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第二章
33コンサート終了後の飲み会
しおりを挟む皆軽食を食べていたのでそのまま談話室に行く事になった。
レイジェス様が長椅子の暖炉側、私がその隣に座る。テーブルを挟んだ側の個人椅子にレンブラント様、ヒューイット様が座り、空いているお誕生日席みたいな所に壁に置いてあった布張りの背もたれ付き個人椅子を2個持ってきてユリウス様とコモン様が座る席にした。
ユリウス様が私の隣でコモン様がヒューイット様の隣だ。
私だけ食事を取ってなかったので料理長さんがツナがたっぷり入ったツナサンド作ってくれた。マヨで味付けしてある。
それをセバスがお酒を持ってくるついでに談話室に持って来てくれた。トウミジュースも栄養を取る為に添えられている。私は一人むしゃむしゃと食べた。
オースティンがおつまみとグラスも持ってきた。
私は自分専用にお神酒を空間収納から取り出す。
皆がグラスに酒を注ぎ乾杯の準備をしているので私も空間収納から杯をだして注ごうとしたらレイジェス様が注いでくれた。それを見てユリウス様が目を丸くしている。
「アリア様も…飲むのですか?」
「あ、わたくしのは神専用のお酒なので子供でも大丈夫なのです」
皆注ぎ終わって、レイジェス様が乾杯の音頭を取る。
「皆いつも仕事、ご苦労である。今日は飲んで楽しく過ごしてくれると嬉しい。それでは乾杯!」
「乾杯!」
カチン! とみんなのグラスが重なり合う。
私がごくごくお神酒を飲んでいるとレンブラント様。ヒューイット様、コモン様、ユリウス様が見つめてくるので皆さん飲んでみますか? と聞くとこくこく頷かれたので神呪で杯を4個出した。
「なんですか? 今のは!?」
ユリウス様が驚いて言ったので説明する。
「神語呪文です。人には唱えられない、神様専用魔法です」
にっと笑った。
「そんな魔法があるんですね…」
「へ~こないだの神呪とはちがうんだ?」
コモン様が興味津々で言う。
ユリウス様は驚いていた。私は杯にお酒を注いでいった。どうぞとみんなに渡す。
「すっごいしゅわしゅわして軽い飲み口ですね。爽やかで飲みやすいですわ!」
とヒューイット様。
「うむ、私には軽すぎるなウィスキーの方が美味いし酔える」
とレンブラント様。
「こんなの初めてです! まろやかで程よい甘み。大変美味い酒ですね」
とユリウス様。
「これならシエラ様も飲める?」
と聞くのでたぶん飲めますよ、と言った。
「これ美味しいのです。わたくし毎週、週末にこれを飲んでいます」
そう私が言うとレイジェス様がこれは週末酔っ払いだからな。
と余計な情報を言った。
「毎回そんなに酔っているわけではないですよ?」
と睨んでおく。
「しかし、今日のコンサートは刺激的でした。アリア様の歌が素晴らしすぎて私は思わずいいぞ~! とか声に出してしまったくらいですよ。はははは」
とレンブラント様が笑う。
「わたくしもアリアちゃ~ん! と声を大に叫んでしまいました」
とヒューイット様。もしかして似た者カップル?
「私は叫びはしなかったですが、目から鱗が落ちた感じでしょうか。アリア様は綺麗な声をしてますね。歌うと涼やかで心に染み入る感じがします」
ユリウス様が褒めてくれた。レイジェス様はうんうん頷いている。
「ありがとうございます」
私がユリウス様の目を見つめてそういうと、ユリウス様は照れたようにその水色の目をそらした。
「俺はこの目にアリアちゃんの太ももを焼き付けた。もう忘れない!」
そんな事をコモン様がいうので
「そんな事言ってるとシエラ様に振られますよ?」
忠告しておいた。
私はレイジェス様とレンブラント様のグラスが空いてたのに気付きお酒を注いだ。
レンブラント様から
「どうぞ」
次にコモン様に
「どうぞ」
ユリウス様は空いてなくてもうちょっとだったので
「どうぞお飲みになってくださいませ?」
と微笑むと飲んでしまったので空いたグラスに注ぐ。
「どうぞ」
とぷとぷとお酒が注がれる。
ヒューイット様のグラスも空いたのでヒューイット様にも注ぐ。
「ささ、ヒューイット様、どうぞ」
ヒューイット様に微笑むと、何やら渋い顔を私にする
「アリア様はほんと、いい子ですよね…」
「え?」
「なんか、男の理想っていうか…」
「はぁ? それはないと思いますけど…わたくし子供ですよ?」
「何謙遜してるんですかぁ…?」
ヒューイット様がそう言うとレンブラント様がヒューイット様を窘める。
「ヒューイット、アリア様に絡むな。酔いすぎだ」
「そんなに飲んでないし、絡んでいませんよ。わたくし。ねぇ? アリア様」
そう言われて頷く。
ちょっと酔ってるかも? とは思うがそんな嫌な事されてるわけじゃないし。
「ヒューイットはレイジェスが好きだからアリア様に絡むんだろ?」
コモン様が爆弾発言をした。この人いつもそうだ。爆弾投下する!
