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第五章
13 白紙の手紙
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土の日の朝、食堂で朝食を終えるとセバスが言った。
「先程、コモン様から通信連絡がございまして、旦那様に相談したいことがあり、これから伺うとの事でしたが?」
「相談? 内容は聞いたのか?」
「エリザベス様の事だそうです。なので、シエラ様も一緒にいらっしゃるとの事でした」
「エリザベス様? ……だが、今はアズライル様がいらっしゃっている、こんな時にあいつをこの屋敷に通すと言うのか? 断れ」
「あら、別に良いじゃありませんか。わたくしだって、お友達のシエラ様を父神様に紹介出来ますし」
「ん? アリアの友人が来るのか? 楽しみにしておるぞ」
「ほら、こう言ってますでしょ?」
「……まったく。アズライル様がここにいると知られてみろ? 色々な者達がこの屋敷に押しかけるぞ!」
「え~? コモン様はそんなに口の軽い方では無いと思いますけど?」
レイジェス様はこめかみを押さえていたけど、コモン様の訪問を受け入れると決めた様で、談話室の用意をするようにセバスに言ってトウミ紅茶を飲んでいた。
1刻ほどするとコモン様とシエラ様が到着し、玄関にお迎えに出た。父神様も興味津々で私の後ろに付いてくる。
玄関の扉をセバスが開くとコモン様とシェラ様が一緒に入って来た。後ろには執事のメルヴィンが控えている。
「やぁ、レイジェス、急で悪かったな」
「ああ、本当にだ」
「まぁ、そう怒るなよ」
そう言って、私の後ろの父神様を見たコモン様が固まっていた。
「な、何だ!? この光は!?」
「アリアの父上、アズライル様だ」
「なっ、何だと!?」
父神様の前で固まっているコモン様を横目で見ると、シエラ様がドレスの裾を持ち優雅に挨拶をした。
「アリア様とはいつも仲良くさせて頂いております、わたくしはシエラ=リッツと申します。年齢はアリア様と同じ8歳でございます。アズライル様のお話は以前からアリア様に聞いております。いつもわたくし達、人の子らを見守ってくださり、ありがとうございます」
「ふむ。そなたに祝福を」
父神様はシエラ様の頭の上に手を置き、何か呟いた。すると、父神様の手から7色の小さな光がほわっと湧き出て、シエラ様の体の周りとぐるぐる廻ったと思った瞬間、すっとシエラ様の体の中に光は吸い込まれて消えた。
「なっ、なんだ? 今の光は何だよっ!? シエラ大丈夫か!?」
「我はアリアの友人であるその娘に祝福を授けただけだ。何も悪いことはしていない」
「祝福?」
私が聞くと父神様は頷いた。
「ステータスを確認せよ。特殊スキルが増えているはずだ」
シエラ様がステータスウィンドウを開いて確認していると、驚いた顔をしていた。
「『真贋の瞳』って言う特殊スキルが増えております……」
「ほぅ、人間に祝福を与える場合、その能力を我は選べない。その者の性格や能力に合ったものが自動で付与される。『真贋の瞳』は真か嘘か見抜ける能力。その能力はオン、オフが出来る、いらぬ時はオフにしておけ」
「ありがとうございます」
シエラ様は深々とお辞儀をして後ろに下がった。
「しかし、そなたの妻は良く出来ているな? 幼い割りに」
父神様はコモン様に向いて呆れて言った。
「あっ! し、失礼いたしましたっ! 私はコモン=エルサレム、先日侯爵になりました。レイジェスとは学生時代からの友人です。よろしくお願いします!」
「ふむ。そなたに祝福はいらんな」
「な、何故ですか!?」
「アリアの友人になら祝福を授ける気になるが……娘婿の友人になど、祝福を与える気にもならん」
「が~ん」
「ではな、我は部屋に行く」
