242 / 274
6章 変な石とその後の話
第241話 甘くしよう、何でも実験
しおりを挟む
先ずは良く挽いた小麦粉を鍋に溶かす、片栗粉が有れば話は早いのだが、この世界ではそんな精製の仕方をしているところを見た事が無いし、そもそも今回やりたいのは小麦粉を麦芽糖にする為の手順の確認だ。
因みに何時も持って歩いているのは、麦の麦芽糖では無く、米の麦芽糖、つまりお粥を麦芽酵素で分解した物なので、実は別物だ。
あっちでは米の方が安かっただけで有る。
製法的には麦の芽が出る時の酵素でデンプンを糖分に分解するので、材料は何でもいいのだ。
常温の水では小麦粉は溶けずに沈んでしまうので、火にかけて無理矢理溶かす。コレをコロイド溶液と言うのは、高校に入ってから知った。
この世界の小麦粉は少し純度が低く、全粒粉みたいに殻の部分も多少混じって居るので、この時にアク取りの要領で取り除く。
焦げ付かないよう弱火でトロミが付くまで多少煮込んだら、火を止めて多少冷まして、発芽した麦の粉を投入して一晩放置。
トロミのデンプンコロイド状態が分解されて、麦芽糖に変換されて鍋の中はサラサラ状態に戻るので、もう一度弱火で焦げ付かないように煮詰める。
ちょっと味見。
うん、甘いのでデンプンの麦芽糖分解変換成功。
ついでに何とも言えない様子でコチラを観察しているメイドさん達にも味見をさせて、何を作っているのか分からせる。
後はひたすら焦げ付かないよう弱火でコトコト煮詰めて、限界一歩手前位で火を止めて。
この辺は面倒なので、さっきからちらちら様子見している娘を捕まえて手伝わせた。
ひとまず完成と、砂糖とジャム代わりにお茶請けにしておやつタイムとしよう。
「ギリギリいっぱいでやりすぎたな?」
和尚さんが苦笑いしつつ、冷えて固まった麦芽糖のべっこう飴を器用に切り分けつつ、それぞれの口に放り込んで行く。
うっかり煮詰め過ぎて、お茶の準備をして運んでいる内に冷えて固まってしまったのだ、因みに、硬度的に叩いて砕ける程のカチカチでは無いので、本当に微妙な弾力が残ってしまい、割るにも切るにも何ともなあと言う中途半端なねちょねちょ段階だったので、切り分けるだけで一苦労だったりする。
多分私が力付くでやるとまな板事殺りかねないので、自重した次第だ。
「考えてみたら、コレマニュアル化しなくちゃ行けないんですよね?」
ちょっと遠い目をして見る。
「ある程度までで良いだろう? 料理上手が居ればきっとどうにか……」
作り方見てるのが結構居たから、見て覚えたのが居たら押しつけようと思う。
「でもコレ、本当に小麦粉から作ったんですか?」
カナデちゃんが未だに半信半疑と言う感じに聞いて来る、因みに口の中にべっこう飴が入っているので、甘さに負けて口元が緩んでいる。
「ええ、実質的に小麦だけですよ?」
えっへんと言う感じに胸を張って見せる。
「小麦畑が砂糖畑に・・・・・・」
カナデちゃんが遠い目をする、因みに、どう見ても年上に見えなかったため、自分の中ではちゃん付けで落ち着いている。
「かなり高くなりますね?」
エリスちゃんが皮算用を始めた、商人に買い叩く暇は与えない所存だ。
「酵素分解と煮詰めて精製する手間はあるけどな?」
「コスト重いですか? 確かもっと簡単な何かありませんでしたっけ? 異性化液糖?」
うろ覚え知識を適当に出してみる。
「コーンシロップか? 芋も使うか? でもデンプン溶液に塩酸流し込んで単糖類作るのは、その前段階の塩酸の調達に困るからやめれ」
考えたらしい。
「いきなり化学実験に飛びましたね? 塩酸ってどうやって作るんでしたっけ?」
そもそも麦芽糖の酵素分解も化学実験に近いけど、お祖母ちゃんに習ったことだったので、自分の中ではお菓子作りだ。
「二酸化硫黄を水に溶かして硫酸を作って、塩水を電気分解して水酸化ナトリウムにして、其れを混ぜると塩素ガスが出来るから、その塩素ガスを水に溶かすと出来る」
一歩先周りしたらしいEXが解説を入れる。クリスちゃんがしゃべる蜘蛛を見つけてギョッと目を剥いた。まあ、その蜘蛛に害はないので質問が無い限りスルー推奨です。
「あれ? 材料的には以外と集まりそうですけど、危ない?」
極めて危険ぽいことを言われた気がする。
「塩素ガスは純粋に死人が出るからな?」
トイレ掃除のアレか。何故か混ぜたがる人が一定数出てきた記憶がある。
「じゃあ今は止めときましょう」
すっぱり切り捨てて置こう。
「そもそも、この辺海が一寸遠いので、塩も割と高いですからね?」
エリスちゃんが釘を刺してくる、なるほど世知辛い。
「硫酸と塩酸ってどんなのです?」
