あくまで執事なヒツジは、生贄である人間の幼女を育てるみたいです~えぇ!?人間って牧草を食べないんですか!?~

夏歌 沙流

文字の大きさ
4 / 6

第4話 邪神、ヒツジを想う。

しおりを挟む
 起きたらバラムが僕を寝室に運んでくれたみたいで、ベッドの上だった。バラムの背中、あったかいし乗ってると一定のリズムで上下に動くから眠くなるんだよねぇ……ふわぁあ。

 バラムは僕が創った忠実なしもべ。見た目はただの白いヒツジだけど、人の言葉を話し、知性を持っている特別製だ……その代わりに戦闘能力はほとんどないんだけどね。

 彼は今頃、生贄探しに人間界かな?僕の使命に忠実なのは良いことだけど、いつも人間の街にたどり着く前に野良犬にやられて帰ってくるから空回りしているのが彼っぽいというか何というか。

 彼を創ったことは間違いだとは一回も思ったことはないけど、あんな風に焦りすぎてしまう性格はどうにか出来なかったかなぁと思う。

 バラムを創造した際、僕の持っている神の力はほとんど使い果たしてしまった。僕の持てる神の力のほとんどを使ってもバラム程度の強さを持たせることしかできなかったとも言える。

「だから、死んでほしくないんだよなぁ」

 天井を見ながら僕は呟く。ふふっ……神が、それも邪神が他者の心配をするのはおかしいかな?

 でも、仕方ないんだ……僕は神の間でも嫌煙けんえんされているからさ。しょーもない話だけど神のあいだでも序列みたいなのがあって、神の力を失いかけて格が低くなっている僕は序列の最底辺。

 僕が『とある神様』であるという事もあって、誰もが僕を見下して口も聞いてくれない日々が500年は続いた。

 寂しかったんだよ、だからバラム話し相手を創った。彼に使命を与えた時は『神の力を復活させて見下しているあいつら神様どもを見返してやろう!』なんて思っていたんだけど……

 窓に映る自分の姿を見て僕はため息をつく。霊体の様に薄く透けて、輪郭りんかくがぼやけている僕の姿は……酷く惨めに思えた。

 神様というのは概念だ。信仰心を失えば神の力を失い、存在を忘れられれば僕の様に『この世に溶けて消えていく』。
 いくら神様だって、消えるのは怖いんだよ……寂しくて、このまま消えていくのが怖くて。

 バラムと話している時間だけは、寂しさを紛らわせることができる。バラムの背中で寝ているときだけは、消えていく恐怖を忘れることができる。だから……

 ドタドタと外から足音が聞こえる。バラムが帰ってきたのだろうか?玄関の扉を開けて、バラムが『主様ぁ~……』って噛み傷をいっぱいこさえてでも帰ってくるのが僕のここ数年の楽しみになっていた。

 今日はバルムからどんな報告が聞けるんだろうか?扉が開いてバラムが入ってくる。

「ぜぇ……ぜぇ……主様!このバラム、生贄……持ってきました!」

 どうやら僕のしもべは……思っていたより強かったみたいだ。本当にこの子は……!

 全身を傷だらけにしながら、背中に人間の女の子を乗せながら満面の笑みを浮かべるバラムを見て、僕は暖かい気持ちになるのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  二月から週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。

神に逆らった人間が生きていける訳ないだろう?大地も空気も神の意のままだぞ?<聖女は神の愛し子>

ラララキヲ
ファンタジー
 フライアルド聖国は『聖女に護られた国』だ。『神が自分の愛し子の為に作った』のがこの国がある大地(島)である為に、聖女は王族よりも大切に扱われてきた。  それに不満を持ったのが当然『王侯貴族』だった。  彼らは遂に神に盾突き「人の尊厳を守る為に!」と神の信者たちを追い出そうとした。去らねば罪人として捕まえると言って。  そしてフライアルド聖国の歴史は動く。  『神の作り出した世界』で馬鹿な人間は現実を知る……  神「プンスコ(`3´)」 !!注!! この話に出てくる“神”は実態の無い超常的な存在です。万能神、創造神の部類です。刃物で刺したら死ぬ様な“自称神”ではありません。人間が神を名乗ってる様な謎の宗教の話ではありませんし、そんな口先だけの神(笑)を容認するものでもありませんので誤解無きよう宜しくお願いします。!!注!! ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇ご都合展開。矛盾もあるかも。 ◇ちょっと【恋愛】もあるよ! ◇なろうにも上げてます。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風
ファンタジー
「お前を追放する!」 ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。 しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

処理中です...