父神様はそのまま自分のお部屋に行ってしまった。
「しかし、かなり驚いたな、アズライル様がいるとは」
「コモン、お前、言い触らすなよ?」
「言わない言わない、当たり前じゃないか! って、言っても誰も信じないよっ! 俺なんか、現実で見ても信じられないのにっ!」
「お顔が拝見できませんでしたね、光っていて」
「昨日より光が落ち着いているので、地上に何日もいるとお顔が拝見出来る様になると思いますよ。父神様はとても綺麗なお顔をしているのです」
「あら、では、お帰りになるまえにもう一度お会いしたいですわ」
シエラ様が父神様に興味を持ってくれたので、嬉しくなった。
「ええ!」
「立ち話も何だ、話の続きは談話室でな」
レイジェス様が三人を談話室に案内した。私の後ろからワゴンの上にテイィーセットを乗せたセバスも付いて来た。
談話室に入ると、二人は暖炉前のお客様用の長椅子に座った。メルヴィンはシエラ様の隣に立っている。いつも使用しているお客様用の個人椅子は下げられて室内の奥の方に置かれていた。
レイジェス様も暖炉前の左の長椅子に座った。
「で、どうしたんだ?」
「公爵様、わたくしが説明いたしますね」
シエラ様はグレーロック城から帰宅したあと、何度かエリザベス様に手紙を出しても返事が一度も貰えず、気になっていたそうだった。それを気にした執事のメルヴィンがカートラット伯の邸宅前で返事を待っていた所、渡されたのが白紙の手紙だったという事だった。
「その手紙は今、お持ちですか?」
「ええ。メルヴィン、出して頂戴」
メルヴィンは執事服の胸ポケットから手紙を出すとレイジェス様に渡した。
「こちらです」
レイジェス様は光に紙を透かしたり、裏返しにしたりしたけれど、それは何も書いていないただの白い紙だった。
「少し紙が汚れている気はするが、何も書いてはいないな? どういうつもりでこの手紙を渡したんだ……?」
「封筒には蝋印の下にエリザベス様のお名前がサインしてありました。文字の感じからして、本人が書かれたと思うんです」
「……たぶん、何かを伝えたかったんだろうが、これでは何も分からん……」
私もその手紙を見たくてレイジェス様に近づくと、ほのかにその手紙から柑橘系の香りがした。それはキップルの匂いだった。
「もし、何かを伝えてたくても、手紙の内容を他の人に見られたくない場合もありますよね?」
私がそう言うとレイジェス様が眉を顰めた。
「誰に見られたくないと言うんだ?」
「いえ、何となく思ったんですけど、グレーロック城から帰ってくるまでは普通にお手紙のやりとりをしていたんですよね? シエラ様」
「ええ」
「ケンカもしてません?」
「ええ、もちろん、もししていたらアリア様に言うでしょ?」
「ですよね~!」
セバスが紅茶を皆さんに配った。
「もしかして、わたくしとシエラ様はエリザベス様のお父上様に『付き合っちゃいけない子認定』されていたかも知れません」
「ええっ? それってどういう事?」
「だって、わたくし達二人とも大人の男性と婚約しているじゃないですか? で、エリザベス様はわたくし達の事、『羨ましい』って言ってたでしょ?」
「そう言えば、言ってましたね」
「グレーロック城に行くとき、実はレイジェス様はエリザベス様にも招待状を出していたんですよ? でもお父上様のカートラット伯爵様にお断りされたそうです」
「ああ、そうだった。私の名前で招待状を出したが、内容は君の友達として来てほしいと、誤解の無い様に書いたつもりだが?」
「でも、もしかしたら、カートラット伯爵様は御自分の娘がロリコン達の餌食になる! と思ったかも知れませんね?」
「失敬な」
レイジェス様がむっとしたのでお膝をぽんぽんと軽く叩いた。
