魔術師長様はご機嫌ななめ

鷹月 檻

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第二章

19 ユリウスの暗躍生活 ユリウス視点

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「場所はわかるか?」

 仕事が終わって、みな歓迎会の酒場に向かっている。ヒューイットはコモンと先に一緒に行ってしまったらしい。私が花摘みに行っていたので待っていたレンブラントが私に言う。

「わかりません。レンブラントさんが残ってくれていて助かりました」
「君の方が年上なのだから、レンブラントと呼び捨てにしてくれて構わない」
「レンブラントは面倒見も良く優しい方ですね。さぞや女性に持てるでしょうに」
「私は婚約している身だ。そんな男にいい寄る女などいない」
「そうでしょうか? 私が女でしたら放って起きませんがね」

 とよいしょしてみた。
あのヒューイットの姿を見るに、完全にアルフォード公爵の事を意識している。
もし、ヒューイットがアルフォード公爵を射止める事が出来たら……アリア様とは別れるかも知れない! しかし、ヒューイットにはこの婚約者、レンブラントがいる。まず、こいつをなんとかしないとならないようだ。

 今日の飲み会では情報収集に徹底する。そしてレンブラントを制し、アルフォード公爵とヒューイットの仲を近づける!! 私はやる気に満ち溢れた。
城をでて徒歩で10分ほど歩くと酒場が見えてきた。中流貴族の屋敷の間にぽつんとある隠れ酒場のようだ。通りを見ると見慣れた景色で、たぶん私の屋敷と近い。歩いて5分位か。

「こんな所に酒場があるとは思いませんでした」
「ここは隠れ酒場で、城の者達がよく集まる」

 中に入ると人でざわついていたがどれも魔術師団の職員だった。

「今日は魔術師団の貸切だよ!」

 ビアを二つ手に持った給仕の女が言う。

「我々も魔術師団の者だ」
「じゃ、席の、そうだね、あいてるところに座っておくれ、場所は決まってないからさぁ」

 と慣れなれしく言う。辺りを見回すとアルフォード公爵がいて手を上げている。

「おい、ここだ!」

 レンブラントと私はアルフォード公爵の呼ぶほうに行った。
席を空けておいたと椅子を顎でさす。

「師長様ありがとうございます」

 私が言うと彼は頷いた。私はアルフォード公爵の左隣に座った。
レンブラントも私の左隣に座った。ちなみにアルフォード公爵の右隣にはヒューイットが座っていて、レンブラントはそれを苦々しく見ている。
丸テーブルなのでヒューイットの隣にはコモンが座っていて、その隣がレンブラントの席なる。丸テーブルには全員で5人が座っている。

「コモン、お前は本当に気の利かぬやつだな。ヒューイットと席を替わってやれ」

 とアルフォード公爵が言い出した。レンブラントのさっきの表情を見たのだと私にもわかった。

「え? 別にいいけど」

 と席を立つコモンに対してヒューイットが言う。

「わたくしは嫌ですわ。今立ち上がった席なんてコモンのぬくもりが残ってるじゃありませんか」
「え? じゃ俺に暫く立ってて席を冷やせって言うのか? ヒューイット」
「そういうわけじゃありませんけど……」

 ヒューイットはアルフォード公爵を横目に見た。
なるほど、アルフォード公爵の傍から離れたくないのか。分かりやすい女だ。

「我がままな女だ」

 アルフォード公爵は眉間に皺を寄せた。アルフォード公爵はどうやら好意を持たれていることに気付いていないようだ。しかもあの眉間を見るにヒューイットにあまりいい印象ではない様だ。これはなんとかしないと。

「まぁまぁ、ヒューイットさんは酔ってしまって動きたくないのでしょ? いいじゃないですか? そのままで。恋人同士はいつでも一緒にいられるのですから、ここまで一緒でなくとも良いと私は思いますよ」

 ヒューイットを弁護したがレンブラントがむっとしている。

「師長様、私は別にヒューイットの隣でなくても大丈夫ですから。気を使わないで下さい」

 とレンブラントが言う。
はぁ~職場恋愛でこじれると面倒だな。やはりこの二人はうまく行ってないし、これからうまく行くようにも見えない。

「そうか? 私はいつでもリアと一緒にいたいがな? あれに触れてると気持ちが落ち着く。荒れてもいない気持ちが落ち着くというのも変な話だが」
「あ~わかる、わかる、俺もシエラ様を抱き上げてるとそんな気持ちになる」

