異世界坊主の成り上がり

峯松めだか(旧かぐつち)

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3章 活躍する坊主

第83話 煮込んでみよう 灯視点

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「つーかーれーたー。」
 そんな事を言いながら和尚さんが、お硝酸の精製を始めた。
 いよいよ疲れでキャラが崩壊して来たらしい。
 酷い駄洒落だと思うけど。実際やっているのだからどうかと思う。
 昔のトイレ周辺を烏枢沙摩明王の真言で浄化してから土を掘って捨てる予定の鍋で煮込み始めたのだ。炭は暖炉の燃えカス、硫黄は別口ので黄色い石、硫黄はあるか?と聞いた所、何かの薬剤調合で使うらしく、ちゃんと店頭に並んでいた。でもその薬剤、火薬では無いんですか?硫黄の使い道にそれ以外有るって事の方が驚きです。
 藁とかに溶かして染み込ませて着け木と言うかマッチ代わりにしている?ああ、そういう使い方も有るんですね。
 この世界のトイレは未だ汲み取りと言うか、ボットントイレで、掘ってある穴の分溜まったらそのまま埋めて別の場所に移動すると言う方式で、肥料として使っている訳ではないので安心して生野菜が食べられると言う事らしい。
 そして、汲み取りトイレなら周辺の土を煮込めば微生物分解で析出した硝石・硝酸カリウムを水に溶かして取り出せると言う事でのこの奇行だと説明してくれた、奇行だって事は認めるんですね・・・
 畑の肥料は魔物の残骸と鶏ふん、森の落ち葉でちゃんと醗酵させているから安心ですとエリスちゃんに説明された。和尚さんも其の説明ではかなり感心していた。肥料の概念が有るのは意外と農業が発達していると言う事らしい。
 昔のヨーロッパみたいにオマルから道にぶち撒ける方式じゃなくて良かった。世界史のトイレ事情は歴史教師が喜々として補足説明していたのですごく印象に残っている。
 ウォシュレット付きトイレが恋しくもあるが、学校トイレは未だ付いていいない和式トイレだったので。完全ウォシュレット生活では無かったのがココに来て助かる要因になるとは思わなかった。
 現在拠点のお家には立派なお風呂があるので。どうしても気になった時には洗えるので大丈夫だ。
「そう言えばあのお風呂って湯船だけで機能完結してますよね?
 丸ごと運べますよね?
 お幾ら位です?
 特注でお湯出す機能だけ取り出して別の形に出来ます?」
 矢継早にエリスちゃんを質問攻めにした所。魔法道具屋に皆で行く流れになった。
 硫黄と炭の粉ぐらいは後でこっちで磨り潰しておきますから。

「お湯の出せる浴槽は金貨10枚です。」
「買います。」
 思わず即答した、運ぶのは和尚さんの虚空の蔵に任せれば良い、和尚さんも納得している様子なので大丈夫だ。これで皆で外でお風呂で、お湯の温度調整して忙しくて手を出してくれないなんて事に成らないので必須だ。川が無くてもお風呂に入れると言うのは素晴らしいと思う。
 エリスちゃんもそれは大事だと納得してくれたので大丈夫と言う事で、満場一致だ。
 和尚さんが何も言わずにギルド証から金貨を取り出し払っていた。出稼ぎでかなり稼いだらしく、財布の紐は緩い。
「まいど、ありがとうございます。」
「これって、此処で作ってるんですよね?特注って出来ます?」
「はい、どんな物を作ります?」
 にこやかに促して来る、じゃあダメ元でやってみよう。
「これを作って欲しいのですが。」
 ウォシュレットトイレの便器と便座のデザイン画を出してみる。
「これは?椅子?」
「便器です、トイレの座る所です。」
「材質は?」
「陶器で、ツルツルしてると汚れにくくて掃除しやすくて良いです。直接座る部分は木製か、冷たくない材質で。」
「焼物屋の方が良いのでは?」
 納得の行かない様子で店主さんが呟く。
「出来れば此処からお湯を出してほしいのです。後ろと前を洗います。」
 お湯の出る予定のノズルを指差し説明する、説明する私を呆れ顔で店主が見ている。これはダメな流れか。
「どんな利点が?」
「すっきりさっぱりしますし、痔や便秘が治ります、実際使ってみればわかります。」
 故郷のトイレの星、T〇T〇さんは普及に苦労したんだと思う。でも、この人も女の人なのだから出ない苦しみは判る筈。
「出来れば温風も出して付いた水気も乾かしたいです。」
 髪を乾かすのに温風を出す魔法装置も有るので無理のある話ではない筈だ。
 店主が呆れ顔を隠さずに図面を見ながら説明を聞いて居る。
「更に贅沢を言うと座る部分を温かくしたいですね。」
 こうしてみると日本の便器に対する拘りは異常だ・・・機能てんこ盛りにも程が有る・・・
「えーと、ざっと見積もって取り付け入れて金貨25枚に成りますけど、どうします?」
 結構な金額だ、さっきのお風呂より高い。
「大丈夫ですか?」
「大丈夫。」
 和尚さんなら同意してくれると思ってました。
 エリスちゃんは、少し固まってますけど、まあ、使えば良さが判ります。
 たとえ反対しても多数決で2:1取れているので大丈夫ですし。
「まあ、良いです。」
 渋々感が有りますけど、大丈夫ですね。
「買います、時間はどれぐらいかかります?」
「ありがとうございます、でも本気ですか?」
「本気じゃなきゃこんな図面書けません。」
「愚問ですか・・・」
「愚問です。」
 そんな事を言っているうちに和尚さんがお金を取り出して払う。
 店主が驚き顔でお金を受け取る。
「ありがとうございます。2か月ぐらいお待ちください、直接届けますので。届け先は?」
「ギルマス邸で。」
 エリスちゃんが出番と割り込んだ。どうやらこの辺ならこれで通じるらしい。
「はい、承りました。」

 お風呂の方は口止めして部屋の外に出てもらい、和尚さんの虚空の蔵に収納した。

 後日、ウォシュレットトイレは無事届き、新しく設置され、結果エリスちゃんと義母さんが気に入ったらしく入り浸っていた、ほら、やった甲斐あったでしょう?
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