貞操逆転世界の温泉で、三助やることに成りました

峯松めだか(旧かぐつち)

文字の大きさ
84 / 221

第84話 番外 ツバメ2日目、三人の籍入れ書類と記念撮影

しおりを挟む
「はい、おはようございます、今日の御用は?」
 入り口の受け付け案内で、知った顔が来たので、先に話しかけた。
 昨日も見た顔のミサゴと翡翠さんと、ちょっと珍しいハチクマ姉さんだ、自衛官から護衛官に転身したらしいが、最近帰って来て無かったので、ちょっと懐かしい。
「コレ手続きお願いしますっと」
 3人プラス1人分の名前が書かれた婚姻届け出の書類と、国民IDカードだった。
「あら、おめでとうございます..........」
 条件反射的に返事を返そうとして。
「いや、なん、だと?」
 思わず書類と面々を二度見する。
「早く無い?」
 思わずミサゴを見てつぶやいた。
「早いと思うけど、こう言うのは速攻で決めないと、負けるし、後々だと面倒だってやたばあちゃんがね?」
「まあ、それは分かる、確実に色々ちょっかいかけてくる」
 何処がとは言わないが、思わず深刻に頷いた。

「少々お待ちくださいっと」
 軽い調子で断りを入れ、私が担当しますからと先輩や同僚達に身振りで示して、入り口業務を入れ替わる。

 名前、ID共に間違いなく。
 書類とIDカードと静脈認証を各々リーダーに読ませる、不正の形跡は無しと、翡翠さんのIDにまるっきりログ無いのは引っかかるけど、エラーは出ないから正規品何だろうし、護衛のハチクマ姉さんのIDもセットで紐付いてるっぽいから、私がアレコレ言うもんじゃ無い。
 因みに所属する人が分かりやすい様に、読み込ませた時に護衛対象と護衛官のバックイメージカラーが同じになる様に仕込まれている。
 表示された色は薄く透明感のある白緑、翡翠の色だった。
 収入見込みと言うか実績は………
 見事に億ってるから補助金支給とか干渉は喧しいって拒否する構えですね?
 分かります。
 保証人欄に居るヤタお祖母様の存在感がエグい。
 結婚するに当たり、お役所的に一定金額の稼ぎとかなくても問題は無いのだが、少ないと政府から補助金やら援助を与える名目で色々干渉されるのだ。何処に住めとか、有力者の身内なんちゃらとか。
 内心でヤタお祖母様の用意周到加減に舌を巻きつつ、手続きを進める。
 お役所権限でIDカードと番号から色々読めるのだ、守秘義務あるので漏らせないけど。

「って事で、無事通過です、おめでとう御座います」
 身内過ぎて砕け気味の口調で、書類にハンコを押す。
 デジタル化は進んでもまだまだ変な所がアナログだった。

 控えの書類をミサゴ達に返す。
「さあて、記念撮影でもして良い?」
「どうするって?」
 ミサゴが首を傾げる。
「決まってるじゃ無いか、窓口の掲示板に大々的に貼り出すのさ!」
 力強く、現在大した連絡が存在しない掲示板を指さす。
 割と深刻に空き家の入居者募集とか、過疎化で足りない求人とかしか載って居ないのだ。
「良いじゃ無いか、明るいニュースは皆んなで祝うもんだぜ」
 へっへっへ~とわざとらしい笑みを浮かべる。
 どんよりして居るこの地域の雰囲気とかコレで明るくしたい。
 悪いようにはしないと言うか。悪いように出来るのが居ないんだから。
 この土地であの人に敵うとか、そんなの考えるのはよっぽどのアホしか居ないんだから、平気平気。

 3人揃ってぎこちなく笑みを浮かべる記念撮影。
 いやあ、良いもんだなぁ、男の子居るって。華が有るよ。
 いつの間にか職員総出でアレコレと撮影会が執り行われ、私達も役得と、ちゃっかり混ざって撮影する。
 ミサゴ達の幸せにしみじみと喜びを噛み締める。
 不意に何だか自分の目まで水っぽくなっていた。
 いや、何で私まで泣いてんだっての。
 と言うか、皆んなそんなノリか、いくらミサゴが実質末の妹にしても、ずびずびと湿っぽいんじゃ、もっと笑え。


