204 / 221
第206話 作戦会議
しおりを挟む
思わず口から魂が抜けるようなリアクションで、立ったまま虚空を見上げ、小さくため息をついて、向き直る。
大人として、ある程度向き合ってあげたいと思うのだ。
「私、こう見えても三十路で、大分年上なので、あなた方にはもっと年齢に見合うお相手がと言いたいところですが……」
しどろもどろに言い訳を口にする、視察の際、学校全体を一通り、クラスの授業風景とか見て回ったが、普通は居るだろうと思われる男性の姿がまったく目に入って無い。
男女比1/100と言うが、あくまで公称値で、実測値は1/1000、いや、1/10000ぐらいじゃあるまいな?
こちらを見る女子中学生達の目線には、何とも言えない不安げな祈りとか、そんなものが浮かんでいて、先ほどの爆弾を投げ込んだ当人すら、笑ってはいない、真面目にこちらの言葉を聞いて吟味する構えに見える。
騙されているならそこまでなのだが……
「今、貴女方に、お相手の男性は居ない?」
皆が神妙に肯く。
「これを逃すと、後が無いと思う?」
頷く。
「本気で?」
頷く……
「ふはぁ…………………………」
思わずため息が漏れた。
「後で、アンケートでも出しましょう、一旦持って帰って考えさせていただきます!」
捨て台詞にそんな事を言って、一時撤退を決め込んだ。
流石に即決の一括でこの体育館に居る在校生と教職員含めて300人超を受け入れ表明何て、色々準備が足りていない。
舞台裏に引っ込んだ瞬間、力が抜けてがくりと、心情的には布団とかにバターンと倒れたい気分で脱力した。
「おっと危ない」
ハクトとオジロが両側で受け止めてくれる。 耳には、締めの挨拶とかをしている声が聞こえる。 ぱちぱちと妙に大きい拍手とかも聞こえているが、いったい何に対する拍手なのやら。
「あれだけの人数相手に、アレはきついですよねえ……」
あの人数にくそでか感情をぶち込まれて対峙すると考えると、流石に重い。
「ええ、流石に……」
「ですよね……」
「でも、断る気自体はあんまり無いんですよね?」
「バレましたか」
この世界の常識的には断っても良いんでしょうけど……
「多分、ヤタ婆的に、最終的には地域婚とかも許すつもりだろうから、平気ではあると思われますけど……」
「段階は踏めってヤツですし」
「順番ってヤツが有りますし」
「スジは通してもらわないと」
ハクト、オジロ、ハチクマと、順にアレコレと不満を口にする、何処となくやくざ的な雰囲気とか感じられる。
「間に嫁会議は欲しいと思うのです」
「地域婚って、範囲何処までです?」
きよらが首をひねる。
「あの口ぶりだと、近場の学区ぐらいは含めるんじゃない?」
琴理が呟く。
「と成ると……」
「最終的に受け入れ自体はOKに成ると?」
恐らくの結論を口にすると、皆が大きくため息をついた。
「このまま受け入れると、アレが英雄に成っちゃうんだよねぇ……」
にがにがと言う感じにハクトがため息交じりに言う。
「狙ってやがったなアレ」
オジロが続く。
皆が渋い顔を作った。
「白いの注意って書いてありましたけど、カツラかぶってるとは……」
思わずそう返す、カンペに有った注意書き通りでは有ったけど。
見事にやられてしまったので、注意が無駄になってしまった感はある。
「結局、あの白いのって何者です?」
きよらが誰ともなく質問する。
「シラ、イサギ総理の孫だよ」
ハクトが言った一言に、公務員チームの血縁無い組なきよらと琴理が、げ・・・・・と言う顔を浮かべた。
総理大臣系なら公務員系には上司と言うか社長みたいなもんである、扱いに困るのは納得であった。
「液体窒素で保存されてた琥珀お爺様の精子で人工授精した組だから、扱い的には、腹違いな私等の妹には成る……」
オジロがにがにがと続ける。
「思春期と反抗期と、年相応の性欲真っ盛りな……」
ハチクマも何だかなあと言う感じに続く。
「外面的に、品行方正で成績優秀で、容姿端麗だけど、法律には触れないけど、許されるギリギリな変な所を全力疾走していく系」
ハクトが身も蓋も無い感じの分類で説明を〆る、法律には触れない辺りが安心点ではある。
「それって、最終的に苦笑いして許すしか無いヤツでは?」
思わず、そんな事を呟くと、皆の思いは一つと言う感じに溜息をついた。
「後々で、程よく焼きを入れたい所では有るんですけどねえ・・・・・・」
「法律は兎も角、先ほどのアレは、マナー的に最悪ですから」
「因みに、男性保護の法律の関係上、あの場で返事しちゃったとしても、やっぱりやめたとかは通じます」
「そもそも、未だ言質とかは取られてないですから」
「それもそれでどうかと思うのですが」
男が軽々と前言撤回を振りかざすのは、言葉の重さとして最悪だと思うのだ。
向こうでのAV新法みたいな、一方的な権利保護規定のえぐいヤツ感が有る。
「そもそも、まだ口約束もしていなくて、お金も籍入れの書類も介在してませんから、 そんなに重く考えなくて良いんです」
