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第4話 邪神、ヒツジを想う。
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起きたらバラムが僕を寝室に運んでくれたみたいで、ベッドの上だった。バラムの背中、あったかいし乗ってると一定のリズムで上下に動くから眠くなるんだよねぇ……ふわぁあ。
バラムは僕が創った忠実な僕。見た目はただの白いヒツジだけど、人の言葉を話し、知性を持っている特別製だ……その代わりに戦闘能力はほとんどないんだけどね。
彼は今頃、生贄探しに人間界かな?僕の使命に忠実なのは良いことだけど、いつも人間の街にたどり着く前に野良犬にやられて帰ってくるから空回りしているのが彼っぽいというか何というか。
彼を創ったことは間違いだとは一回も思ったことはないけど、あんな風に焦りすぎてしまう性格はどうにか出来なかったかなぁと思う。
バラムを創造した際、僕の持っている神の力はほとんど使い果たしてしまった。僕の持てる神の力のほとんどを使ってもバラム程度の強さを持たせることしかできなかったとも言える。
「だから、死んでほしくないんだよなぁ」
天井を見ながら僕は呟く。ふふっ……神が、それも邪神が他者の心配をするのはおかしいかな?
でも、仕方ないんだ……僕は神の間でも嫌煙されているからさ。しょーもない話だけど神の間でも序列みたいなのがあって、神の力を失いかけて格が低くなっている僕は序列の最底辺。
僕が『とある神様』であるという事もあって、誰もが僕を見下して口も聞いてくれない日々が500年は続いた。
寂しかったんだよ、だからバラムを創った。彼に使命を与えた時は『神の力を復活させて見下しているあいつらを見返してやろう!』なんて思っていたんだけど……
窓に映る自分の姿を見て僕はため息をつく。霊体の様に薄く透けて、輪郭がぼやけている僕の姿は……酷く惨めに思えた。
神様というのは概念だ。信仰心を失えば神の力を失い、存在を忘れられれば僕の様に『この世に溶けて消えていく』。
いくら神様だって、消えるのは怖いんだよ……寂しくて、このまま消えていくのが怖くて。
バラムと話している時間だけは、寂しさを紛らわせることができる。バラムの背中で寝ているときだけは、消えていく恐怖を忘れることができる。だから……
ドタドタと外から足音が聞こえる。バラムが帰ってきたのだろうか?玄関の扉を開けて、バラムが『主様ぁ~……』って噛み傷をいっぱいこさえてでも帰ってくるのが僕のここ数年の楽しみになっていた。
今日はバルムからどんな報告が聞けるんだろうか?扉が開いてバラムが入ってくる。
「ぜぇ……ぜぇ……主様!このバラム、生贄……持ってきました!」
どうやら僕の僕は……思っていたより強かったみたいだ。本当にこの子は……!
全身を傷だらけにしながら、背中に人間の女の子を乗せながら満面の笑みを浮かべるバラムを見て、僕は暖かい気持ちになるのだった。
バラムは僕が創った忠実な僕。見た目はただの白いヒツジだけど、人の言葉を話し、知性を持っている特別製だ……その代わりに戦闘能力はほとんどないんだけどね。
彼は今頃、生贄探しに人間界かな?僕の使命に忠実なのは良いことだけど、いつも人間の街にたどり着く前に野良犬にやられて帰ってくるから空回りしているのが彼っぽいというか何というか。
彼を創ったことは間違いだとは一回も思ったことはないけど、あんな風に焦りすぎてしまう性格はどうにか出来なかったかなぁと思う。
バラムを創造した際、僕の持っている神の力はほとんど使い果たしてしまった。僕の持てる神の力のほとんどを使ってもバラム程度の強さを持たせることしかできなかったとも言える。
「だから、死んでほしくないんだよなぁ」
天井を見ながら僕は呟く。ふふっ……神が、それも邪神が他者の心配をするのはおかしいかな?
でも、仕方ないんだ……僕は神の間でも嫌煙されているからさ。しょーもない話だけど神の間でも序列みたいなのがあって、神の力を失いかけて格が低くなっている僕は序列の最底辺。
僕が『とある神様』であるという事もあって、誰もが僕を見下して口も聞いてくれない日々が500年は続いた。
寂しかったんだよ、だからバラムを創った。彼に使命を与えた時は『神の力を復活させて見下しているあいつらを見返してやろう!』なんて思っていたんだけど……
窓に映る自分の姿を見て僕はため息をつく。霊体の様に薄く透けて、輪郭がぼやけている僕の姿は……酷く惨めに思えた。
神様というのは概念だ。信仰心を失えば神の力を失い、存在を忘れられれば僕の様に『この世に溶けて消えていく』。
いくら神様だって、消えるのは怖いんだよ……寂しくて、このまま消えていくのが怖くて。
バラムと話している時間だけは、寂しさを紛らわせることができる。バラムの背中で寝ているときだけは、消えていく恐怖を忘れることができる。だから……
ドタドタと外から足音が聞こえる。バラムが帰ってきたのだろうか?玄関の扉を開けて、バラムが『主様ぁ~……』って噛み傷をいっぱいこさえてでも帰ってくるのが僕のここ数年の楽しみになっていた。
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「ぜぇ……ぜぇ……主様!このバラム、生贄……持ってきました!」
どうやら僕の僕は……思っていたより強かったみたいだ。本当にこの子は……!
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