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コノカ
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「君の中には多少の緑龍子が存在すル。だから体内が熱で燃焼されてもすぐに元通りになル。熱さを感じないくらいの熱にコントロールするんダ。身体の周辺に纏ってもイイ。それが常に意識せずとも出来るようになるなら尚更イイ」
彼に従うまま炎、熱の扱い方を覚え、他のコノカたちにも炎の扱い方を教えた。彼の代わりに人体発火の実験も全て私がやった。
「アリア、そうじゃないわ。こう、やって……」
アリアと呼ばれる女の子は白い髪のピンク色の目の女の子だ。アリシアはその子を自分の妹のように可愛がった。
彼女の背に手を当てて彼女の中の熱を炎に変える。
「分からないよシティア」
「しょうがないわね。私が手本を見せてあげる。」
アリシアが手本を見せると、アリアは真似しようとして炎を発生させた。
「熱い、熱いよシティア」
「大丈夫よ、落ち着いて。私がコントロールするから」
「え……? ほ、ホントだ。熱くない、凄いわシティア!」
「教えてくれた人がいるのよ」
「知りたくない。その人がシティアを独り占めしてる相手なんでしょ。どうしても許せないの……。最近私とやってくれないし」
「疲れちゃって。オトウサマはあの人の力に興味があるみたいなの」
「逃げたら私の相手もしてよね、アリシア」
ここにいる子供達はアリシアのことを基本的にヒグナルを見習ってシティアと呼ぶ。だが、彼のいない所でならいくらでもアリシアと呼んでも良かった。彼女の本当の名を知らない人はどうしてアの部屋にいるのかと不思議に思っているだろう。
そして、決行の日がやってくる。
「もし逃げられたら結婚してくれないカ?」
「逃げられるか分からないなら今結婚しましょうよ」
「君には逃がしたい人がいるんじゃなかったカ? だからこの件に乗ったんダロ? その人を愛してるんじゃないのカ?」
「いないわよ。逃がしたい人も愛した人も」
そんな話をして、彼とは〝仮の結婚〟なんて遊びまでした。
「お前を一生守ると誓ウ」
「バカね。私なんか守らなくてもいいのよ。自分の身は自分で守れるわ」
苒はそっとアリシアに近づき、唇同士を重ねさせる。
「な、何するのよ!」
「ほら、お前キスが好きじゃないカ。落ち着くだロ?」
アリシアはかぁっと顔を赤く染めて、怒り心頭で苒に攻撃を仕掛けるが彼は悠々と避けて笑った。その笑顔にアリシアは惹かれていたのかもしれない。今になったら分からないことだ。好きだったのか、好きではなかったのか、愛していたのか、愛していた気がする。
いいえ。愛していたんだ。大切な家族だったから。
アリシアは、一度も彼に勝てなかった。アリシアの炎は苒の炎。苒の技。
苒から受け継いだ炎の力と言っても過言ではなかった。
彼と考えた作戦は順調に進んだ。アリシアは完璧だと慢心していた。
アリアも、アの部屋の子供たちも、ゼの部屋の子供たちも皆連れてきていた。
「大丈夫よ! 私について来て!」
選択なんて簡単だと思っていた。私は正解の道にだけ進めるのだと。
あの化け物が出てくるまでは。
『エンタイアを出せ』
エンタイアとは恐ろしい化け物だった。エンタイアはコノカを食い荒らしていった。炎を操り、アリシアと長年過ごした仲間たちを燃やしていった。
――俺たち二人だけになるまで、そう長くはなかった。
――出口に着くと、オトウサマが、待ち受けていた。
「シティア……お前は絶対に逃がさないよ。家族だろう? 大事な娘だろう?」
オトウサマはやっとのことで完成させたシティアと言うキューピットを、能力協会と言う私たちのような化け物を保護する組織に保護された。オトウサマの最愛の人も一緒に。
そして私のことを代わりとしてか、シティアと呼ぶようになった。
そのオトウサマのせいで、シャッターが降りていく、出口のシャッターが。
絶望と希望の境目が。遮断される。
絶望に落ちる。
――とん。
熱い衝撃に背中を押され、出口の外に立っていた。シャッターの奥に、私の背を押した彼の熱い手が消えていく。
「苒……苒ンンンンンッ!!」
