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第2話 ヒツジ、今日も人間の街に侵攻します。
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「うぅん……バルムぅ……毛ぇ全部刈っていい……?」
「なんて夢見てるんですか、ダメですよ……っと」
よっこいせっ、と主様のベッドに背中の主様を寝かせる。こういう時に魔力で物を動かせる力は便利ですね、主様は軽いから私の背中からそっと静かにベッドに動かすことができます。
別に生えてきますけど、全部刈ったら寒いんですからね?と夢の中に旅立っていらっしゃる主様に一応言っておきながら、今日も人間界に侵攻します。
主様は私しかいないんです!私がなんとかしなければいけないんです!野良犬めっ、今日こそ勝ちきって生贄を手に入れますからね!
「はぁ……はぁ……なんで野良犬、増えてるんですか。5匹って……」
と、数時間前に決意した私は現在、全身に噛み傷を付けながらなんとか命からがら逃げることに成功しておりました。
5匹、5匹って……前まで3匹だったじゃん、なんで増えてるの……?人間界の森の中で私は荒い息をつきます。
おそらく昨日私が驚かせて撃退したのを根に持って数増やしに来たんですかね?はっ!群れないといけないなんて大したことないですねっ!
――ワオオオオーン……
「ンメェ!?」
犬の遠吠えが微かに聞こえて、思わず身体が縮みあがる私。い、いえ!ビビってるわけじゃないですよ!?脚がガクガクしているのも、武者震いなんですからね!?
で、ですが今日のところは許してあげましょう。ええ、これは逃げではなく戦略的な撤退なのです!
この森には人間界から魔界へと繋がる場所があるので、いつものルートを通って魔界に帰りましょう……と私がくるっと方向転換したその瞬間。
ガサッと近くの茂みが揺れる!まさかもう野良犬が私を見つけて!?
「メエエエェ……!ごめんなさいごめんなさい!私、不味いですから!そのっ、食べたら羊毛とか舌についちゃってペッペッてしないといけないですから!」
「…………」
前脚を地面にぺたんとつけて頭を下に!降伏していると見せかけて相手が油断したところで逃げる……これが私が編み出した対野良犬用の必殺技!
さあどこからでもかかってこい、後ろ脚に力入らないけど!はい、腰が抜けたんです……終わりましたね?
私が絶望している中、茂みを揺らしたその生物は……何もせずただその場で突っ立っていました。
襲、われない?と恐怖で目をつむっていた私は、おそるおそる目を開けてみる。うっすらと目を開けた私の視界に入ってきたのは、小さな『人間の足』。
思わずバッと下げていた頭を上げて目の前の存在を見ると……小さな女の子が、そこにはいました。
傷だらけでボロボロの彼女の手には小さな尖った石を持っており……私の方を見て涎垂らしていますね?イヤアアアアアアアッ!
私の絶叫が森の中に響き渡りました。
「なんて夢見てるんですか、ダメですよ……っと」
よっこいせっ、と主様のベッドに背中の主様を寝かせる。こういう時に魔力で物を動かせる力は便利ですね、主様は軽いから私の背中からそっと静かにベッドに動かすことができます。
別に生えてきますけど、全部刈ったら寒いんですからね?と夢の中に旅立っていらっしゃる主様に一応言っておきながら、今日も人間界に侵攻します。
主様は私しかいないんです!私がなんとかしなければいけないんです!野良犬めっ、今日こそ勝ちきって生贄を手に入れますからね!
「はぁ……はぁ……なんで野良犬、増えてるんですか。5匹って……」
と、数時間前に決意した私は現在、全身に噛み傷を付けながらなんとか命からがら逃げることに成功しておりました。
5匹、5匹って……前まで3匹だったじゃん、なんで増えてるの……?人間界の森の中で私は荒い息をつきます。
おそらく昨日私が驚かせて撃退したのを根に持って数増やしに来たんですかね?はっ!群れないといけないなんて大したことないですねっ!
――ワオオオオーン……
「ンメェ!?」
犬の遠吠えが微かに聞こえて、思わず身体が縮みあがる私。い、いえ!ビビってるわけじゃないですよ!?脚がガクガクしているのも、武者震いなんですからね!?
で、ですが今日のところは許してあげましょう。ええ、これは逃げではなく戦略的な撤退なのです!
この森には人間界から魔界へと繋がる場所があるので、いつものルートを通って魔界に帰りましょう……と私がくるっと方向転換したその瞬間。
ガサッと近くの茂みが揺れる!まさかもう野良犬が私を見つけて!?
「メエエエェ……!ごめんなさいごめんなさい!私、不味いですから!そのっ、食べたら羊毛とか舌についちゃってペッペッてしないといけないですから!」
「…………」
前脚を地面にぺたんとつけて頭を下に!降伏していると見せかけて相手が油断したところで逃げる……これが私が編み出した対野良犬用の必殺技!
さあどこからでもかかってこい、後ろ脚に力入らないけど!はい、腰が抜けたんです……終わりましたね?
私が絶望している中、茂みを揺らしたその生物は……何もせずただその場で突っ立っていました。
襲、われない?と恐怖で目をつむっていた私は、おそるおそる目を開けてみる。うっすらと目を開けた私の視界に入ってきたのは、小さな『人間の足』。
思わずバッと下げていた頭を上げて目の前の存在を見ると……小さな女の子が、そこにはいました。
傷だらけでボロボロの彼女の手には小さな尖った石を持っており……私の方を見て涎垂らしていますね?イヤアアアアアアアッ!
私の絶叫が森の中に響き渡りました。
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