魔術師長様はご機嫌ななめ

鷹月 檻

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第二章

25休日前の出来事

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 エドモンド商会から試作品のマスコットとハンカチが届いた。
白いハンカチに紺色の糸でバックステッチで縫ってある。マスコットの方は白いフェルト生地みたいな厚めの生地にやはりバックステッチで縫ってある。後ろの糸処理が全然みえないのでこの厚みは刺繍を入れた後に生地を圧縮させてくっつけたのか? と思った。フェルト生地は色を選べるようなので糸と生地の色を変えていくつか作るようにお願いした。
どちらも30個づつ発注した。

 商品代金は材料費込みで全部で21000ギルだった。
全部商品が出来上がって持ち込みに来たとき払ってくれとの事だった。
前回ダイヤ3つで5000万ギルをゲットしたので凄く少なく感じる。

 あの5000万ギルはどうしたかというと、レイジェス様の銀行の方が国の銀行より金利がいいのでそっちに貯金しなさいと言われて貯金した。
そして銀行カードなる物をゲットし、これで商会の取引ができるという。カード決済のできる店であればこのカードでお金も払うこともできるそうだ。
クレジットカードみたいな物か?

 ちなみに……レイジェス様は領地で鉄鉱山を幾つか持っている。その鉱山で稼いだお金で鉄道業をやり、今では鉄道業の他に海運業、ホテル業、銀行業など色々やってるらしい。で、レイジェス様の銀行というのはアルフォード銀行という。名前まんまなんですけど……。そこに私のお金を預けたわけだ。

 まぁ、レイジェス様が働かなくてもお金に困らないって言ってたのが良くわかった。そんだけ手広くやってる上に、領地の方の荘園とかもあるらしく、自分でも貯金がどれだけあるかわからないそうな。金銭管理は家令のセバスがやってるから、セバスの方がアルフォード公爵家の財産には詳しいと言っていた。

 自分でいくら財産を持ってるかわからないなんて、私も言ってみたいセリフだ。
夕の5の刻を過ぎたので職人達は帰った。なので私は玄関でセバスや使用人達とレイジェス様を待っている。玄関のドアが開き、レイジェス様が帰ってきた。

「お帰りなさいませ!」
「うむ、ただいま戻った」

レイジェス様はひょいっと私を抱き上げ、今日は何をやっていたか聞く。なのでリアグッズの試作品が届いたというと見せなさいと興味津々だった。

「談話室に置いています」
「ではそちらに行こうか」

 談話室について床に降ろしてもらった私はテーブルの上にあるマスコットとハンカチをレイジェス様に見せた。
レイジェス様がそれを見て目を丸くする。

「これはリアだな?」
「あ、分かってくれました?」
「デフォルメされてはいるが良く出来ている。君の愛らしさが表現されている、素晴らしい芸術品だ」

 とか言い出した。

「えと、それ芸術品ではなくてですね、バッグとかに付けるのですよ。こんな感じで」

 とレイジェス様のお仕事用バックに付けてみた。

「歩くとゆらゆら揺れます」

 というとレイジェス様がお仕事用バックを肩に掛けて歩いた。
ゆらゆら私が揺れる。

「そんな感じで生活の中で使うので、芸術品ではないのです」

てへっと笑う。

「これは私が貰っていいのか?」
「それ試作品ですよ? 本品が出来たらあげますよ?」

と言ったら本品も欲しいけどこれも欲しいと言われあげることにした。
にこにこと機嫌がいいので気に入ってくれたのだろう。
ハンカチも寄越せというのであげた。
二人で長椅子に座っているとノックの音がしてセバスがお茶を持ってきた。

「レイジェス様にお願いがあるのですが」
「ん?」
「魔鉱石ガルネイトを取りに行きたいです。あと、サクレットの枝も」
「サクレットの枝? あんなもの何に使う?」
「アーリンに聞いたのですが闇夜で光る枝なんでしょう?」
「そうだ」
「コンサートで使いたいのです。暗くした時に光る棒が一杯あったら綺麗でしょう?」

 レイジェス様は目を閉じて想像しているようだ。

「なるほど、いいかも知れぬ」
「では、丁度明日は休みだし、遠出をするか」
「はい!」

 これでCDの元とペンライトが準備できそうだ。
あとはマイク……と音楽隊。

「ねぇ、レイジェス様。音楽隊を雇いたい場合どうすれば良いのですか?」
「私はそういったことはわからぬなぁ……セバスなら知っているのではないか?」

 レイジェス様は談話室の呼び鈴を押してセバスを呼んだ。

「音楽隊ですか?」

 とセバス。

「あれは確か音楽協会に音楽隊として登録してある者達がいて、それを雇えば良かったような……確か毎年登録者名鑑が音楽協会から送られて来ているはずです。私の執務室を見てきます。少々お待ちくださいませ」