 とコモン。

「シエラ様とは?」
「俺の婚約者だよ~めっちゃ可愛い! 今すぐにでも結婚したい! なのに結婚できないとは……この世は地獄かっ!?」

 私は疑問に思った。したいならすればいい。

「今すぐ結婚できない理由があるのですか?」

 そのテーブルにいる皆がコモンを呆れた目で見つめる。

「シエラ様はまだ8歳だからな。婚約しかできぬ」

 とアルフォード公爵が言った。8歳? アリア様と一緒ではないか。ここにも幼女趣味が……。
もしかしてプリストン王国では幼女趣味が流行っているのか?

「そういえばさ? リューク騎士団長の事ってアリアちゃんが関わっているって噂になってるけど、どういうこと?」

 とコモンが言い出だした。アルフォード公爵はこめかみを押さえた。
その事件に関しては私も噂を聞いたが何がなんだかよくわからない。その情報が欲しいと思っていた所である。

「リアは何も悪くない。そもそもリュークと会ったのも屋敷に来たのが2回目だ」

 と言ったところにヒューイットがしゃしゃり出る。

「そうですよ。アリア様はちっとも悪くありません、あの筋肉だるまが勝手にアリア様を慕って、お二人が閨事をしている寝室に乱入してきたのですから。で、その柔肌を見られてしまったアリア様が不敬だ! とおっしゃってからの逮捕と余罪で処刑ですよ」

 というとレンブラントが目を見開いた。

「何故君がそんなことを知っている!?」
「だって現場にいましたもの」
「「「はぁ?」」」

 と私、レンブラント、コモンの言葉が重なる。

「師長様に呼ばれましたの。裁定してくれって」
「ああ、あの時は夜中にすまぬな。リュークと話をしても拉致が明かなく、ついヒューイットを頼みの綱とした」
「いいですよ? 裁定の賃金も頂きましたし」

 レンブラントは苛付いていた。

「夜中に男の屋敷に呼ばれて行くなど、婚約者のいる女のすることではないと思うが?」

 そう言ってヒューイットを睨む。

「それは申し訳ありません、でも好奇心に負けてしまいました。何が起こったのか知りたくて。それに、師長様が私に何かするなど有り得ませんしね」

 しょぼんとしたかと思うと反省していないように肩を竦めた。
それが尚更レンブラントをイライラさせたのかも知れない。テーブルの下で拳をぎゅっと握り締めている。

「私とヒューイットが何かあるような言い草はやめろ、レンブラント。単なる噂だ。噂をいちいち本気にするな。私を見ていればリア以外の女とどうにかなると思わないだろう? お前も」
「わ、わかります。ですが、師長様が何も思わなくても相手の女が思う場合は多々あるではないですか。エメラダ様もそうでした」

 アルフォード公爵はこめかみを押さえた。

「確かになぁ。言い寄ってくる女が多い。困っている。断っても分かってもらえない。そういう時はどうすればいいのだ? ユリウス、お前も見目が良く、若いし、仕事もでき、身分もいい。お前はどうなのだ? モテるであろう? 言い寄ってくる女をどうしている?」

 と聞かれても困る。女に言い寄られたことなどない。そもそも王宮からほぼ出ない生活で、女は後宮で済ませている。ツアーリである私に言い寄るなど処刑レベルだ。そんな女がいるわけない。

「す、すいません、師長様。私はずっと領地で病気の父の面倒を見ていたため、女性と出会う機会がありませんでした。なので持てたことはないのです。決まった女もいませんし」
「……そうか? 職員の女共の君を見る目が怖いくらいなのだが?」

 とニッと笑って顎で指し、周りを見てみろと言う。
言われて周りを見ると、遠巻きに女の職員たちがこちらを見ていた。

「ああ、入って間もないですけど、ユリウス君は女性職員の間からモテモテですね。」

 とヒューイットが言う。
勝手に視線を送られるとはなんと居心地の悪いことか。私はうんざりした。
それよりさっきのアリア様の話が気になる。
閨事をしていただと? 柔肌を見られた?

