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第25話 金曜深夜の峠道
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注・ざまあですが、多少胸糞悪いキャラが居ます。
すっかり日が落ちた暗い峠道を展望台から見下ろす、ヘッドライトの明かりから一台の車が信号も障害物も何もない所で単独で停車して居る事が見て取れた、そして停まっていた車が再び走り出す、そして、車が走り去った後に、小さな灯がちらりと光るのが見えた。
「よし、かかった」
小さく呟いてほくそえみ、山の中の展望台と呼ばれる駐車場から愛車の商用バンを走らせる。
今夜は山の中に車も無しで唐突に表れる。別のトラップにかかったタイプでは無い様だ。
程無く街灯も無い暗い山道に、場違いな一人の女の姿がヘッドライトの明かりに浮かぶ、どうやら途方に暮れて居る様だ、こんな場所に居る理由は大抵決まっている。ナンパの手口として山道をドライブして夜景を見に行こうと誘いだされ、人里離れた山道に差し掛かった辺りで「このままホテルに行こうか?」等と脅し交じりに誘われ、断られたら腹いせの嫌がらせとして山道に降ろして暗い場所に放置されると言う、質の悪いナンパ師に引っ掛った結果だろう。
自分達はそう言った質の悪いナンパ師の落とし物を優しく回収する事をライフワークとしている。一寸した手間賃は要求するが、れっきとした善行だ。
気持ち減速して途方に暮れた女の横を一度通過する。
通過する瞬間、此方を認識して顔を上げ、ピクリと手を動かしたのが見えた。
(行けるな?)
程良く憔悴しているが、先程酷い目に遭った所な物だから、学習した結果として、咄嗟に助けを求める事も憚られるが、其れでも内心で縋りたくなったと言う動きだ。
強く拒絶して、更に本人が強い場合、助けなど要らない、お前も同類か? と言う感じに強く睨みつけて来る物だ。
諸々を観察して、ちょろい獲物だ、と内心で舌なめずりをする。
通り過ぎて、ああ・・・助けは無いか・・・と絶望感を感じた所を見計らい、引き返して横に付ける。
「どうしたの? こんな所で? 大丈夫?」
窓を開け、運転席から極力優しく声をかける。
「質の悪いナンパ師に絡まれて・・・」
お約束の答えだ、この女には地獄で仏と言った様子が見て取れる。
「大変だったねえ・・・家の近くまで送ろうか?」
安心させるようにと、優しく笑みを浮かべて、ドアのロックを外す。
「・・・お願いできますか?」
少し猜疑心が滲んだ様子だが、これ以外は選択肢が無いと言う調子で渋々だが了承した。
女の手がおずおずと言った様子で助手席のドアにかかる。
「怖かったんだろう? 後ろでも良いよ?」
自分は手を出さないと暗に伝える。
「すいません、お言葉に甘えて・・・」
助手席のドアから手を離し、後部座席のスライドドアに手がかかる・・・・
躊躇したように一瞬その手が止まり、手を引っ込め、踵を返して走り出した。
(おや? 気付かれた?)
「何だよ、気づかれたじゃねえか?」
「この大根が」
後部座席から声が聞こえる。
「勘が良いんだろうさ?」
良くある事だと受け流す。
「逃げられたらお前らの番だろうが、準備しろ」
今からドアを開けて追いかけるのは少々面倒臭いと言うか、先に走られた分のアドバンテージが有るので、スタミナ切れを見越すにしても、ある程度車で追いかける必要が有るのだ。
「おう、さっさと追いかけろ」
「あいよ」
返事をしつつアクセルをふかしてハンドルを切り、逃げた女を追いかける。
「全く、逃げなきゃもうちょい紳士的にやれたのにな?」
「ちがいねえ」
ルームミラー越しに後ろにいる魚顔の二人が下衆びた笑みを浮かべて居るのが見える。
「ほら、そろそろだ、止まったら飛び出せ」
走って逃げる獲物の後姿を確認する、そう言って進路を塞ぐ様に車を走らせる。
逃げる意思は有っても、舗装された道以外を走る程の思い切りは無かったらしい。
よし、捕まえたと思いつつ女を追い越し、ガードレールに幅寄せして進路を拭塞ぎつつブレーキを・・・
と言う作戦通りにアクセルを踏み、女の進路を塞ぐ様に前に出た。
「右から出ろよ」
左側はガードレール一杯に幅寄せしてある。
「おう」
後ろの二人がドアロックを外し、停まった時点で何時でも飛び出せると言う準備を整える。
こういった時と言うか、こいつらにシートベルトを締める習慣は無い。
ガチャン
ブレーキを踏もうとしたタイミングで唐突に細長い何かがフロントガラスを突き破って突き刺さった。
「何だあ?!」
思わず驚いてハンドルを切る。
ガシャン ベキベキベキ バリバリバリ メキメキ・・・
運転している車がガードレールに接触、名状しがたい音を立てて居る事に血の気が引く。
修理費幾らだ?