「エリザベス様の性格だと、もしかしたら、御自分も素敵な婚約者が欲しいとお父上様に言っちゃったかも知れません。それで、手紙の返事を書かせないように制限したのかな? と思ったんですよね。でも、エルサレム侯爵家の執事に手紙を下さいと待っていられて渡さないわけにも行かないから、許可が下りて手紙を渡せたんじゃないですか?」
「アリアちゃん凄い! 探偵みたい!」
コモン様は私を茶化して軽く言ったけど、シエラ様は私の推理に『それは有り得ますね』と頷いている。
「だが、渡された手紙が白紙だぞ? これにどんな意味があるのか」
「単に、他の人が手紙を検閲しても読めないようにしたんじゃ? 今閉じ込められてるんですよね? 『助けて』なんて書いてあるのがばれたら、手紙自体渡して貰えないでしょ? 封を切られてない所を考えると……手紙の中を封を開けずに読む方法って魔法であるのかしら?」
「光属性の生活魔法であるな」
「やっぱり……じゃあ、この手紙をこれから読みましょう」
「白紙で読めないだろうが」
「読める方法がありますよ。セバス、厨房から熱したフライパンを持って来て? 急いでね?」
「熱したフライパン? 承知しました」
セバスがフライパンを取りに行ったあと、私は談話室の隅にあるチェストの中からリバーシの盤を持って来てみんなが集まっている応接テーブルに裏返しにして乗せた。
「えっ、何をやるの?」
コモン様が興味津々で見ている。
「まだ内緒です」
「君のやろうとしてる事が全く分からん」
「レイジェス様は頭が固すぎるんですよ~」
私は紅茶を飲んでまったりセバスを待った。暫くしてセバスが熱せられたフライパンを持って現れた。
私は白紙の手紙をリバーシの台に乗せ、セバスにそこにフライパンを置いて貰った。
二分程してからセバスにフライパンを持ち上げて貰い、二枚目を置いて、またセバスにフライパンを置いて貰う。
一枚目を見せた時、皆驚いていた。
「「「「文字が!」」」」
「何故文字が書かれているんだ!?」
レイジェス様が驚いていたので種明かしをする事にした。
「手紙から柑橘系のキップルの匂いがしたんです。柑橘系の汁は紙に染み込ませて熱を加えると、絵とか描けるのをわたくしは知ってたので。エリザベス様も学校に通われている方ですから、そういう事を理科の時間とかで学んでいたかも? と思ったんですよね」
「匂いで分かるとは……君は犬かっ!」
ああ、それ、前にも言われた様な?
私はさくっと手紙を読んでから、皆も読めるようにテーブルに置いた
手紙にはこう書かれていた。
親愛なるシエラ様へ
シエラ様、お手紙ありがとう。でも、返事が書けなくてごめんなさい。
わたくしは今、お屋敷の地下室に閉じ込められています。
何故かと言うと、わたくしの父上、カートラット伯爵は、実はわたくしの本当のお父様では無かったのです。わたくしは貰われ子でした。
それだけなら、まだそれほどショックでは無いのです。
お父様はわたくしに、とても優しくしてくれましたから。
ただ、わたくしがショックなのは……わたくしのお父様が何故わたくしを貰ったかというと、それはわたくしを『花嫁』にする為だと言ったのです。
お父様は少女が好きな少女趣味性癖の持ち主でした。
10歳前後位の少女一番が好みで、わたくしは約一週間後に11歳の誕生日を迎えます。
その時に婚姻の儀をすると言うのです。
それって何だか分かります? 『蜜花を奪う』って事なんです!
それは犯罪よね!?
わたくしはずっと、お父様を父としてしか見ていませんでした。
そんなの絶対無理!
どうか、この手紙を読んで、わたくしを助けて!
婚姻の儀の事はお屋敷の者も、上の二人のお兄様も知っていて、誰もわたくしを助けてくれません。(三番目のお兄様と四番目のお兄様は離れの別館に住んでいるので、この事は知らないと思います)
どうか、この哀れなわたくしを助けて下さい!