「師長様はもしかして蜜花の法を犯してしまったのですか?」

 と恐る恐る聞く。またヒューイットがしゃしゃりでる。

「師長様は蜜花を散らせてませんよ? 散らさないで致しているのです」

 というとアルフォード公爵がヒューイットの口を手で押さえた。

「お前は少し黙ってろ!」

 と怒っている。それを見たレンブラントの目は虚ろになっていた。
レンブラントのその顔とは別に私は少し浮き足立った。閨事はしているが蜜花は散らしていないのだ。彼女はまだ穢れていなかった! 心の中で喜びに打ち震える。
アルフォード公爵はヒューイットに対してその気がないようだが、ヒューイットは確実に好意を抱いている。だが、ヒューイットがそれ以上に進まないのはきっとレンブラントがいるからだろうなと思う。レンブラントとヒューイットを別れさせるには……。

 私はいいことを思いついた。
私の妹役をやっているクロエにレンブラントを攻略させてくっ付ければいい。
あれはまだ密花を散らしていない。誠実で真面目なレンブラントの事だ、クロエの蜜花を散らしたら責任とって婚約など解消してクロエと付き合うことになるだろう。
婚約者がいなくなったヒューイットは性格的に奔放だ。足枷が無くなればアルフォード公爵を射止めようと動くだろう。
師長のグラスが空になっていたので私は酒を注いだ。

「ユリウス、君は本当に辺境の出なのか?」

 といきなり言われぎょっとする。動揺を顔に出してはいけない。

「え? ……何故ですか?」
「君は言葉遣いもそうなのだが、所作も美しい。そこらへんの貴族よりな。教育が良かったのか?」
「……亡くなった母が言葉遣いや所作に厳しい方でしたので、小さい頃に教え込まれたのですよ。小さい頃に習うとそれが習慣になってしまいますからね」
「そうか、良い母上だったのだな」
「ええ、とても」

 なんとか誤魔化せたらしい。所作でおかしいと感じるとはさすが公爵家の者だ。
アルフォード公爵はグラスに入った酒をがぶがぶと飲みだし、空にすると言った。

「そろそろ私は帰るぞ。金は私が払っておく、皆好きなだけ飲むがいい」
「え~もう帰っちゃうんですか? レイジェス様、もうちょっと飲みましょうよ~?」

 ヒューイットが甘ったるい声でせがむ。レンブラントはそれに呆れている。

「週末だぞ? リアと一緒にいたい。だから帰る」

 ゲートを開いてさっさと帰ってしまった。

「もう、アリア様、アリア様って、そればっかりですわ?」
「何々、ヒューイット、君もしかしてレイジェスに恋しちゃった?」

 コモンがヒューイットをからかう。

「恋!? あるわけないでしょ? あんな残念男子に」

 ん? 無自覚だったのか……この女は。なるほど、レンブラントも大変だ。

「まぁたまた、本当は好きになっちゃったんじゃないの? レイジェスは見た目だけはいいからなぁ」

 とコモンが言う。
レンブラントは一人酒を飲んでいる。私はそのグラスに酒を注ぐ。

「私にはレンブラント様がいますから……」

 ヒューイットはレンブラントを見たが、レンブラントは無視をして酒を飲んでいた。暫くしてから飲み会はお開きとなり、みな馬車で帰る中私はレンブラントに声を掛けた。

「レンブラント、良かったら私の屋敷で飲みなおさないか?」
「結構酔っているんだがなぁ。私は……」
「私の屋敷はここから歩いて5分くらいだ。明日は休みだし、飲んだら泊まって行けばいい」

 レンブラントは頷いた。




「ただいま戻った」

 オリオンが慌てて玄関に来た。

「お帰りなさいませ。……ユリウス様、そちらの方は?」
「師長補佐の任についているレンブラント殿だ。本日はもう遅いので泊まる、部屋を用意するように」
「レンブラント=フロンティーニ20歳、次期子爵です。こんな夜分に申し訳ないがよろしくお願い致します」
「飲み直したい。酒を、歓楽室まで持って来てくれ」
「承知しました」

 オリオンが使用人達に指示を出す。そこに2階からクロエが現れた。
中は薄絹で上に長いストールをはおっている。流れるような長い銀髪をさらりと胸に垂らしていて、その瞳は白い肌で輝く紫色。クロエはとても美しく、胸の開いた部屋着は見るものにしどけなさと興奮を感じさせた。
寝巻きではないが、部屋着とは思えない格好だ。

