あくまで執事なヒツジは、生贄である人間の幼女を育てるみたいです~えぇ!?人間って牧草を食べないんですか!?~

夏歌 沙流

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第3話 ヒツジ、念願の生贄を拾います。

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 涎を垂らしてジリジリと近づいてくる人間の女の子、ジリジリと後ろに下がる私。何あの獰猛どうもうな目!?無表情だけど『絶対に食う』という強い意志を感じます!

「あ、あの……私、その、不味くて……」
「…………」
「ほら、羊毛とか……モフモフでっ!食べたら、舌に絡まっちゃうだろうし……」
「…………」

 必死に下がりながら思いつく限りの言葉をつなぎますが一向に止まる気配がない彼女。
 やめてぇ!食べないでぇ!ズザザザザッと後ろに下がっていた私のお尻に、ドンっと何かにぶつかる感触。何にぶつかったのかと私が振り向くと、大きな木の幹がそこにはありました。

「あっ……」
「っ……!」
「メエエェッ!?」

 動揺して動きが止まってしまった私を見逃さずに尖った石を持って突撃してくる人間の少女!
 来るであろう痛みに耐えるためにギュッと目を強くつむってから1秒、2秒……5秒。いつまで経っても痛いのが来ない。

「あれ……?」
「うっ……」

 人間の少女のうめき声が聞こえ、つむっていた目を恐る恐る開くと……尖った石が転がっているのが見えました。
 そして私の前で突っ伏している少女、時々身じろぎはしますがさっきよりも元気がありません。

 あれ?危機的な状況で私なにか覚醒しましたか!?いやー、主様のしもべですからやっぱりね!なにか秘めた力とかあったんですよ多分!

――グゥ……

 少女のお腹から音が鳴る。ただ空腹なあまりに倒れてしまっただけでした……ん?待てよ?私の頭が回転を始める。

 少女は人間、そして動けない。つまり、初の生贄が今ここに!?

「ンメエエ!なんという僥倖ぎょうこう、犬に追いかけまわされ泣かされたのも、今日このためにあったんですねぇ!」
「…………」
「魔力で持ち上げ……られますね!やったー!初めての生贄ゲットー!」

 背中に少女を乗せて上機嫌になる私。やった、やった!遂に使命が果たせます!
 苦節数年、犬に追いかけまわされ犬にかじられ……犬のことばかりですね?そりゃ人間の街にすら辿たどり着けなかったんですからそれもそうか。

 とにかく、それでも初めての生贄が今ここに!やったー!これで主様のお力が復活――

「グルルルルゥ……」
「ほえ……?」
「ワオーン!」
「メエエエエエッ!?」

 浮かれていた私は、追い掛け回されていた犬たちに、囲まれていることに気が付かなかった。あ……叫びすぎちゃった。
 私の叫び声を聞いて野良犬たちが近寄ってきたんですねぇ。うんうん、なるほどぉ。

「私の初めての生贄なんです!絶対に逃げ帰ってやりますよ、犬っころがああああ!!」
『ワンワンッ!』
「5匹同時はダメェエエエエ!」

 命がけの追いかけっこが始まりました。
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