リクゴウシュ

隍沸喰(隍沸かゆ)

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バシリアス ※BL

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「あ、えっと、しといてくれ」
『承知致しました』
 ん? あれ? まさか──……。
「で、出来る事は全部やってくれ。俺の手が必要になったら声を掛けろ」
『承知致しました。――……計算中です。――……完了しました』
 な、何て事だ……。羅聖、お前はとんでもないモノを作ってしまったんだな。いや、安心している場合じゃない。何か変な事を仕出さないか、ちゃんと見張っておかないと。
 それからは何も出来なかった。
 彼の作った機械達はとんでもないスピードで、其々同時進行で事を進めていく。どこで何が行われているのかも全く理解できない。思わず「待ってくれ」と言いそうになったが、それを言ったところで自分には何も出来ない。彼を助けられるのは彼だけだ。それ以上不安にならないように手術室を後にした。
 出入りの楽な隣室の休憩室へ入った。椅子があったが、壁にもたれ掛かり、ずるずると床に座り込む。
 滲み出る涙を押し止め、額に合わせた手を当てるだけだ。
 咲路にはそれしか出来ない。
 彼を見捨てて、彼を助けてくれと彼に願う事しか出来なかった。
 足が勝手に立ち上がらないように全身の力を抜く。
 自らの意志が勝手をし出さないうちにねじ伏せる。
 何も考えないように、頭の中を真っ白にする。
 この感覚は前にもあった。
 羅聖と初めて出会い、彼が森を後にした日。俺は森を抜け出して、屋敷へ向かい、彼を連れ去り、二人だけで、壁の外へ行きたかった。
 自由になりたいと初めて思った。
 しかし俺は怖がった。
 俺が関わる事で、羅聖の身に何か起こってしまうのではないかと。
 彼は医学を学びたいと言った。今俺が彼に会いに行ってしまえば、父は彼を二度と俺に会わせないために、確実に俺の息の根を止めるだろう。
 あの父親なら、羅聖も同じ目に合わせかねないが、羅聖は完璧な彼の理想だ。簡単に手放す筈がない。
 ――止めなくては。
 この衝動を。激動を。
 俺に意志などない。俺の居場所はここだ。羅聖も、使用人も、父も、俺の居場所ではない。俺の居場所は最初から最期までこの森だ。


 ――――――違う。

 ちがうちがうちがう
 ちがうちがうちがうちがう
 ちがうちがうちがうちがうちがう
 ちがうちがうちがうちがうちがうちが
 うちがうちがうちがうちがうちがうちがう
 ちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがう
 ちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがう
 ちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがう
 ちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがう
 ちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがう
 ちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがう
 ちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがう
 ちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがう
 ちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがう

 俺の居場所は羅聖の傍だッッッ!!
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