9 / 25
8 いきなり大っきいの来た!
しおりを挟む朝目覚めて、ダンジョンに行く準備をしていると、ソフィたんが起きてぷんぷんしていた。
「ペトラさん一人で行くつもりだったの?」
「そだよ? ダンジョンは強いモンスターが一杯いるからね、ソフィたんが行ったら怪我するかも知れないでしょ?」
「そぅだけど……」
どうやら、ソフィたんはお父さんに置いて行かれてから、ひとりになるのが嫌みたいだった。アクサナさんの事を聞きに行く時も『お父さんみたいにいなくならない?』って聞いてたし、不安なんだ。
「じゃあ、一緒に行く?」
「いいのっ!?」
「いいけど、装備買ってから行こう。ワンピースで行ったら即死だ」
「えっ、でも、お金……」
「お金の事は気にしなくていいよ? ダンジョン入ったついでに素材取ってきて売るから、お金はまだあるし困ってないからね」
「ありがとう、ペトラさん!」
「じゃあ、ソフィたんも顔洗って支度してきて?」
「は~い!」
支度をしたソフィたんと一緒に武器防具屋に来た。扉を開けるとカランコロンと鐘の音がした。
「いらっしゃい! おっ? ロリペド! 久しぶりだな!」
「その呼び方やめろっ! 私はペトロネラだ! ロリペドじゃねぇっ!」
「だってなぁ? そんな子を連れてたら言いたくもなるわな?」
店の親父の視線がソフィたんに向いていた。
「可愛いだろっ? 私の嫁だ! 昨日結婚した、新婚ほやほやだぜ? ご祝儀で安くしろ!」
「はぁああっ!? お前が結婚だと!? どうしちまったんだよ、おいっ!」
「運命の天使ちゃんに出逢っちゃったんだよ! もう、スィートハニー! マイエンジェル、ラァアアアアブッ! てな感じだ」
「キンモッ!」
「ってことで、うちの嫁さんの防具と武器、見繕ってくれ」
「お嬢ちゃん、ほんとにこんな変態ロリコン女と結婚しても良かったのかぁ? おじさん心配だぞ?」
「だ、だいじょぶ、ペトラさんは優しいから……」
言ったあと、ぽっと頬を染めた。なんて可愛いんじゃぁああっ!
親父もクラッと来ていた。
「おめぇもロリコンかっ!」
「ちげぇわっ! お前と一緒にすんなっ!」
親父は何だかんだ言いつつも防具を用意してくれた。
皮製で白い猫耳の付いた『ネコヘッド』、皮の長鎧で真ん中のファスナーで着脱簡単な『ネコボディ』これはケツに白い猫の尻尾みたいのが付いている。そして皮の黒い長靴『猫足』、それから、もふもふとした白い毛皮で覆われている『猫の手』内側にはピンクの肉球が付いている。武器は剣だと振り回したら危ないってことで、親父が魚型のひのきの棍棒をタダにしてくれた。
「これはなぁ、『猫セット』つってな、身に着けるとめちゃめちゃ可愛いんだ!」
「まぁな、ソフィたんの素材が良いからな! 完璧だなっ!」
二人でサムズアップした。
「じつよーせいはあるんでしょうか?」
「お、お嬢ちゃん、随分難しい言葉を知ってるんだね……?」
「お父さんが言ってた。『俺はCランクでめちゃめちゃ弱いから、防具は実用性で選ぶ!』って。防御力が高いのが良いんだって」
「おぅおぅ、その防具は皮の割りに結構強いぞ? lv10くらいのモンスターの攻撃にも耐えれるぞ!」
「う~ん……」
「どうしたロリペド?」
「一応もちっと安全も考えて手甲盾も欲しい」
「ほいよ」
親父は店の奥から小さな手甲盾を持って来てソフィたんに付けた。
「全部でいくらだ?」
「本当は10万ギルだが、サイズが小さくて捌けなかったブツだ、半額の5万ギルでいいぜ?」
「うい」
私は空間収納から布袋を出して親父に金を支払った。
「じゃあな、ありがとよ!」
「おぅ、たまには顔見せろ、またな」
ソフィたんと二人で店を出た。
「じゃ、ダンジョンまで歩くの遠いから、ダンジョン前にプレイスマーク付けてあるし、ゲートで行っちゃうかぁ」
「プレイスマーク?」
「ああ、移動のゲートの魔法を使うにはね、最初に行きたい場所に印を付けなきゃいけないんだ。その印の事を『プレイスマーク』って言うの」