「お兄様、今日は遅かったのですね……きゃっ! お客様がいたのですね……。失礼しました!」

 とその身を正す。レンブラントは一瞬クロエに目を奪われていた。

「レンブラント、紹介しよう私の妹のクロエだ。クロエも一緒に飲むかい?」
「よろしいのですか? お兄様」
「ああ、私が親しくなった友人だ。お前にも紹介したいからな」

 歩きながらレンブラントを紹介した。歓楽室に側仕えが来て、酒とつまみの準備をしている。オリオンにレンブラントをまかせ、少しの間、クロエと話があると席をはずす。私はクロエを連れて自室に来た。

「お前は私のことが好きか?」
「え? は、はい」
「私がツアーリだからか? 私を一人の男として見てか?」
「どちらもです。尊敬し敬愛し、あなたの愛、体、全てが欲しいと思っております」
「それだけ大層に言うなら私の言う事が聞けるな?」
「はい。ユリウス様のお心のままに」
「では、今つれてきたあの男、レンブラントを落とせ。身も心もお前の物にさせよ。できたらお前を側室にする」
「側室!? 本当にでございますか?」

 クロエは蒸気した頬を赤く染めた。薄い紫の瞳が私をしっかり見つめる。
その表情は希望に満ちている。
私はクロエの両肩を強く掴み言った。

「私は嘘は嫌いだ。すると言ったらする。そもそも蜜花を散らさなければお前は私とは寝れぬ身だ。分かっているよな?」
「はい」
「散らせばここにいる間もお前を抱くし、国に帰ったら側室にする。お前の顔は嫌いではない。むしろ美しくて好きだ」
「今、わたくしの顔が美しくて好きと……?」
「ああ、私は嘘は嫌いだ。思った事しか言わぬ。お前は美しい。お前ならあの男を落とせるだろう。やってくれるな?」
「……はい!」

 私は何気ない顔をしてレンブラントの所に戻った。

「お兄様がお屋敷に友人を招く事などないので驚いております」
「そういえば、そうだな」
「お兄様がこんなに人を信用なさるなんて、きっとレンブラント様は誠実で真面目な方なのですね」

 クロエが微笑む。レンブラントはもうすっかりクロエの微笑の虜にされたようだ。惚けたようにクロエを見つめる。

「レンブラント様はお酒も強いのですね。ささ、あいてます。どうぞ」

 クロエがレンブラントに酒を飲ませる。

「ああ、クロエ私にも注いでくれ」

 レンブラントにもっと酒を飲ませようと私も飲む。といっても私は酒場でほとんど飲んでいない。だから今、全然酔っていない。
レンブラントは荒れていて早いピッチで飲んでいたから結構酔っているだろう。

「こんな素敵な方が私と結婚してくださればいいのですが……」

 とクロエが言う。

「ユリウス、クロエ様には婚約者が?」
「いや、いない。クロエも私と一緒に病気の父の看病をしていたからね。遊ぶ時間なんてなかった。まぁ、王都にいれば社交界にも出ることになるし、誰かいい人が見つかるだろう」
「わたくし、どこの誰とも知らぬ方は嫌ですよ? お兄様?」
「ああ、わかっている。私の信頼できる者にすればいいんだろう?」
「……ええ」

 クロエ目線をレンブラントに移す。レンブラントはそれを見て、どぎまぎしている様だ。恋愛の駆け引きに慣れていない男の仕草だった。

「なんだか酒を飲んで体が汗ばんだ。風呂にはいってくる。オリオン、湯浴みを手伝え」
「承知しました」

 とオリオンと私は部屋を出た。あとはクロエがなんとかするだろう。してもらわないと困る。




 私は風呂でオリオンに体を洗って貰っていた。あそこを洗われると元気が良くなって来てしまった。

「クロエが蜜花を失ったらあれを抱く事にしたから、お前はもういいぞ?」
「今日中に失えますかね?」
「失わなかったらお前にまた頼むことになるがな。それと、クロエが成功したら側室にすることにした」
「ああ、良いのではないですか。彼女は末娘とはいえ家柄は良いですしね」
「顔が私の好みだから側室でもいいかと思った」
「ええ、彼女の顔は美しいですね」
「さすがお前が選ぶ側仕えだけあって、いい趣味だ」
「喜んでいただけて光栄です」
「ついでに言うならお前の顔も好みだけどな。……だから私は男色でもないのに、お前に咥えられて達するんだろうな……」