ヒューイット様もレンブラント様も黙ってしまった。
「ヒューイットが私を? ないない。それよりリアはいつもこんな感じだぞ? ヒューイット。褒めても謙遜というか…自分自身のことをわかっていない。自己評価が恐ろしく低い」
私はぷくっと頬を膨らます。
「そんなことないもん!」
レイジェス様が私の頬を指で突っつく。
「ほぅ?」
そんな感じでレイジェス様はスルーしたけど、正直ヒューイット様がレイジェス様を好きみたいなコモン様の発言が気になってた。
まぁ、レイジェス様は私の事が大好きだと思うのでヒューイット様に傾くことはないと思うけど、レンブラント様とヒューイット様の仲が変わってしまうのは嫌だなぁと思った。
私はお酒を飲もうとして杯が空なのに気付いた。注ごうと手を伸ばすとユリウス様が徳利を取って私に注いだ。
「どうぞ。お飲みください」
とくとくと注がれて私はお礼を言う。
「あ、ありがとうございます」
そしてごくごくと飲み干す。ユリウス様がまた注ぐ。私は一口飲んで杯を置いた。
またみんなのグラスが空いていたから。私はまたみんなに注ぐ。レンブラント様から、ヒューイット様、そしてコモン様、ユリウス様、最後にレイジェス様。
お酒がもう無くなってしまったので呼び鈴を押しに立ち上がる。
するとレイジェス様が私の腕を掴んだ。
「リアは私の隣だろうが」
レイジェス様は少し酔っている様だ。
「呼び鈴でセバスを呼ぶだけですよ。すぐ戻りますから」
レイジェス様の膝をとんとんと叩いて席を立つ。ドア近くの呼び鈴を押すとすぐセバスが来た。お酒をあと2本持って来て欲しいという。セバスは承知しましたと下がった。
私は自分の杯のお酒を飲んだ。しゅわしゅわして美味しい。
セバスがノックをしてお酒を持って入って来ので、私はグラスが空な人に注いであげてと合図する。セバスは頷いてヒューイット様とレンブラント様、コモン様に注いだ。空な酒瓶をセバスに渡し、新しい酒瓶をテーブルの真ん中に置いてもらった。レイジェス様には私が注ぐ。
セバスがもういいですか?と目で合図したので私はこくりと頷いた。
そしてユリウス様と目が合った。
「アリア様、ささ、どうぞ」
そう言って私の杯にお酒を注ごうとする。杯にはまだお酒が入っていたので、飲み干すとまた注がれた。
「あなたが飲んで楽しむ暇が無いではないですか」
少しイラっとした感じで言われた。何を怒っているんだろう?
「わたくし、ちゃんと飲んでいますし、楽しんでおりますよ?」
そう言って笑ってみる。するとユリウス様のイラっとした感じが薄くなって微笑んだ。
イケメンの微笑みは美しい。と思っていたらレイジェス様にぎゅっとされて頬ずりされた。
「まったく、リアは誰にでも微笑み過ぎだ」
と少し拗ねている。
「はいはい」
私は少し行儀が悪いけれど長椅子で立ち膝になりレイジェス様の頭を撫でる。そして抱きしめて背中をぽんぽんと軽くたたく。落ち着いたみたいなので自分の席にきちんと座りなおすとまたユリウス様が私を見ていた。
なんでそんなに見るかな? 私変? とテーブルを見るとまたレンブラント様のお酒が無くなっていた。注ごうとするとユリウス様がその酒瓶を手にとった。
「レンブラント。私が注ぎますよ。どうぞ」
そう言ったあと、ヒューイット様にこう言った。
「ヒューイットさん、自分の婚約者に酒ぐらい注いであげてもいいのでは? そんな調子では婚約など解消されてしまいますよ?」
真面目な顔で言った。
ヒューイット様はむっとした顔でそれでも自信ありげに言った。
「大丈夫です。レンブラント様はわたくしを愛していますから」
ユリウス様はうんざりとした顔をしたあとその表情を私に見られていたことで動揺していた。ヒューイット様の自信のある顔とは裏腹にレンブラント様は顔色が真っ青だった。飲みすぎて具合でも悪いのか?
コモン様はけたけた笑って言う。
「真面目な奴に限って別の女に嵌ってしまう場合もあるよ? ヒューイット? 慢心はせず誠実に相手と向き合った方がいいと思うけどね?」
「コモンみたいに遊び人にとやかく言われたくないわ?」
言い合いになってしまった。私は仕方なく止めに入る。
「まぁまぁ、それぞれ考え方の違いもありますし、それにレンブラント様がヒューイット様を愛してるのは事実でしょ。だからわたくしの魅了にもかからないじゃないですか?」
「コモン様は言いすぎですよ? めっ!」
そう言うとご褒美だ! とか言ってコモン様はお酒をがぶがぶ飲みだした。
まったく…。
私はレイジェス様が私の杯にグラスをカチンとしてくるので小さく乾杯と言って杯を飲み干した。するとレイジェス様はグラスを飲み干したあと言った。
「君達は終春節の予定はあるのか?」
コモン様はシエラ様とどこかに行きたいがまだ場所が決まってないという。レンブラント様とヒューイット様も、ユリウス様もまだだった。終春節が何か知らない私にはさっぱりだ。
「終春節って何ですの?」
というとレイジェス様が言った。
「春の終わりを楽しんでこれから暑い夏を迎える為の長期休暇だ。5月が丸々休みになる。」
へ~バカンスみたいなものか。と納得。
「君達暇なら私の領地の城に来ないか?」
とレイジェス様が言う。
「リアと一緒に行くつもりだったが、人数が多い方がリアが楽しいかと思ってな」
私はお城という言葉に興奮した。お城! 素敵!
「お城! ひゃっほぅ! 行ってみたいです!」
「まぁ、終春節なので使用人も少ないから、部屋割りは二人一部屋になるが。あ、ユリウスは恋人は? いるのか?」
レイジェス様が聞く。みんな注目してる。私も。こんだけイケメンなんだからそりゃいるでしょ、と思っていた。
「いえ、以前に言ったではないですか、病気の父の介護でそんな時間などなかったと。恋人ではないですが妹がいます。妹を連れて行ってもいいですか?」
そうレイジェス様に聞く。
「ああ、君の妹なら歓迎する」
「使用人も少ないのでしたら我が屋敷から側仕えと執事を連れても良いでしょうか? 妹は側仕えがいないと何も出来ませんから」
「そうしてくれると助かる。使用人は使用人部屋が個室で有る。使用人達は自分で片付けして貰うから個室で良いが…君達は二人一部屋になるがいいか?」
「兄妹ですから問題ないです」
こんなにイケメンなのに病気のお父さんを介護してて彼女いないって…いい人すぎない?
ちょっと私からのポイントあがったよ。ユリウス様。
「レンブラントとヒューイットはどうする?」
「レンブラント様と同じ部屋ですか?」
ヒューイット様が明らかに嫌な顔をした。
それにむっとするレンブラント様。
「あ、君達はまだそういう関係じゃなかったか。では部屋を分けるか、来るのをやめるか?」
そう言われてヒューイット様が考えている。
「なぜ、私達がそういう関係じゃないと師長様が知っているのですか?」
レンブラント様がレイジェス様に聞いた。
そうだよね? それ、私も知りたい。なんで知ってんの?
私はぎろりとレイジェス様を睨んだ。
「え? ヒューイットが自分で言ってたぞ。口付けしかしてないって」
なんですとっ!? なんでそんなことレイジェス様に言ってんの?
私はヒューイット様をじと目で見た。すると焦った様子のヒューイット様が言う。
「あれは、言葉のあやと言いますか何と言いますか」
そんなんわからんわっ!
「流れですよ! あははは!」
と笑って誤魔化すヒューイット様をユリウス様が白い目で見ていた。もしかしてユリウス様ってヒューイット様がお嫌い?
「二人一部屋でお願いします」
とレンブラント様が言った。その顔は休みになったら一発決めてやるぜ! って漲ってる顔だった。
「ちょ、勝手に決めないで? レンブラント様!」
「使用人が少ないのだから部屋を別々にしてもらうのは大変だろ? 嫌なら君はこなければいい。私は一人でも行く」
ヒューイット様はしぶしぶ同じ部屋に合意した。
「コモンは? どうする?」
「俺、全然二人一部屋歓迎! 大きい寝台一つでもいい!」
「ああ、大きい寝台の部屋があったな。そこでいいか」
「それお願い! お礼は今度! あと、シエラ様も側仕えが必要だと思うからリッツ伯爵家から出してもらう。俺の所の執事も連れて行きたい。いい?」
「ああ、使用人が増えるのは助かる」
「レンブラントとヒューイットは使用人はいいのか?」
「うちはそんな余裕ありませんから」
レンブラント様が言ったあと、ヒューイット様も同じように言った。
二人は下流貴族なので仕方ないらしい、あとでレイジェス様が教えてくれた。
私はまた空になっているグラスにお酒を注いで行った。レンブラント様、ヒューイット様、コモン様、ユリウス様、レイジェス様。
レンブラント様は顔色が悪い。もう注がないほうがいいかな?
私は杯を飲み干した。
レイジェス様が私にお酒を注ぐ。それを又飲み干すと大分体が温まってきた。みんなのお酒を注ぎながらだから正直あんまり酔ってない。もうちょっと飲みたいなって思う。
ユリウス様も私にお酒を注いで来た。美男子からのお酌はお酒が美味しくなるね~なんて中年のおじさんみたいな思考が頭をよぎる。
ぐびぐび飲んでいるとレイジェス様が私を抱き上げて膝にのせた。
私はステージの最後の衣装のままなのでショートパンツだ。オーバーニーソックスを履いてるけど絶対領域が、ようするに太ももが皆さんの前で露になっている。レイジェス様以外の男性3人がその太ももをじーっと見ている。
しかもユリウス様の位置だとお股見えちゃう。ぎゃああ。
うわあああ、何これ? 何の罰? レイジェス様を見ているとご機嫌でユリウス様とお話している。しかもレイジェス様は私の太ももをなでなでしている。くすぐったいのですが?
気になってレイジェス様の顔を見上げるとにこにこして言った。
「リアの足は触るとすべすべして気持ちがいいなぁ」
ユリウス様と仕事の話しをしながら私の太ももをなでなでって…しかもユリウス様も気になってこっち見てるし。ふと見るとヒューイット様が凄い形相で私を見てた。ちょっと怖かった。もしかしてレイジェス様の事が好きって、本当なのかな?
レンブラント様も何故か私の太ももを見ていた。変なのいつもそんな目で見ないのに。だからか違和感を感じた。ちなみにコモン様はひゃっくりをしながら手酌で飲んでいる。
誰か注いであげて! 可哀想~。
本当はもうちょっと飲みたかったけどなんだか眠くなってきた。瞼が自然に閉じていった。ステージを走って汗臭いからお風呂にはいりたいな。そう思ったらレイジェス様がぎゅーっと抱きしめてべろちゅうした後に言った。
「私はもう風呂に入って寝る。君達もそろそろ寝たら良い。部屋はセバスに聞け」
そう言ってお風呂に連れて行かれた。
脱衣所に降ろされて解除魔法を使えとほっぺをぺちぺちされた。使うと装飾下着だけになった。それをレイジェス様がするっと脱がしていく。私はあっというまにすっぽんぽんにされた。
そのあと自分も服を脱いで浴室に。レイジェス様は酔ってるせいかいつもより強めに洗う。泡は付いてるけどちょっと痛い。大事な所は優しく洗ってくれたけど、機嫌悪いのかな?
私もレイジェス様を洗おうとしたら、自分でやる、そのほうが早いと言われた。まぁ、いつものことですよね。うん。そしてお風呂に一緒に入った。
う~さっぱりして温まる。はぁ~と息を吐く。レイジェス様もふぅ~って言ってる。
レイジェス様の所に行ってその膝に登って首に腕を絡ませる。嫌がってる素振りはなさげ。
「あのね?」
「どうした?」
「何を怒ってるの?」
「怒ってないぞ?」
「ん? でも、なんだか…優しい時のレイジェス様と違うのですが?」
「嫉妬しているだけだ」
「嫉妬? 誰に?」
「今日来た客全員」
「ええ?」
「なぜリアは私一人の物にならない?」
「わたくしはレイジェス様の物だって、自分で思ってますけど?」
「あんなコンサートを開いてしまったら私だけの物では無くなる!!」
「…でも、皆さん楽しまれていたし、レイジェス様の敵になりそうな方は取り込めたんじゃないでしょうか?」
「当初はそれが目的だったが…」
「今もでしょ? レイジェス様の味方が増えればわたくしも嬉しいです」
私は微笑んだ。
「あ、微笑むのもいけないのでしたっけ?」
「私の前では許す。いつも笑っていなさい…本当に君は…!!」
そう言ってお風呂の中でぎゅっと抱きしめられた。そして口付けをする。
レイジェス様の息がちょっとお酒臭い。強いお酒を飲んでいたから仕方ないか。
こっちまで酔いそう。
「君は酒を飲んだ後でもトウミの味なんだな。不思議だ」
「レイジェス様はお酒の匂いでわたくし酔ってしまいそうです」
「あ、すまぬ。強い酒であったからな」
自分の口の中をアクアウォッシュした。そしてもう一度口付けをする。
「お酒の味がしなくなりました。匂いも」
「うむ」
レイジェス様と私はお風呂を上がりエアをして私がまずレイジェス様に着衣の神呪をかけた。そのあと自分にもかける。私は薄絹の部屋着に。レイジェス様は寝巻きになった。
「これは人にもかけれるのか。便利だな」
「どうせ寝台に行ったら脱いじゃうでしょ? 解除すれば丸裸ですから」
レイジェス様が私も覚えたいと言った。無理ですから、こればっかりは。
部屋に行ったあと、レイジェス様はドアに施錠魔術をして部屋全体に防音の魔術を掛けた。
私は先に寝台に行ってお布団の中に入ってから神呪を解除した。レイジェス様が寝台に入ってきて布団を捲ると私がもう裸だったので拍子抜けしてた。
「最初は簡単で良いと思ってたが、脱がす楽しみが無いのか…」
と真剣な顔で言うから可笑しくなって笑った。そしてレイジェス様の神呪も解除する。シュッという音と共にすっぽんぽんにされたレイジェス様が可愛い。
私が笑ってばかりいるせいかレイジェス様は機嫌が良くなってきたようだ。
なのでここで切り込む。
「さっきのヒューイット様が口付けしかしてないって話しはどういう過程でなされたのでしょうか?」
私は極力自分の気持ちを抑えて、笑顔で聞いている。
「あれは…確か、朝、目が覚めたらリアがいなかった時、天界に行ってしまった時だ。ヒューイットが私に本を持って来てくれて、私が元気が無かったからか話を聞いてやると言われた。」
む。恋愛相談で男と女の関係になるって話、週刊誌で見た記憶が。
「で? 何を話されたのです?」
「大体君の事だ。愛撫したとか液でどろどろにしたとか、極みに導いたとか」
「はっ?? 今なんておっしゃいました??」
「愛撫したとか液でどろどろにしたとか、極みに導いたとか。と言った」
私はこめかみを押さえた。
「なんでそんなことを…?」
「リアが出て行った理由を知りたかった。同じ女なら分かるかと思って聞いた。その時に自分がしてきた君へのことを話した。誰かに責めて欲しかったのかも知れない」
あ、そっか、あの時って極みを知った後だったから…そのせいでショックに思ってってレイジェス様は思ってたんだっけ…。
「で? なぜそこでヒューイット様のことが?」
「いや、私が話しにくい事を話してくれたからと、自分も話しにくいことを話すと言ってレンブラントとの事を言い出した。やつはヒューイットに閨事をダメと言われて、いいと言われるまで待っているそうだ。…それでリアはまだ小さいのに行動が早すぎるとか焦りすぎみたいな事を言われた」
「へ~なるほど」
私は一つ疑問が浮かんだ。お互い好きあっているから婚約したんだろうけど、年齢も二人共大人だし問題ないのに何で求められてダメだと言のかな…?
