「ネオ・ヰタ・セクスアリス放浪記 (空蝉編)」

二市アキラ(フタツシ アキラ)

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第5章

空蝉編 5-1「俺の女として貸し出される感覚」 1: まだ蕾

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      館岡に腕枕をしてもらい、彼の腋の下のあたりに鼻面を押しつけ、その大きな躰に抱きつき烈しい情交のあとの心地よい疲労感に包まれて、うとうとしていた。
 館岡の腕は太い。
 もともと骨太で、大柄な骨格に若い頃は逞しい筋肉がついていたのが、中年になって余分な脂肪が付いてきて、恰幅のよい見映えになった、という印象の体だった。

 こうして素肌を密着させていると、館岡は頼れる人物であり、自分が窮境に陥ったときは救ってくれる男で、自分のすべてを捧げるに値する人だ、とはっきりと感じ取れる。
 もちろん、それはヤクザ的な感覚でもあるという事は判っていた。

 つい今さっき、大量の精液を腸内に、注ぎ込んでもらったばかりで、愛しい極太の肉棒で烈しく抜き挿しされた湛(しずか)のアナルは甘美に弛んでいた。


 アナルに注入された精液が逆流してゆく……。
 肛口から湧き水のように滲み出してきた粘液が、太腿の裏側、ちょうど臀部から脚になるあたりを這うようにゆっくりと滴り落ちている。

 その汁液はシーツを濡らして溜まりをつくり、ひんやりと冷たい。
 湛(しずか)は、よくやくふくらんできた乳房を、甘えるように館岡の脇腹に押しつけた。

 男の平らな胸ではできなかったけれど、こうして弾力に富んだ胸のふくらみを押しつけると圧迫されて、へしゃげて変形するのがわかる。
 ああ、こんな柔らかいおっぱいを造ってもらったんだ……、と湛はうれしくなる。

 乳房を揉んでもらったり、乳首を吸ってもらったりするとき、ストレートに喜悦してしまうけれど、こうやって館岡の躰に抱きついて乳房を押しつけていると、館岡に愛してもらえる身体になった歓びが全身に染み入るようにひろがり、湛は静かな幸福に包まれてしまうのだった。

「しずか」
 天井を向いて紫煙をくゆらせていた館岡に名前を呼ばれて、湛は「はい」と可愛く返事した。
「そろそろ他の男も味わってみるか?」
「え?」
「今までに、チカオは、俺ひとりしか知らないはずだ。そうだな?」
「はい……」

 バージン?そんな筈がないと館岡も判っている筈だ、、あるいは湛の知っている男など、館岡からしたら「男」の内に入らないのかも知れない。
「俺以外の男のチンポは、まだ体験していないわけだ」
 この人は何を言い出すのだろう……?
 ひょっとして、あたしが浮気でもしていると疑っているのだろうか……。

「チカオ、おまえはまだ蕾だ。蕾が開いて美しい花を咲かせるにはいろいろな肥やしを与えてやる必要がある。わかるな?」
 「はい」と返事するかわりに、湛(しずか)は館岡の顔を見上げて、こっくりと頷いた。
   舘岡の真意はわからなかったが、その命令には全て従うつもりでいた。
 館岡のおかげでエステサロンと美容室に通わせてもらっているし、美容外科では乳房の形成だけでなく、脱毛処置もしてもらっている。

「他の男にも抱いてもらいなさい。それも、肥やしになる」 
     湛は耳を疑った。
 この時点で、館岡以外の男とセックスするなんて、とんでもない背信行為だ。
 それに、館岡に抱いてもらうだけで、湛は十分すぎるほど充足していた。
 それなのに……、どうして館岡はこんなことを言うのだろう……?



 その人の名前は、太田さん、だった。
 もちろん、本名なんかじゃなくて、AさんとかBさんでもいいのだけれど、館岡から、太田さん、と呼ぶように指示されていた。

 湛(しずか)の第一印象は、「うわあ……、かんべんしてよ……」だった。
 「しずかちゃん?」と呼ばれて、つくり笑顔で「はい」と返事したものの、頭の中では拒絶ランプが点滅していた。
 太田さんの容貌は、チビ・ハゲ・デブの三拍子そろっていて、精力的な何とも『濃い』雰囲気を漂わせていた。
 ……たぶん。伸張は165センチぐらい、両方の耳の上のところに白髪の混じった毛が少し残っているだけで、おでこから頭頂部にかけて禿頭がテラテラと光っている。

 体型はといえば、猪首ででっぷりと太り、脚が短い。まるで眉毛の濃いダルマが歩いているようなイメージだ。
 その部屋は、ユカを交えて3Pしたマンションのような一室で、人が住んでいる気配はなくて情事用に使われているらしかった。
 入り口には上がり框がなくて、ハイヒールをはいたままリビングまで行けた。
 館岡はこのような部屋をいくつつも持っているようだ。

「チカオちゃん、ほんとに男?」
 満面に御機嫌な笑みを見せて太田さんが訊く。
 ガウン姿でソファにゆったりと座り、顔面は赤くなり、脂っぽい汗を浮かべている。
 前のローテーブルにはワインの瓶があって、もう、相当にきこしめしているようだ。

「男だなんて信じられないね。かわいいコだ」
 湛(しずか)は羞じらってシナをつくる。
 そんな仕草も自然にこなせるようになっていた。

「ニューハーフ・クラブの若いコを呼んだこともあるが、美人でスタイルもよくて床上手なんだが、しょせん水商売のコだからね、欲得が透けて見えていかん。チカオちゃんのような素人のコは初々しくていいね。さあ、こっちに来なさい」

 この日、湛(しずか)はブラウスにツーピースというお嬢さんっぽい出で立ちだった。
 今日にそなえて、館岡が買ってくれたのだ。
 ようやく女らしくこなれてきたハイヒールで、湛(しずか)はちょこちょこと太田さんのそばに歩んでいった。

「脱がせてあげよう」
と、太田さんは立ち上がって、湛(しずか)の背後にまわり、ジャケットを脱がせてくれる。
 その下はブラウスで、胸のふくらみがくっきりと浮かび上がっている。
 すぐ背中のうしろに来ただけで、むっ、と濃厚な体臭が鼻を衝く。

「うわっ……、苦手なタイプだなあ……」と、湛(しずか)は胸の裡でつぶやいた。
 湛(しずか)が体を交わせた男はひとりしかいないので、どうしても館岡と比べてしまうのだ。
 館岡は180センチを越える背丈だし、頭髪は黒々として剛毛だし、恰幅はいいけれど肥満ではない。
 男盛りの精を漂わせているけれど、こんな濃い体臭ではない。

「さ、そこに座って」
 促されてソファに座ると、太田さんは湛(しずか)のすぐ横に並んで腰かけた。
 もう、膝と膝が触れ合うぐらいに真横に迫ってくる。
 太田さんは、ワインをグラスに注いでくれる。
「ほら、飲みなさい」
「はい。いただきます」


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