 とセバスが一旦消えて暫くして戻ってきた。

「今年のがありました」

 登録者名鑑を渡された。
グループ名とメンバー名、どういった音楽をやっているか、契約したことのある貴族、今現在契約中の貴族やメンバー全員を雇う料金などが事細かに書いてある。

「これだけではわかりませんけどね、実際音楽を聞いてみませんと」

 とセバスは言う。

「でも、女の人だけのグループに直接交渉できるので時間が無駄にならなくて良いですわ? ありがとう、セバス」

 と言うと、もう食堂に夕食の仕度が出来てるから来てくださいと言われた。
夕食のメニューは【さばの塩焼き】とトウミだった。祈りの言葉と頂きますを一緒にして食べ終えた。
そして週末なのでお神酒を出す。席はレイジェス様の近くに私が行ってる。
杯も空間収納から出してレイジェス様のと私のを置く。

「いつもお仕事お疲れ様です。乾杯」

 と言ってカチンと杯を鳴らす。久々なので私はごくごくと飲んだ。
水じゃないんだよって感じか。

「こうして君とお神酒を飲むと、今週も頑張ったなぁと思える」
「そうですね、頑張りましたね」

 と私は微笑みレイジェス様の頭を撫でてよしよしと言う。
ちなみにこの場にはセバスしかいない、他の使用人の前では出来ないだろう。

「音楽隊が決まったら1週間程練習したあとにコンサートを開こうかなって思ってます」
「おお、早く決めねばな」
「はい!」
「あと、マイクの事で聞きたい事があります」
「マイク? 音声拡声器の事か」
「ピラトール侯爵の音楽会ではスタンドマイクを見たのですけど、頭に付けるマイクってあるのでしょうか?」
「頭? 聞いた事が無い」
「マイクってどこに頼めばいいのですか?」
「あれは……どこだ? セバス」
「マイクもハイゼル商会で注文できますが、頭に付けるタイプというのは特注になるかも知れません。明後日で良ければ連絡を取ります。日の日は休みですから」
「それがなんとかできたら全部クリアです」

 私はにっと笑った。
それからはレイジェス様が私にお酒を注いで飲んで注いで飲んでをして酔っ払ってしまった。なんかわざと酔わされた?
私もレイジェス様に沢山注いだけど、レイジェス様はお酒が強いみたいでちょっと酔ってるくらいだった。

 もう風呂に入るぞと私を抱き上げてお風呂に連れて行く。いつもの通りさくっと脱がされ私は先に裸に。レイジェス様が服を脱ぐのを待って一緒に浴室に入った。バスチェアを2個レイジェス様が用意して、私は結構立ってるのもふらふらだった。
泡を付けた手で体を洗われる。股を丁寧に洗うから感じてしまった。立って洗って貰ってたけど椅子に座ってるレイジェス様の肩にこてんと頭を預ける。

「ねぇ、レイジェス様、今すぐ……して?」

 私は浴室の床に自分から寝そべり、レイジェス様の目の前で足を開いた。
そして花びらを自分の両手で拡げて愛液が垂れている所を見せた。
レイジェス様はアクアウォッシュをしてから私の体を覆ってキスをした。レイジェス様の物が私のあそこにあたる。もう先がぬるぬるしてる。
レイジェス様は亀頭を私にあてて擦りながら私の乳首を吸った。小さい乳首がぴんと立つ。
そしてわき腹を強く吸われた。そのあと首にも強く吸い付いた。胸元にも。

「私の物の印だ」

 キスマークだらけだった。どうせお屋敷から出ないし、まぁいいかとその跡を見る。レイジェス様が肉棒で蕾も秘所も一緒にぐちゅぐちゅっとして擦るから気持ちが良くなってしまった私は声がでる。

「……あぁ、いい気持ち……。……凄い、いいの。もっと、して?」
「君が私を誘惑しても一線は守る。そう決めているからな?」

 レイジェス様はフッと笑った。
私はレイジェス様の体に足を絡めた。こうすると肉棒全体が私のいい所にあたるって分かってるから。私はレイジェス様の亀頭と陰茎を手で擦りながら腰を振った。

「ああああ、うっ、い、いいぃ、レイ……ジェス様ぁ……き、もち……いいのぉ……」

 レイジェス様がキスしてきた。そして私をころんと横向きにし後ろから太ももに肉棒を突っ込む。そして私の蕾を弄りながら腰を振る私は後ろを向きながらレイジェス様にキスをせがんだ。

「もっとキス、……して?」

 レイジェス様が私にキスをする。舌を口の中に入れてそれは激しく暴れる。
私の口の端から涎がでる。だらしなく口が半開きにになって蕾や秘所からめくるめくような快感が広まる。レイジェス様の肉棒がいい所に擦れて耳鳴りがして、びちょびちょと股からの艶のある音が遠く感じる。私の中から何かが出そうな感覚が押し寄せてきた時、レイジェス様の動きが一層早くなった。

