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後日談・番外編
乳母と6人の男プラスワン 問題編・後
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【初日・夜】
若様は、夜泣き魔でしたっ。
王子が寝た後くらいから夜中まで、断続的に三時間も泣き続けたのにはさすがに参った!
「はぁ……やっとおさまった、かな」
夜の離宮の、月明かりに照らされた渡り廊下を、私はぶらぶらと歩いていた。
腕の中では、若様がとろとろと眠っている。でも、ベッドに下ろしたり、私が座るとまた泣くんだ、これが。
「……大丈夫か」
他に言うべきことが思いつかない、といった風情で言ったのは、ラズトさん。私の隣を、静かについて歩いている。
そしてちょっと振り向くと、廊下の向こうの方ではエンディさんが柱にもたれて立っている。
イディンさんとエンディさんは、さすがに若様のそばから離れるわけにはいかないらしくて、二人が交代でこうやって若様のそばにいる。
で、そんな彼らと私だけにするわけにはいかないと言い張って、ラズトさんとカザムさんまで交代で私のそばにいてくれてるのだ。
でも、助かるかも。若様ってば、静かすぎても落ち着かないらしくてグズるので、こうやって小さな声で誰かと話ができるとちょうどいい。
「こんな状況じゃなきゃ、コーメと夜の散歩っていう美味しいシチュエーションなんだけどな」
ラズトさんが軽口を叩いてる。
私はちょっと笑って踵を返し、もう一度渡り廊下を反対方向へぶらつき始めた。エンディさんは、ずっとこちらを視線で追っている。
エンディさんのそばまで歩いて立ち止まり、私は聞いてみた。
「若様って、王宮でもこんな感じですか?」
エンディさんはうなずいた。
「ワカ様の乳母が、やはりこんな感じで夜も行動するので、白羽宮の警備態勢がそれに合わせて変更になったくらいだ」
子ども部屋でずっと寝てる場合とは違って、警備も変わって来るんだね。そりゃそうか。
「その乳母さんも、容疑者の一人になっちゃってるんですよね……」
私はつぶやく。
もし犯人じゃないなら、可哀想だ。一生懸命若様のお世話してたのに、若様がどこか知らない人の所に預けられちゃうなんて。
早く解決するといいのにな。
「どんな方ですか、若様の乳母さんって」
聞いてみると、エンディさんは教えてくれた。
「貴族出身で、二人目の子どもを産んだ後で乳母になった人だ。その子どもたち、五歳と一歳だそうだが、乳兄弟として王宮で一緒に育ててる」
二人目の子どもがまだ小さいから、お乳が出るんだろうな。
でも、いいなあ、乳兄弟か。一緒に育ってるなんて、ちょっとうらやましい……。
そんな話をしているうちに、夜半をかなり回って、若様もやっと落ち着いたみたい。ベビーベッドに寝かせると、大人しく眠ってくれた。
あ痛たたた、首と肩と腕がっ。気をつけないと腱鞘炎になっちゃうなコレ。
ラズトさんが無言で私をカウチに座らせると、腕まくりをして術円を展開した。回復術をかけてくれるのだ。
身体のあちこちに、ラズトさんの手が優しく触れる。温かいものが伝わってきて、とても気持ちがいい……。
気がついたら、もう朝だった。私はカウチの上で、横になったラズトさんの胸で眠っていた。
って胸っ、わ――――!
パッと立ち上がって飛びすさったけど、ラズトさんはまだ寝てる。寝起き悪くて良かった、こんな真っ赤な顔見られなくて!