「へ~じゃあ、ダンジョンの前に行けちゃうんだ?」
「そそ。じゃあ、開くよ?」
『ゲート! ダンジョン前!』
空間に黒い渦が巻いて裂け目のような扉が開いた。
そこにソフィたんと手を繋いだまま入った。
「はい、もう着きました~~」
「はやっ!」
「うぉおおおおい! 助けてくれえええええっ!」
ふと見ると、パーティをしていたのか7~8人程の冒険者達が凄い勢いで走ってきた。
「姉ちゃん、ここは危ねえぞ! 逃げろっ!!」
走り去った男が逃げ際に教えてくれて、何だろう? と思ったら、でっぷりと肥えた大きな蜘蛛が冒険者達を追いかけて来た。
その大きさ50メートル級。すげぇでかい。
「いきなり大っきいの来た!」
ソフィたんが見上げてびっくりして言った。
怖かったのか尻餅を付いて地べたに座っている。
他の冒険者達はこんな物を引き連れて来て処理もしないで逃げやがる。
「何て連中だ、MPKかよっ?」
あいつらが逃げ切ったせいで、大蜘蛛のターゲットはこっちに切り替わった。
ソフィたんにターゲットが行かないように前に出た。
「エンシェントキングスパイダーなんて、狩るのは久しぶりだな」
「ペトラさん、だいじょうぶ? あれ、強そうだよ?」
「大丈夫、ソフィたんはそこにいるように、怖くても木の陰とかに隠れないでね?見えないから。見晴らしのいいそこにいて」
「うん……ペトラさん、死んじゃ、やだよ?」
「大丈夫! はぁっ!」
言って即、タタタタタッと駆け出した。大蜘蛛の手前で勢い付けてジャンプ!
空中で背中に背負った大剣を握り締めた。大蜘蛛の足が私を襲う。それを一本、二本と切り落とした。そして蜘蛛の頭の上に着地と同時に力を込めて大剣をぶっ刺した。痛さで仰け反る大蜘蛛から振り落とされた。
もちろんくるりと回転して着地したからダメージは無い。
「どうしたおらっ! かかってこいよ!」
ソフィたんにターゲットが行かないように軽く挑発してやった。足を二本切られて相当むかついているようだ。私の所に加速して突っ込んでくる。
蜘蛛の動きは驚くほど早い。こんなにデカイのに、動きは俊敏だ。
足で引っ掻こうとして引っ込めた、さっき足を切られたのを学習したらしい。
ケツを向けて糸を吐き出してきた。
それを大剣で塞き止める。が、剣に糸が絡み、それを器用に引き寄せた大蜘蛛に剣を奪われてしまった。
「ペトラさんっ!」
「大きな声を出すなっ!! ターゲットになる!」
たかが大剣を奪われた位でこの私がやられるはずもない。
私は空間収納から細身の剣を取り出した。それを握り締める。
『サークルリングブレイド!』
大蜘蛛は光の輪の檻に閉じ込められて、幾つもの光の刃が大蜘蛛を微塵切りにして行く。もうそろそろトドメを刺すか。
タタタタタッと駆け、力強くジャンプした。
『ヘルフレイムソード!』
呪文を唱えると私の持っている魔剣に黒い炎が巻き付いた。煌々と燃え上がる黒い炎を纏った剣を、力強く大蜘蛛の胴体の魔石のある部分を狙って刺し込んだ。
「ギャアアアアアアアッ!!」
魔石を残して大蜘蛛は砂のように崩れ散った。私は糸で絡んでた大剣を取って、振って糸を落とした。大剣を背中に背負って魔剣を空間収納に仕舞った。
ソフィたんの頭ぐらいの大きさの魔石も空間収納に仕舞った。これ売ったら家買えるんじゃなかろうか? ソフィたんと持ち家で広いお風呂でラブラブライフッ!
ああ、めっちゃいい! 家買おう。
ソフィたんの所に行ったら腰が抜けていたらしくて、生まれたての子鹿のようにぷるぷるした足で立った。
「大丈夫?」
「な、なんにもしてなくて、ごめんなさい」
「最初はそんなもんだよ~」
足の振るえもすぐに治って、ダンジョンの入り口に行って驚いた。
10メートル位の結構大きい入り口ではあるんだけど、さっきの大蜘蛛が出て来たせいだろう、破壊されて入り口の形が歪んでいた。そこにもう一匹エンシェントキングスパイダーが器用に引っかかっていた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる