イジメの代償は、想像を絶する現実だった・・・

ゆきもと けい

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14章 呼ばれた本条

イジメの代償は、想像を絶する現実だった・・・

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 由美子は静かに坂本の横に座った。
 坂本は猫背で俯き加減に、自分の足元を見るような恰好で、淡々と話しを始めた・・・

 最初に、自分ではない人格が、突然現れるかもしれないことを簡単に話した上で、
 中学時代に本条という生徒を3人でイジメていたこと・・・
 彼がイジメを理由に自殺したこと・・・
 この件が起こるまではその事実を忘れていたこと・・・
 さらに、どんなことをしたのか、今ではよく思い出せなくなっていること・・・
 その彼が復讐するため、バケモノと化し、自分の中に存在してしまったことなど、できる限りを正確に話した。
 
 そして、俯いたままフッとため息をつく。
 どこまで信じてもらえただろうか・・・?

 由美子はその話をじっと聞いていた・・・
 どれくらいの時間、話をしていただろうか・・・?
 疲れた・・・疲労困憊といった感じだ・・・
 乱雑とした部屋にちょっとした沈黙が流れる・・・

 坂本が話し終えるまで、本条は現れなかった。
 高みの見物でもしているのだろうか・・・?

「そういう事情だったのか・・・
もっと早く言ってくれれば良かったのに・・・」

 坂本は俯いたまま首を横に振り、弱弱しい声で言った。

「そんなこと・・・言えるわけない・・・」

 由美子は黙ったまま頷く。

「まぁそうよね。自分のせいで一人自殺しているなんて・・・
しかもその張本人が今、医者になって患者を助けているんだからね。
皮肉なものよね。
ただ本条君としては怒り心頭って感じかな・・・」

 由美子は予想に反し、サバサバとしていた。

「・・・」

「ねえ、本条君と替われるの?」

「えっ?」

 坂本は驚き、俯いていた顔を上げ、由美子の方へ目をやる。

「いや・・・僕からは替われないけど・・・
彼次第・・・」

 坂本は覇気のない声でそう言うと、首を横に振る。

「そう・・・」

 由美子は大きく一呼吸した。

「もし彼に替われたら、どうするつもり・・・」

「別に・・・
ただ彼と話をしてみたいと思っただけよ」

「止めた方がいい・・・
彼は幽霊じゃないんだよ、バケモノなんだ。あのおぞましい姿を目の当たりにしたら、卒倒しかねない・・・」

「うーん・・・」

 由美子は気のない返事をした後、

「ねぇ本条君、私と話しない?
どうせ聞いているんでしょ?
私たちの話・・・
だったら、直接話した方が面白くない?」

 真剣な表情で坂本の様子を覗う。

「何を言い出すんだよ・・・
自分の言ってる意味が・・・」

 精一杯の強い口調で坂本がそこまで言いかけると、一瞬の沈黙が流れた。それは誰かが坂本の言葉を強引に遮ったように思える。
 淀んだ空気のようなものが流れる感じがした。
 そして見る見るうちに坂本の横顔が、さっき話していたあのおぞましい表情に変わっていった。無精髭がバラバラと剥がれる。それが床に散らばる。
 横から見るその顔は、人間の皮膚で構成されているとは到底思えない。
 バケモノ・・・まさにその表現が一番正しい気がする。

 その顔がゆっくりと由美子の方へ向き直る。

「あんたの言う通りだな。少しお前と話をするのも悪くねえか・・・」

 猫背で俯き加減だった坂本の姿はなく、堂々と本条があのおぞましい姿で現れた。


  14章 呼ばれた本条 完 続く
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