結婚詐欺したわけじゃあるまいしと言う感じの受け取り方らしい。
「そりゃそうですけど」
こちらの内心に、全員俺のモノだひゃっほうと言う、割と酷い本心が有るので、全員断ります何て拒否は出来ないだけである。
「後で、書類選考と面接と、その他諸々って感じに、ふるいにかけるとしましょうか?」
そんな事を琴理さんが提案する、向こうの女側だと当然なアレなのだろうけど、いざ選ぶ側に成ってみると、やたらとえぐい世界であった。
追伸
感覚的にはこっち世界でのマッチングアプリ男女比、女からすると100人誘えば90人釣れるから、好き勝手選べるけど、男から見ると、どれだけ誘っても反応してくれる相手がみつからない的な、そんな感覚。7割の男性はどれだけ頑張ってもお相手見つからないとかなんとか。
大人として、ある程度向き合ってあげたいと思うのだ。
「私、こう見えても三十路で、大分年上なので、あなた方にはもっと年齢に見合うお相手がと言いたいところですが……」
しどろもどろに言い訳を口にする、視察の際、学校全体を一通り、クラスの授業風景とか見て回ったが、普通は居るだろうと思われる男性の姿がまったく目に入って無い。
男女比1/100と言うが、あくまで公称値で、実測値は1/1000、いや、1/10000ぐらいじゃあるまいな?
こちらを見る女子中学生達の目線には、何とも言えない不安げな祈りとか、そんなものが浮かんでいて、先ほどの爆弾を投げ込んだ当人すら、笑ってはいない、真面目にこちらの言葉を聞いて吟味する構えに見える。
騙されているならそこまでなのだが……
「今、貴女方に、お相手の男性は居ない?」
皆が神妙に肯く。
「これを逃すと、後が無いと思う?」
頷く。
「本気で?」
頷く……
「ふはぁ…………………………」
思わずため息が漏れた。
「後で、アンケートでも出しましょう、一旦持って帰って考えさせていただきます!」
捨て台詞にそんな事を言って、一時撤退を決め込んだ。
流石に即決の一括でこの体育館に居る在校生と教職員含めて300人超を受け入れ表明何て、色々準備が足りていない。
舞台裏に引っ込んだ瞬間、力が抜けてがくりと、心情的には布団とかにバターンと倒れたい気分で脱力した。
「おっと危ない」
ハクトとオジロが両側で受け止めてくれる。 耳には、締めの挨拶とかをしている声が聞こえる。 ぱちぱちと妙に大きい拍手とかも聞こえているが、いったい何に対する拍手なのやら。
「あれだけの人数相手に、アレはきついですよねえ……」
あの人数にくそでか感情をぶち込まれて対峙すると考えると、流石に重い。
「ええ、流石に……」
「ですよね……」
「でも、断る気自体はあんまり無いんですよね?」
「バレましたか」
この世界の常識的には断っても良いんでしょうけど……
「多分、ヤタ婆的に、最終的には地域婚とかも許すつもりだろうから、平気ではあると思われますけど……」
「段階は踏めってヤツですし」
「順番ってヤツが有りますし」
「スジは通してもらわないと」
ハクト、オジロ、ハチクマと、順にアレコレと不満を口にする、何処となくやくざ的な雰囲気とか感じられる。
「間に嫁会議は欲しいと思うのです」
「地域婚って、範囲何処までです?」
きよらが首をひねる。
「あの口ぶりだと、近場の学区ぐらいは含めるんじゃない?」
琴理が呟く。
「と成ると……」
「最終的に受け入れ自体はOKに成ると?」
恐らくの結論を口にすると、皆が大きくため息をついた。
「このまま受け入れると、アレが英雄に成っちゃうんだよねぇ……」
にがにがと言う感じにハクトがため息交じりに言う。
「狙ってやがったなアレ」
オジロが続く。
皆が渋い顔を作った。
「白いの注意って書いてありましたけど、カツラかぶってるとは……」
思わずそう返す、カンペに有った注意書き通りでは有ったけど。
見事にやられてしまったので、注意が無駄になってしまった感はある。
「結局、あの白いのって何者です?」
きよらが誰ともなく質問する。
「シラ、イサギ総理の孫だよ」
ハクトが言った一言に、公務員チームの血縁無い組なきよらと琴理が、げ・・・・・と言う顔を浮かべた。
総理大臣系なら公務員系には上司と言うか社長みたいなもんである、扱いに困るのは納得であった。
「液体窒素で保存されてた琥珀お爺様の精子で人工授精した組だから、扱い的には、腹違いな私等の妹には成る……」
オジロがにがにがと続ける。
「思春期と反抗期と、年相応の性欲真っ盛りな……」
ハチクマも何だかなあと言う感じに続く。
「外面的に、品行方正で成績優秀で、容姿端麗だけど、法律には触れないけど、許されるギリギリな変な所を全力疾走していく系」
ハクトが身も蓋も無い感じの分類で説明を〆る、法律には触れない辺りが安心点ではある。
「それって、最終的に苦笑いして許すしか無いヤツでは?」
思わず、そんな事を呟くと、皆の思いは一つと言う感じに溜息をついた。
「後々で、程よく焼きを入れたい所では有るんですけどねえ・・・・・・」
「法律は兎も角、先ほどのアレは、マナー的に最悪ですから」