「どうせだから、私にもお溢れの幸運とか、具体的には種とか寄越せってね」
 軽い調子でミサゴを茶化す。
「と言うか、やったんだよね?」
 思わず身を乗り出して、ミサゴの耳元でこっそり聞く。
「うん、ばっちり」
 顔を赤くしてお腹を撫でるミサゴ。
 うん、幸せそうで何よりだね。


 なお、後日、地域丸ごと結婚祝い名目で手土産持参して翡翠さんの顔を見に行く大騒ぎのイベント状態になったのは、ちょっとだけすまんかった。



 追伸
 描き忘れてたツバメ視点です。
 ミサゴとは同学年だけど、ちょっとだけお姉さんなツバメです。
 スズメはコレのもうちょっと上で、一学年違い。
 ミサゴの身長170㎝よりは小さい160㎝
 実はミサゴは姉妹としては末っ子です、直接では最後の落とし種。そんな訳で皆の妹として可愛がられてます、限界童貞だけどそれなりに元気良かった要因、自己肯定感はその辺で上がってた訳です。
 同じ種の腹違いシリーズが名前出てないだけで山程居るので、職員の方々も割と身内で、鳥組にはアットホームな職場です。ほぼほぼ地元民で遺伝的にも家族状態なのです。ツバメが20の新入り下っ端なのに職場で結構態度がデカいのはそのせいです。海岸線で叫んだ時に外回りやってたのは下っ端仕事だからですけどね。
 コレ1日目の仕切りで、第1章完の感動的なアレだったんだと作者自身が書いてて気が付きました。
 作者自身、書いてて泣いてて、読み返して泣いててと言う、謎状態です。
 直ぐエロに行かなきゃ、展開遅いかなって切っててすいません。もっとコイツらに自信を持つべきだったなあと反省しきりです。

良かったら「感想」とか「いいね」10連打とか「お気に入り登録」とか、ご協力お願いします。
しおりを挟む
感想 225

あなたにおすすめの小説

男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にいますが会社員してます

neru
ファンタジー
30を過ぎた松田 茂人(まつだ しげひと )は男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にひょんなことから転移してしまう。 松田は新しい世界で会社員となり働くこととなる。 ちなみに、新しい世界の女性は全員高身長、美形だ。 PS.2月27日から4月まで投稿頻度が減ることを許して下さい。 ↓ PS.投稿を再開します。ゆっくりな投稿頻度になってしまうかもですがあたたかく見守ってください。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺

マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。 その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。 彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。 そして....彼の身体は大丈夫なのか!?

美醜逆転世界の学園に戻ったおっさんは気付かない

仙道
ファンタジー
柴田宏(しばたひろし)は学生時代から不細工といじめられ、ニートになった。 トラックにはねられ転移した先は美醜が逆転した現実世界。 しかも体は学生に戻っていたため、仕方なく学校に行くことに。 先輩、同級生、後輩でハーレムを作ってしまう。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

この世界、貞操が逆で男女比1対100!?〜文哉の転生学園性活〜

妄想屋さん
SF
気がつけば、そこは“男女の常識”がひっくり返った世界だった。 男は極端に希少で守られる存在、女は戦い、競い、恋を挑む時代。 現代日本で命を落とした青年・文哉は、最先端の学園都市《ノア・クロス》に転生する。 そこでは「バイオギア」と呼ばれる強化装甲を纏う少女たちが、日々鍛錬に明け暮れていた。 しかし、ただの転生では終わらなかった―― 彼は“男でありながらバイオギアに適合する”という奇跡的な特性を持っていたのだ。 無自覚に女子の心をかき乱し、甘さと葛藤の狭間で揺れる日々。 護衛科トップの快活系ヒロイン・桜葉梨羽、内向的で絵を描く少女・柊真帆、 毒気を纏った闇の装甲をまとう守護者・海里しずく…… 個性的な少女たちとのイチャイチャ・バトル・三角関係は、次第に“恋と戦い”の渦へと深まっていく。 ――これは、“守られるはずだった少年”が、“守る覚悟”を知るまでの物語。 そして、少女たちは彼の隣で、“本当の強さ”と“愛し方”を知ってゆく。 「誰かのために戦うって、こういうことなんだな……」 恋も戦場も、手加減なんてしてられない。 逆転世界ラブコメ×ハーレム×SFバトル群像劇、開幕。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…

美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。 ※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。 ※イラストはAI生成です

処理中です...