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5章 その後の話
第191話 番外 変な鳥
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自分と灯、エリスと言う、何時ものメンバーで魔の森で狩りをして居た所、変な鳥と出くわした。
黄緑色の体色で二足歩行の鳥が茂みの中から出て来たのだ。
茂みをがさがさとかき分ける音がしたので、何が出るかと揃って構えていたのだが、音に敏感なはずの野生動物が何でこんなに無防備に?
と思ったが、体高で2m位ある、体色と言うか、毛色は蛍光色の緑一色、嘴はインコだが、明らかに生態系的に捕食者側だ、隠れる必要も無いのだろう。
武器を構えて待ち構えていたが、鳥側に殺気が無い、そんな意識も無いのだろうが。
「きにゅぉぉぉぉ!」
突然変な叫び声を上げ、鳥がばさりと羽を広げた。
思わず此方はその動きにびくりと反応して、戦闘態勢で身構える。
同時に風圧で周囲の枝葉が一瞬で吹き散らされ、鳥を中心として空間が開ける。
羽を広げて周囲の空間を開けた鳥が此方を見つめたまま首をグルグル回し始めた。
「きょいきょいきょいきょい・・・」
鳴き声は何とも言えない上機嫌な様子を称えている。
バシバシバシバシと、広げた両の羽を自分の身体にぶつけて音を出して居る・・・
「くぽくぽくぽ・・・・」
囀りも何種類かあるらしい、囀りながら蟹歩きで横移動して此方の逃げ道を塞いでいる・・・・
いや、移動範囲微妙に広いので逃げようと思えば逃げられるのだが、目線は外れないので何とも言えない圧迫感がある。
「えっとこれ・・・・」
「求愛行動・・・ですよね・・・?」
「鳥は種族の認識曖昧にしてもこれは・・・・」
揃ってリアクションに困って固まっている、敵対するとか依頼が有るなら狩るのだが、上機嫌で懐に入られると対応に困る。
お腹が減って居る時は別だが・・・・
「くぽー!」
鳥がそう叫び声を上げて、羽を広げる。
咄嗟に着ていた上着、蛍光ブルーの裾を掴んで広げてバサバサとさせて見せて見る。
「くるるる」
そのリアクションを見せると、鳥は何故か納得した様子で頷いた。
嘴で羽の下をゴソゴソと漁ると、ころりと卵が一つ転がり落ちた。
下の地面は枯葉が敷き詰められて居て、大きな石や岩も無い。
人の頭ほどの大きさの卵だ、殻も大きさ相応に硬いのだろう。
鳥はその卵を無造作に此方に向かって蹴り転がした。
コロンコロンと足元に巨大な卵が転がって来る。
「ほろっほー」
じゃあよろしく、と言わんばかりの様子で鳴き声を上げ、片羽を上げて軽く振ると、くるりと振り返って茂みの中に消えて行った、いや、お前は梟なのかインコなのかはっきりしろ、それ以前に雄なのか雌なのかもハッキリしろ。
「・・・・どうすんでしょうコレ?」
灯が卵を拾い上げてお腹の上に抱え込んで首を傾げる。
「新パターンだな、育てろと?」
「コカポですね、何だか気に入った相手が居ると卵押し付けて来るって聞きましたけど・・・」
エリスが何とも言えない様子で灯の手の中の卵を覗き込む。
「色合い的に仲間だと思われたんじゃないですか?」
灯が暗に此方の上着を見る。
「今更これ複線か?」
メタい事言うと、これ着て登場してから1年越しで有る。
「実際押し付けられるとは思いませんでしたけど・・・」
珍しいらしい。
「そもそもこれ有精卵か?」
灯の抱える卵に耳を押し付けて、耳を澄まして見る、トクントクンと卵の中から音が聞こえる。
「生きてるっぽいな・・・」
「何か体勢に既視感を覚えますね」
灯が苦笑を浮かべる、妊娠中にやったイチャつきのノリだ。
「コカポの卵ですか? 珍しい」
ギルドで帰還後報告した所、アカデさんが開口一番そんな事を言い出した。
「珍しいんですか?」
「珍しいですよ、前回この卵手に入れたの私の師匠でした、この鳥について論文書いたの師匠でしたし、そもそも卵持ちのクカポに遭遇して卵渡されるの、十年単位で1人とか其れ位ですし」
よっぽど珍しいらしい。
「どういう習性なんです?」
灯が聞いて見ると言う様子で合槌を撃つ。
