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ディーヴァ
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ミドノが奏のことを……?
んん……。
──いちかばちか……。
これでまた変な反応を見せたら、そうだと言うことで。
カナタは言おうと決めた言葉を、軽く口を開け、言い放つ。
「──…………ハート……」
「…………、……ふぅん……」
ミドノはカナタを横目で見ながらそう呟いた。
――――反応、薄いな……。
「ぶっ……!!」
は?
「あっひゃっひゃっひゃっひゃ! ひー、あー!」
何。
カナタはミドノの〝ムカつくバカにしたようなどぶねずみ食っとけボケ! な笑い声〟を聞きながら、その苛立つ笑顔に疑問を抱く。
ミドノは綺麗な顔を歪ませ、何ともムカつくくそ美青年となる。
「おま、お前がハートとか、ウケる──!! そんなん言うタマじゃねえだろ!! あはははッ!!」
笑った。
ミドノが笑っている。
何年ぶりだろうか。
作り笑いではない、笑顔を見るのは──……。
──いや、そんなことより、なぜ俺がハートと言っただけで笑うんだ……。
ミドノは笑える限り笑いつくした後、笑顔を消し去り、
「ハァー……。せっかく今日休みなんだし、俺あベッドで寝とくわ……」
と、怠そうに伸びをした。
「あ、あぁ……」
──何でいきなり。
何かあるのか。
こいつが何を考えているのか見当がつかない。
カナタは気づかれないよう、慎重に後を追った。
組織での仕事である程度の技術は身に付けてある。
慣れていないわけでもない、逆に容易だ。
だが、やはり友達をつけるのは抵抗があるな。
いや、そんなことより──……俺がミドノを友達と呼んでも、ミドノは俺のことを友達と呼んでくれないかもしれない。
それが少し、悲しい。
ミドノは迷うこともなく、振り返りもせずに自分の部屋へと向かっている。
カナタがつけていることに、ミドノは気付いているかもしれない。
でも一応──……ミドノも大切な存在だが、俺の一番は奏だか──……………。
間違いだな……──……2人とも一番大切だから……。
ミドノは扉の前に立った。
それはミドノに用意されている部屋の扉だ。
ミドノは特に何もすることなく扉を見つめている。
カナタに気付いているそぶりすら見せないが、果たしてどうなのか……。
──可笑しなところはないな。
ミドノが頭を掻き上げながらドアノブに手を伸ばした。
部屋の中がどうなっているのかカナタは知らない。
奏の殺し方を書いたノートとかあるかもしれない、もしそんなものがあったとしたらカナタは助かるだろう。奏を助ける方法を導き出せるし、ミドノの考えも分かる、一石二鳥だ。
でも侵入なんてとのは不可能だ。
あいつは敏感すぎるからな。
──ここは諦めよう。
俺も寝る。
今度また奏殺し計画がたてられた時のために力を温存しておかないと……。
カナタはミドノに背を向けた。だが、カナタはその美しい声で止められてしまう。
「──カナタ……」
「───……!!」
振り返る間もなく、ミドノはカナタの腕を掴んだ。
──……速い。
正直ミドノの実力は少尉以上だと思う。
機械・兵器の扱い、体術、ミドノはすべてにおいて優れている。天才と言えるだろう。
しかしそのすべてを掻き消す、やる気の無さ、それのせいで地位は低い。
あいつのやる気を最大限まで引き出せるのは奏だけだ。
ミドノは冷たい表情で、固く掴んでいたカナタの腕を離した。
「見たいか……俺の部屋」
「いや……いい……」
カナタは足を1歩前へ踏み出す。
何もしない結論に至ったし。
カナタは決意と共に床を1歩1歩踏みしめてる。
しかしその決意を揺るがす、ミドノの言葉。
「見せてやってもいいんだぞ、お前なら、見せてやってもいい」
──くそ……。──侵入不可能か……。ここで入らなかったら2度と無理かもしれない。
だけど……そうだ……もしこれを逃したら、奏がどうなるか──……。
「──……じゃあ、見たい」
思いもよらぬことに困惑したが、まさかこんな……
「さぁ、カナタ、入れよ」
ミドノの手のひらがカナタを導く。
部屋の構造はカナタの部屋と変わらないはずだ。
しかしカナタがミドノの部屋に入った直後だった。
カナタは何がどうなっているのか状況が掴めずにいた。
「俺の楽園なんだよ……」
ミドノの顔が柔らかい笑顔に変わった。
ミドノの部屋は────奏の写真でいっぱいだった。
「こうやって……」
ミドノはカナタの腰の銃を手に取り、それを笑顔いっぱいの奏の写真に向けた。そして、何度も何度も弾を撃ち放ち、写真を穴だらけにする。ビリビリと破れて、奏は真っ2つになった。
ミドノは恍惚な笑みを浮かべ、とろけるように自分の頬を撫でる。
「可愛い俺の奏を殺してると、幸せな気分になれるんだよ……どうだ……楽園だろ……?」
カナタはやっと気がついた。ミドノの罠に、簡単にはめられてしまったことに。
──これを見せるために、こいつは寝るなんて言い出したんだ。
カナタにつけさせ侵入させるつもりが、カナタが帰ろうとしたからわざわざ導いた。
こんなの最低な趣味だ。危険だ。凶悪だ。
やっぱりこいつには殺させてはいけない。
俺が奏を殺す。
さすがのミドノも死体の奏に欲求が生まれる筈はない。
俺が奏を、優しく殺して、奏を助ける。
必ず俺がこの手で、奏を伐つ。
奏、すぐだ。
またすぐ再会する日が来る。
自殺なんて考えるな。
待っててくれ。
俺が、俺が殺してやる。
1人で死なせたりしない。
──俺も一緒に……お前と……
んん……。
──いちかばちか……。
これでまた変な反応を見せたら、そうだと言うことで。
カナタは言おうと決めた言葉を、軽く口を開け、言い放つ。
「──…………ハート……」
「…………、……ふぅん……」
ミドノはカナタを横目で見ながらそう呟いた。
――――反応、薄いな……。
「ぶっ……!!」
は?