私の夢も、彼の記憶もそこで終わった。
『おのれ』
『シティアあああああああああああああああああああああああああああ──ッッッ!!!!!!』
彼に従うまま炎、熱の扱い方を覚え、他のコノカたちにも炎の扱い方を教えた。彼の代わりに人体発火の実験も全て私がやった。
「アリア、そうじゃないわ。こう、やって……」
アリアと呼ばれる女の子は白い髪のピンク色の目の女の子だ。アリシアはその子を自分の妹のように可愛がった。
彼女の背に手を当てて彼女の中の熱を炎に変える。
「分からないよシティア」
「しょうがないわね。私が手本を見せてあげる。」
アリシアが手本を見せると、アリアは真似しようとして炎を発生させた。
「熱い、熱いよシティア」
「大丈夫よ、落ち着いて。私がコントロールするから」
「え……? ほ、ホントだ。熱くない、凄いわシティア!」
「教えてくれた人がいるのよ」
「知りたくない。その人がシティアを独り占めしてる相手なんでしょ。どうしても許せないの……。最近私とやってくれないし」
「疲れちゃって。オトウサマはあの人の力に興味があるみたいなの」
「逃げたら私の相手もしてよね、アリシア」
ここにいる子供達はアリシアのことを基本的にヒグナルを見習ってシティアと呼ぶ。だが、彼のいない所でならいくらでもアリシアと呼んでも良かった。彼女の本当の名を知らない人はどうしてアの部屋にいるのかと不思議に思っているだろう。
そして、決行の日がやってくる。
「もし逃げられたら結婚してくれないカ?」
「逃げられるか分からないなら今結婚しましょうよ」
「君には逃がしたい人がいるんじゃなかったカ? だからこの件に乗ったんダロ? その人を愛してるんじゃないのカ?」
「いないわよ。逃がしたい人も愛した人も」
そんな話をして、彼とは〝仮の結婚〟なんて遊びまでした。
「お前を一生守ると誓ウ」
「バカね。私なんか守らなくてもいいのよ。自分の身は自分で守れるわ」
苒はそっとアリシアに近づき、唇同士を重ねさせる。
「な、何するのよ!」
「ほら、お前キスが好きじゃないカ。落ち着くだロ?」
アリシアはかぁっと顔を赤く染めて、怒り心頭で苒に攻撃を仕掛けるが彼は悠々と避けて笑った。その笑顔にアリシアは惹かれていたのかもしれない。今になったら分からないことだ。好きだったのか、好きではなかったのか、愛していたのか、愛していた気がする。
いいえ。愛していたんだ。大切な家族だったから。
アリシアは、一度も彼に勝てなかった。アリシアの炎は苒の炎。苒の技。
苒から受け継いだ炎の力と言っても過言ではなかった。
彼と考えた作戦は順調に進んだ。アリシアは完璧だと慢心していた。
アリアも、アの部屋の子供たちも、ゼの部屋の子供たちも皆連れてきていた。
「大丈夫よ! 私について来て!」
選択なんて簡単だと思っていた。私は正解の道にだけ進めるのだと。
あの化け物が出てくるまでは。
『エンタイアを出せ』
エンタイアとは恐ろしい化け物だった。エンタイアはコノカを食い荒らしていった。炎を操り、アリシアと長年過ごした仲間たちを燃やしていった。
――俺たち二人だけになるまで、そう長くはなかった。
――出口に着くと、オトウサマが、待ち受けていた。
「シティア……お前は絶対に逃がさないよ。家族だろう? 大事な娘だろう?」
オトウサマはやっとのことで完成させたシティアと言うキューピットを、能力協会と言う私たちのような化け物を保護する組織に保護された。オトウサマの最愛の人も一緒に。
そして私のことを代わりとしてか、シティアと呼ぶようになった。
そのオトウサマのせいで、シャッターが降りていく、出口のシャッターが。
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絶望に落ちる。
――とん。
熱い衝撃に背中を押され、出口の外に立っていた。シャッターの奥に、私の背を押した彼の熱い手が消えていく。
「苒……苒ンンンンンッ!!」
私の夢も、彼の記憶もそこで終わった。
『おのれ』
『シティアあああああああああああああああああああああああああああ──ッッッ!!!!!!』
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