「ネオ・ヰタ・セクスアリス放浪記 凝血するトランスフォーマー」

二市アキラ(フタツシ アキラ)

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第2章

風雲編 2-1 豚男 1 : 騙す喰らう

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   ある時期、普通の人達から見たらアブノーマル過ぎる男遊びをしていてさえ、それよりももっと泥沼に溺れるような爛れきった週末を過ごしたいときがあった。
    ホルモンバランスが完全に狂っていたんじゃないかと思う。それとも精神か、、。
 堕ちた快楽……、汚泥にまみれて蠢く快楽……、グロテスクに歪んだ快楽……への過度な欲求。
 大人になった今では、それらが一種の自傷行為のようなものである事は容易に理解出来るのだけれど、当時はただ自分の中に真っ黒な獣がいてそれが暴れるのだと考えていた。

 その土曜日の夜、湛(しずか)は襟と袖にファーの付いた黒レザーのハーフコートに網ストッキング、黒エナメルのピンヒールを履いて毒々しい色のネオンが燦く通りを歩いていた。
 いつものように念入りにメイクしているが、その夜はケバい方向にかなり寄せていた。
 お水のお店のホステスに見えるかもしれないし、もっと怪しい生業の女に見えるかもしれない。

 ルージュを、本来の口唇の形よりも大きく描いて好色感を出し、下の口唇の脇にはスケベホクロを描いてある。
 口唇に厚みを持たせるのとスケベホクロの組み合わせは洋画を見て編み出したテクニックで、かなりの効果があるとわかっていた。

 いつもの派手系の若いOLの扮装とは趣を異にしているのでいっそう男どもの目を魅くし、ナンパされる回数も多い。
 けれど今夜の湛のターゲットは普通の男じゃなかった。
 だから、ずっと、あっちの通り、こっちの通りと歩いて、これは! と思えるオトコを物色していた。
 歩き疲れ、ひと休みしてコーヒーでも飲もうかと立ち止まったとき、その男がいた。

 ファッションヘルスと称される手コキ専門店のどぎついネオンを少し離れたところから眺めている中年男だ。
 頭髪はバーコード状態、丸い狸顔、短身というか、脚が短くて腹が出ている。皮脂の多量分泌のせいか、おでこや鼻が光っている。
 見れば見るほど安サラリーマンであるのが一目瞭然だった。


 グレーのスーツは体にフィットしていない。
    量販店の吊るしを特売で買うような経済力なのだろう。
……絶望的なまでに女にモテないタイプ、容姿は最悪、見るからに貧乏サラリーマン、職場ではうだつがあがらず、少ない小遣いから捻出した金で若い娘に手コキしてもらおうと淫欲をあらわにしているスケベおやじ。
 申し分のないターゲット。

 別に馬鹿にしてるわけじゃない。
   さすがに寝ても良いとは思わないけど、普段なら親愛の情さえわく人種だ。頭から拒否する積もりはない。湛はこうみえても苦労人だから。

 でも今夜はそういった感覚はない。
だって今夜の湛は「墜ちる」為に、気持ちまで高ビーな女に変身してるんだから。

 あわよくば、狙いを付けたあの男の頭の禿げ上がり具合が精力家の証しであれば……。
 湛は、その男のほうに近づいていった。
 湛が横に立つと、短足の中年男はやや見上げるような格好になり、顔いっぱいに驚きの表情を見せた。
 湛は、とびきりの誘いかける笑みを見せる。

「しずかと遊ばない?」
「えっ?」
 湛はコートの裾を開いた。
    男の視線が、すぐさま、湛の脚に注がれる。

 荒い網目の黒ストッキングに包まれた美脚を、股間を巧妙に覆い隠しながら見せつけてやると、男は生唾を呑みこんだ。
 紛れもなく男の脚なのに、色ぽい女の肉体の一部に見える、、魔術に近い。

「いくらや?」
「遊んでくれるん?」
 ここは目線の威力を見せるときだ。

 しずかとひと晩過ごしたら、一生忘れられないぐらいの体験をさせてあげるわよ、と目で語ってやる。
「いくらなんやって聞いてる」
「×枚でどう?」
「…………」
 男は押し黙り、思案している。
「高いな……」と、男が呟く。

「あたりまえでしょ。あんたみたいな薄汚いエロおやじが、しずかみたいなベッピンとタダでやれると思ってるの?」
 こういうな情けない男には高飛車に出るのが一番だし、一旦、そういう出だしでやると、湛は最後までそう出来た。