あなたの友人エリザベスより。
「これは……師団案件、いや、幼児福祉課の案件か」
「エリザベスちゃん、とんでもない事になってたんだ……」
「どうしましょう、心配です……」
「取りあえず、一週間後に婚姻の儀をするっていうなら、早く助けないと傷物になっちゃう!」
私が焦っているとレイジェス様がすっと席を立った。
「幼児福祉課の課長に通信連絡をしてくる」
レイジェス様はそう言うと、セバスと一緒に談話室から出て行った。
暫くするとレイジェス様は見た事のない男の人を連れてきた。
「アリア、紹介する、幼児福祉課の課長、ギデオン=プレイステッド侯爵だ」
「初めまして、お噂はかねがね伺っております。私はギデオン=プレイステッド、年齢は34歳です」
「初めまして、アリア=アズライル、8歳です」
私はぺこりとお辞儀した。
ギデオン様は薄い紫色のうねった髪を後ろに纏めていた。長さは背中の半分くらいだろうか。瞳は鮮やかな赤い色で、服装はレイジェス様の内勤用のローブと模様が同じだが、色がアイボリーだった。ちなみにレイジェス様のは黒。
「通信で連絡を取ったら屋敷にはいない、城にいると言われて、城にゲートで行ったら居たから連れて来た」
「え、もしかして、また休みなのに仕事をしていたのか?」
とコモン様が親しげに話しかけている。
「まぁ、性分でね。休日は特に事件が起き易い、こんな風にね。今日は私が当番でしたが、明日はきちんと休みますよ?」
「そうか、子供達の為に働くのはいいが、体もちゃんと休めろよ」
「ああ」
珍しくコモン様がまともな事を言っていた。
「で、手紙と言うのは?」
私はギデオン様に手紙を渡した。
「これは……早急にこの子を保護しなければいけませんね」
「しかし、カートラット伯爵は今の所エリザベス様を地下室に閉じ込めているだけだが、成立する罪状は監禁罪位か?」
「アルフォード公爵様の言うとおり、難しいですね。取りあえず、少女の保護を最優先で、付けられる罪状は『監禁罪』、『誘拐罪』でしょうか。誘拐罪については養子縁組をしていたり、養育権を保有してる場合は罪に問えません。監禁罪は一週間程度の牢屋入りですが、退出金を払えば牢屋入りせずに済みます。結構な金額ですが、カートラット伯爵ならすぐ払える額です」
「エリザベス様はどうなるの?」
シエラ様が心配して聞くとギデオン様は複雑な顔をした。
「カートラット伯爵邸から救出した後は、私が運営している孤児院にて生活して頂く事になります」
「その孤児院は貴族の方用なんですか?」
「いえ……、平民しかおりません」
「そんな中にエリザベス様を!?」
シエラ様が驚いている。
平民と一緒って、そんなにダメな事なの? あ、そう言えば、エリザベス様と初めて会った時の事を思い出した。平民なのっ!? って、私の事を凄く怒ってた様に思う。エリザベス様が凄く差別意識があるのは分かってたけど、シエラ様までとは思わなかった。少し驚いた。
「しかし、このまま放置しておくわけには行きませんし……」
「うちのお屋敷に置いてあげるわけには行かないかしら? ねぇ、コモン様」
「う~ん、俺は反対だな。うちの屋敷に置くのは。エリザベスちゃんをカートラット伯爵から離すって事は、もう彼女は伯爵令嬢じゃなくなるって事だよ? シエラ、あのプライドの高そうなエリザベスちゃんが、君の情けで俺の屋敷に置いて貰うなんて、絶対納得しないよ。それに、俺たちの秘密もばれちゃうかも知れない。アリアちゃんには知られて平気かも知れないけど、エリザベスちゃんにまで知られてもいいの?」
「……」
シエラ様は黙ってしまった。
「私も私の屋敷に彼女を置くことは許さないぞ?」
まだ何も言ってないのに、レイジェス様に反対された。
「彼女の身の安全を考えると、救出は必ずしなくてはいけません。救出後は申し訳ないが、やはり孤児院で生活して頂く事になるでしょう。では、これから少女の強制保護の書類を作り、強制捜査をやりますが、何せ休日なもので人手が足りないのですが……?」