一段落したところでアカデさんが食い付いてきた。
「酸性の液体、金属なんかは何でもかんでも溶けますね?」
確か金以外は溶けたはずだ。
「元の材料は意外と簡単そうなんですか?」
矢次はやに質問が続いてくる。
「硫黄と水と塩、後は電極材料、電気の元として調達が早そうなのは銅と鉄と果物……」
「ほうほう・・・・・・」
「電池なら塩と炭と紙と金属でも行けるな?」
和尚さんも乗ってくる。
「後で試したいのでお付き合いお願いします」
アカデさんが実験という名のデートに誘う、相変わらず色気も何も無い誘い文句であった。
追伸
本編には剰り関係ありませんが、内陸地では塩が高いです、だから獲物を仕留めたとき、血液は出来れば捨てずに血餅とかブラッドソーセージ的なのとかすると塩分補給に結構喜ばれたりします。
この時代、栄養学何てモノはまだ普及してませんが、体が何だか美味しく感じるという奴です。
因みに何時も持って歩いているのは、麦の麦芽糖では無く、米の麦芽糖、つまりお粥を麦芽酵素で分解した物なので、実は別物だ。
あっちでは米の方が安かっただけで有る。
製法的には麦の芽が出る時の酵素でデンプンを糖分に分解するので、材料は何でもいいのだ。
常温の水では小麦粉は溶けずに沈んでしまうので、火にかけて無理矢理溶かす。コレをコロイド溶液と言うのは、高校に入ってから知った。
この世界の小麦粉は少し純度が低く、全粒粉みたいに殻の部分も多少混じって居るので、この時にアク取りの要領で取り除く。
焦げ付かないよう弱火でトロミが付くまで多少煮込んだら、火を止めて多少冷まして、発芽した麦の粉を投入して一晩放置。
トロミのデンプンコロイド状態が分解されて、麦芽糖に変換されて鍋の中はサラサラ状態に戻るので、もう一度弱火で焦げ付かないように煮詰める。
ちょっと味見。
うん、甘いのでデンプンの麦芽糖分解変換成功。
ついでに何とも言えない様子でコチラを観察しているメイドさん達にも味見をさせて、何を作っているのか分からせる。
後はひたすら焦げ付かないよう弱火でコトコト煮詰めて、限界一歩手前位で火を止めて。
この辺は面倒なので、さっきからちらちら様子見している娘を捕まえて手伝わせた。
ひとまず完成と、砂糖とジャム代わりにお茶請けにしておやつタイムとしよう。
「ギリギリいっぱいでやりすぎたな?」
和尚さんが苦笑いしつつ、冷えて固まった麦芽糖のべっこう飴を器用に切り分けつつ、それぞれの口に放り込んで行く。
うっかり煮詰め過ぎて、お茶の準備をして運んでいる内に冷えて固まってしまったのだ、因みに、硬度的に叩いて砕ける程のカチカチでは無いので、本当に微妙な弾力が残ってしまい、割るにも切るにも何ともなあと言う中途半端なねちょねちょ段階だったので、切り分けるだけで一苦労だったりする。
多分私が力付くでやるとまな板事殺りかねないので、自重した次第だ。
「考えてみたら、コレマニュアル化しなくちゃ行けないんですよね?」
ちょっと遠い目をして見る。
「ある程度までで良いだろう? 料理上手が居ればきっとどうにか……」
作り方見てるのが結構居たから、見て覚えたのが居たら押しつけようと思う。
「でもコレ、本当に小麦粉から作ったんですか?」
カナデちゃんが未だに半信半疑と言う感じに聞いて来る、因みに口の中にべっこう飴が入っているので、甘さに負けて口元が緩んでいる。
「ええ、実質的に小麦だけですよ?」
えっへんと言う感じに胸を張って見せる。
「小麦畑が砂糖畑に・・・・・・」
カナデちゃんが遠い目をする、因みに、どう見ても年上に見えなかったため、自分の中ではちゃん付けで落ち着いている。
「かなり高くなりますね?」
エリスちゃんが皮算用を始めた、商人に買い叩く暇は与えない所存だ。
「酵素分解と煮詰めて精製する手間はあるけどな?」
「コスト重いですか? 確かもっと簡単な何かありませんでしたっけ? 異性化液糖?」
うろ覚え知識を適当に出してみる。
「コーンシロップか? 芋も使うか? でもデンプン溶液に塩酸流し込んで単糖類作るのは、その前段階の塩酸の調達に困るからやめれ」
考えたらしい。
「いきなり化学実験に飛びましたね? 塩酸ってどうやって作るんでしたっけ?」
そもそも麦芽糖の酵素分解も化学実験に近いけど、お祖母ちゃんに習ったことだったので、自分の中ではお菓子作りだ。
「二酸化硫黄を水に溶かして硫酸を作って、塩水を電気分解して水酸化ナトリウムにして、其れを混ぜると塩素ガスが出来るから、その塩素ガスを水に溶かすと出来る」
一歩先周りしたらしいEXが解説を入れる。クリスちゃんがしゃべる蜘蛛を見つけてギョッと目を剥いた。まあ、その蜘蛛に害はないので質問が無い限りスルー推奨です。