あわあわしながら振り向くと、エンディさんがむっつりとこっちを見ていた。
す、すみません、一人で騒いで……。
【二日目・夜】
完っ全に、昼夜逆転いたしました、私。
若様、なかなか手ごわいです。昼間の方が寝てくれるので、その隙に私も休ませてもらって、夜になるとひたすら若様にお付き合いという生活。
明け方になると若様がぐっすり眠ってくれるので、つい一緒にベッドで眠りこんでしまって、気がついたら朝。
王子は気を使って、私を起こさないように侍女のローレンたちに言っていて、もう護衛士さんと学校に出かけてるんだよね……うう、ごめんね王子、おはようも言えなくて。
学校から戻って、一緒におやつを食べながら話はするけど、王子も遠慮しているのか、何か用事があると私じゃなくてローレンの方に言いに行ってる。
王子が眠る時におやすみを言うと、「……おやすみなさい」って寂しそうに言うのがもう……。
王子にしてみたら、若様に私を取られた気分なんだろうな。
◇ ◇ ◇
再び、夜がやってきた。
ここは、王子の部屋に比較的近い客室。仮に若様のお部屋にしてある。
「事件の調べは、進んでるんですか?」
若様にミルクを飲ませ終わった私は、まだ首のすわらない若様を肩にもたれさせるようにして背中をトントン叩きながら、イディンさんに尋ねた。
お腹がいっぱいの若様は、今は大人しくげっぷをしてとろーんとしてるけど、これ一時間しかもたないんだよねぇ。
「はかばかしくないみたいだね」
イディンさん、無情な一言。でも、ひょいと手を出して抱っこを代わってくれた。
カザムさんが黙ってその様子を見ている。
わかってるよ、護衛士さんは赤ちゃん抱っこしてる場合じゃないってことくらいは。何かあった時にとっさの対応ができないものね。
「熱いし、重くないんだけどずっしり来るね」
適当な感じで赤ちゃんを抱っこしているイディンさんは、感想も適当な感じでつぶやいている。
「赤ん坊って、どこがいいの?」
「ええ? どこって」
何て答えたらいいの、こういう質問?
とにかく私はイディンさんに近づいて、彼の腕の中の若様の足を軽く持ち上げた。
「……こういうとこ?」
ちっちゃな足の裏をイディンさんに見せる。
足の裏でなくても、爪一枚とかね? こんなちっちゃなパーツを見てるだけで、私なんか幸せになっちゃうんだけどな。
「僕にはわからないな、そういう感覚。『命の輝き』とか言われても白けるし。自分の子どもとかは持たない方がいいかもね」
イディンさんはそんなことを言う。
私は、もう一言つけたした。
「あ、あと、自分が死んだ後のことを考えるのが楽しくなりますよ」
「……意外なことを言うね。コーメのことだから、生きることの素晴らしさとかを説くのかと思った」
そんな話なんかしたら、どうせ白けるくせにー。
「まあ、結局一緒ですよ、どっちも。私は、自分が死んだ後も命が続いて行くんだなーって、そこに感動するんです、赤ちゃんを見てると」
「ふーん」
イディンさんはそんな声をもらすと、若様をのぞきこんでいる私を見て言った。
「コーメ、僕の子ども産んでみる?」
「はぁ!?」
「いや、僕の子どもを産んで、その子を見ながら自分の死について考えてるコーメっていいなぁと思って」
「それ何!? S!? M!?」
「ほえ、ふぇえええーん」
「ああ泣いちゃった、ほらカザムさんも殺気飛ばさないで!」
「……(怒)」
「びえええーん!」
あーあ。さて今夜も、渡り廊下往復耐久レースに参りますか。
それにしても本当に、イディンさんのツボってわからない。
【三日目・夜】
夜の渡り廊下。
今夜も若様を抱っこしてぶらぶらしていた私は、はっとして足を止めた。
月明かりの中、さっきエンディさんと交代したはずのカザムさんに付き添われて、夜着姿の王子が立っていた。
「コウメ、大丈夫?」
