大代打の気まぐれショートショート

大代打

文字の大きさ
3 / 4

両片思いの男女の話

しおりを挟む
両片思いの男女の話
 
 彼は隣の席の彼女のことが好きだ。
いつもは密かに想いを寄せているが、今日は教科書を忘れてきたという彼女に机を寄せて見せているため緊張している。
 内心バクバクなのがバレませんように、と願う彼であった。
 授業が終わり、次は帰りのHR、一通り終わってさぁ帰ろうというところ、昇降口まで向かうと、彼女に声を掛けられた。
「さっきは、ありがとう。」
彼に笑いかける彼女の顔はとても美しかった。
彼は自分が彼女に想いを寄せていることを勘づかれたくなかった。
だから、必死に心が音を奏でるのを抑えようと努力した。
しかし彼は思った。ここで告白できればどんなに楽だろうか。
無謀ではあるが、言わなければという意志が彼の口を衝く。
「実は、、、君のことが好きなんだっ!」
彼女はそれを聞くと目を丸くしてしばらく固まっていた。
そして少し息を吐き、微笑むと口を開いたーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーー

チョークが黒板とぶつかりカツカツと音を立てている。
 何故だろうか、心なしかテンポが速い気がする。
 おそらく今自らの置かれた状況がこの世の最上ともいえるような心躍るシチュエーションだからだろう。
私は今、意中の男性に、教科書を見せてもらっている。
 いつもは隣の席とはいえ、遠目で眺めることが多い彼は、改めて近くで見てみると、彼の意外と鍛えられた身体、変声期を過ぎ喉仏が目立つ首、そこから紡ぎ出される吐息。
 全てが愛おしい、自分が独占したい、独占されたい。
あなただけのものになりたい。
この時間が永遠に、永久に続けばいいのに。
 そんな時間もチャイムと共に終わりを告げる。
 次は帰りのHRだ、でも少しでも長く一緒に居たい。
HRが終わり隣に目を向けると、彼はもうそこにはいなく、既に昇降口へと向かったようだった。
私は慌てて階段を駆け下り、 下駄箱へと向かう 。
周囲を見渡すが、彼の姿はない。手遅れだったか、そう思った時、私が降りた階段とは別の階段から彼が降りてくるのが見えた。
よかった、間に合った。
 安心と同時に何も考えずに下まで降りてきてしまったことに気づいた。
どうしよう、何か喋らなきゃ。
 そう思って咄嗟に出てきた言葉は、先ほども本人に告げた内容だった。
 「あのっ!さっきは、ありがとう、、っ」
 あぁ、何故こんな言葉しか思いつかないのだろう、自らの失望により私は息を吐く
 明らかに下駄箱で待ち伏せしてまでいうことではない、彼も怪訝そうな顔をしている。
 明らかに変な人だと思われただろう。
 ここで私が告白する勇気があれば、もう少し違うことが言えただろうにーーーーーーーーーいや、このまま終わりたくない、せめて最後に告白だけして終わろう。
 そう思い、半ばヤケクソ気味に息を吸った時だった。
 「ねぇっ!」
 突然彼が口を切った。
私に緊張が走る。
ーーーーー何?
 突然のことなので慌てて少しつっけんどんな態度になってしまった。
 あぁ、嫌われただろう、こんなひどいやつなんて、思っていなかったと、失望されただろう。
ーーーーーーーーーー実は、、、、君のことが、、、っ、好きなんだっ!

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーえ?

私は耳を疑った、冗談だと思った。
 だって、そんなはずないのだから、彼も私のことを好きだなんて。
 だって、もしそうだったら、私は一人で勝手に絶望して、諦めて、勝手に玉砕しようとして、莫迦みたいじゃないか。
そう思うと少し気が楽になった、それと同時に嬉しさがこみ上げてきた。
 私は少し微笑むと、彼に答えを返した
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。 「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく… なお、スピンオフもございます。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

処理中です...