異世界坊主の成り上がり

峯松めだか(旧かぐつち)

文字の大きさ
204 / 274
6章 変な石とその後の話

第203話 求愛行動

しおりを挟む
(修復完了、バッテリー充電完了)
 気が付くと場所が移動して居た、運を天に任せた甲斐は有ったらしい。
 センサーを走らせる、どうやら何かの生物の巣らしい、一見ごちゃごちゃだが規則的に組み合わされた木の枝が見える、羽毛のような物も有るので、どうやら鳥の巣らしい、私が生き物であったのなら、食糧にされると慌てた所だろうが、無機物である私にそんな恐怖は関係が無いので、落ち着いて周囲の観察をする、私以外にもどうやら光る石、鉱物の類で飾り付けられている、黄銅鉱や黄鉄鉱、金属製品の類の金属片も発見、おお、こんな形で金属が・・・
 隣接して居る物を順に取り込み、材料にして触手の様な簡易アームユニットと追加装甲を作成、素の中に有る金属を取り込み切って一先ず満足する、まだまだ材料が足りないが、前回の起動時に感じた手詰まり感は無い。
 量としてはホンの少量なので、工程は道半ばだが、先ずは第一歩として上々だ。
 因みに、取り込んだ金属密度の調整によって、見た目の体積は言うほど増えない、そもそも使える金属の取り込みの際に不純物は取り除く為、余計な分は増えない、加工の際に必要な、ありふれた物質である炭素等は後で取り込めば問題無い。
 不意に視界が暗くなった、巣の主が帰って来たらしい、金属を取り込むのを優先して居て、ソナーセンサーを切って居たので気付くのが遅れた、鳥を確認、嘴には宝石や雲母辺等のキラキラ光る鉱石の類が咥えられていた。
 どうやら巣を飾り付けて居たらしい、少し金属片が減って居る事に気が付いたのか、不思議そうに首を傾げている、何と言うか、カラフルで大きな鳥だ・・・
 全長(嘴から尾羽の先まで)で2m程あるだろうか?
 尚、1m程が尾羽だ・・・
 極楽鳥とか尾長鳥の類か?
 鳥は気を取り直して持って来た光る物で巣を飾り付け始めた。どうやら色々なこだわりが有るらしい、散々首を傾げ、あっちこっちと置き場所を変える、私の位置も気に入らないのか色々転がされた。
 これで完璧と言った様子で顔を上げると同時に、鳥の顔に一種の緊張が走った。
 突然ピーンと背筋を伸ばして一点を見つめている、鳥の視線の先には、もう一羽の鳥が居た、大分地味で一回り大きいが、どうやら同種の雌(?)らしい、雄の方が派手なのは世界と言うか宇宙共通なのか?
 突然此方に居る巣の主が羽を広げて躍り出した、羽を広げてぴっこんぴっこんと動き回る、求愛のダンスらしい、同時に、この巣を見てくれと言うように巣の周りを回る。この場所は高台の上で、其れなりに開けている為、動き回るのに邪魔な物は無い、もしかするとこのダンスの為に整地して居た可能性も有る、何でこの類の鳥は求愛に無駄なリソースを全力なのだろう?
 対して、その必死の求愛ダンスを見守る雌は冷めた様子だ、巣の周りをさらっと回り、ちらりと巣を一瞥しただけで去って行ってしまった。

 ダンスを踊っていた鳥ががっくりと言った様子で肩を落とした。
 言葉も通じないのに、この鳥の思考が手に取るようにわかる。
(落ち込むな、未だ次が来るさ・・・)
 人間の男だったらポンポンと肩を叩いて慰めたくなりそうな流れだが、鳥相手にしてもしょうがないだろう。
 どうやら、この鳥の求愛行動は、巣をキラキラで飾り付け、ダンスする空間を作り、ダンスをしてアピールして、巣に興味を持って巣に入ったらその隙に交尾と言う流れなのだろうか?
 となると、私の表面を鏡面状態にすれば上手く行くだろうか?
 金属を失敬した代金として少し協力するのも悪くない。