「因みに、男性保護の法律の関係上、あの場で返事しちゃったとしても、やっぱりやめたとかは通じます」
「そもそも、未だ言質とかは取られてないですから」
「それもそれでどうかと思うのですが」
男が軽々と前言撤回を振りかざすのは、言葉の重さとして最悪だと思うのだ。
向こうでのAV新法みたいな、一方的な権利保護規定のえぐいヤツ感が有る。
「そもそも、まだ口約束もしていなくて、お金も籍入れの書類も介在してませんから、 そんなに重く考えなくて良いんです」
結婚詐欺したわけじゃあるまいしと言う感じの受け取り方らしい。
「そりゃそうですけど」
こちらの内心に、全員俺のモノだひゃっほうと言う、割と酷い本心が有るので、全員断ります何て拒否は出来ないだけである。
「後で、書類選考と面接と、その他諸々って感じに、ふるいにかけるとしましょうか?」
そんな事を琴理さんが提案する、向こうの女側だと当然なアレなのだろうけど、いざ選ぶ側に成ってみると、やたらとえぐい世界であった。
追伸
感覚的にはこっち世界でのマッチングアプリ男女比、女からすると100人誘えば90人釣れるから、好き勝手選べるけど、男から見ると、どれだけ誘っても反応してくれる相手がみつからない的な、そんな感覚。7割の男性はどれだけ頑張ってもお相手見つからないとかなんとか。
27
あなたにおすすめの小説
男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にいますが会社員してます
neru
ファンタジー
30を過ぎた松田 茂人(まつだ しげひと )は男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にひょんなことから転移してしまう。
松田は新しい世界で会社員となり働くこととなる。
ちなみに、新しい世界の女性は全員高身長、美形だ。
PS.2月27日から4月まで投稿頻度が減ることを許して下さい。
↓
PS.投稿を再開します。ゆっくりな投稿頻度になってしまうかもですがあたたかく見守ってください。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺
マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。
その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。
彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。
そして....彼の身体は大丈夫なのか!?
美醜逆転世界の学園に戻ったおっさんは気付かない
仙道
ファンタジー
柴田宏(しばたひろし)は学生時代から不細工といじめられ、ニートになった。
トラックにはねられ転移した先は美醜が逆転した現実世界。
しかも体は学生に戻っていたため、仕方なく学校に行くことに。
先輩、同級生、後輩でハーレムを作ってしまう。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
この世界、貞操が逆で男女比1対100!?〜文哉の転生学園性活〜
妄想屋さん
SF
気がつけば、そこは“男女の常識”がひっくり返った世界だった。
男は極端に希少で守られる存在、女は戦い、競い、恋を挑む時代。
現代日本で命を落とした青年・文哉は、最先端の学園都市《ノア・クロス》に転生する。
そこでは「バイオギア」と呼ばれる強化装甲を纏う少女たちが、日々鍛錬に明け暮れていた。
しかし、ただの転生では終わらなかった――
彼は“男でありながらバイオギアに適合する”という奇跡的な特性を持っていたのだ。
無自覚に女子の心をかき乱し、甘さと葛藤の狭間で揺れる日々。
護衛科トップの快活系ヒロイン・桜葉梨羽、内向的で絵を描く少女・柊真帆、
毒気を纏った闇の装甲をまとう守護者・海里しずく……
個性的な少女たちとのイチャイチャ・バトル・三角関係は、次第に“恋と戦い”の渦へと深まっていく。
――これは、“守られるはずだった少年”が、“守る覚悟”を知るまでの物語。
そして、少女たちは彼の隣で、“本当の強さ”と“愛し方”を知ってゆく。
「誰かのために戦うって、こういうことなんだな……」
恋も戦場も、手加減なんてしてられない。
逆転世界ラブコメ×ハーレム×SFバトル群像劇、開幕。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…
美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。
※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。
※イラストはAI生成です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる