魔術師長様はご機嫌ななめ

鷹月 檻

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第二章

31コンサートの練習 

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 私は大ホールでバンドの子達と音あわせをしていた。
音楽隊は結局、登録本から通信連絡し、女の子だけのバンドにお願いした。
女子のみのバンドが1つしかなくて即決まった。バンド名はCute。4人姉妹でやっている。彼女達も私が雇い主で良かったみたいだ。
私の前の雇い主がセクハラしまくりのデブ親父だったからだ。

 4人の楽器と担当は長女のラン20歳がドラム、次女のリン18歳がギター、三女のルン16歳がベース、四女のレン14歳がヴィオラ。レンだけが未成年だ。ちなみにヴィオラと言っても地球のヴィオラではない。どちらかと言うとバイオリンに近くて音も形状もバイオリンそのものだった。なのに名前がヴィオラと言う。

 みんな平民だけれど、元は貴族だったらしい。本家の主が罪を犯し連座で廃爵したらしく平民なのに楽器が弾けるのはそういう理由だった。
ちなみに、メンバーみんな今担当している楽器以外の楽器も弾ける。さすが元貴族。
普通の平民は楽器が弾けない。楽器を習うのにも買うにもお金が凄くかかるからだ。

「じゃ、もう一度最初っから~!」

 ランが言う。みんなヘッドマイクを付けている。ドドン、ズンチャ、チャとドラムが鳴り響いて音楽が始まる。私は息を吸い歌いだす。これはアップテンポの歌で踊りながら歌う、飛び跳ねてジャンプ!
歩いて歌って忙しい曲。でも笑顔で歌いきる! 曲が終わった。

「姫様、そこ、曲の終わりに投げキッスしましょう」

 とランが言う。

「あ、いいね! 可愛らしさがぐっとでる」

 とリン。

「いきなりお客の心鷲掴みですね!」

 とルン。

「えっと、こんな感じ?」

 私がやるとレンが首を振る。

「そんな恥ずかしがってちゃお客様の心を鷲掴みなんて無理です」

 とレン。

「そうですねぇ、姫様、恥ずかしさを捨ててビジネスライクでいってみましょう。もう一度投げキッスしてください」

 とラン。

「は、はい」

 私が考えた振り付けを皆に見せたら、皆でこうしたらいい、いやこうだ! となって、色々追加された動作がいくつもあった。あざとい位可愛らしくするのよ? とバンドのメンバー全員が言う…。
私は深呼吸して片手で投げキッスをしたら、上手くいかなくて目まで閉じてしまった。

「姫様!? それめちゃくちゃご褒美になってます! 最高です!」

 とリンが言う。

「ウィンク付き投げキッス…お客様は萌え死に決定ですね」

 とレンが言った。

「じゃ、他の曲も合わせて行きましょう~~!」

 ランが言ってまた歌う。スピカーから重低音がずんずんと響いてくる。
大広間の片隅にはエドモンド商会から納品されたリアグッズの箱が山積みになっている。その横にはベルネーリ商会から納品されたリンスのガラス瓶にもう中身を詰め込んだ物がやはり箱に入れて山積みになっている。CDも50枚、レイジェス様に作って貰った。これで物販の準備は出来ている。あとは練習あるのみ!
コンサートは三日後に迫っていた。




 夕食の時だった。レイジェス様が言った。

「ひとつ気になる事がある」
「なんでしょう?」
「私は以前面接の時に突進してきた悪しき者を払ったが…もしコンサートでそのような者が出たときの対応は考えているのか?」
「え?」

 私はまったく考えてなかった。だってピレーネの夕べの時はなんともなかったし。大丈夫じゃない? と思っていたから。

「あの可愛らしい、けしからん歌を歌うのだろう? 護衛は必須だろう。なぁ? セバス、お前も練習を見たりしているんだろう?」
「昨日、練習を拝見致しました。私も護衛は必須だと思います」

セバスまでそう言う。

「わたくし、何も考えていませんでした。どうしましょう?」

 というと二人でステージを紙に書いてここに護衛を置いて、とか話合っている。
結局、ステージに立つ私の下に4人の護衛が付く事になった。リリー、アーリン、アラン、セバスが付く。

 コンサートが終わった後の握手会は、セバスとレイジェス様の間に私が入って二人が護衛すると言う。
ちなみに物販販売はリリーとアーリンがやってくれる事になった。

「あ、姫様、本日商会頭の認可が下りましたよ。アズライル商会発足、そして会頭就任おめでとうございます」
「ありがとう、セバス。苦労かけました」
「レイジェス様もわたくしのお手伝いありがとうございます。」

 私は夕食を全部食べ終えた。ここの所歌ったり踊ったり、剣の稽古とかで動きまくっている。以前より少し体が強くなったかも知れない。

「あ、そういえばピラトール侯爵様に招待状は出したのですか? セバス」
「レイジェス様に確認してから出しました」
「姫様のお友達お二人にも出しましたよ」

 と言われてびっくりする。

「え! お友達に見られてしまうんですか!? なんだか恥ずかしいです……」

 それを見ていてレイジェス様が呆れている。

「リアは変なところで恥ずかしがるな? ポイントが分からぬ」

 私はレイジェス様を薄い目で見た。

「乙女心が分からないレイジェス様には分からないですよぅだ」

レイジェス様にはツンとしておいた。




 その後はレイジェス様と一緒にお風呂に入り一緒に寝る。
寝台に入るとうとうとしてきた。

「一週間後には寝室の工事も終わる。日中は屋敷内を行き来できなくて不便だったろう。苦労かけたな」

 レイジェス様が言う。

「最初は窮屈でしたけど、だいぶ慣れました。お部屋が広くなって、わたくしとレイジェス様のお部屋が繋がるのですから、楽しみです。うふふ」

 微笑むとレイジェス様が私に口付けをしてきた。口の中をぬるぬるした感触が蠢く中で私はうつらうつらと眠りに入る。レイジェス様は構わず私の体を弄って舐める。

「疲れているのだろうが、最近のリアは眠りすぎだな」

 ぼそりと呟いた声が聞こえた。
私はとっくに夢の中で凄く気持ち良くなっていた。
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