ギデオン様がレイジェス様とコモン様を見た。
「やるに決まってるでしょ! ここまで首突っ込んじゃったんだから」
「まぁ、師団案件でもあるしな。カートラット伯爵には、私も個人的に色々聞きたい事がある。手伝おう」
何だかレイジェス様の顔が怖い。あの顔は悪いことを考えてる顔だ。
ギデオン様、レイジェス様、コモン様に続いてセバスまで出て行ってしまった。
メルヴィンはシエラ様をお屋敷に帰らせる為に残った様だった。
「それでは、わたくしそろそろお暇します」
「あら」
「突然お邪魔して申し訳ありませんでした。でも、やっぱりアリア様の所に相談に来て良かったわ」
「そう言ってもらえると嬉しいです」
「ではまたね」
「はい、また」
私は二人を玄関で見送った。
「先程、コモン様から通信連絡がございまして、旦那様に相談したいことがあり、これから伺うとの事でしたが?」
「相談? 内容は聞いたのか?」
「エリザベス様の事だそうです。なので、シエラ様も一緒にいらっしゃるとの事でした」
「エリザベス様? ……だが、今はアズライル様がいらっしゃっている、こんな時にあいつをこの屋敷に通すと言うのか? 断れ」
「あら、別に良いじゃありませんか。わたくしだって、お友達のシエラ様を父神様に紹介出来ますし」
「ん? アリアの友人が来るのか? 楽しみにしておるぞ」
「ほら、こう言ってますでしょ?」
「……まったく。アズライル様がここにいると知られてみろ? 色々な者達がこの屋敷に押しかけるぞ!」
「え~? コモン様はそんなに口の軽い方では無いと思いますけど?」
レイジェス様はこめかみを押さえていたけど、コモン様の訪問を受け入れると決めた様で、談話室の用意をするようにセバスに言ってトウミ紅茶を飲んでいた。
1刻ほどするとコモン様とシエラ様が到着し、玄関にお迎えに出た。父神様も興味津々で私の後ろに付いてくる。
玄関の扉をセバスが開くとコモン様とシェラ様が一緒に入って来た。後ろには執事のメルヴィンが控えている。
「やぁ、レイジェス、急で悪かったな」
「ああ、本当にだ」
「まぁ、そう怒るなよ」
そう言って、私の後ろの父神様を見たコモン様が固まっていた。
「な、何だ!? この光は!?」
「アリアの父上、アズライル様だ」
「なっ、何だと!?」
父神様の前で固まっているコモン様を横目で見ると、シエラ様がドレスの裾を持ち優雅に挨拶をした。
「アリア様とはいつも仲良くさせて頂いております、わたくしはシエラ=リッツと申します。年齢はアリア様と同じ8歳でございます。アズライル様のお話は以前からアリア様に聞いております。いつもわたくし達、人の子らを見守ってくださり、ありがとうございます」
「ふむ。そなたに祝福を」
父神様はシエラ様の頭の上に手を置き、何か呟いた。すると、父神様の手から7色の小さな光がほわっと湧き出て、シエラ様の体の周りとぐるぐる廻ったと思った瞬間、すっとシエラ様の体の中に光は吸い込まれて消えた。
「なっ、なんだ? 今の光は何だよっ!? シエラ大丈夫か!?」
「我はアリアの友人であるその娘に祝福を授けただけだ。何も悪いことはしていない」
「祝福?」
私が聞くと父神様は頷いた。
「ステータスを確認せよ。特殊スキルが増えているはずだ」
シエラ様がステータスウィンドウを開いて確認していると、驚いた顔をしていた。
「『真贋の瞳』って言う特殊スキルが増えております……」
「ほぅ、人間に祝福を与える場合、その能力を我は選べない。その者の性格や能力に合ったものが自動で付与される。『真贋の瞳』は真か嘘か見抜ける能力。その能力はオン、オフが出来る、いらぬ時はオフにしておけ」
「ありがとうございます」
シエラ様は深々とお辞儀をして後ろに下がった。
「しかし、そなたの妻は良く出来ているな? 幼い割りに」
父神様はコモン様に向いて呆れて言った。