「あっ、あっ、い、いっちゃう、ああぁ、いっちゃう、いっちゃうぅぅぅ! だめぇきもちぃぃいいいよぉおお!!」

 私が達してもまだレイジェス様は達してなくてそのまま腰を振り続けてる。

「もうだめぇえぇええ、あっ、あっ、まっ、また。ぁぁあああ、また、きちゃうううもう、だめえええ!! また、ああぁぁ!! いっちゃういっちゃう!! もうぅぅいいぃいのぉぉ!! ぁあああああ゛!!!」

 体が恥ずかしいくらい、うねってびくびくして、その反応でかレイジェス様も達した。
私は達したばかりのレイジェス様の亀頭を舐めてしごいた。
口に入るところまで入れてちゅぱちゅぱと吸う。

「うっ、あああぁ!! や、やめなさい!」

 気にせず吸う。ちゅぱちゅぱ水音が広がる。

「うっ、……気持ちよすぎる……」

 れろれろと舐めて手でしごきながら口で吸う。
精を出したばかりだというのに全然萎えていない。

「ふぅ、うっ」

 私はレイジェス様の体に乗って亀頭を自分の蜜花に押し当てた。
そしてそのまま入れようと押し込む。花びらじゃない肉の部分に少し埋まっているのは分かるけどそれ以上押し込もうとしてレイジェス様に手を止められる。

「ダメだ」

 蒸気した赤い顔で、途切れ途切れの息遣いで、それでも私にダメと言う。

「すまぬ、君を酔わせすぎた」

私の表情が歪む。泣きそうになる。

「もっと欲しいのに……わたくし、今すぐ大人になりたい……」

 涙がでた。ぽろぽろ落ちる。えろい事したくて泣くってどうなの? って冷静に思う自分もいるんだけど、体が成長してなくて思う通りに行かない自分に腹が立って、どうしようもない事なのに。悔しくて、情けなくて、かっこ悪くて、馬鹿で、ぐちゃぐちゃになった。
レイジェス様は湯桶に湯を汲んできて、それを私に頭の上からざばっと掛けた。

「今、慌てなくても君は必ず大人になるから、私は待つ。君は私を待ってくれないのか?」

 レイジェス様は私の顔を覗き込んだ。
私の涙は湯桶で流された湯と一緒に流れて行った。

「ごめんなさい! ごめんなさい! レイジェス様!!」

 私は、わあああああんと大きな声で泣いた。
大声を出して泣いたからか溜まってた物が出ていったようなすっきりした感情になった。
そのあとお風呂に二人で入った。

「レイジェス様」
「ん?」
「わたくしこれから禁欲生活をします」
「んん!?」
「だって、このままじゃ、わたくしがレイジェス様の寝込みを襲って色々やりそうで怖いのです」
「ん? え?」
「わたくし自分がまったく信用出来ません」
「はい?」
「わたくし自分がこれほど、エロい人間だとは思っていませんでした。これ以上の悪さをしないように禁欲生活をしばらくしたいと思います。レイジェス様に触れられちゃうと意味がないので、暫くわたくしに触れないでくださいませ?」
「はあああああ!? 断固反対!! 却下!!」

 私がこんなにも悩んでいて究極の宣言をしたにも関わらずレイジェス様は分かっていないようだ。

「では寝室を別にした方がいいみたいですね」
「はっ!?」
「だって、前に一緒に寝るのは良くないってわたくしが言ったときに、嫌だってレイジェス様がおっしゃったじゃないですか」
「うむ」
「だから、禁欲生活をします、協力してください。って今言ったんですけれど……却下されちゃったら一人で寝るしかないじゃないですか」
「だが……!」
「わたくし困ってるんです!! 本当に、わたくし危ない子なんです。レイジェス様が寝ていたら犯してしまうかもしれません!! わたくし犯罪者になりたくないのです! 切羽詰ってるのです!!」
「……わかった。協力するから、一人にしないでくれ。このまま一緒に眠って欲しい」
「ごめんなさい、レイジェス様。分かってくれてありがとうございます」

 私達二人はレイジェス様の部屋に戻り寝台に入った。そしてレイジェス様と私が見つめ合っている。レイジェス様がぽつりと言った。

「なぁ、君を見ながら自家発灯じかはつとうはダメなのか?」
「自家発灯って何でしょう?」
「えっと、その……。いや、いい。君が禁欲するなら、私も禁欲しよう。辛い事も二人で乗り越える、それが夫婦だ」
「まだ結婚できないですけどねー」
「夫婦と言葉にするだけでも気分が良い、気持ちの問題だ」
「じゃぁ、お休みなさい」

 そう言って私はレイジェス様の手を握って寝た。

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