 オリオンは目をぱちぱちさせた。

「思いもよらない事を言われたので動揺してしまったではないですか」

 と赤くなった顔を大きな手で隠している。
オリオンの目の前に私は自分の物を晒した。

「ツアーリ様……」
「今はただのユリウスだ」

 オリオンは私の物をしゃぶり、私はオリオンの頭を押さえ込んだ。激しく舌で吸い込まれ扱かれ私は果てた。
私が風呂に入ってるとぽつんとオリオンが洗い場にいるので顎で来いと指した。
オリオンは風呂に入り、私を背後から抱きしめるようにした。人の感触が気持ちいい。
私はオリオンにその身をゆだねて、湯の中をゆらゆらと揺れた。




 次の日、朝食の席にはレンブラントもクロエも現れなかった。
二人がこないということは……致したということか。
私がオリオンを見るとオリオンは頷いた。致したということだと決定した。
オリオンはクロエから直接聞いたのか?
まぁ、いい。うまく行って良かった。レンブラントはまだ屋敷内にいるとのこと。
私は自室に戻ってまだ寝ていることにするとオリオンに言った。
私が自室に戻ると、暫くしてからクロエが現れた。

「お兄様、わたくしやりました! 落としました! あの男を!」
「そうか……良くやった。して、あの男は? どうなった?」
「オリオンに急ぎの用があると言って帰ってしまったようです。私には何も言わず出て行ったのです。私はあの男に抱かれ蜜花を失いましたが、これはうまく行っているのでしょうか? 愛があるなら帰る間際に何か言っていくのでは? 心までは奪えなかったかも知れません」

 クロエは自信無げで不安そうな顔をしていた。

「はは、クロエ、想定内だ。あの男には婚約者がいる。君との関係をよりよくするために婚約を解消する準備でもする気だろう」
「そうであればいいのですが……」
「お前はこんなに美しいのに、不安なのか? あれの女などゴミみたいな女だぞ?クロエとは競争にもならん。下品な女だ」
「そう言っていただけて嬉しいですわ? お兄様」
「褒美を貰いに来たのだろう?」
「ええ、お兄様の精を受けに来ました」

 クロエは微笑んだ。
私はクロエの薄絹を脱がせその肌を露にした。生まれたままの姿になったクロエは寝台の上に自分から上がって寝そべり、私はクロエの足を持って股を開いた。
そして秘所を見ると血の流れた乾いた跡が残っていた。

「風呂には入ってこなかったのか?」
「証拠を見ていただきたかったので」
「そうか。では魔法で綺麗にしてもよいか?」
「はい。お兄様。綺麗にしてくださいませ」

 私はアクアウォッシュをしてクロエの全身を綺麗にした。クロエに口付けをし、舌を絡ませる。
「初めては痛いと聞くが、やはり痛かったのか?」
「はい。……たぶん、レンブラント様も初めてだったのではないでしょうか? 入れるときに手間取っておられました」
「ほぅ」

 私はもう一度クロエと口付けをした。紫色の瞳が潤んでいる。首にも口付けをし、どんどん下のほうに唇を這わす。乳首にその唇がたどり着くとクロエは声をあげた。

「あっ」

 両手で口を押さえる。

「後宮の女は私と致している間、喘ぎ声も口もきいてもいけぬが、お前はこれから側室になる女だぞ? 喘ぎ声くらい出しても構わぬ」

 私はクロエを抱きしめた。

「ユリウスお兄様」
「なんだか本当の妹としているようで興奮するな? クロエ」

 私は微笑みクロエの蕾を舐めた。指で蜜壷を弄り蕾を舐め上げる。

「そんなにされてはすぐ達してしまうかも知れません」
「ん? お前は蜜花を散らしてなかったのに達することを知っているのか? 誰に教わった?」

 と聞くとクロエは顔を真っ赤にして言った。

「ユリウスお兄様を想像して、その、毎日自分で致しておりました。申し訳ございません!」
「そうか、それほど私に抱かれたかったか」

 私は気分が良くなった。男とは単純だ。

「レンブラントと致して達したのか?」
「いえ……彼は慣れていませんでしたし、御自分が達することで精一杯だったように思います」
「そうかそうか。よし、今日はクロエを楽しもう。良いか? クロエ」
「もちろん良いに決まっております。ユリウスお兄様」