「でもね、しずかを満足させてくれたら、安くしてあげてもいいわ」
 怒るべきかどうしようかと迷っている男に、今度は優しく甘い声音で囁いてやる。

 実際には、この男に支払能力が無くても構わない。
 稼ぐなら、もっと他に色々な方法と相手がいる。
 これはゲームなのだから、湛がプロデュースするゲームの規則に従ってくれる男でありさえすればいい。
 そして、商談は成立した。
 売る商品は、湛(しずか)の身体……。

 ラブホに入ると、男は上着とネクタイを外した。
 すぐにでも湛に襲いかかりたいのだが、強い態度に出る勇気がなくて、仕方なくベッドに腰かけているという風だ。
 湛は彼の横に座った。
 湛のほうはまだコートを脱いでいない。
 実は女装の男だ、と正体を明かしてびっくりさせてやるのは、もっと後にしようと思っていた。


「はやく脱いだら」
「え……?」
「しずかのマンコに入れるんでしょ」
 居丈高に言ってやると、わかった、という風に頷いて、シャツを脱ぎ、ズボンも脱いでゆく。
 明るい灯の下で見ると、顔が脂ぎっている。
 どこかで安酒を飲んできたのだろう。
 顔面が赭くなり、汗ときつい体臭と日本酒の匂いが混じり合って不快に臭っている。
 ブリーフと黒靴下だけの、ほとんど裸になった男の体を見ると、不快感と侮蔑がこみあげてくる。

 腕や肩のしまりのないたるんだ肉、でっぷりとふくらんだ腹部……。
 湛(しずか)は自分で自分の身体をコントロール出来る大人の男を多く知っていた。
 腹を空かした犬がエサを前にしてハアハア、と喘いでいるような表情……。
 いやだいやだ……、こんなエロおやじに抱かれるなんて、と嫌悪感がフツフツと沸きあがってくる。
 というか無理矢理にでも、その感覚を高めていたのが事実だ。

 湛は、立ち上がり、男に背を見せて前屈みになり、、コートの裾から中に手を入れた。
 そうして、穿いている下着を脱ぐ。
 黒いスキャンティ……、いかにも娼婦っぽいやつ。

「ほら」
 と、男に放り投げてやる。
「マンコの匂いがするわよ。嗅いでみたら?」
 男は喜色を浮かべ、黒いセクシー下着を皮脂の浮いた鼻に当てた。
 ペニスとアナルの匂いなのだが、酔っ払ったエロおやじにはわかるはずがない。
 再び、湛は男の横に座った。
 濃艶なメイクと動物性のパヒュームが、このエロおやじを悩殺している。
「マンコの匂いがする?」
「あ、……ああ」

 湛(しずか)は手を伸ばして男のブリーフの上から勃起したペニスに触れた。
 薄布を通して肉棒の灼熱が伝わってくる。白い布に先走り汁の染みがひろがってきている。

「それ、いやらしい匂いがするでしょ?」
「…………」
「あんたはスケベおやじだから、いやらしい匂いが好きなんでしょ?」
 オドオドとした目つきで、卑屈に頷く。
「そのいやらしい匂いのするマンコに、これをハメたいでしょ?」
 と言って、ブリーフの上からやわやわと摩ってやると、男は歓喜の表情になり、膨れた肉塊がさらに硬度を増す。

 湛は、くるっ、と皮を剥くようにしてブリーフの前をまくった。
 怒立したチンボが跳ねるようにして姿を現す。
 肉茎を握ってやると、見ているこっちが恥ずかしくなるぐらい男の顔が助平に崩れた。

 こんなブタ男であっても、青筋を浮かせた男根を手の平に包みこむと、自分の淫蕩の血が沸き立つ。
 湛には、その正体が男であっても素敵な男に抱かれる値打ちがある、というロマンチックな願望が肉欲のベースにあるけれど、それだけではない。

 時々ただの淫乱ではなくて、腐蝕といってもいいほどにアブノーマルに傾斜した肉欲が頭をもたげるのだ。
 ある種の食べ物が腐敗醗酵によって独特の美味を持つように、湛は腐り歪んで強烈な快感を味わいたいという欲望がある。
 湛は、全裸の男を仰向けに寝かせて、彼の体の上に跨った。
 まだコートを着たままだ。
 このエロおやじは湛(しずか)を女だと信じきっている。

「生か……?」
 湛(しずか)が騎乗から挿入を企んでいると悟った男が驚きをあらわにして言う。
「生でマンコに入れさせてあげるってのに、何か文句あるの?」
「いや、そうじゃなくて……」
「病気が心配なら、女を買うなんてことしないで、自分でマスかいてたら?」
「…………」
 この男の言いたいことはわかっている。
 ゴム無しの生挿入させてくれるなんて……、と感激しているのだ。
 美人の娼婦が本当は男だと知らずに……。
 
「ほら、入れるからね。このチンポ、しっかりおっ立てて」
 湛は片手で男の竿幹を軽く握り、もう一方の手はコートの中にしまった。
 自分のペニスを押さえつけておいて、男だと露見しないようにするためだ。
 激熱した亀頭が菊門の入口に触れた瞬間、さすがに、「んんっ!」と呻きそうになったが、この男の前では弱みを見せられないので辛抱した。

 ラブホに入ってすぐ、化粧を直してくるからと言って洗面所に行き、アナル孔にローションを塗りこんである。
 肛管壁に塗布したゼリー状の潤滑剤は体温にあたためられて溶けて粘膜襞に馴染んでいる。
 ヌルヌルネバネバの粘度の強いものを使っているので、ちょうど女の蜜液と同じようになっているはずだ。

 男のペニスの角度を微調整し、アナル穴の口に押しつけ、
「湛(しずか)のマンコ、濡れてるの、わかる?」
 と、男の顔を見ながら言ってやる。
 うんうん、と頷き、男は自ら腰を突き上げてくる。
 もう待てない、一刻もはやく媚穴にインサートしたい……。
 このエロおやじときたら、理性をすっかり失って淫獣になってしまっているではないか。

 湛(しずか)も男だから、この感じはわかる。
 もう少し焦らせてやってもいいのだが、湛のほうも、早くこの淫欲根を尻穴で喰わえこみたい……。
 湛は、ゆっくりと腰を沈めていった。
 雁の部分が通過するまでの、強圧にアナル口が拡げられる感触……痛みとも痺れともつかない被姦の快悦に、湛は顔をしかめて歯を食いしばってしまう。

 そして、雁の張り笠が通り過ぎると、あとはゆっくりと奥まで貫かせてやる。
 この、ずぶずぶ……と侵犯されてゆく感覚もたまらない。
 肛門の環状粘膜管で男の硬い肉棒を味わいながら、
「どう、しずかのマンコ?」
 と訊いてやると、男はうれしそうな顔で頷いた。

「マン汁でトロトロになってるでしょ?」
 と言いながら、湛(しずか)は腰を上下に動かしはじめる。
「締めつけてあげてるのが、わかる?」
 湛の淫熟アナルは収縮して男の欲情しきった竿棒を搾り上げ、と同時に、硬化した責め棒に肛内襞膜を摩擦され、湛はえもいわれぬほどの糜爛快感に酔っているのだった。

 けれど、この痴戯の主導権はあくまでも自分が握っているのだ。
 手綱を放してはいけない。

「よく締まるマンコでしょ。うれしい?」
 腰を使ってピストン犯を加えながら、湛は男の顔をじっと眺め続けた。
 女装した男の排泄孔に喰わえこまれているとも知らず、このエロおやじは嬉々となって顔面を真っ赤にしている。
 額から禿げ上がった前頭部に玉の汗を浮かせ、鼻の頭にも汗粒を噴いている。

「中で出したりしちゃダメよ。わかってる?」
 女の経験が豊富なら、アナルと膣とのちがいはわかるかも知れない。
 けれど、このブタ男に尻穴と女穴の区別がつくはずもない。
「中出ししたりしたら、承知しないからね」
 と、きつく言い、男が射精を懸命にこらえているのがわかり、会心の勝利感が湛の背筋をゾクゾクさせる。

 女を騙り、女になりきって男を誑かすには、こういう方法もあるのだ……。
 ブタおやじは、もうこれ以上、こらえきれそうにないようだった。
 それは男の表情と、尻穴で締めつけている感触でわかった。
 今、射精されてしまったら、せっかく捕獲した獲物を嬲る楽しみが、その時点で終わってしまうかもしれない。

 湛(しずか)は腰を引いて、ぬぷっ、と男のペニスを抜去した。
 噴出せずにいてくれる保証があれば、もっとアナル結合の肉淫に興じたいのだけれど……、仕方がない。
「何よ、そのもの欲しそうな顔は?」
「もう……終わりか……?」

 湛は男のかたわらに横座りになり、上半身を傾け、男に濃艶メイクの貌を近づけていった。
 大量に発汗してぶざまな裸身をさらしている男は、淫売性交が終了してしまったのか、と心配している。
 いきなり、
 パシッ!
 と、男の頬にビンタを食らわしてやると、男は、何をするんだ?という感じで怒りの表情になった。
 こんなブタ男であっても、男の矜持は持っているのだ。
 いやな匂いのする汗をいっぱいかいているブタのくせに……。

「ふふふ……」
 と誘惑的な笑みを見せ、湛は男の勃起したままの肉棒を握った。
「しずかのマンコ、よかった?」
 まだ怒りは消えていないが、うんうん、と頷く。
「もっとマンコに入れたい?」
「ああ、……入れさせてくれ」
「その前に、しゃぶって欲しくない?」
「…………」
 湛はもう一度、男の頬を、パシッ!と叩いた。
「チンポをしゃぶってあげる、言ってるのよ。返事ぐらいしたらどうなの?」
「……しゃぶってくれ、たのむ」
 と、男はブタの欲望をあらわにして声をふるわせた。

 ルージュを蠱惑的なまでに赤く塗り込め、下の唇の脇には男を惑乱させるホクロまで描いているのだ。
 どんな男であっても、この紅い口唇に咥えてもらいたいと願うはずだ。
 ブタ男のおまえなんかにはもったいないけどね……。
 自分を興奮させる為に、さらにサド気質を演じる。
 湛は身体をずらせて男の下肢にしなだれかかり、男のそそりたったペニス棒を頬張れる姿勢になった。

 目と鼻の先に、湯気をたてているような昂奮状態の亀頭がある。
 オスの臭いが濃く漂ってきて鼻を衝く。
 これは、この男を悦ばせるフェラチオではない。
 湛自身が楽しむための口淫愛撫なのだ。
 血管の浮き出た怒張肉幹を握っているのはほっそりとした白い指で、きれいな長楕円形に整えられた爪は輝くレッドのマニキュアが塗られている。
 自分が見てもどう見ても、男の手指とは信じられない。
 湛(しずか)は、その光景にうっとりとなった。

 そして、朱唇を開いて舌を伸ばし、黒紫に光る笠面を舐めてみる。
 すると、「ああ……」と、男の情けない喘ぎが洩れた。
 バカな奴、女装した男にフェラチオされているとも知らずに……。
 湛はぱっくりと口中に男の肉塊を納めた。
 松茸状の怒立を口腔で味わうとき、朦朧となるほどの恍惚に見舞われる。
 これは相手がどんな男であっても同じだと思う……。
 男の勃立ペニスが心底好きなのだ。
 湛は口舌淫戯に夢中になっていった……。


 いったん男のペニスを口から出し、唾液にまみれてヌラヌラ光る亀頭を眺めていると、やはりたまらなくなってくる。
 肉竿にくっきりと残っているルージュの赤い輪が生々しい。
 こんなつまらない男の持ちものであっても、はちきれんばかりに膨張しているチンボを間近で眺めると息苦しくなってきて、自分の倒錯淫乱の本性をあらためて自覚してしまう。

 湛は、裏筋舐めに移った。
 青筋ビキビキに発熱怒張している茎肉に口唇を這わせてゆく。
 ハーモニカを吹くようにして紅唇をすべらせ、雁裏くびれのウィークスポットには舌を強く摺りつけて、特に念入りに攻めてやる。
 そうやって、ハーモニカフェラで舌を何往復もさせていると、男の尿道口から先走り汁が溢れてくる。
 湛は、その粘汁を舐めとって味わってみる。

 嘔吐感が伴う、しかし、単なる女装ホモ性交を超えたアブノーマル淫欲を満たすためだ。
 さらに、湛は、男の太腿の間に顔を突っ込むようにして、玉袋を舐めはじめた。

 むっ、と汚臭が鼻腔に流れこんでくる。
 垢と汗と尿の入り混じった臭いだ。
 男のブタ顔を思い浮かべると、さらに不快感がつのり、ねじくれた快感が沸騰してくる。
 男は時折、うう……、とか、ああ……、とか呻いて、湛の濃淫フェラチオに喜悦している。

 けれどこの口淫奉仕は、決してこの男を悦ばせるためにやっているのではない。
 男を愛して、男に悦んでもらうなんて、ちゃんちゃらおかしい。
 あくまでもエゴイズム、自分の歪みきった淫蕩の血を満悦させるためなのだ。


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