てくてくとこちらに近寄ってきて、尋ねてくる。
「大丈夫よ、どうしたの? 目が覚めちゃった?」
「うん……コウメが心配になっちゃって。だって夜ずっと起きてると、お化けが来るでしょ」
私はくすりと笑った。
夜ちゃんと寝ない子の所にはお化けが来て、お化けの仲間にさせられちゃうよー、ってお話をしたのを覚えてるのね。
「平気よ、だってお化けは光が苦手なの。夜はいつも、ラズト先生かイディンさんが一緒にいてくれるから、もしお化けが出て来たら星心術でピカーッ! ってやってくれるから」
私が言い、隣でラズトさんがうなずくと、王子はやっと安心したみたい。
でも、少しだけ一緒にいたいと言うので、中庭の方を向いたベンチに並んで腰かけた。若様は……ちょっとむずかったけど、良かった、泣かない。
しばらくして王子は、私にもたれてうとうとし始めた。ああ、私も眠い……さすがに連日だとね……。
「コーメの故郷では、お化けは光で退散するんですか?」
カザムさんが後ろに立って少しかがみ、私の耳に口を近づける。その声の響きも、何だか眠気を誘う。私はボーっとしながら聞き返した。
「こちらでは、違うんですか?」
「もっとおどろおどろしい感じ、ですかね。毒を持って毒を制す、的な」
「ふうん……」
また毒、か。
「そういえば、前にファシードさんが別荘に…」
言いかけて、私は口をつぐんだ。
王子が国王夫妻の養子になる前の話は、うっかりしゃべると何かボロが出そう。イディンさんエンディさんがいるんだから。
口に出さないで考えよう。そう、ラズトさんの別荘で王子と暮らしていた頃、ファシードさんが絵本を持ってきてくれたことがあった。懐かしいなぁ。
えっと、その絵本の中に、確かあったのよ。お化けを退治する話が。それが、今、話に出た「毒をもって毒を制す」的なお話だった。ウィオ・リゾナではメジャーな絵本なんだって。
そのお話に出てくるお化けの苦手なものは、光ではなくて、ある草。日本で言えば、節分のヒイラギみたいな感じ。その草の形といい色といい匂いといい、お化けは大嫌いで……。
魔除けの葉っぱ?
昼夜逆転……。
乳兄弟。
私はパッと目を見開いた。眠気が吹っ飛んだ。
「ねえ、その毒草を隠したのって、もしかして……」
☆ ☆ ☆
【読者への挑戦状】
これで、推理に必要なすべてのデータは示されました。
毒草を隠した犯人と、その理由を当てて下さい。
若様は、夜泣き魔でしたっ。
王子が寝た後くらいから夜中まで、断続的に三時間も泣き続けたのにはさすがに参った!
「はぁ……やっとおさまった、かな」
夜の離宮の、月明かりに照らされた渡り廊下を、私はぶらぶらと歩いていた。
腕の中では、若様がとろとろと眠っている。でも、ベッドに下ろしたり、私が座るとまた泣くんだ、これが。
「……大丈夫か」
他に言うべきことが思いつかない、といった風情で言ったのは、ラズトさん。私の隣を、静かについて歩いている。
そしてちょっと振り向くと、廊下の向こうの方ではエンディさんが柱にもたれて立っている。
イディンさんとエンディさんは、さすがに若様のそばから離れるわけにはいかないらしくて、二人が交代でこうやって若様のそばにいる。
で、そんな彼らと私だけにするわけにはいかないと言い張って、ラズトさんとカザムさんまで交代で私のそばにいてくれてるのだ。
でも、助かるかも。若様ってば、静かすぎても落ち着かないらしくてグズるので、こうやって小さな声で誰かと話ができるとちょうどいい。
「こんな状況じゃなきゃ、コーメと夜の散歩っていう美味しいシチュエーションなんだけどな」
ラズトさんが軽口を叩いてる。
私はちょっと笑って踵を返し、もう一度渡り廊下を反対方向へぶらつき始めた。エンディさんは、ずっとこちらを視線で追っている。
エンディさんのそばまで歩いて立ち止まり、私は聞いてみた。
「若様って、王宮でもこんな感じですか?」
エンディさんはうなずいた。
「ワカ様の乳母が、やはりこんな感じで夜も行動するので、白羽宮の警備態勢がそれに合わせて変更になったくらいだ」
子ども部屋でずっと寝てる場合とは違って、警備も変わって来るんだね。そりゃそうか。
「その乳母さんも、容疑者の一人になっちゃってるんですよね……」
私はつぶやく。
もし犯人じゃないなら、可哀想だ。一生懸命若様のお世話してたのに、若様がどこか知らない人の所に預けられちゃうなんて。
早く解決するといいのにな。
「どんな方ですか、若様の乳母さんって」
聞いてみると、エンディさんは教えてくれた。
「貴族出身で、二人目の子どもを産んだ後で乳母になった人だ。その子どもたち、五歳と一歳だそうだが、乳兄弟として王宮で一緒に育ててる」
二人目の子どもがまだ小さいから、お乳が出るんだろうな。
でも、いいなあ、乳兄弟か。一緒に育ってるなんて、ちょっとうらやましい……。
そんな話をしているうちに、夜半をかなり回って、若様もやっと落ち着いたみたい。ベビーベッドに寝かせると、大人しく眠ってくれた。
あ痛たたた、首と肩と腕がっ。気をつけないと腱鞘炎になっちゃうなコレ。
ラズトさんが無言で私をカウチに座らせると、腕まくりをして術円を展開した。回復術をかけてくれるのだ。
身体のあちこちに、ラズトさんの手が優しく触れる。温かいものが伝わってきて、とても気持ちがいい……。
気がついたら、もう朝だった。私はカウチの上で、横になったラズトさんの胸で眠っていた。
って胸っ、わ――――!
パッと立ち上がって飛びすさったけど、ラズトさんはまだ寝てる。寝起き悪くて良かった、こんな真っ赤な顔見られなくて!
あわあわしながら振り向くと、エンディさんがむっつりとこっちを見ていた。
す、すみません、一人で騒いで……。
【二日目・夜】
完っ全に、昼夜逆転いたしました、私。
若様、なかなか手ごわいです。昼間の方が寝てくれるので、その隙に私も休ませてもらって、夜になるとひたすら若様にお付き合いという生活。
明け方になると若様がぐっすり眠ってくれるので、つい一緒にベッドで眠りこんでしまって、気がついたら朝。
王子は気を使って、私を起こさないように侍女のローレンたちに言っていて、もう護衛士さんと学校に出かけてるんだよね……うう、ごめんね王子、おはようも言えなくて。
学校から戻って、一緒におやつを食べながら話はするけど、王子も遠慮しているのか、何か用事があると私じゃなくてローレンの方に言いに行ってる。
王子が眠る時におやすみを言うと、「……おやすみなさい」って寂しそうに言うのがもう……。
王子にしてみたら、若様に私を取られた気分なんだろうな。
◇ ◇ ◇
再び、夜がやってきた。
ここは、王子の部屋に比較的近い客室。仮に若様のお部屋にしてある。
「事件の調べは、進んでるんですか?」
若様にミルクを飲ませ終わった私は、まだ首のすわらない若様を肩にもたれさせるようにして背中をトントン叩きながら、イディンさんに尋ねた。
お腹がいっぱいの若様は、今は大人しくげっぷをしてとろーんとしてるけど、これ一時間しかもたないんだよねぇ。
「はかばかしくないみたいだね」
イディンさん、無情な一言。でも、ひょいと手を出して抱っこを代わってくれた。
カザムさんが黙ってその様子を見ている。
わかってるよ、護衛士さんは赤ちゃん抱っこしてる場合じゃないってことくらいは。何かあった時にとっさの対応ができないものね。
「熱いし、重くないんだけどずっしり来るね」
適当な感じで赤ちゃんを抱っこしているイディンさんは、感想も適当な感じでつぶやいている。
「赤ん坊って、どこがいいの?」
「ええ? どこって」
何て答えたらいいの、こういう質問?