こうして次を促すととても得意気に説明してくれるのだ。
「交尾して生まれた卵を、雄が羽毛の下のポケットに幾つも隠して、温めながら移動するんです、そして、気に入った相手、基本は同族の若い雄に卵渡すんです」
「渡す必要は?」
「卵いっぱい持ってるのは強い雄ですけど、雄一匹で子育てするのは大変何で、溢れた分を同族に渡して負担を減らすんです、何だか、種族全体で強い雄の子供だけ掛け合わせて選別してるような生態ですね」
社会主義鳥類? ハダカデバネズミとかの自己犠牲有りと言うか、堂々と托卵分業するシステムなのか。
ダチョウ何かは一番強い親鳥に、違う親鳥から雛の群れだけが合流するシステムで生存して居るが・・・・
「若い雄の羽毛が青味がかった緑で、年を取る毎に黄色がかった緑に成るんで、若鳥と見間違えられたとかのオチだと思いますよ?」
「やっぱり・・・」
「珍しいですもんね・・・」
灯とエリスが揃って納得する。
「因みに師匠は仲間だと誤認させる為に、全身真っ青な布被って鳥の前で踊ってました」
「ぼふっ」
其れを聞いて灯が一人で噴出した、変な所で行動が被ったのが可笑しかったらしい。
「そんなに何回も騙されてくれないと言うか、私の前で実験した時には直ぐバレて失敗してましたけどね、どう踊ったんです?」
再現性は怪しいらしい。
「こんな感じです」
裾を翻してバサバサとやって見る、今更照れは無い。
「踊られた時に、羽を広げて卵を持ってないのをアピールしたから、じゃあ預けようって言う流れですかね?」
アカデさんは真面目な顔で観察した後で、そう推論を立てた。
「所で、これ育てて得する要素あるんですか?」
エリスが机の上に置かれた卵をつつく。
「アレに遭遇したら分かると思いますけど、最終的に結構大型で強めに育ちます、流石に家に居るぬーさんよりは弱いですけど、孵化した時に近くに居た者を親だと思って懐くんで、そこそこ言う事も聞いてくれます、余り早くも無いですが背中に乗せて走ってもくれます、寿命も結構長いんで、師匠は護衛とか馬替わりとか家族扱いしてましたね、私も昔は乗せてもらいました」
アカデさんが珍しく遠い目で思い出して居る様だ。この人が昔語りで楽しそうにしているのは珍しい。
「飛ぶ訳じゃ無いんですね?」
灯がツッコミを入れる。
「跳躍に羽ばたき付けてるから滞空時間長い程度です、陸生動物としては良く跳ぶって感じですね」
鶏とか雉みたいなものか。
「重そうですしね・・・」
エリスも納得する。
「餌は?」
「割と何でも食べますよ、家に居るぬーさんと違って、草でも虫でも肉でも何でも食べますから、庭に放してほったらかしでもあんまり痩せませんね」
最近、ぬーさんも時々足りないのか外で自力で餌を取って来ている。
「成程・・・ 育てて見るとしますか・・」
「正直手放す方が勿体無いです、金持ちの好事家がバカみたいな値段付けてるなら兎も角、今の所そんな情報無いですから」
ギルドの解体場を主戦場として居るだけ有って、其処等の情報には詳しいらしい、恐らく自分でも育てたかったのだろう。
後日、孵卵器(インキュベーター)扱いされ、何とも言えない表情を浮かべるぬーさんと、自己認識が鳥では無く猫か人に成ってしまった巨大な鳥が発生した。
「因みに、怪我とか病気で変な事無ければ50年は生きるそうですよ」
アカデさんがそんな補足説明をする、オウムか・・・・
「更に言うと、最初の繁殖期まで20年です」
象かな? それだと青い若鳥はそもそも繁殖できないから、純粋な子育て要因である意味納得できる。
因みに、子供達としてはモフモフが増えたと言う認識だったらしく、しがみ付く選択肢が増えただけだったりした。
さらに後日、子供達に混ざって鳥に騎乗してはしゃいでいるアカデさんと言う珍しい光景が見られた事を補足しておく。はしゃいだのはほぼ全員だったが。
追伸
この鳥のイメージはフクロウオウム(カカポ)でお願いします。
黄緑色の体色で二足歩行の鳥が茂みの中から出て来たのだ。
茂みをがさがさとかき分ける音がしたので、何が出るかと揃って構えていたのだが、音に敏感なはずの野生動物が何でこんなに無防備に?
