女神なんかじゃない

月野さと

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27話 秘密の計画

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 かくかくしかじか。
 夢の内容から、自分の考えまで、サラはレオンに洗いざらい話をした。

「お願い!見逃してください!」

 レオン団長は、額に手を置いて、大きなため息をついた。
 ったく、騎士団は何をやっているんだと、ブツブツ言っている。

「はぁ。それで、その国境にいた青年に会いたいと?」
 サラは、大きく頷く。
 夢で見た、女神の真珠を持つという男性に会いたい!
「・・・・・はぁ~~。」
 頭をかかえて、団長が暫く下を向く。
「・・・・。」
「・・・・。」
「・・・? レオンさん、寝てる?」
「寝るか!!じゃじゃ馬め!!」
 そう怒られて面目も無く、うなだれる。

 突然、団長はブローチのように胸元に付いていた魔石を、口元に寄せる。
「おい!サミュエルを連れて来い。」
 5秒ほど後に、「はい!」と返事が返ってくる。

 携帯電話みたいだなぁ~。いいなぁ~。と眺める。
「魔法って、便利ですね~。いいなぁ~。私も魔法が使えれば良かったのに。」
 レオンは飽きれたような眼でこちらを見て、椅子の背もたれに背中をくっつける。
「・・・無いものねだりですね。まぁ・・・確かに、あなたは良い魔術師になったかもしれません。」

 ドアがノックされる。
 ガチャリとドアを開けて入ってきたのは、魔術師団の副団長だった。
「お呼びでしょうか?」
 レオンの座る椅子の後ろに立つと、レオンが言った。
「副団長のサミュエルを、同行させます。良いですか?何かあればすぐに、陛下に伝えますし、お戻り頂きます。陛下に黙っていられるのは3日・・・いや2日と思ってください。」
 サミュエルは、嫌そうにレオンを見る。
「団長~、それ、僕じゃないとダメですか?」
 栗色で癖のある、ショートボブの髪をポリポリとかく。
 レオンは、サミュエルのボヤキを無視する。

「貴方を1人で行かせるわけにはいきません。魔法省のNo.2なので、これでも頼りになりますよ。」
 思いがけない手助けに、感極まって、立ち上がりお辞儀する。
「レオンさん!ありがとうございます!」
「いいえ。お礼はいりません。その代わり、1つお願いがあります。」
 サラは顔を上げる。
 レオンは、サラの目を真っすぐに見てから、言った。

「この国に結界を張ることだけ協力してください。それが終わったら、女神の力を捨ててかまいません。」

 サミュエルさんが口を挟む。
「団長、それって交換条件じゃないですか?」
「いや、無理にとは言っていない。あくまでもお願いだ。」

 私は、レオンさんに向き直って、キッパリ言う。
「お約束します。」
 サラは、ニッコリと笑って見せる。
「私は、アーサーの役に立ちたいし、誰も魔獣の犠牲にならないで欲しいから。」
 だけど、と続ける。
「私は・・・怖いんです。」
 申し訳なくて下を向く。
「女神で居続けられなくて、ごめんなさい。」

 サミュエルは、レオンを見る。
 レオンの視線が床に落ちる。
 それを見て、サミュエルがレオンの肩に手を置く。
「女神様には、団長を助けて頂いた恩がありますからね。魔術師団はあなたには頭が上がらない。」
 そう言って、サミュエルは、へらっと笑った。

 サラは、深々と頭を下げた。
「ありがとうございます!」

  その時だった。
 団長の胸元の石が、白く光る。

「はぁ、ゴードン宰相からのお呼びだしだ。」
 レオンは、こめかみを押さえる。
 サミュエルは苦笑する。
「今頃、城の中は大騒ぎでしょうからね。」
 レオンは立ち上がる。手をシッシッと振って言った。
「はぁ・・・もう早く行け!分かっているな?無茶だけはするな。」
「分かってますよ。僕は面倒事は嫌いですからね。」
 そう言うと、サミュエルは、サラに手を差し伸べる。

