リクゴウシュ

隍沸喰(隍沸かゆ)

文字の大きさ
130 / 299
リョウゲ

19

しおりを挟む
 黄泉は赤鳥が選んだ半袖の真っ白なワンピースと、赤を基調としたネイルチップ、赤いパンプスを用意され、髪はヘアをアイロンで巻き寿司する未知の兵器を近づけて来たので右腕で破壊し、涙され、しょうがないからと髪の横の一部三つ編みにされて後ろで結ばれた。そこにヘアーカフスの白いリボンを差し込まれる。
「よみったら天使みたい~! かわい~! でもあたしより可愛くならないでね」
 隠すように麦わら帽子を被せられ、ようやっと遊園地に出発することになる。唯一地についている屋敷――茶王の住む屋敷の廊下を歩き、地面に降り立つ。そこへ青海と白馬もやって来て皆で一緒に遊園地へ向かった。
 今は駅に向かうまでの道中だ。
 姉はトップスがピンク、スカートが黒のお茶目でシックな格好をしていた。テーマがガバガバだ。
 青海は9月のまだ熱い日の遊園地だと言うのに長袖で、黒いタートルネックにジーンズと言う格好をしていた。それには赤鳥も、実はアホなんじゃないか、と私に勘ぐりを入れてくる。そうだと答えておいた。
 國哦伐家の屋敷は日が射さず、森の中だし、下は河だし風は吹くしで他の場所に比べれば圧倒的に寒い場所だが、敷地の外ではカンカン照りだし、風が吹いても熱風だ。じりじりとアスファルトを踏む足が焼かれている気分になる。
 赤鳥は日焼け止めを自分に塗りたくると、私の腕にも塗り出した。私はされるがままになる。
 白馬の格好は何故かタキシードである。なんて暑苦しい兄二人なんだ。
「駅に着いたらバスに乗って、7つ目の駅で降りるわよ」
「はーい……もう歩くのも面倒」
 そして意外そうに見てくる隣の視線も面倒だ。
「黄泉、今日はオシャレしてきたんだね。かわいいよ」
「うるさい……お前は暑苦しいぞ」
「私はほら、熱さを感じないと言うか。冷却されるからさ、むしろ寒いかな」
「そう言うことか……」
 黄泉が青海の腕に巻き付けば、びくりとその体が震える。白馬がそれを見て言った。
「暑くないのかお前らは! 黄泉、俺の隣に並べ、日差しが射してくる側に!」
「気持ちいい~冷たぁい」
「え、ほんと?」
 赤鳥もやってきて、黄泉の反対側の青海の腕に巻き付く。
「本当だ~どうして~?」
「冷え性だから」
 と笑顔で答える青海。嘘つきめ。まあ機械だからとは言えないか。それよりも。
「姉さん離れろ、これはわたしの冷却機だ」
「いいじゃない。お兄様に甘えるくらい」
「そんな歳じゃないだろ」
「アンタだってそうでしょーが!」
 くっ、と黄泉がその続きを言い淀んでいると、ぺたっと背中に暑苦しい感触が伝わってくる。
「……何をしている」
「俺様も冷たくなりたいんだ。しょうがないだろう背中から青海に抱き着く訳にもいかない」
「私はそれでも構わないよ兄さん。黄泉を離してくれないかな、嫌がってるし」
「貴様こそ離れろ、冷たいだけでご機嫌になるな。黄泉、冷たくても火傷することがあってだな」
 それを聞いて青海が言う。
「うるさいなぁ兄さん。今日は静かだと思ったのにうるさかったかぁ」
「俺様のどこがどううるさいんだ! お前たちはいつもいつも俺様の美声を!」
「はいはい、黄泉。離れなさい。姉さんも」
 赤鳥と黄泉が離れると、白馬も黄泉から離れる。赤鳥が青海を眺めてから、ハッとして言った。
「そう言えば青海兄様も黄泉のこと名前で呼ぶのね! ヨミも青海兄様のこと呼び捨てにしてたし、仲良しなのね!」
 赤鳥がご機嫌にそう言うと、青海が黄泉の肩を抱く。
「仲良しだよ」
「触るな」
 ベシッと肩を抱いた手を叩き、払い落とす。
「黄妃はつれないなぁ」
「つれたらつれたで大変だろ」
「そんなことないよ。つれたときも好きだよ。いつも言ってるだろ」
「はいはい」
 赤鳥がマジマジと見てくるので、青海の顔面に麦わら帽子を押し当てることにした。
 白馬もマジマジと見てくるので、青海の顔面から麦わら帽子を引っ剥がして被った。
 駅に着き、電車に乗って目的地に向かう間、白馬と青海と離れた席に座ることになり隣の赤鳥に尋ねた。
「どうして私達を誘おうと思ったんだ?」
「言ったでしょダブルデートよ」
「よりによって、私と青海? 赤鳥姉さん、嘘が下手だな」
 赤鳥のヘラヘラした顔が真面目な顔になってから、にっこりと笑う。
「だって矢地様と砂金姉様が亡くなってから二人とも暗い空気纏ってるんですもの。少しくらい悲しみが紛れればいいなと思った時にちょうどペアチケットが当たって。本当は白馬お兄様と二人だけで2回来たかったのよ?」
「ありがとう姉さん」
「お姉ちゃんって呼びなさい」
 えっへんと胸に手を当てて威張り散らす。
「いやだ」
 黄泉は真顔で即答した。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...