「あっ! し、失礼いたしましたっ! 私はコモン=エルサレム、先日侯爵になりました。レイジェスとは学生時代からの友人です。よろしくお願いします!」
「ふむ。そなたに祝福はいらんな」
「な、何故ですか!?」
「アリアの友人になら祝福を授ける気になるが……娘婿の友人になど、祝福を与える気にもならん」
「が~ん」
「ではな、我は部屋に行く」
父神様はそのまま自分のお部屋に行ってしまった。
「しかし、かなり驚いたな、アズライル様がいるとは」
「コモン、お前、言い触らすなよ?」
「言わない言わない、当たり前じゃないか! って、言っても誰も信じないよっ! 俺なんか、現実で見ても信じられないのにっ!」
「お顔が拝見できませんでしたね、光っていて」
「昨日より光が落ち着いているので、地上に何日もいるとお顔が拝見出来る様になると思いますよ。父神様はとても綺麗なお顔をしているのです」
「あら、では、お帰りになるまえにもう一度お会いしたいですわ」
シエラ様が父神様に興味を持ってくれたので、嬉しくなった。
「ええ!」
「立ち話も何だ、話の続きは談話室でな」
レイジェス様が三人を談話室に案内した。私の後ろからワゴンの上にテイィーセットを乗せたセバスも付いて来た。
談話室に入ると、二人は暖炉前のお客様用の長椅子に座った。メルヴィンはシエラ様の隣に立っている。いつも使用しているお客様用の個人椅子は下げられて室内の奥の方に置かれていた。
レイジェス様も暖炉前の左の長椅子に座った。
「で、どうしたんだ?」
「公爵様、わたくしが説明いたしますね」
シエラ様はグレーロック城から帰宅したあと、何度かエリザベス様に手紙を出しても返事が一度も貰えず、気になっていたそうだった。それを気にした執事のメルヴィンがカートラット伯の邸宅前で返事を待っていた所、渡されたのが白紙の手紙だったという事だった。
「その手紙は今、お持ちですか?」
「ええ。メルヴィン、出して頂戴」
メルヴィンは執事服の胸ポケットから手紙を出すとレイジェス様に渡した。
「こちらです」
レイジェス様は光に紙を透かしたり、裏返しにしたりしたけれど、それは何も書いていないただの白い紙だった。
「少し紙が汚れている気はするが、何も書いてはいないな? どういうつもりでこの手紙を渡したんだ……?」
「封筒には蝋印の下にエリザベス様のお名前がサインしてありました。文字の感じからして、本人が書かれたと思うんです」
「……たぶん、何かを伝えたかったんだろうが、これでは何も分からん……」
私もその手紙を見たくてレイジェス様に近づくと、ほのかにその手紙から柑橘系の香りがした。それはキップルの匂いだった。
「もし、何かを伝えてたくても、手紙の内容を他の人に見られたくない場合もありますよね?」
私がそう言うとレイジェス様が眉を顰めた。
「誰に見られたくないと言うんだ?」
「いえ、何となく思ったんですけど、グレーロック城から帰ってくるまでは普通にお手紙のやりとりをしていたんですよね? シエラ様」
「ええ」
「ケンカもしてません?」
「ええ、もちろん、もししていたらアリア様に言うでしょ?」
「ですよね~!」
セバスが紅茶を皆さんに配った。
「もしかして、わたくしとシエラ様はエリザベス様のお父上様に『付き合っちゃいけない子認定』されていたかも知れません」
「ええっ? それってどういう事?」
「だって、わたくし達二人とも大人の男性と婚約しているじゃないですか? で、エリザベス様はわたくし達の事、『羨ましい』って言ってたでしょ?」
「そう言えば、言ってましたね」
「グレーロック城に行くとき、実はレイジェス様はエリザベス様にも招待状を出していたんですよ? でもお父上様のカートラット伯爵様にお断りされたそうです」
「ああ、そうだった。私の名前で招待状を出したが、内容は君の友達として来てほしいと、誤解の無い様に書いたつもりだが?」
「でも、もしかしたら、カートラット伯爵様は御自分の娘がロリコン達の餌食になる! と思ったかも知れませんね?」
「失敬な」
レイジェス様がむっとしたのでお膝をぽんぽんと軽く叩いた。
「エリザベス様の性格だと、もしかしたら、御自分も素敵な婚約者が欲しいとお父上様に言っちゃったかも知れません。それで、手紙の返事を書かせないように制限したのかな? と思ったんですよね。でも、エルサレム侯爵家の執事に手紙を下さいと待っていられて渡さないわけにも行かないから、許可が下りて手紙を渡せたんじゃないですか?」
「アリアちゃん凄い! 探偵みたい!」
コモン様は私を茶化して軽く言ったけど、シエラ様は私の推理に『それは有り得ますね』と頷いている。
「だが、渡された手紙が白紙だぞ? これにどんな意味があるのか」
「単に、他の人が手紙を検閲しても読めないようにしたんじゃ? 今閉じ込められてるんですよね? 『助けて』なんて書いてあるのがばれたら、手紙自体渡して貰えないでしょ? 封を切られてない所を考えると……手紙の中を封を開けずに読む方法って魔法であるのかしら?」
「光属性の生活魔法であるな」
「やっぱり……じゃあ、この手紙をこれから読みましょう」
「白紙で読めないだろうが」
「読める方法がありますよ。セバス、厨房から熱したフライパンを持って来て? 急いでね?」
「熱したフライパン? 承知しました」
セバスがフライパンを取りに行ったあと、私は談話室の隅にあるチェストの中からリバーシの盤を持って来てみんなが集まっている応接テーブルに裏返しにして乗せた。
「えっ、何をやるの?」
コモン様が興味津々で見ている。
「まだ内緒です」
「君のやろうとしてる事が全く分からん」
「レイジェス様は頭が固すぎるんですよ~」
私は紅茶を飲んでまったりセバスを待った。暫くしてセバスが熱せられたフライパンを持って現れた。
私は白紙の手紙をリバーシの台に乗せ、セバスにそこにフライパンを置いて貰った。
二分程してからセバスにフライパンを持ち上げて貰い、二枚目を置いて、またセバスにフライパンを置いて貰う。
一枚目を見せた時、皆驚いていた。
「「「「文字が!」」」」
「何故文字が書かれているんだ!?」
レイジェス様が驚いていたので種明かしをする事にした。
「手紙から柑橘系のキップルの匂いがしたんです。柑橘系の汁は紙に染み込ませて熱を加えると、絵とか描けるのをわたくしは知ってたので。エリザベス様も学校に通われている方ですから、そういう事を理科の時間とかで学んでいたかも? と思ったんですよね」
「匂いで分かるとは……君は犬かっ!」
ああ、それ、前にも言われた様な?
私はさくっと手紙を読んでから、皆も読めるようにテーブルに置いた
手紙にはこう書かれていた。
親愛なるシエラ様へ
シエラ様、お手紙ありがとう。でも、返事が書けなくてごめんなさい。
わたくしは今、お屋敷の地下室に閉じ込められています。
何故かと言うと、わたくしの父上、カートラット伯爵は、実はわたくしの本当のお父様では無かったのです。わたくしは貰われ子でした。
それだけなら、まだそれほどショックでは無いのです。
お父様はわたくしに、とても優しくしてくれましたから。
ただ、わたくしがショックなのは……わたくしのお父様が何故わたくしを貰ったかというと、それはわたくしを『花嫁』にする為だと言ったのです。
お父様は少女が好きな少女趣味性癖の持ち主でした。
10歳前後位の少女一番が好みで、わたくしは約一週間後に11歳の誕生日を迎えます。
その時に婚姻の儀をすると言うのです。
それって何だか分かります? 『蜜花を奪う』って事なんです!
それは犯罪よね!?
わたくしはずっと、お父様を父としてしか見ていませんでした。
そんなの絶対無理!
どうか、この手紙を読んで、わたくしを助けて!
婚姻の儀の事はお屋敷の者も、上の二人のお兄様も知っていて、誰もわたくしを助けてくれません。(三番目のお兄様と四番目のお兄様は離れの別館に住んでいるので、この事は知らないと思います)
どうか、この哀れなわたくしを助けて下さい!