と思ったが、体高で2m位ある、体色と言うか、毛色は蛍光色の緑一色、嘴はインコだが、明らかに生態系的に捕食者側だ、隠れる必要も無いのだろう。
武器を構えて待ち構えていたが、鳥側に殺気が無い、そんな意識も無いのだろうが。
「きにゅぉぉぉぉ!」
突然変な叫び声を上げ、鳥がばさりと羽を広げた。
思わず此方はその動きにびくりと反応して、戦闘態勢で身構える。
同時に風圧で周囲の枝葉が一瞬で吹き散らされ、鳥を中心として空間が開ける。
羽を広げて周囲の空間を開けた鳥が此方を見つめたまま首をグルグル回し始めた。
「きょいきょいきょいきょい・・・」
鳴き声は何とも言えない上機嫌な様子を称えている。
バシバシバシバシと、広げた両の羽を自分の身体にぶつけて音を出して居る・・・
「くぽくぽくぽ・・・・」
囀りも何種類かあるらしい、囀りながら蟹歩きで横移動して此方の逃げ道を塞いでいる・・・・
いや、移動範囲微妙に広いので逃げようと思えば逃げられるのだが、目線は外れないので何とも言えない圧迫感がある。
「えっとこれ・・・・」
「求愛行動・・・ですよね・・・?」
「鳥は種族の認識曖昧にしてもこれは・・・・」
揃ってリアクションに困って固まっている、敵対するとか依頼が有るなら狩るのだが、上機嫌で懐に入られると対応に困る。
お腹が減って居る時は別だが・・・・
「くぽー!」
鳥がそう叫び声を上げて、羽を広げる。
咄嗟に着ていた上着、蛍光ブルーの裾を掴んで広げてバサバサとさせて見せて見る。
「くるるる」
そのリアクションを見せると、鳥は何故か納得した様子で頷いた。
嘴で羽の下をゴソゴソと漁ると、ころりと卵が一つ転がり落ちた。
下の地面は枯葉が敷き詰められて居て、大きな石や岩も無い。
人の頭ほどの大きさの卵だ、殻も大きさ相応に硬いのだろう。
鳥はその卵を無造作に此方に向かって蹴り転がした。
コロンコロンと足元に巨大な卵が転がって来る。
「ほろっほー」
じゃあよろしく、と言わんばかりの様子で鳴き声を上げ、片羽を上げて軽く振ると、くるりと振り返って茂みの中に消えて行った、いや、お前は梟なのかインコなのかはっきりしろ、それ以前に雄なのか雌なのかもハッキリしろ。
「・・・・どうすんでしょうコレ?」
灯が卵を拾い上げてお腹の上に抱え込んで首を傾げる。
「新パターンだな、育てろと?」
「コカポですね、何だか気に入った相手が居ると卵押し付けて来るって聞きましたけど・・・」
エリスが何とも言えない様子で灯の手の中の卵を覗き込む。
「色合い的に仲間だと思われたんじゃないですか?」
灯が暗に此方の上着を見る。
「今更これ複線か?」
メタい事言うと、これ着て登場してから1年越しで有る。
「実際押し付けられるとは思いませんでしたけど・・・」
珍しいらしい。
「そもそもこれ有精卵か?」
灯の抱える卵に耳を押し付けて、耳を澄まして見る、トクントクンと卵の中から音が聞こえる。
「生きてるっぽいな・・・」
「何か体勢に既視感を覚えますね」
灯が苦笑を浮かべる、妊娠中にやったイチャつきのノリだ。
「コカポの卵ですか? 珍しい」
ギルドで帰還後報告した所、アカデさんが開口一番そんな事を言い出した。
「珍しいんですか?」
「珍しいですよ、前回この卵手に入れたの私の師匠でした、この鳥について論文書いたの師匠でしたし、そもそも卵持ちのクカポに遭遇して卵渡されるの、十年単位で1人とか其れ位ですし」
よっぽど珍しいらしい。
「どういう習性なんです?」
灯が聞いて見ると言う様子で合槌を撃つ。
こうして次を促すととても得意気に説明してくれるのだ。
「交尾して生まれた卵を、雄が羽毛の下のポケットに幾つも隠して、温めながら移動するんです、そして、気に入った相手、基本は同族の若い雄に卵渡すんです」