 結果として、鏡面状態でキラキラと反射する私はかなり注目を牽けたらしく、巣の主は求愛行動と交尾を成功させた。
 乗って居る順番を見る限り、巣の主が雄で、地味な方が雌で合って居たらしい、交尾の後、卵を産んだ雌は次の場所に移動して行った、どうやらこの鳥は子育ては雄の担当らしい、雌は雄の巣を渡り、次から次に卵を産んで行く、この繁殖形態でその非生産的な求愛行動で雄を選ぶ意味は有るのだろうか? と言うツッコミが有るが、まあそう言う物なのだろうと呆れながら納得した。
 そして、私が何故そんな雌の動きに詳しくなったかと言うと、雌にお持ち帰りされたからだ、丸呑み的な意味で、どうやらこの雌、気に入った光物を飲み込む性質が有るらしい、しかも排泄される訳でも無く、そのまま砂肝らしき部位に溜め込まれると、流石に生体の体内と言うこの状態では、レーダーやビーコン、通信システムも碌に機能しないので更に困るのだが、この鳥はキラキラ光っているのなら石に限らず金属製品も飲み込むため、材料に困らない、日に日に重くなるはずだが、元が大きなこの鳥は意に介した様子も無く、次から次に飲み込んで来る。
 鳥は恒温動物で、体温もそこそこ高い為、ある意味理想的な環境だった・・・・

 結果として、重さに耐えきれずに本来の生息域から外れ、ふらふらと飛び回り、とある冒険者に撃ち落させるまで、ある意味寄生状態でお世話に成る事と成った・・・
 ありがとう、鳥・・・

 後日、其のその鳥が宝石鉱石の類を貯めこむ性質の為「宝石鳥(ジュエルバード)」と呼ばれて居たと知るのはまた別の話である。
しおりを挟む
感想 256

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界から元の世界に派遣された僕は他の勇者たちとは別にのんびり暮らします【DNAの改修者ー外伝】

kujibiki
ファンタジー
異世界で第二の人生の大往生を迎えた僕は再びあの場所へ飛ばされていた。 ※これは『DNAの改修者』のアフターストーリーとなります。 『DNAの改修者』を読まなくても大丈夫だとは思いますが、気になる方はご覧ください。 ※表紙は生成AIで作ってみたイメージです。(シャルルが難しい…)

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

構造理解で始めるゼロからの文明開拓

TEKTO
ファンタジー
ブラック企業勤めのサラリーマン・シュウが転生したのは、人間も街も存在しない「完全未開の大陸」だった。 ​適当な神から与えられたのは、戦闘力ゼロ、魔法適性ゼロのゴミスキル《構造理解》。 だが、物の仕組みを「作れるレベル」で把握できるその力は、現代知識を持つ俺にとっては、最強の「文明構築ツール」だった――! ​――これは、ゴミと呼ばれたスキルとガラクタと呼ばれた石で、世界を切り拓く男の物語。

ガチャで領地改革! 没落辺境を職人召喚で立て直す若き領主

雪奈 水無月
ファンタジー
魔物大侵攻《モンスター・テンペスト》で父を失い、十五歳で領主となったロイド。 荒れ果てた辺境領を支えたのは、幼馴染のメイド・リーナと執事セバス、そして領民たちだった。 十八歳になったある日、女神アウレリアから“祝福”が降り、 ロイドの中で《スキル職人ガチャ》が覚醒する。 ガチャから現れるのは、防衛・経済・流通・娯楽など、 領地再建に不可欠な各分野のエキスパートたち。 魔物被害、経済不安、流通の断絶── 没落寸前の領地に、ようやく希望の光が差し込む。 新たな仲間と共に、若き領主ロイドの“辺境再生”が始まる。

【完結】発明家アレンの異世界工房 ~元・商品開発部員の知識で村おこし始めました~

シマセイ
ファンタジー
過労死した元商品開発部員の田中浩介は、女神の計らいで異世界の少年アレンに転生。 前世の知識と物作りの才能を活かし、村の道具を次々と改良。 その発明は村の生活を豊かにし、アレンは周囲の信頼と期待を集め始める。

悪徳領主の息子に転生しました

アルト
ファンタジー
 悪徳領主。その息子として現代っ子であった一人の青年が転生を果たす。  領民からは嫌われ、私腹を肥やす為にと過分過ぎる税を搾り取った結果、家の外に出た瞬間にその息子である『ナガレ』が領民にデカイ石を投げつけられ、意識不明の重体に。  そんな折に転生を果たすという不遇っぷり。 「ちょ、ま、死亡フラグ立ち過ぎだろおおおおお?!」  こんな状態ではいつ死ぬか分かったもんじゃない。  一刻も早い改善を……!と四苦八苦するも、転生前の人格からは末期過ぎる口調だけは受け継いでる始末。  これなんて無理ゲー??

処理中です...