「さぁ、国境まで転移魔法で向かいましょう。」


 そうして、私はこの国に来て初めて、王都を離れた。




◇◇◇◇◇



 その夜は、国境に近い町で宿屋に宿泊した。

 魔法省で再度着替えを済ませて、サミュエルさんも私も旅人を装った。
 宿屋に近い酒場で、夕食をとることにした。

「国境で人探しと言っても、かなり難しいですよ。名前もわからないんですよね?」
 どうやって探すか作戦会議を始める。
 サラは、周囲を見渡してから言う。
「あ、でも、ここだと目立つから解るかなって思ってるの。」
「目立つ?」
「うん。金髪の青い目だったわ。翼の有る空飛ぶ生き物に乗ってた。」
「!!!」
 サミュエルさんは相当驚いた様子で、飲んでいたビールを吐き出しそうになる。
「もしかして、空飛ぶ恐竜に心当たりがあるんですか?」
 そう聞くと、サミュエルは物凄い勢いで、サラの口を押さえる。それから周囲をキョロキョロと確認する。

「???」

 サミュエルは、物凄い小声になる
「・・・・それ・・・大きな声で言わないでください。そいつ、この国の人間じゃない。」
「え?」
 サミュエルは頭を抱え込む。
「うーーん、そうか、参ったなぁ。ここまで来る前に確認しておくべきだった。」
 ちょっと落ち込んでいる様子だった。

 その時、店員さんが焼き鳥のような料理を運んで来る。
「お待たせしました~。あら?お客さんお疲れみたいだねぇ~。見ない顔だけど旅人かい?」
 お店のおかみさんって感じで、笑顔が素敵な年配の女性だった。
「はい。この街に今日来たばかりなんです。」
 とっても話しやすそうな雰囲気で、私はつい答えてしまう。
「そうかい、そうかい。何も無い町だからね貧しい町だけど、うちはミュンデン街にある実家から仕入れがあるから、食べものは豊富だよ。」
 それを聞いて、サミュエルさんが言う。
「どおりで。値段がちょっと高めでだけど、メニューも豊富なわけだ~。」
 ミュンデン街?
「ミュンデンって、ここよりも栄えているんですか?小さい州の小さい街なのに?」
 サラの質問に、おかみさんが教えてくれた。
「ここだけの話、あそこの街はガルーダからの密輸が横行してるみたいだよ。とは言ってもね、この辺の人間なら誰でも知っているよ。このやせこけた大地じゃ食っていけないからね。」
 サミュエルさんが、プハーーっとグラスを飲み干す。
「お兄ちゃん、飲みっぷりがいいね!もう一杯どうだい?」
「あ、じゃぁ、もう一杯♪」
 ご機嫌で、サミュエルはニカっと笑う。

 サラは、大丈夫かなぁ~?飲み過ぎじゃないかなぁ~?と視線を送る。

 そうして、食事を終えて宿に戻った。



◇◇◇◇◇


 翌朝、
 2人で、高台に上がる。

 平野に広がるのは、焼けこげた町。

 そこに、翼をもった恐竜のような生き物が飛んでいる。


「あれがミカタン州の町です。今は、ガルーダ王国が占領しています。飛んでいるのは飛竜と呼ばれる生き物です。」
 強い風が、吹きつける。
「あっちには行けないってこと?」
 サラが聞くと、サミュエルはサラを見てから、少し難しい顔をして答える。
「・・・・行けなくはないです。しかし、こちらに戻って来れるかどうか。」
 ガシガシと頭をかきながら、サミュエルさんは続ける。
「ガルーダ王国の人間は、金髪に碧眼が多い。入り込めたとして、探すのは困難かと・・・。」
 なるほど。
 クルリと、踵をかえすサラに、サミュエルは声をかける。
「諦めます?」
 サミュエルさんの顔を見上げて、答える。
「いいえ。」
 首を振って、遠くに飛ぶ、飛竜を見る。
 諦めたりしない。
「あそこに飛んでいる飛竜の中に、あの青年がいるかもしれないもの。」
 サミュエルは腰に手を置いて、うーんと考える。
「しかし・・・」
 言いかけたのを、サラが遮る。
「州知事に話を聞くわ!」


「・・・・・え?」




 

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