「渡す必要は?」
「卵いっぱい持ってるのは強い雄ですけど、雄一匹で子育てするのは大変何で、溢れた分を同族に渡して負担を減らすんです、何だか、種族全体で強い雄の子供だけ掛け合わせて選別してるような生態ですね」
社会主義鳥類? ハダカデバネズミとかの自己犠牲有りと言うか、堂々と托卵分業するシステムなのか。
ダチョウ何かは一番強い親鳥に、違う親鳥から雛の群れだけが合流するシステムで生存して居るが・・・・
「若い雄の羽毛が青味がかった緑で、年を取る毎に黄色がかった緑に成るんで、若鳥と見間違えられたとかのオチだと思いますよ?」
「やっぱり・・・」
「珍しいですもんね・・・」
灯とエリスが揃って納得する。
「因みに師匠は仲間だと誤認させる為に、全身真っ青な布被って鳥の前で踊ってました」
「ぼふっ」
其れを聞いて灯が一人で噴出した、変な所で行動が被ったのが可笑しかったらしい。
「そんなに何回も騙されてくれないと言うか、私の前で実験した時には直ぐバレて失敗してましたけどね、どう踊ったんです?」
再現性は怪しいらしい。
「こんな感じです」
裾を翻してバサバサとやって見る、今更照れは無い。
「踊られた時に、羽を広げて卵を持ってないのをアピールしたから、じゃあ預けようって言う流れですかね?」
アカデさんは真面目な顔で観察した後で、そう推論を立てた。
「所で、これ育てて得する要素あるんですか?」
エリスが机の上に置かれた卵をつつく。
「アレに遭遇したら分かると思いますけど、最終的に結構大型で強めに育ちます、流石に家に居るぬーさんよりは弱いですけど、孵化した時に近くに居た者を親だと思って懐くんで、そこそこ言う事も聞いてくれます、余り早くも無いですが背中に乗せて走ってもくれます、寿命も結構長いんで、師匠は護衛とか馬替わりとか家族扱いしてましたね、私も昔は乗せてもらいました」
アカデさんが珍しく遠い目で思い出して居る様だ。この人が昔語りで楽しそうにしているのは珍しい。
「飛ぶ訳じゃ無いんですね?」
灯がツッコミを入れる。
「跳躍に羽ばたき付けてるから滞空時間長い程度です、陸生動物としては良く跳ぶって感じですね」
鶏とか雉みたいなものか。
「重そうですしね・・・」
エリスも納得する。
「餌は?」
「割と何でも食べますよ、家に居るぬーさんと違って、草でも虫でも肉でも何でも食べますから、庭に放してほったらかしでもあんまり痩せませんね」
最近、ぬーさんも時々足りないのか外で自力で餌を取って来ている。
「成程・・・ 育てて見るとしますか・・」
「正直手放す方が勿体無いです、金持ちの好事家がバカみたいな値段付けてるなら兎も角、今の所そんな情報無いですから」
ギルドの解体場を主戦場として居るだけ有って、其処等の情報には詳しいらしい、恐らく自分でも育てたかったのだろう。
後日、孵卵器(インキュベーター)扱いされ、何とも言えない表情を浮かべるぬーさんと、自己認識が鳥では無く猫か人に成ってしまった巨大な鳥が発生した。
「因みに、怪我とか病気で変な事無ければ50年は生きるそうですよ」
アカデさんがそんな補足説明をする、オウムか・・・・
「更に言うと、最初の繁殖期まで20年です」
象かな? それだと青い若鳥はそもそも繁殖できないから、純粋な子育て要因である意味納得できる。
因みに、子供達としてはモフモフが増えたと言う認識だったらしく、しがみ付く選択肢が増えただけだったりした。
さらに後日、子供達に混ざって鳥に騎乗してはしゃいでいるアカデさんと言う珍しい光景が見られた事を補足しておく。はしゃいだのはほぼ全員だったが。
追伸
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