。



 

「何をそんなに考えているんだ?」

声をかけられて目を開ける。


金髪の、長い髪をゆるく1つにまとめた、青い目の男性が立っていた。


「・・・」
う~~~ん??

あたりを見渡すと、見おぼえの無い景色。

どこかの、小高い丘の上。ここから、はるか遠くには赤い屋根の街が広がっている。

どこだここ??


視線を隣に居る男性に移す。 

青い目の男性は、モデルみたいに背筋はピンとしていて、私を見下ろす。
よく考えたら、英会話の新しい先生っぽい。イケメンで人気出そう。

「進路を考えてた。」

「・・・進路?」

「もうすぐ高3だよ?普通の悩み。語学力活かして外国で生活してみたい!なんて友達に言ってたけど、留学とかそういうの興味も無い。それに、この程度の子、他にもたくさんいるし。」

「・・・たくさん?」

「もう死ぬほど勉強してきたよ?小学生の頃から、ずーーーーっとね。でもさ、なんか、これってのが無いのよね。あたしの本当にやりたいことって何だろう?本当にこれでいいのかなぁ~て。」

「・・・・・」


青い目を少し細めて、静かに遠くの街に視線を移す。
私なんていないかのような遠い目をして、ゆっくり息を吐きながら、街を見渡してた。


「本当にこれでいいのか・・・か」
静かに、その人が呟いた。

彼の顔を見ると、少し笑っているように見えたけど、顔から疲れが見えた。
風が押し寄せてきた時に、彼は力強く続けた。


「それを決めるのは、自分自身だ。」

うん。確かにそうだ。だから悩んでいるのだ。

よくよく見てみると、この男性の服装が変。
軍服の衣装?私、なんでこんな知らない人と話をしているんだろ?
所々、疑問に思いながらも、そう、これは夢なのだと悟っていた。
知らない景色。それから、イケメンの王子様みたいな男性。
私は意外にも、乙女ちっくな夢をみる高校2年生だったんだなぁ~なんて思った。


そうだ。夢なら何でも話せるというものだ。

「自分の決断が間違っていたら?って、怖くない?」

私が笑いながら聞くと、即答でこう帰ってきた。

「決断が間違っていたなら、次善策あるいは打開策を考える。前に進まなければいけないからな。恐れていては、何もできないではないか?」

しっかりとした言い方なのに、私の方を見てはいない。

何か、自分の考え事をしているみたいだった。


「そっか、あなたも。不安だった?」

彼はハッとしたように、私の目を見た。
イケメンに見られて、照れくさくて、へへっと私は笑って見せた。
私は、そっと、手を伸ばして、彼の手に自分の手を乗せた。
夢って凄い。普段なら男性の手なんか触ったりしないのに。
でも、きっと、この人も同じなのかなと、なんとなく思った。
 
「本当はね、大丈夫だって、誰かに言ってもらいたかっただけなのかもしれない。」

彼の手は、とても冷たくて、氷のようだったから、私はそのまま手を握ってしまった。

「大丈夫だ、間違えても良い!思った通りに進め~!って、誰かに背中押してもらいたかっただけかも。」

両手で彼の手を包むように握る。

「ありがとう。なんか大丈夫な気がしてきた。私は私を信じる!」
そう言って、彼に微笑みかけると、彼も少し後に、ほほ笑んだ。



自分でも何言ってるのか分からないし、何も解決してないけど。
なんか満足して、力が抜けてきた。



そこで目が覚めた。


いつもの自分のベッドで、大の字で寝ていた。
時計を見ると、まだ朝の5時。2度寝できそう。
「なんか変な夢見たわ~」っと、あくびして、伸びをしながら、なんとなく思い出してみる。
金髪の青い目。年齢は大学生くらいかな。声もタイプだったなぁ~。もう一回夢で会いたいわ~♬
のんきな私は、机の上のドリルをチラッと目で確認してから、あと10分だけと布団にもぐりこんだ。







◇◇◇◇◇



その頃、同じように男性も目を覚ます。

 

「殿下・・・お休みでしたか?」
書斎で本を片手に、うたた寝をしていた所へ、側近のウィルが声をかけた。
少し頭がボーーーッとする。少しの間だけだったのに、深い夢に落ちていたような感覚。

「・・・殿下?」
額に手を置いて、目を伏せて聞く。
「いや、少し疲れているようだ。どうした?」

ウィルと呼ばれた側近は、様子を伺うようにしてから、低い声で言った。

「陛下が崩御されました。」

目だけを動かしてウィルを見ると、彼は頭を少し下げて目を伏せたまま動かない。
私からの言葉を待っているのだ。

ふいに、さっき見た夢の中の言葉が蘇った。

『本当にこれでいいのかなって・・・』

良いか悪いかなど、誰が決めるのだ?
神か?国か?

家臣であるウィルは微動だにしない。私を待っている。
本を閉じて、立ち上がる。
「王妃の宮へ向かう。7日で全てを手に入れるぞ。」
ウィルは立ち上がり、目を輝かせた。

「はい!!」


物心ついた時から、その戦いは始まっていた。

決断しなければ、戦わなければ、奪われる。
戦わなければ何も守ることができないのだから。





 
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