 私は続けてクロエの蜜壷に人指し指を入れてぐちゅぐちゅとかき回す。次第に透明な液がじわっと出てきた。私がそれを舐めるとぴちゃぴちゃといやらしい音が響く。

「うむ、いい感じで濡れてきたな。もう一本入れるぞ」
「はい」

 私は中指も一緒に入れた。出し入れするとぐっちょぐっちょと音がする。
愛液がだんだん多くなってきている。もうそろそろいいか。私はクロエの秘所に自分の物を当てて濡らした。自分でも陰茎を軽く擦り、亀頭を撫でると汁が糸を垂らしていた。
もう少し濡らしてからの方がいいかとクロエの股で濡らしてからクロエの目の前に私の物を見せ付ける。

「クロエ、私の物をちゃんと見ておけ。お前の中に入る物だ」
「は、はい。え? あの、これは人の物の形なのでしょうか? レンブラント様と形が違います」

私の物は普通より大きく形もカリの部分が大きな返しとなってはずれないようになっている。陰茎の部分にもぽこぽことした突起があり、それが後宮の女にはいいらしい。

「ああ。私の物は普通の人の物と形が少し違う。神の遺伝子によるものだと母上が言っていた。これから入れるぞ? まだ慣れてないから痛いかも知れぬ。無理に我慢しなくていい。痛ければ抜く」
「……はい」

 私はゆっくりとクロエの蜜壷に肉を掻き分け入れていった。まだカリ首くらいまでしか入っていないが、蕾を親指で弄りながら、そこで浅く出し入れをする。じわっと液が溢れてくるのがわかる。そして、つるっと奥の方へ導かれた。ゆっくり浅く出し入れしながら時に深く突き進む。

「はぁ……ああぁ、んっ」

 クロエはどうやら感じてくれているようだ。だいぶ奥のほうまで進めたので腰を振る回数を多くしてみる。蕾はそのまま弄っている。腰を振っていると私の物が全部が入った。

「どうだ? 私を感じるか? 全部入ったぞ」
「ええ、感じます! 大きくって熱い、お兄様大好きです」

 クロエが潤んだ目で抱きしめ口付けをしてきた。その途端、蜜壷がきゅうっと締まり私も気持ちよくなってきて腰を振らずにいられなくなった。

「そうか、いいか。ではこのまま腰を振る」

 私は激しく腰を振った。

「あ、いい! いぃぃ、気持ちいいぃ、ユリウスお兄様ぁああああ! あああ! いくぅいくぅ、いっちゃう! だめぇああ、だめええええああ! いっちゃうううう!」
「私の子を孕め! クロエ! うっ!」

 私はクロエの中に自分の種を放出した。
私もクロエも同時に果てた。久々に気持ちのいい閨事だった。

「お兄様、凄く……気持ちが良かったです。もうお兄様とは離れられません」
「私も久々に気持ちの良い閨事だった。そなたが失ったばかりだからか、きつく締め上げられて私のこれが痛いくらいだった」
「痛かったですか?」

 と心配そうな顔で言うので私は笑った。

「例えだ」
「まぁ、またレンブラントが来るやも知れぬ。その時はまたよろしくな」
「ユリウスお兄様を知ってからではレンブラント様では……」
「物足りないか?」
「ええ。でもわたくしが、もしレンブラント様の子を妊娠したら……」
「あいつ、お前の中に出したのかっ!?」

クロエは色々と考えて不安な様だ。

「いえ……一応外に射精されました。けれど……回数が進めば中に出されてしまうかも知れません」
「それだけは死守せよ。よその男の子供を身ごもった女など側室にはできぬ。わかったな?」
「はい。中出しはユリウスお兄様だけです」
「うむ。まぁ、女が嫌がる事をするような男ではないと思うから、お前が中を拒めばなんとかなるだろう」
「不安ですが頑張ります」
「ああ」




 月の日、出仕するといきなりレンブラントから話があると師団の事務所の中の資料室に連れ込まれた。資料室と言っても2畳半位の狭い部屋に書類の山が積み重なっているだけの倉庫みたいな所だ。