「あれ? 材料的には以外と集まりそうですけど、危ない?」
極めて危険ぽいことを言われた気がする。
「塩素ガスは純粋に死人が出るからな?」
トイレ掃除のアレか。何故か混ぜたがる人が一定数出てきた記憶がある。
「じゃあ今は止めときましょう」
すっぱり切り捨てて置こう。
「そもそも、この辺海が一寸遠いので、塩も割と高いですからね?」
エリスちゃんが釘を刺してくる、なるほど世知辛い。
「硫酸と塩酸ってどんなのです?」
一段落したところでアカデさんが食い付いてきた。
「酸性の液体、金属なんかは何でもかんでも溶けますね?」
確か金以外は溶けたはずだ。
「元の材料は意外と簡単そうなんですか?」
矢次はやに質問が続いてくる。
「硫黄と水と塩、後は電極材料、電気の元として調達が早そうなのは銅と鉄と果物……」
「ほうほう・・・・・・」
「電池なら塩と炭と紙と金属でも行けるな?」
和尚さんも乗ってくる。
「後で試したいのでお付き合いお願いします」
アカデさんが実験という名のデートに誘う、相変わらず色気も何も無い誘い文句であった。
追伸
本編には剰り関係ありませんが、内陸地では塩が高いです、だから獲物を仕留めたとき、血液は出来れば捨てずに血餅とかブラッドソーセージ的なのとかすると塩分補給に結構喜ばれたりします。
この時代、栄養学何てモノはまだ普及してませんが、体が何だか美味しく感じるという奴です。
10
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
異世界から元の世界に派遣された僕は他の勇者たちとは別にのんびり暮らします【DNAの改修者ー外伝】
kujibiki
ファンタジー
異世界で第二の人生の大往生を迎えた僕は再びあの場所へ飛ばされていた。
※これは『DNAの改修者』のアフターストーリーとなります。
『DNAの改修者』を読まなくても大丈夫だとは思いますが、気になる方はご覧ください。
※表紙は生成AIで作ってみたイメージです。(シャルルが難しい…)
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
構造理解で始めるゼロからの文明開拓
TEKTO
ファンタジー
ブラック企業勤めのサラリーマン・シュウが転生したのは、人間も街も存在しない「完全未開の大陸」だった。
適当な神から与えられたのは、戦闘力ゼロ、魔法適性ゼロのゴミスキル《構造理解》。
だが、物の仕組みを「作れるレベル」で把握できるその力は、現代知識を持つ俺にとっては、最強の「文明構築ツール」だった――!
――これは、ゴミと呼ばれたスキルとガラクタと呼ばれた石で、世界を切り拓く男の物語。
ガチャで領地改革! 没落辺境を職人召喚で立て直す若き領主
雪奈 水無月
ファンタジー
魔物大侵攻《モンスター・テンペスト》で父を失い、十五歳で領主となったロイド。
荒れ果てた辺境領を支えたのは、幼馴染のメイド・リーナと執事セバス、そして領民たちだった。
十八歳になったある日、女神アウレリアから“祝福”が降り、
ロイドの中で《スキル職人ガチャ》が覚醒する。
ガチャから現れるのは、防衛・経済・流通・娯楽など、
領地再建に不可欠な各分野のエキスパートたち。
魔物被害、経済不安、流通の断絶──
没落寸前の領地に、ようやく希望の光が差し込む。
新たな仲間と共に、若き領主ロイドの“辺境再生”が始まる。
【完結】発明家アレンの異世界工房 ~元・商品開発部員の知識で村おこし始めました~
シマセイ
ファンタジー
過労死した元商品開発部員の田中浩介は、女神の計らいで異世界の少年アレンに転生。
前世の知識と物作りの才能を活かし、村の道具を次々と改良。
その発明は村の生活を豊かにし、アレンは周囲の信頼と期待を集め始める。
悪徳領主の息子に転生しました
アルト
ファンタジー
悪徳領主。その息子として現代っ子であった一人の青年が転生を果たす。
領民からは嫌われ、私腹を肥やす為にと過分過ぎる税を搾り取った結果、家の外に出た瞬間にその息子である『ナガレ』が領民にデカイ石を投げつけられ、意識不明の重体に。
そんな折に転生を果たすという不遇っぷり。
「ちょ、ま、死亡フラグ立ち過ぎだろおおおおお?!」
こんな状態ではいつ死ぬか分かったもんじゃない。
一刻も早い改善を……!と四苦八苦するも、転生前の人格からは末期過ぎる口調だけは受け継いでる始末。
これなんて無理ゲー??
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる