「ネオ・ヰタ・セクスアリス放浪記 凝血するトランスフォーマー」

二市アキラ(フタツシ アキラ)

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第1章

風雲編 1-2 「遊べや遊べ」 2: 遊び友達

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「シーちゃんって、いつも思うけど、すごい量、食べるね」
「何言ってんのよ、美容師ってのは重労働なんだからさ、たくさん食べないと体がもたないのよ」
「でも体はでかいから、元から体力あるでしょ」
「そういう問題じゃないの。しずかは少食すぎるからそう思うだけ」
「しずかはまともに学校も行ってないし、これくらいで十分」
「そうだよね、それにもうすぐ卒業だし、これからますます小食になる」
 ふたりの女装青年は楽しそうに笑った。

 しずかが彼女を「シーちゃん」と呼ぶのは、彼が女装しているときには「静香」と名乗っているからだ。
 同じ音なので意気投合した部分もある。
 静香は美容師をしていて、しずかは静香の勤めるヘアーサロンに通って髪の手入れをしてもらっていた。
 しずかは当時としては珍しい専門学校のセミプロ女装者だったが、静香もサロンもそんな事には拘らなかった。

 何事に付けても「プロ」というものはそういう物だとしずかは思っていた。
 時刻は日曜の深夜、静香は明日が休日なので、しっかりと女装してしずかを誘う。
 ファミレスで、静香の旺盛な食欲を前にしてしずかはコーヒーを飲んでいた。
 今朝の自慰は盛大に精液を噴き上げて終わった。


 それからメイクを落としてバスに入り、昼間は死んだように爆睡していた。
 月曜は単位確保の為に少しだけ教室にいて、後はトンズラする積もりでいる。
「卒業したいのなら、せめてそうしろ」と言ったのは担任教師だった。
 担任教師がいい人で良かった。

「シーちゃん、そのヘア、また染めた?」
「うん、まえよりもゴールドにしたからきらきら金髪だよ。夜だからわかりにくいけど、昼間だとすっごいゴージャス」 
「へえ……」
 静香は身長が176センチもあって、目鼻の造作が大きく、懸命に女装しても、誰が見たってオカマなのだ。
 そこで、静香は考えた。いっそのこと外人風に造ってみようと。
 肩先まで伸ばした髪をブロンドに染めているが、美容師だから問題はない。
 遠目には白人娘に見えなくもない。

「葵ちゃんに会ったよ、あの子、鼻を整形したんだって。いちだんときれいになってたよ」
「ふうん……」
 葵は、静香にとっては憧れを越えた伝説的存在だ。
 葵と静香は同じ店で美容師をしていて、たまたま訪れた某ニューハーフ・ショーパブのママが葵に惚れこみ、日参して口説き落としてニューハーフデビューさせたのだ。

 本名は「まもる」と読ませる「葵」だが、そのまま源氏名が「あおい」になってしまっている。
 葵はすぐに売れっ子になり、ニューハーフお水の階段を上って行き、今や有名な超高級ニューハーフクラブのナンバーワンになっているらしい。
 しずかはいちどだけ、葵を間近で見たことがあった。


 静香といっしょにショッピングしていた夕暮れ時で、同伴出勤だとかで、葵は身なりのいい中年紳士と腕を組んで歩いていた。
 あのとき、しずかは、ひと目で「負けた」と悟った。
 相手はプロフェッショナルだ。
 お金のかけ方がちがう。
 それに、葵はすでに性転換手術していた。

 どうみても女、というより、まぶしいぐらいの美貌だった。
 口惜しさはあったが、カテゴリーがちがうのだから納得はできていた。
 逆に葵を見て、プロではないアマチュアがどこまで男を誘惑できるのか、しずかはチャレンジする意欲が湧いてきたものだ。

「しずかはぜんぜん体をいじってなくてそれだけの美人なんだからさ、卒業したらさアニメーションなんか諦めて直ぐにニューハーフになったらいいのに」
     葵の話が出ると、静香はいつもこの話題にに振ってくる。
「うん……」
 と、生返事しておく。

 その頃のしずかはプロのニューハーフになろうとは思っていなかった。
 乳房を造ってまで女の身体に近づくつもりがなかった。
 基本的にはホモセクシュアル、男の体で男と性交するのが望ましいし、男の身体のままで妖艶美少女に変身して男を惑乱させる楽しみを満喫していた。

 決して、身も心も女になりたいなんて考えてはいなかったのだ。
 静香は黒のエナメルのミニスカートにニーハイブーツをはき、黒のレザーのブレザーを着ている。
 脚が長いからミニスカとブーツがよく似合う。
    エナメルの光沢が妖しくて、ボンデージルックにもう一歩というところまできている。

 それに、こういう黒い衣装だと金髪が映えるのだ。
 しずかはプリーツスカートにサンダル履き、上はざっくりカーディで、OL娘が近所のコンビにちょっとお買い物ぐらいの出立ちだが、メイクには時間をかけて念入りに仕上げてある。

「しずか、それで、戦果はどうだったの?」
「なかなかやったね」
 日曜の夜に静香がしずかを誘い出すのは、しずかの土曜の尻淫ラブアフェアの成果を聞きたいからなのだ。
 静香も男が好きなホモセクシュアルだけれど、アナルセックスしてもらえるパートナーがいない。
 聞くところによると、ディルドウや電動バイブを使ってひとりで楽しんでいるらしい。
「そいつのチンポ、大きかった?」
「並サイズだったよ」

 しずかは、相手のペニスの大きさはあまり重要ではないと思っている。
 細くて短くて勃起力が弱いと物足りず、馬並みに太くて長すぎるのも困りものだが、あまりに両極端でない場合はサイズよりもフィーリングだった。
 たとえば反り返り方が見事だとか、黒艶光りが素晴らしいとか、見た目に惚れ惚れとする部分と、この男にペニスを挿れられて嬉しい、という部分に分けられる。
 さらに、自分の心理の昂揚度もあって、性交とは総合的なものだから、性器サイズだけをうんぬんすべきじゃない。

「ねえねえ、どんな男だったのよ?」
 と、静香が催促する。
 そこで、佐藤という男が声をかけてきた経緯から話しはじめてやると、静香は目を輝かせて聞き入るのだ。
 静香はしずかにとって大切な親友だった。
 ふたりとも女装ホモだから、何の隠し事もなく接することができる。
 しずかは実体験が豊富で、静香はチャンスに恵まれていないだけのちがいなのだ。

 網にかかったノンケ男を料理する手順としては、まずフェラチオからだ。
 しずかが男だと判明してから口舌技を使うこともあるし、まだしずかが女だと信じて疑わない時点で濃淫フェラチオ攻撃に入ることもある。
 ケース・バイ・ケースだった。

 要は、いかにして相手の男を虜にしてしまうか、一夜限りの淫戯をどういう風にコントロールするか……。
 これがアバンチュールの醍醐味でもある。
 佐藤は、しずかが男だとわかっても萎えなかった。
 胸の偽のふくらみを触らせてやったのも、この男なら大丈夫という確信があったからだ。
 確信がなければ、先に口淫奉仕で相手を夢見心地にさせてしまって、後戻りできなくさせてしまえばいいのだ。

「生チンポをおフェラって、いいなあ……」
 静香はもう、身を乗り出してきている。いつもこうなのだ。
「ほら、男のチンポって快感ポイントに個人差があるじゃない?」
 と、しずかは昨夜の生々しくも淫らな記憶をたどりながら静香に話してやる。
 これはこれでしずかの週末の楽しみのひとつでもあった……。
 
 口淫行為で男を喜悦させながら、しずかは触診するように佐藤のウィークポイントを探っていた。
 手のひらに包みこんだ肉幹の浮き出た血管の脈動や、舌面で感触する亀頭傘面の硬度の変化が彼の反応を知る材料となる。
 しずかも男だから、そのあたりの微妙な変化は、わが身のようにわかるのだ。

「カリの裏側ね、やっぱりふつうの男よ、女遊びはしてても、あんまり変態なのは経験してないみたいだった」
「あのネクタイの結び目みたいなのって、誰でも感じるよね」
「カメを咥えてね、カリの裏責め、こうやってレロレロ」
 と、しずかは、紅唇を半開きにして舌を伸ばし、舌面でペニス棒を舐め摺り上げるようすを再現した。

「きやっ! エローい!」
「シーちゃんもやってみなよ。生チンポを手に入れたときのために練習しとかなきゃ、ほらほら」
「こう……?」
 静香としずかは深夜のファミレスの隅っこの席で模擬フェラチオを始めた。

「ベロはね、縦方向と横方向ね、円運動も混ぜて、カリのくびれをなぞったりしてね、いろいろしてやるの」
「うわー……、あたしのあれ、立ってきちゃってるんだけどな……」
「ははは……、シーちゃん、もっと舌の動きをいやらしくしないとオトコは悦んでくれないよ」
「こう……?」
「カリの裏って、要注意なんよ。チンカスが付いてるとき、あるからね」

「げげっ……」
「汚い?」
「しずかもホモだから、汚いってわけでもないと思うけど……」
「そうだよね。許せるオトコと許せないオトコがいるってことよね」
「でもさ、コーフンしてて好きな男だったりしたら、喜んでチンカス舐めちゃうかも」
「シーちゃん、あんたって、しずかより変態」
「おフェラはもういいからさ、次」
「ふふふ……」

 
 佐藤はしずかが男だとわかってから、男色行為になることを承知していた。
 だから、しずかは佐藤の手をとって肛門穴に誘い、彼の人差し指を媚孔に導いた。
 アナルセックスを断固拒絶する心理の持ち主ならば、このあたりでわかるのだが、佐藤は嫌がらなかった。

「入れてみてくれる?」
 佐藤は嫌悪を示さず、むしろ好奇心を見せはじめていた。
「男の尻は初めてやけど……」
 と言いながら、佐藤は人差し指の第二関節あたりまで押し入れてきた。

「どう? 女のオ○コより気持ちよくさせてあげるよ」
「しずか……、締まるぞ」
「締めてるもん」
「ヒクヒク絞ってる……」
「でしょ? 女のオ○コの何倍も強く締めつけてあげる」
「…………」
「生で入れてくれる?」
「…………」
 ここで佐藤は躊躇を見せた。

 糞便の通る排泄穴だから、ホモ性向がなければ、よっぽどの変態でないかぎりためらうのは当然だ。
 しずかは佐藤の手首を握って、菊孔から指を抜かせた。
「ほら、見て。あなたの指、きれいでしょ?」
 佐藤は自分の指を、今までしずかのアナル管に挿入していた指を眺める。

「きれいに洗滌してあるの。あなたのような素敵な殿方にかわいがってもらえるように……」
 と、甘えた声音で媚びると、佐藤は目を指先からしずかのほうに向けた。
 その目は決断していた。

 よし、今宵はこの女装した青年の尻の穴を掘ってやろう、と。
「これを塗ってくれる?」
 と、しずかは小さなボトルを佐藤に差し出した。
「何だ? これは」
「しずかのお尻は、女のオ○コとはちがうの、だから、ラブジュースのかわり」

 しずかはわざと女性性器を露骨に表現した淫語を使う。
 男の自分が口にするのは何でもないことだが、艶麗な美少女の濃いルージュの口唇から発せられると効果が絶大なのだ。

 言葉が媚薬のように相手の脳細胞を刺戟する。
「ああ、そうか……。マン汁のかわりか、なるほど……」
「あなたのこんな立派な責め棒をもらうんだから」
 と、片方の手指を佐藤の屹立ペニスにからませながら、媚びた眼差しを向けてやると、もう彼はすっかりその気になっているのがわかる。

「それじゃ、お願い」
 しずかは佐藤に背を向けてベッドのシーツの上に這った。
 両腕は胸の前に置いて上体を沈みこませ、臀丘を高くかかげて佐藤の視界に訴える。女の丸みはないけれど、シミもキズもない白磁の尻肌には自信がある。
 潤滑ローションを自分で前もって塗りこめておいて、準備万端にしておくこともできるが、相手に塗ってもらうほうがウォーミングアップの昂奮度がちがう。

「さっき、あなたの指、入れてくれでしょ。あんな風にして中にまで塗ってくださいね」
 と言い、待っていると、ヌルヌルとした感触の指先が肛穴に侵入してくる。
「あんっ……、あんん……」
 しずかは思わず甘い声音の喘ぎを洩らせてしまう。
 もちろん、自身が感じているせいもあるが、悩ましい喘ぎを発して佐藤を惑乱させる狙いもある。

「シーちゃん、要はさ、コントロールテクニックなんよ。オトコに主導権を握ってると思いこませて、実はこっちがコントロールするの。うまく誘導してやるとね、スケベ男は単純だから、いい気分になってチンポをそそり立たせちゃうの」 
「ふーん……」
「ほら、ローション、アナルの中に塗るのって、かなりいやらしいじゃないの。それをオトコにさせたげると、けっこう悦ぶんよ。指でさ、アナルの穴をいじくったりするわけでしょ。オトコだからね、アナルもオ○コもいっしょ、血が昇っちゃってるから、穴にハメたい、って昂奮しまくりなんよ」

 女の膣穴を指でホジるのと、濃艶美少女に変身した女装青年の菊穴をホジるのと、もうこの段階では大差ないはずだ。
 佐藤は女遊びには通じていると豪語するだけあって、ホモセクシュアルの淫交には制動がかからなかったから、あとは酔い痴れるほどの糜爛したアナルセックスを味わせてやればよい。