「分かってくれたか?」
「はい。でも不思議な事があります」
「なんだ?」
「ヒューイット様は大人の女性ですし、二人は愛し合っているのに、何故拒むのでしょう? 婚約もしていますよね?」
「う~ん…ヒューイットが言うには未知の事を知るのは怖いと言っていたぞ」
「わたくしとヒューイット様では考え方が違う様ですね。わたくしなんて早く大人になりたいのに。子供じゃできない事が多すぎますもの」
「ヒューイットは大人の女性だが奥手だな。逆にリアは子供だが欲望に純粋だ」
「こんなわたくしは…お嫌いですか…?」
レイジェス様をぎゅっとしてみる。
「普段は天真爛漫に笑顔を振りまいている貞淑なリアが、夜になると私が欲しいと涙目で求めて来るんだぞ? 理性も吹っ飛ぶくらい私はリアに夢中だ…分かってるくせに言わせるな」
「えへへ~」
もう一度ぎゅっとしてほっぺにちゅっとした。
「わかってても言って欲しい物なんですよ。女の子は」
そう言うと頭を撫でられた。
「ヒューイットが君を、夢見る女の子でロマンティストと言っていた。本当だな」
「あのね? レイジェス様」
「なんだ?」
「大きなお世話かもしれませんけど、ヒューイット様はレイジェス様の事、好きだと思いますよ?」
「は? ヒューイットが? リアまでそんなこと言うのか?」
「みんながそう言うって事はそうなんですよ。自覚しましょう?」
「そうは言うが、色仕掛けなどされていないぞ?」
「好きになっても色仕掛けしない女性もいますから。どんだけハズレ引いてるんですか…」
「特に好きだとも言われてないぞ?」
「じゃあ、ボディタッチされてないですか? 例えば腕とか、肩とか、結構触られてません?」
と聞くと暫く考えてから固まった。
どうやら記憶にあるらしい。
「確かに、触られているかも」
「だが、じゃあ城に誘ったらあの二人、一緒の部屋でいいって言ったぞ? それはどういう事だ?」
「さぁ? わたくしにはわかりません。ヒューイット様とわたくしでは相当考え方が違うと思うので参考にならないかもです。もしかしてあの二人上手く行ってないのでは?」
「う~ん、そうかもな。職場で私とヒューイットが噂になってからレンブラントの様子がおかしくなって、だから今回二人の仲直りも兼ねて招待したつもりだったんだが…」
「職場でレイジェス様とヒューイット様が噂に? わたくしショックです。きっと裏切られた婚約者とかって皆様に馬鹿にされてます」
しょぼんとしていたらすまぬ。と謝られた。噂をいう人が悪いんだけど…。
「でも職場恋愛って面倒ですね。二人が別れた場合どうなるのですか?」
「別にどうにもならない。今まで通り働いてもらう」
「それ、きっつ! もし、の話ですが、もしヒューイット様に告白されたら、レイジェス様どうします?」
「え? 断る。リアがいるんだから当然じゃないか」
即答だった。悩まないのか?
「断ったあとも同じ職場ですよね? やりにくくないですか?」
「私は別になんとも思わない。ヒューイットはやりずらいかもな? 婚約者もいるしな。あ、私に告白するなら婚約は解消してるのか? よくわからんな…ヒューイットに女として興味ないからな」
「わたくし…あまりレイジェス様の女性関係をとやかく言いたくないのですが、エメラダ様の件があるので真面目に聞いて欲しいです」
そう言うとレイジェス様は真剣な顔をした。
「先程レイジェス様がわたくしを膝に乗せて太ももを撫でているとき、ヒューイット様に凄く睨まれました。それは怖い位でした。レイジェス様がきちんとヒューイット様に対応しないと…もしかして今度はわたくし、本当に死んでしまうかも知れませんよ?」
その話を聞いてレイジェス様の顔が歪んだ。
「今はまだ大丈夫だと思いますけど、領地にいらっしゃるならその時にでもきちんとお話したほうが良いと思います」
レイジェス様は私を強く抱きしめた。
「あんな事は二度と起こさせない。君は私が守る!!」
その日は閨事をお互いする気になれず抱き合って眠った。レイジェス様の胸の中は温かくて居心地が良かった。
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