女神なんかじゃない

月野さと

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59話★目の前に

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 満たされたいという気持ちから、毎晩のようにサラを抱いた。
 昔みたいに、互いに愛を伝え合って、2人で抱き合って、溶け合うように1つになりたかった。
 ただ、愛されたい。

 解っている、もう、昔のように、愛しているとは言ってくれない。
 それが、とても悲しく、寂しい。抱いても抱いても、満たされない。

 だから、毎晩、サラの部屋に行った。
 キスや、優しい愛撫から始まり、激しい挿抜で翻弄させる。
 体だけでもいい。私無しではいられない体にして、サラから求められたい。
「はぁ・・・はぁ・・・へい・・・か。もう・・・ダメ。ダメ!」
 揺さぶられながら、何度目かの絶頂を感じて、サラは身もだえる。
「ダメじゃない。イキそうなんだろう?素直に言えたら、イかせてやる。」
 何度もイク寸前で止めて、サラが我慢できなくなるのを待つ。 
「んっ、んっ・・・あ!・・い、いくっ。あぁっ、いっちゃう!」
 絶頂を迎える時のサラは、妖艶で、淫らで、たまらなかった。私にしがみついて中を締め付けられると、全身で私を欲しがっているように錯覚した。

 毎晩、こんな抱き方をしても、サラは1度も拒否することは無かった。受け入れるのは妃の仕事だと言ったのを、本気にしているようにすら思えた。
 ・・・いや、まさか、そんなはずはない。こうして、何度も何度も抱かれて、サラは甘い声を上げるのだから。好意くらいは、持っていてくれるはずだ。そう信じたい。あの時は、側妃でもいいなどと言うから、ついカッとなって口走ってしまったのだ。

 ただ、愛されたい。 
 最奥を突いてやると、中をうねらせて、搾り取るように締め付けられる。
「愛してるよ。サラ。」
 こうして、どんなに愛を伝えても、それは彼女に届いていないように感じた。

 それでも、それでも構わない。

 そう言い聞かせた。





◇◇◇◇◇

   
 アーサーは、夢を見た。



 城の中を、隅々まで探し回った。
 扉という扉を、全て開けた。
 息が上がって、肺が悲鳴を上げるほどに苦しくても、探し続けた。
 サラの名を叫んでも、どんなに呼んでも、どこにも居ない。
 本当に、何1つ残っていなくて、かけらすら無く、すがる物すら無い。

 なんと言えばいいのだろう?
 言葉にできない。
 この苦しみも、この・・・行き場の無い悲しみも。

 『居ない』という事実を、現実を、受け入れることが出来ない。消化できない。理解できない。どうすることも出来ない。

 半年程して、やっと彼女が居ないのだと、もう帰って来ないのだと理解した。
 現実に打ちのめされて、おかしくなりそうだった。
 そんな時は、ひたすらに強い酒をあおり、気を失うようにして眠った。

 助けてくれ。サラ!もう、自分をどうすることも出来ない。
 こんなふうになるなら、最初から出会わなければ良かった。

 そうして、朝が来て、目を開けるんだ。

 彼女がいないという現実を目の当たりにする、絶望しかない朝がやってくる。

 もう、朝など来なければいい。

 



「・・・うーーーん。ちちうえぇ。」
 耳元で声がして、ふにふにの小さい手が、頬に当たる。
 目を覚ますと、ルカが涎を垂らして腕の中に居た。

 ガバっと飛び起きる。
「・・・夢・・・か。」

 隣を見ると、ルカは寝言を言っていた様子で、まだ寝ていた。ルカの隣には、サラが眠っていた。
 確か・・・昨日も、サラと明け方まで夜の営みを・・・。

 ルカは、いつベッドに潜りこんで来たんだ??とりあえず、自分もサラも服を着ているのを確認する。
「ふぅ・・・。」
 アーサーは、ため息をつく。
 良かった。昨日は寒かったから、サラに服を着せて、自分も服を着てから寝たのだった。

 むにゃむにゃと、あどけない顔で眠る子供の顔は、格別に可愛い。
 ルカは、顔形は自分にそっくりなのだが、表情や発言など中身がサラそのものだった。
 甘やかしてしまいそうで怖い。


 その時、サラが目を覚ました。
「ん・・・・・!?ルカっ。」
 サラも驚いた様子で、静かに慌てていた。
 上半身を起こして、ルカの腕を布団の中に入れ、微笑むサラは、昔とは少し違って見える。
 3年分、大人になって、長く伸びた黒髪をかき上げる様子も、昔の子供っぽさが消えて、少し色気があった。
 そんなサラに、キスをしたくなって手を伸ばした時だった。

「ぐぅぅぅぅぅぅぎゅるるるる。」と、ルカのおなかが鳴った。

 2人で驚いて、ルカを見る。
 むにゃむにゃと、まだ熟睡している。

「ぷっ。」サラが噴き出して、笑った。
 声を堪えながら、身もだえして笑っている。
 アーサーも、笑った。
 声を押さえて、ルカを真ん中に置いて、2人で笑い合う。

 あぁ、幸せだと感じた。

 あぁ、そうか。と、気付く。

 もう、何も探さなくていいのだ。
 目の前にあるものを、見落としてしまっていた。


 今が、ここにあるという事に。


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