あなたの友人エリザベスより。
「これは……師団案件、いや、幼児福祉課の案件か」
「エリザベスちゃん、とんでもない事になってたんだ……」
「どうしましょう、心配です……」
「取りあえず、一週間後に婚姻の儀をするっていうなら、早く助けないと傷物になっちゃう!」
私が焦っているとレイジェス様がすっと席を立った。
「幼児福祉課の課長に通信連絡をしてくる」
レイジェス様はそう言うと、セバスと一緒に談話室から出て行った。
暫くするとレイジェス様は見た事のない男の人を連れてきた。
「アリア、紹介する、幼児福祉課の課長、ギデオン=プレイステッド侯爵だ」
「初めまして、お噂はかねがね伺っております。私はギデオン=プレイステッド、年齢は34歳です」
「初めまして、アリア=アズライル、8歳です」
私はぺこりとお辞儀した。
ギデオン様は薄い紫色のうねった髪を後ろに纏めていた。長さは背中の半分くらいだろうか。瞳は鮮やかな赤い色で、服装はレイジェス様の内勤用のローブと模様が同じだが、色がアイボリーだった。ちなみにレイジェス様のは黒。
「通信で連絡を取ったら屋敷にはいない、城にいると言われて、城にゲートで行ったら居たから連れて来た」
「え、もしかして、また休みなのに仕事をしていたのか?」
とコモン様が親しげに話しかけている。
「まぁ、性分でね。休日は特に事件が起き易い、こんな風にね。今日は私が当番でしたが、明日はきちんと休みますよ?」
「そうか、子供達の為に働くのはいいが、体もちゃんと休めろよ」
「ああ」
珍しくコモン様がまともな事を言っていた。
「で、手紙と言うのは?」
私はギデオン様に手紙を渡した。
「これは……早急にこの子を保護しなければいけませんね」
「しかし、カートラット伯爵は今の所エリザベス様を地下室に閉じ込めているだけだが、成立する罪状は監禁罪位か?」
「アルフォード公爵様の言うとおり、難しいですね。取りあえず、少女の保護を最優先で、付けられる罪状は『監禁罪』、『誘拐罪』でしょうか。誘拐罪については養子縁組をしていたり、養育権を保有してる場合は罪に問えません。監禁罪は一週間程度の牢屋入りですが、退出金を払えば牢屋入りせずに済みます。結構な金額ですが、カートラット伯爵ならすぐ払える額です」
「エリザベス様はどうなるの?」
シエラ様が心配して聞くとギデオン様は複雑な顔をした。
「カートラット伯爵邸から救出した後は、私が運営している孤児院にて生活して頂く事になります」
「その孤児院は貴族の方用なんですか?」
「いえ……、平民しかおりません」
「そんな中にエリザベス様を!?」
シエラ様が驚いている。
平民と一緒って、そんなにダメな事なの? あ、そう言えば、エリザベス様と初めて会った時の事を思い出した。平民なのっ!? って、私の事を凄く怒ってた様に思う。エリザベス様が凄く差別意識があるのは分かってたけど、シエラ様までとは思わなかった。少し驚いた。
「しかし、このまま放置しておくわけには行きませんし……」
「うちのお屋敷に置いてあげるわけには行かないかしら? ねぇ、コモン様」
「う~ん、俺は反対だな。うちの屋敷に置くのは。エリザベスちゃんをカートラット伯爵から離すって事は、もう彼女は伯爵令嬢じゃなくなるって事だよ? シエラ、あのプライドの高そうなエリザベスちゃんが、君の情けで俺の屋敷に置いて貰うなんて、絶対納得しないよ。それに、俺たちの秘密もばれちゃうかも知れない。アリアちゃんには知られて平気かも知れないけど、エリザベスちゃんにまで知られてもいいの?」
「……」
シエラ様は黙ってしまった。
「私も私の屋敷に彼女を置くことは許さないぞ?」
まだ何も言ってないのに、レイジェス様に反対された。
「彼女の身の安全を考えると、救出は必ずしなくてはいけません。救出後は申し訳ないが、やはり孤児院で生活して頂く事になるでしょう。では、これから少女の強制保護の書類を作り、強制捜査をやりますが、何せ休日なもので人手が足りないのですが……?」
ギデオン様がレイジェス様とコモン様を見た。
「やるに決まってるでしょ! ここまで首突っ込んじゃったんだから」
「まぁ、師団案件でもあるしな。カートラット伯爵には、私も個人的に色々聞きたい事がある。手伝おう」
何だかレイジェス様の顔が怖い。あの顔は悪いことを考えてる顔だ。
ギデオン様、レイジェス様、コモン様に続いてセバスまで出て行ってしまった。
メルヴィンはシエラ様をお屋敷に帰らせる為に残った様だった。
「それでは、わたくしそろそろお暇します」
「あら」
「突然お邪魔して申し訳ありませんでした。でも、やっぱりアリア様の所に相談に来て良かったわ」
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「ではまたね」
「はい、また」
私は二人を玄関で見送った。
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