「いきなり、どうしたんです? レンブラント?」

 レンブラントの顔色は悪い。言いづらそうに、でも言いたそうにしている。

「わ、私は君の妹さんに酷い事を……」

 私は気付いていない振りをする。

「酷い事? 何かあったんですか?」
「妹さんは何も言ってなかったのか?」
「何も?」

 と訝しげな目で見る。ほら、真実を言ってみろ私に。妹の蜜花を散らしたと。
正直に言ってみろ。

「私は君の妹と……」
「はい?」
「寝た」
「はっ?」
「す、すまぬ! その、出来心だったんだ……」

 出来心? 本気じゃないという事か?
どうやら私はレンブラントという人間の憶測を見誤ったようだ。真面目で誠実そうに見えたのは表面だけの様だと感じた。

「出来心とは……そういう事をしておいて、遊びだったということですか? 妹は蜜花だったはず。散らしてしまえば元に戻らない……」
「それは、致してからわかった。……謝って済む話ではないが……」
「君は私の妹を傷物にして、これからどうするつもりなんですか? まさか人の妹を傷物にしておいて、自分はヒューイットとそのまま結婚して幸せになるつもりですか!? それでは妹はあんまりだ!!」

 我ながら自分には役者の才能でもあるんじゃないか? レンブラントは私の言動に揺らされている。

「そ、それは……」
「妹にも……どう言うつもりです? あれは気の迷いだったとでも言うつもりですか!? 今みたいに出来心だったとでも言うつもりですか? あれは遊びをしらない親の介護で楽しい時期を知らずに過ごし、男にも慣れていない、田舎貴族ですから……初めての男が自分を遊びで抱いたなんて知ったら……」
「遊びではない!!」

 出来心だが遊びでもないと言う。なんと優柔不断な男か。こんな奴の相手をさせてクロエに申し訳なくなってきた。

「では、本気なんですか?」
「そ、それは……」
「答えられないじゃないですか。それのどこが遊びではないと言えるんです? 私からヒューイットさんに婚約解消をしてくれるように言いましょうか?」
「え?」
「私は別に、妹が好きな男の嫁になりたいのであれば、嫁いで爵位が下がろうと、それは仕方がないと思っています。うちは両親も亡くなってるし、私が主である限り親戚筋にも文句は言わせません。責任を取って花嫁にして貰えるんでしょうね?」

 私はにこりと微笑んだ。

「君の家だって大喜びじゃないですか? 辺境伯爵家から嫁を貰えるんですから。普通なら家格で釣り合わないですよ」
「……そ、そうだよな」
「では、私からヒューイットさんに話すってことで良いですか?」
「ちょ、ちょっと待ってくれ!」

 往生際の悪い男だ。まだ未練があるのか? あんな下品な女に。

「ヒューイットには私から話す。それが私の責任でもある」

 誠実ぶっているが、結局は婚約者のいる身でありながら他の女を抱いた男だ。
私は呆れた。でもそれを顔に出してはいけない。

「そうですか。……では妹のことはヒューイットさんには黙っていてあげますよ。ちなみに、私は妹にあなたが婚約者持ちと伝えていませんが、自分できちんと妹に言いましたよね?」
「……」

 言ってなかったらしい。真面目そうに見えるがダメだなこの男は。
この男にクロエはやれない。まぁいい、どうせクロエは私の物だ。

「レンブラント、私はがっかりしました。あなたはいい加減な人ではないと思っていたのに……。妹にもヒューイットの事は黙っておきます。知れば傷つくだけですから。だから早くけりを付けて下さい」
「すまない……」
「許した訳ではないですから。お間違えなく」

 私は資料倉庫室を後にした。
事務所では相変わらずヒューイットが師長様に馴れ馴れしくべたべた触ったりしている。アルフォード公爵も鈍いにしても普通わかるだろう。あれだけ体を触って始終近くにいるのだから。

 事務職員の女達がヒューイットを好かないと言うのもわかる。私にも馴れ馴れしくする。見目のいい男達にもだ。
けど、その他の男共には声を掛けることもなく、事務所で一番見目の良くないと言われているヴェッセル=ペスケンスには見向きもしない。

 職員には女が多いが男もいるのに、明らかに違いが見える。
ヒューイットは私が一番嫌いな女のタイプだった。
だが、顔に出さないようにしなければ全て水の泡になってしまう。
私は事務所でヒューイットに話しかけられ、なるべく嫌味のない笑顔を作って対応した。

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