異世界坊主の成り上がり

峯松めだか(旧かぐつち)

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6章 変な石とその後の話

第236話 領地運営作戦会議

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「だいぶ安いな?」
 昼下りの執務室で思わず呟いた、ひとまずそれぞれの自己紹介を終えて、領地の運営状況を確認する為に残された出納帳や何やらの決算書類を確認していたのだが、この土地特産の小麦が買い叩かれていたのだ。
 因みに面々としては、自分、灯とエリスを筆頭として、アカデとカナデ、クリスも居る、実質的な全員集合状態だ。
「まあ、小麦の値段が高くても安くても、税金として納める分には農地特権として現物納められるから国としては問題無いですけど」
 役人視点らしいドライな意見を言うカナデ。
「ああ、商人に小麦買わせる時の買取価格が毎年下ってますね、そのわりに売りつける小麦の量が増えてる……」
 灯が納得した様子で賛同する。
「何でしょう? 御用商人の類なのに価格設定が下がる一方‥‥‥」
 エリスもどうしてくれようコレと言った調子で首を傾ける。
「ついでに領地全体収穫量上がってる訳じゃ無いから、純粋に税率上げて収入確保してると」
「でも、多いから豊作扱いで、流通がダブつくって言う名目で買い叩かれて、其れでも収入確保する為に税率上げて多目に確保して買い取らせてと‥‥‥」
「何というかなあ‥‥‥」
見事な悪循環だ。
「下手ですね?」
 灯がバッサリ切り捨てた。
「とりあえず税金として国に納める分の小麦はそのまま納めて、この値段で小麦卸せとほざいてる商人は出入り禁止にしておきましょう」
 バッサリ切る方で動くらしい、まあ、下手に前任の領主を引きずられても困る。
「其れだと、領地運営の予算と貴方がたが餓えませんか?」
 カナデがやり過ぎじゃ無いかとギョッとした様子で聞いて来る。
「そんなもん、別の商人呼べば良いです」
 代わりなんざ幾らでも居ると言う調子で灯が切り捨てる。
「私達の故郷に来てる出入りの商人呼べば良いだけですし」
 エリスが同じ調子で続ける。商人の販路や巡回ルートには縄張りやら何やらが有る筈だが、其れは素人があーだこうだ言う物では無い。
「この国って公定歩合、麦の流通価格に規制とか有ります? 民が飢えない様に一定以上値段を上げてはいけないとか、一定以上流通させなくてはいけないとか」
 下手に動いて規制でぽしゃるのは困るので、確認して置く。
「いえ、税として国に治める分が毒麦みたいな変なモノじゃない限りは問題無いし、個人の商人がどのように動くかは基本自由ですね?」
 この世界にも麦角(ばっかく)とかあるらしいが、貴族の類いが何をしても自由と。
「ただ、麦は重いので流通の費用が高くなりがちですから、もしかすると、その分があるかもしませんが……」
 この世界、収納魔法の類いは気休め程度で、自分が運用している『虚空の倉』は規格外にも程がある様子だ、行商人すれば無双できそうだが、下手に流通混乱させるのも考え物である。
「まあ、其処等辺のアレコレは商人呼んで詰めるとしましょう、其処等はエリスちゃん頼みます」
「頼まれました」
 こう言った商人交渉でのエリスは強い。
「そもそもこの世界の通貨システムって、金の分量で発行量が止まるやつでしたっけ?」
 灯が改めて、この国の経済システムを確認する。
「紙の紙幣が無いからな、ほぼ間違いなく金本位制だろう?」
 恐らくは肯定と返す、金貨がメインで動いている経済ならほぼ例外は無い。
 最終的に鉱山が閉まった時に、現在通貨を集めて鋳つぶして新通貨を金の純度を下げて作り直したりする羽目になる奴である。
 紙幣が信用出来る金として流通するには、中々大変な時間と国家として信用が必要に成る。
 商人連中は為替取引もして居る様だが、国全体を程良くインフレさせるのは国の仕事であって、小領地の仕事では無い。
「この領地に通貨発行権は無いですよね?」
「そんなの持ってるのは、王家の直轄領か、よっぽどの大領地です、そもそも子爵領の領主にそんな権限付いてきません」
 カナデが返す。と言うか、ここ子爵領か。
「其れなら、私達が豊かに成るためには、純粋に外貨と言うか、外の領地からお金を吸い取らなきゃ行けないんですね?」
 灯が結論を出す。
「身も蓋もないがその通りだな?」
 大筋で間違えていない、最終的に領地内で潤沢に金を物を循環させるのが理想型となる。
「だから、領主権限で領地全体の収穫から割合的に税として徴収して、国に納めた残りを商人に売って換金するわけです」
 カナデが結論づける、ぐるっと回って戻ってきた。
「色々有りそうですが、小麦の相場が低いって言うなら別の物に加工しちゃえば良いんです」
 そう言って灯が小袋をデンとテーブルの上に置く、ジャラリと音を立てて居る、アレか。
 灯が小袋の口を開けて、琥珀色の飴玉を取り出して掲げた、キラリと飴玉が窓からの陽光を反射して光る。
「其れは?」
「麦芽糖、水飴で行きましょう」
 灯が力強く断言した。
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