異世界坊主の成り上がり

峯松めだか(旧かぐつち)

文字の大きさ
236 / 274
6章 変な石とその後の話

第235話 初対面では結構怖い

しおりを挟む
 領主の館の執務室で前任の領主が残して行った仕事を片付ける。
 冒険者ギルドの方は何だかんだ最低限回っているようなので放置。
 最低限の書類整理は終わったので、後は領民の要望書を読み込み、公益性のある物に予算人員を回す。
 今回は現在進行系の疫病対策に回っている教会宛に追加で予算を回す、余計な口出しは要らない。領地運営のコツは知識も無い部分に口を挟むことではなく、出来る者に予算を回して良きに図らえと言うだけだ。
 まともに使われるかはまた別問題なので、色々確認と微調整は必要だが、ソレは別の話。
 もっとも、この屋敷の人材に現状ロクなの居ない問題が有るので、最低限のお使いしか出来ないのが問題なのだが。
 其れ以前に今は疫病の真っ最中なので、治療に従事している各所に補助金を出す程度しか出来ないのだが。
 ソレに引き継ぎ予定な次期領主様の目星は付いていて、しかも早い内に来る様なので、自分の子飼いの部下を作って根回しと教育育成しておこうにも時間が足り無いので、色々諦めて引き継ぎ準備と覚悟だけして置く。
 次期領主様がマトモで優しい人で有りますように。
 後はそんな事を祈るだけだ。
 上司であるダモクレスの目が確かな事を祈ろう。

 そんなこんなで、次期領主様の1団が到着した。
 使用人達がドタバタと走り回って居る、本当に三日天下だった。
「好きな方法でどうぞ」
 そう言って両膝をついて目を閉じた。
 貴族相手に士官する時の儀式なのだが、一般的に騎士なら剣の腹で肩を斬れない様に叩くのだが。文官の類では手で肩を軽く叩くが。酷いのだと最初に上下関係を分からせると言う名目で暴力を振るう者は意外と多い。
 交互に2回叩くと言うのが最低限のルールなので、以外と往復ビンタが多いと聞いたことを思い出す。
 そんな怖い想像をしつつ、その儀式を待った。
 カチャリ
 音が響いた、剣か、ちょっと怖いけど、まあ大丈夫。
 思わずビクリとしつつ、目をギュッと瞑る。
「コレでは無いな?」
 そう呟くのが聞こえた。
(え? ソレはどう言う意味で?)
 ふわりと、抱き締められた。
(え?)
 ぽんぽん
 ゆっくり優しく背中を叩かれた。
「コレで良いかな?」
 するりと手が離れた。
 何故かオレンジの良い香りがした。
 .
 思わずポカンと目を開けた。
 周囲の面々の顔には、これだからこの人は、と言う様な何とも言えない生暖かい目が浮かんでいた。ちょっと羨ましそうな顔だったり。何故か得意気な表情が浮かんでいたりした。
 そして、いきなり抱擁してくれた本人には、少し照れくさそうな笑顔が浮かんでいた。
「はい、ありがとうございます」
 思わずぴょこんと立ち上がり、改めてカーテシーで自己紹介をしつつ挨拶した。

「早速たらしましたよこの人は」
 黒髪の美人が苦笑を浮かべる。
「あれだけ怖がってたらしょうがないじゃないですか」
 金髪の少女が口を尖らせる。
「凄いでしょ?」
 アカデ先輩が何故か得意気に笑みを浮かべていた。
「羨ましいです、後で私も」
 メイド服の少女が羨望を込めて。
 口々にそんな事を言っているが、不思議と攻撃性と言うか、トゲは無い。
「他意はないぞ?」
 当人は今更照れたのか、はにかむように顔を赤くして苦笑を浮かべる、言い訳っぽい口振りだが、先程まで独特の緊張感に張り詰めていた空気が霧散していた。

 何はともあれ、こうして私は新しい領主、和尚さんに仕える事となった。
 思ったより優しそうな人で良かったと思う、そしてその後、想像の斜め上を行く要注意面白人物で、ダモクレスの采配に感謝する事に成るのは、すぐ後の話だった。
 
しおりを挟む
感想 256

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界から元の世界に派遣された僕は他の勇者たちとは別にのんびり暮らします【DNAの改修者ー外伝】

kujibiki
ファンタジー
異世界で第二の人生の大往生を迎えた僕は再びあの場所へ飛ばされていた。 ※これは『DNAの改修者』のアフターストーリーとなります。 『DNAの改修者』を読まなくても大丈夫だとは思いますが、気になる方はご覧ください。 ※表紙は生成AIで作ってみたイメージです。(シャルルが難しい…)

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

構造理解で始めるゼロからの文明開拓

TEKTO
ファンタジー
ブラック企業勤めのサラリーマン・シュウが転生したのは、人間も街も存在しない「完全未開の大陸」だった。 ​適当な神から与えられたのは、戦闘力ゼロ、魔法適性ゼロのゴミスキル《構造理解》。 だが、物の仕組みを「作れるレベル」で把握できるその力は、現代知識を持つ俺にとっては、最強の「文明構築ツール」だった――! ​――これは、ゴミと呼ばれたスキルとガラクタと呼ばれた石で、世界を切り拓く男の物語。

ガチャで領地改革! 没落辺境を職人召喚で立て直す若き領主

雪奈 水無月
ファンタジー
魔物大侵攻《モンスター・テンペスト》で父を失い、十五歳で領主となったロイド。 荒れ果てた辺境領を支えたのは、幼馴染のメイド・リーナと執事セバス、そして領民たちだった。 十八歳になったある日、女神アウレリアから“祝福”が降り、 ロイドの中で《スキル職人ガチャ》が覚醒する。 ガチャから現れるのは、防衛・経済・流通・娯楽など、 領地再建に不可欠な各分野のエキスパートたち。 魔物被害、経済不安、流通の断絶── 没落寸前の領地に、ようやく希望の光が差し込む。 新たな仲間と共に、若き領主ロイドの“辺境再生”が始まる。

【完結】発明家アレンの異世界工房 ~元・商品開発部員の知識で村おこし始めました~

シマセイ
ファンタジー
過労死した元商品開発部員の田中浩介は、女神の計らいで異世界の少年アレンに転生。 前世の知識と物作りの才能を活かし、村の道具を次々と改良。 その発明は村の生活を豊かにし、アレンは周囲の信頼と期待を集め始める。

悪徳領主の息子に転生しました

アルト
ファンタジー
 悪徳領主。その息子として現代っ子であった一人の青年が転生を果たす。  領民からは嫌われ、私腹を肥やす為にと過分過ぎる税を搾り取った結果、家の外に出た瞬間にその息子である『ナガレ』が領民にデカイ石を投げつけられ、意識不明の重体に。  そんな折に転生を果たすという不遇っぷり。 「ちょ、ま、死亡フラグ立ち過ぎだろおおおおお?!」  こんな状態ではいつ死ぬか分かったもんじゃない。  一刻も早い改善を……!と四苦八苦するも、転生前の人格からは末期過ぎる口調だけは受け継いでる始末。  これなんて無理ゲー??

処理中です...