「しずかのここ、マン汁で濡れたオ○コみたいになってきたぞ」
「ああん……、はやく入れて」
「よしよし、私のチンポで泣かせてやるからな」
 細腰が掴まれ、灼熱硬化した太魔羅の先が肛口に触れると、「ああんっ!」
 と、のけぞってしまい、さすがに冷静さを失いそうになる。

「シーちゃん、ここんとこが最高なんよ。獲物を釣り上げた瞬間の歓び、わかる?」
「うん、わかるわかる」
「佐藤ってオトコとは初めてでしょ、だからね、どんな風に犯ってくれるのか……、心臓パクパクになってて、しずかのカメったら、ガマン汁でズルズルになってんの」
「しずかの話聞いてると、あたしのカメちゃんも濡れ濡れだよ」
「カリのとこが通過するまでがきついんよね。あんまりエラの張ったチンポだと痛いしさ」
「うんうん」
「カリが通ると、あとは、ずぶずぶ……って、入ってくんの、たまんないわよ」
「うらやましい……」

 佐藤は最初、おそるおそるといったようすで抽送を開始した。
 初めてのアナル性交に迷いを隠しきれない。美少女を装っているが、相手は紛れもなく男なのだ。
 私はホモじゃないぞ、まさかこんなことになるとはな……。
 男のケツにチンポをハメているんだ……。
 しずかには、佐藤の心理が手に取るようにわかる。

「いいわ……、もっと……」
 と、しずかは励ますように媚声をあげた。
 戸惑った腰使いから探るような感じになり、やがて自信に満ちたピストン往復になってくる。
 その間ずっと、しずかは佐藤の腰の動きに合わせて下肢をくねらせていた。
 そうして、腰を止めて、佐藤がしずかの背中におおいかぶさってきた。

「よく締まる穴だ」
 と、しずかの耳元で昂奮気味に囁いた。
「お気に召した?」
「何事も食わず嫌いは駄目だということがよくわかった」
 と言って、佐藤の手がしずかの胸元にまわり、乳房の無い平らな胸部に手のひらがさまよった。

「うふふ……、残念でした。おっぱいはないの」
「そうだった……、これは衆道だった」
 佐藤は自分に言い聞かせるように言い、そして、しずかの匂わんばかりの黒髪をかきあげて、横から首筋にキスしはじめた。
 化粧と香水の匂い……、この男は根っからの男色者ではない。だから、女の濃艶が必要なのだ。
「あんっ! あんん……」
 と、しずかは上半身を身悶えさせて大げさに喘ぎ、佐藤を悦ばせてやる。

「しずかって、もうそこまでゆくとアマチュアじゃないな……、おっぱいなしでノーマル男を陥落させるんだもん」
「しずかの青春だからね」
「生入れの中出しでしょ」
「もちろんよ。ゴム姦なんて物足りなくって」
「やっぱ、中出しはいい?」
「いいに決まってるって。女装ホモならアナルに中出しだって、避妊なんて考えなくていいんだから」
「そうよね、ぜったい、いいわよね」

 佐藤は再びピストン往復を開始した。
 彼の鼻腔は濃艶脂粉に充たされ、だがしかし、女装青年の肛門を犯している倒錯が歪んだ昂奮をつのらせているはずだ。
 それは、肛道を圧する彼の淫根の膨張を粘膜壁で感じとれる。
 そうして、数秒も経たないうちに、佐藤はしずかの媚肛に搾り取られるように爆ぜた……。

「うわあ……、もう満腹」
「シーちゃん、それだけ食べたらおなかいっぱいになるって」
「胃袋じゃなくって、しずかの話で満腹だって」
 静香はそわそわしはじめてきている。
 その理由はわかっている。

 しずかの体験談を聞いてペニスが勃起してしまった静香は、はやく帰って自淫したいのだ。
 しずかの生々しい話をなぞるようにディルドウを使い、休日の前夜はたっぷりと楽しむつもりなのだ。

 じゃあ、帰ろうか、とふたりとも立ち上がった。
「しずか、その髪、長くなってきたね」
「うん?」
「切る?」
「ぼちぼちカットしなきゃと思ってたとこなんよね」
「ガッコでポニーにしてるんでしょ。長くなりすぎ」
「うさんくさい目で見られるけどね、慣れてるからいいし……」
「予定見てさ、予約入れといたげるから」
「うん、ありがと」
「時間が決まったら電話するね」
「うん。おねがい」

二人は本当に、仲の良い友達だった。




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