「あっひゃっひゃっひゃっひゃ! ひー、あー!」
何。
カナタはミドノの〝ムカつくバカにしたようなどぶねずみ食っとけボケ! な笑い声〟を聞きながら、その苛立つ笑顔に疑問を抱く。
ミドノは綺麗な顔を歪ませ、何ともムカつくくそ美青年となる。
「おま、お前がハートとか、ウケる──!! そんなん言うタマじゃねえだろ!! あはははッ!!」
笑った。
ミドノが笑っている。
何年ぶりだろうか。
作り笑いではない、笑顔を見るのは──……。
──いや、そんなことより、なぜ俺がハートと言っただけで笑うんだ……。
ミドノは笑える限り笑いつくした後、笑顔を消し去り、
「ハァー……。せっかく今日休みなんだし、俺あベッドで寝とくわ……」
と、怠そうに伸びをした。
「あ、あぁ……」
──何でいきなり。
何かあるのか。
こいつが何を考えているのか見当がつかない。
カナタは気づかれないよう、慎重に後を追った。
組織での仕事である程度の技術は身に付けてある。
慣れていないわけでもない、逆に容易だ。
だが、やはり友達をつけるのは抵抗があるな。
いや、そんなことより──……俺がミドノを友達と呼んでも、ミドノは俺のことを友達と呼んでくれないかもしれない。
それが少し、悲しい。
ミドノは迷うこともなく、振り返りもせずに自分の部屋へと向かっている。
カナタがつけていることに、ミドノは気付いているかもしれない。
でも一応──……ミドノも大切な存在だが、俺の一番は奏だか──……………。
間違いだな……──……2人とも一番大切だから……。
ミドノは扉の前に立った。
それはミドノに用意されている部屋の扉だ。
ミドノは特に何もすることなく扉を見つめている。
カナタに気付いているそぶりすら見せないが、果たしてどうなのか……。
──可笑しなところはないな。
ミドノが頭を掻き上げながらドアノブに手を伸ばした。
部屋の中がどうなっているのかカナタは知らない。
奏の殺し方を書いたノートとかあるかもしれない、もしそんなものがあったとしたらカナタは助かるだろう。奏を助ける方法を導き出せるし、ミドノの考えも分かる、一石二鳥だ。
でも侵入なんてとのは不可能だ。
あいつは敏感すぎるからな。
──ここは諦めよう。
俺も寝る。
今度また奏殺し計画がたてられた時のために力を温存しておかないと……。
カナタはミドノに背を向けた。だが、カナタはその美しい声で止められてしまう。
「──カナタ……」
「───……!!」
振り返る間もなく、ミドノはカナタの腕を掴んだ。
──……速い。
正直ミドノの実力は少尉以上だと思う。
機械・兵器の扱い、体術、ミドノはすべてにおいて優れている。天才と言えるだろう。
しかしそのすべてを掻き消す、やる気の無さ、それのせいで地位は低い。
あいつのやる気を最大限まで引き出せるのは奏だけだ。
ミドノは冷たい表情で、固く掴んでいたカナタの腕を離した。
「見たいか……俺の部屋」
「いや……いい……」
カナタは足を1歩前へ踏み出す。
何もしない結論に至ったし。
カナタは決意と共に床を1歩1歩踏みしめてる。
しかしその決意を揺るがす、ミドノの言葉。
「見せてやってもいいんだぞ、お前なら、見せてやってもいい」
──くそ……。──侵入不可能か……。ここで入らなかったら2度と無理かもしれない。
だけど……そうだ……もしこれを逃したら、奏がどうなるか──……。
「──……じゃあ、見たい」
思いもよらぬことに困惑したが、まさかこんな……
「さぁ、カナタ、入れよ」
ミドノの手のひらがカナタを導く。
部屋の構造はカナタの部屋と変わらないはずだ。
しかしカナタがミドノの部屋に入った直後だった。
カナタは何がどうなっているのか状況が掴めずにいた。
「俺の楽園なんだよ……」
ミドノの顔が柔らかい笑顔に変わった。
ミドノの部屋は────奏の写真でいっぱいだった。
「こうやって……」
ミドノはカナタの腰の銃を手に取り、それを笑顔いっぱいの奏の写真に向けた。そして、何度も何度も弾を撃ち放ち、写真を穴だらけにする。ビリビリと破れて、奏は真っ2つになった。
ミドノは恍惚な笑みを浮かべ、とろけるように自分の頬を撫でる。
「可愛い俺の奏を殺してると、幸せな気分になれるんだよ……どうだ……楽園だろ……?」
カナタはやっと気がついた。ミドノの罠に、簡単にはめられてしまったことに。
──これを見せるために、こいつは寝るなんて言い出したんだ。
カナタにつけさせ侵入させるつもりが、カナタが帰ろうとしたからわざわざ導いた。
こんなの最低な趣味だ。危険だ。凶悪だ。
やっぱりこいつには殺させてはいけない。
俺が奏を殺す。
さすがのミドノも死体の奏に欲求が生まれる筈はない。
俺が奏を、優しく殺して、奏を助ける。
必ず俺がこの手で、奏を伐つ。
奏、すぐだ。
またすぐ再会する日が来る。
自殺なんて考えるな。
待っててくれ。
俺が、俺が殺してやる。
1人で死なせたりしない。
──俺も一緒に……お前と……
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