何処か他人事の様に考えつつ、咄嗟にブレーキを踏もうとした所で、アクセルを踏み間違えたのか、変な加速感を感じる。
次の瞬間ぐらりと車全体が傾いた。
「ああ?」
車が変な角度に傾いた。
ゴリ ゴリ バキン
何かが潰れたような音がして、全身が名状しがたい浮遊感を感じる。
「イア・・・・」
後部座先から変な呟き声が聞こえた。
ガシャン
次の瞬間、強い衝撃を感じて意識が闇に落ちた。
追伸
この商用ワゴン車。内装をピンクに飾り付けられ、後部座席とリヤ部のガラスにスモークを張り付け、カーテンとシャンデリアを装着、以下略・・・・
所謂、ラブホテルカスタムと言われるアレです。
すっかり日が落ちた暗い峠道を展望台から見下ろす、ヘッドライトの明かりから一台の車が信号も障害物も何もない所で単独で停車して居る事が見て取れた、そして停まっていた車が再び走り出す、そして、車が走り去った後に、小さな灯がちらりと光るのが見えた。
「よし、かかった」
小さく呟いてほくそえみ、山の中の展望台と呼ばれる駐車場から愛車の商用バンを走らせる。
今夜は山の中に車も無しで唐突に表れる。別のトラップにかかったタイプでは無い様だ。
程無く街灯も無い暗い山道に、場違いな一人の女の姿がヘッドライトの明かりに浮かぶ、どうやら途方に暮れて居る様だ、こんな場所に居る理由は大抵決まっている。ナンパの手口として山道をドライブして夜景を見に行こうと誘いだされ、人里離れた山道に差し掛かった辺りで「このままホテルに行こうか?」等と脅し交じりに誘われ、断られたら腹いせの嫌がらせとして山道に降ろして暗い場所に放置されると言う、質の悪いナンパ師に引っ掛った結果だろう。
自分達はそう言った質の悪いナンパ師の落とし物を優しく回収する事をライフワークとしている。一寸した手間賃は要求するが、れっきとした善行だ。
気持ち減速して途方に暮れた女の横を一度通過する。
通過する瞬間、此方を認識して顔を上げ、ピクリと手を動かしたのが見えた。
(行けるな?)
程良く憔悴しているが、先程酷い目に遭った所な物だから、学習した結果として、咄嗟に助けを求める事も憚られるが、其れでも内心で縋りたくなったと言う動きだ。
強く拒絶して、更に本人が強い場合、助けなど要らない、お前も同類か? と言う感じに強く睨みつけて来る物だ。
諸々を観察して、ちょろい獲物だ、と内心で舌なめずりをする。
通り過ぎて、ああ・・・助けは無いか・・・と絶望感を感じた所を見計らい、引き返して横に付ける。
「どうしたの? こんな所で? 大丈夫?」
窓を開け、運転席から極力優しく声をかける。
「質の悪いナンパ師に絡まれて・・・」
お約束の答えだ、この女には地獄で仏と言った様子が見て取れる。
「大変だったねえ・・・家の近くまで送ろうか?」
安心させるようにと、優しく笑みを浮かべて、ドアのロックを外す。
「・・・お願いできますか?」
少し猜疑心が滲んだ様子だが、これ以外は選択肢が無いと言う調子で渋々だが了承した。
女の手がおずおずと言った様子で助手席のドアにかかる。
「怖かったんだろう? 後ろでも良いよ?」
自分は手を出さないと暗に伝える。
「すいません、お言葉に甘えて・・・」
助手席のドアから手を離し、後部座席のスライドドアに手がかかる・・・・
躊躇したように一瞬その手が止まり、手を引っ込め、踵を返して走り出した。
(おや? 気付かれた?)
「何だよ、気づかれたじゃねえか?」
「この大根が」
後部座席から声が聞こえる。
「勘が良いんだろうさ?」
良くある事だと受け流す。
「逃げられたらお前らの番だろうが、準備しろ」
今からドアを開けて追いかけるのは少々面倒臭いと言うか、先に走られた分のアドバンテージが有るので、スタミナ切れを見越すにしても、ある程度車で追いかける必要が有るのだ。
「おう、さっさと追いかけろ」
「あいよ」
返事をしつつアクセルをふかしてハンドルを切り、逃げた女を追いかける。
「全く、逃げなきゃもうちょい紳士的にやれたのにな?」
「ちがいねえ」
ルームミラー越しに後ろにいる魚顔の二人が下衆びた笑みを浮かべて居るのが見える。
「ほら、そろそろだ、止まったら飛び出せ」
走って逃げる獲物の後姿を確認する、そう言って進路を塞ぐ様に車を走らせる。
逃げる意思は有っても、舗装された道以外を走る程の思い切りは無かったらしい。
よし、捕まえたと思いつつ女を追い越し、ガードレールに幅寄せして進路を拭塞ぎつつブレーキを・・・
と言う作戦通りにアクセルを踏み、女の進路を塞ぐ様に前に出た。
「右から出ろよ」
左側はガードレール一杯に幅寄せしてある。
「おう」
後ろの二人がドアロックを外し、停まった時点で何時でも飛び出せると言う準備を整える。
こういった時と言うか、こいつらにシートベルトを締める習慣は無い。
ガチャン
ブレーキを踏もうとしたタイミングで唐突に細長い何かがフロントガラスを突き破って突き刺さった。
「何だあ?!」
思わず驚いてハンドルを切る。
ガシャン ベキベキベキ バリバリバリ メキメキ・・・
運転している車がガードレールに接触、名状しがたい音を立てて居る事に血の気が引く。
修理費幾らだ?
何処か他人事の様に考えつつ、咄嗟にブレーキを踏もうとした所で、アクセルを踏み間違えたのか、変な加速感を感じる。
次の瞬間ぐらりと車全体が傾いた。
「ああ?」
車が変な角度に傾いた。
ゴリ ゴリ バキン
何かが潰れたような音がして、全身が名状しがたい浮遊感を感じる。
「イア・・・・」
後部座先から変な呟き声が聞こえた。
ガシャン
次の瞬間、強い衝撃を感じて意識が闇に落ちた。
追伸
この商用ワゴン車。内装をピンクに飾り付けられ、後部座席とリヤ部のガラスにスモークを張り付け、カーテンとシャンデリアを装着、以下略・・・・
所謂、ラブホテルカスタムと言われるアレです。
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