全パラメータSSSの俺がEランク魔術学園に転入するのは間違っているだろうか?

宝狩 わいと

文字の大きさ
12 / 20

最強転入生と風紀委員会

しおりを挟む
 
 Eランク魔術学園。
 魔王の脅威に対抗するため、各地に乱立させられた魔術学校の最底辺。

「カッコイイですこの腕章!」

「確かに秀逸ではあるが……」

 学園に転入して三日。
 俺は再び、理事室にいた。

「面白いところを引っ張って来たねぇ」

 鏡の前ではしゃぐ二人を眺めていると、俺は理事長先生に強引に肩を組まれそうになる。
 もう騙されないぞ、諸悪の根源。

「なんで逃げるんだいアップルくん!?」

「モモの話をイチジクから聞いた」

「なんで言うのさイチジク!」

 軽口を叩く理事長先生。
 だが当の本人は、それを見事に無視した。

 そのまま俺に歩み寄り、小さな声でおずおずと話しかけてくる。

「ほ、本当に良かったのか? こんな計画に我を参加させて」

「イチジクの力が必要だと思ってな」

 まあ照れ臭いのもわかる。
 結果的ではあるが、意趣返しのようになってしまったわけだし。

「いいじゃないか。協力関係になれたんだ」

「むぅ……」

 頬を染めてうつむく。
 昨日に比べ、少し表情も明るい。
 憑き物が少し取れたみたいだ。


 さて、もう一人の風紀委員はといえば。
 理事室の鏡の前で、未だに一人ファッションショーを延々と展開していた。よく飽きないな。

「いつまでやってんだバナーニャ」

「だってカッコイイじゃないですか!」

「……そうか?」

 確かにデザインは凝っていると思うが。

「美化委員はどうだ?」

「全面協力という形で収まりました!」

 それは重畳だ。
 正直この辺の人事は、イチジクのヤツを拝借した。かなり理想的だったからな。

「 はしゃぎ過ぎると子供っぽく見られるぞ」

「う゛っ! や、やめときます」


 風紀委員も良いのだが、もう一人の超重要人物がなかなか来ない。

 何やってるんだ。
 また誰かに絡まれてるなんてことはないよな? あり得なくもないのが怖い。

「ハァ……! ハァ……! し、失礼するっス!」

 そうこうテキトーな事を考えているうちに、その超重要人物は理事室へ飛び込んできた。

 短いスカートのシワを直す。
 走って乱れた制服を軽く整える。

 頬を伝う汗は愛嬌だ。

「おおお! 似合ってるっス!」

「|腕章(コレ)に似合うも何もあるのか?」

「何言ってんスか! あるっスよ!」

 俺より数倍ファッションセンスがあるだろうコイツに言われたら、何も言えない。

「判子は忘れずに持ってきたかい?」

「はいっス! 承認用のやつっスよね!」

 床に鞄を広げ、そこから判子と筆記用具を取り出す。しかし、なぜコイツはそんなミニスカートで躊躇いもなくしゃがめるんだ。

 ……ピンクか。

「どれにペッタンするっスか?」

「これだよー」

 理事長が一枚の書類を渡す。
 その書類には、先んじて書いた俺たちのサインが刻まれている。

 唯一の空欄に、彼女は名前を書き入れる。
 そしてその横に赤い判子を押した。



『アップル・シード

 バナーニャ・パルフェ

 イチジク


 以上三名から結成された『風紀委員会』は、この書面をもって生徒会直属の組織として認定する。

 モモ・ネクター          承認。』



「ふぅ……完成っスね」

 少しだけ記憶を遡る。

 転入初日は、正直面倒臭かった。目の前であんな爆発起こされたら、流石に引くだろう。

 だがその後、モモやバナーニャと触れ合い、イチジクの信念に背中を押された。だからこそ、俺はもう全力を出すことに躊躇わない。

 三日前の俺が見たら驚くかもしれない。
 ……というか、たった三日なのか。

「モモ。何か言いたいことはないか?」

 ふいに、気になっていたことを聞いた。

「言いたいこと……っスか」

 僅かな沈黙。
 そして、一呼吸。

「みんな、協力してくれるっスよね?」

 たったそれだけ、彼女は言った。

 当然だ。
 各々が個性豊かにその感情を表現する。律儀に跪くイチジク、手を握るバナーニャ、抱きつく理事長。

 対して俺は、ただ頷くだけ。
 しかしその視線は、モモが向ける暖かな視線としっかり繋がっている。

「……私、とっても幸せっス!」

 彼女はその顔に、満開の笑みを咲かせた。


「あ、円陣組みましょうっス! 気合い入れるっスよ!」

 モモがまた不思議な提案をする。
 だが誰もそれを否定せず、小さな笑みを浮かべて歪な円を作った。

「私が入るところないんだけど!」

「ここどうぞっス」

「バナーニャ。円陣とは一体何なのだ?」

「アップルさんが何かいうので、それが終わったらみんなでオーって言うんです!」

「俺がやるのか!?」

 四人が真ん中で手を重ねる。
 マジなのか、マジで俺がやるのか。

 こういう類は苦手なんだが……期待されているな仕方ない。重ねられた手の一番上に、俺も手を置いた。

「が、学園に平和を取り戻すぞー!」

「「「「「オー!!!」」」」」

 ……締まらないなぁ、やっぱ
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】悪役に転生したのにメインヒロインにガチ恋されている件

エース皇命
ファンタジー
 前世で大好きだったファンタジー大作『ロード・オブ・ザ・ヒーロー』の悪役、レッド・モルドロスに転生してしまった桐生英介。もっと努力して意義のある人生を送っておけばよかった、という後悔から、学院で他を圧倒する努力を積み重ねる。  しかし、その一生懸命な姿に、メインヒロインであるシャロットは惚れ、卒業式の日に告白してきて……。  悪役というより、むしろ真っ当に生きようと、ファンタジーの世界で生き抜いていく。  ヒロインとの恋、仲間との友情──あれ? 全然悪役じゃないんだけど! 気づけば主人公になっていた、悪役レッドの物語! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタにも投稿しています。

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

学生学園長の悪役貴族に転生したので破滅フラグ回避がてらに好き勝手に学校を魔改造にしまくったら生徒たちから好かれまくった

竜頭蛇
ファンタジー
俺はある日、何の予兆もなくゲームの悪役貴族──マウント・ボンボンに転生した。 やがて主人公に成敗されて死ぬ破滅エンドになることを思い出した俺は破滅を避けるために自分の学園長兼学生という立場をフル活用することを決意する。 それからやりたい放題しつつ、主人公のヘイトを避けているといつ間にかヒロインと学生たちからの好感度が上がり、グレートティーチャーと化していた。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】  最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。  戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。  目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。  ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!  彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】 【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】 ~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~  ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。  学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。  何か実力を隠す特別な理由があるのか。  いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。  そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。  貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。  オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。    世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな! ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。

処理中です...