とにかく私はイディンさんに近づいて、彼の腕の中の若様の足を軽く持ち上げた。
「……こういうとこ?」
ちっちゃな足の裏をイディンさんに見せる。
足の裏でなくても、爪一枚とかね? こんなちっちゃなパーツを見てるだけで、私なんか幸せになっちゃうんだけどな。
「僕にはわからないな、そういう感覚。『命の輝き』とか言われても白けるし。自分の子どもとかは持たない方がいいかもね」
イディンさんはそんなことを言う。
私は、もう一言つけたした。
「あ、あと、自分が死んだ後のことを考えるのが楽しくなりますよ」
「……意外なことを言うね。コーメのことだから、生きることの素晴らしさとかを説くのかと思った」
そんな話なんかしたら、どうせ白けるくせにー。
「まあ、結局一緒ですよ、どっちも。私は、自分が死んだ後も命が続いて行くんだなーって、そこに感動するんです、赤ちゃんを見てると」
「ふーん」
イディンさんはそんな声をもらすと、若様をのぞきこんでいる私を見て言った。
「コーメ、僕の子ども産んでみる?」
「はぁ!?」
「いや、僕の子どもを産んで、その子を見ながら自分の死について考えてるコーメっていいなぁと思って」
「それ何!? S!? M!?」
「ほえ、ふぇえええーん」
「ああ泣いちゃった、ほらカザムさんも殺気飛ばさないで!」
「……(怒)」
「びえええーん!」
あーあ。さて今夜も、渡り廊下往復耐久レースに参りますか。
それにしても本当に、イディンさんのツボってわからない。
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今夜も若様を抱っこしてぶらぶらしていた私は、はっとして足を止めた。
月明かりの中、さっきエンディさんと交代したはずのカザムさんに付き添われて、夜着姿の王子が立っていた。
「コウメ、大丈夫?」
てくてくとこちらに近寄ってきて、尋ねてくる。
「大丈夫よ、どうしたの? 目が覚めちゃった?」
「うん……コウメが心配になっちゃって。だって夜ずっと起きてると、お化けが来るでしょ」
私はくすりと笑った。
夜ちゃんと寝ない子の所にはお化けが来て、お化けの仲間にさせられちゃうよー、ってお話をしたのを覚えてるのね。
「平気よ、だってお化けは光が苦手なの。夜はいつも、ラズト先生かイディンさんが一緒にいてくれるから、もしお化けが出て来たら星心術でピカーッ! ってやってくれるから」
私が言い、隣でラズトさんがうなずくと、王子はやっと安心したみたい。
でも、少しだけ一緒にいたいと言うので、中庭の方を向いたベンチに並んで腰かけた。若様は……ちょっとむずかったけど、良かった、泣かない。
しばらくして王子は、私にもたれてうとうとし始めた。ああ、私も眠い……さすがに連日だとね……。
「コーメの故郷では、お化けは光で退散するんですか?」
カザムさんが後ろに立って少しかがみ、私の耳に口を近づける。その声の響きも、何だか眠気を誘う。私はボーっとしながら聞き返した。
「こちらでは、違うんですか?」
「もっとおどろおどろしい感じ、ですかね。毒を持って毒を制す、的な」
「ふうん……」
また毒、か。
「そういえば、前にファシードさんが別荘に…」
言いかけて、私は口をつぐんだ。
王子が国王夫妻の養子になる前の話は、うっかりしゃべると何かボロが出そう。イディンさんエンディさんがいるんだから。
口に出さないで考えよう。そう、ラズトさんの別荘で王子と暮らしていた頃、ファシードさんが絵本を持ってきてくれたことがあった。懐かしいなぁ。
えっと、その絵本の中に、確かあったのよ。お化けを退治する話が。それが、今、話に出た「毒をもって毒を制す」的なお話だった。ウィオ・リゾナではメジャーな絵本なんだって。
そのお話に出てくるお化けの苦手なものは、光ではなくて、ある草。日本で言えば、節分のヒイラギみたいな感じ。その草の形といい色といい匂いといい、お化けは大嫌いで……。
魔除けの葉っぱ?
昼夜逆転……。
乳兄弟。
私はパッと目を見開いた。眠気が吹っ飛んだ。
「ねえ、その毒草を隠したのって、もしかして……」
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