ポン・すけ 日記

詩悠

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なれる?

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 今日はなんだか鴉たちがやけに騒がしいわ。
どうしたのかしら?

 あら?

 ユウが慌てて帰ってきたわ。なんだか、ひどく怯えて焦っているようね。



「やぁ やぁ やぁ やぁ」

 カースケだわ。なんだかちょっと興奮ぎみ。
 今日はお祭りでもあったのかしら?

「お宅の坊ちゃん凄いぜ!」

 坊ちゃん……誰のことかしら?お兄ちゃん?アオ?それともユウ?

 坊ちゃん、というからには男の子のはずだから、ハナではないはずね。
 お兄ちゃんも……坊ちゃんという歳ではないわね。なら、アオかユウのどちらかかしら。

「最近さぁ、新入りが来たみたいだって話題になってたんだが、ソイツが今日、広場の真ん中で「あそぼう あそぼう」って、呼びかけてたんだよ。 それでな、呼びかけに応えて行ってみたら……なんと!! お宅の坊ちゃんが広場の真ん中に突っ立って「あそぼう あそぼう」って、呼びかけてんじゃねーか! びっくりだろ!」

「ふぅん」

 それはユウね。
 あの子、鴉……だけじゃないけど、鳴き真似が上手で、最近は鴉の鳴き真似すると、鴉が応えてくれるって、はしゃいでたもの。

「呼びかけに応えて、集まったのは、カースケ、貴方だけだったの?」

「いいや、いっぱいいたぜ。 フェンスにぐるっとみんな止まって、呼びかけたその子を見てたんだ。」

 ああ、なるほど。それでユウは慌てて帰ってきたのね。
 きっと怖かったはずだわ。

「オレらの言葉が話せるなんて、貴重な人間だよな! 仲間に入れてやってもいいぜ。」

「どうかしら?」

 ユウは鴉の鳴き真似が上手なだけで、その声が意味のある言葉になってるなんて分かりもしないし、想像もしてないわよ。

「白ヘビのイノチにも気に入られてるようだし、なんなら、オレらのボスにしてやってもいいな!」

「無理でしょ。」
 

 ユウをえらく気に入ったようだけど、鴉のボスになるのなんてきっと無理ね。

 たしかに、ユウはすごく動物に好かれるのよね。
 近所のマルやチャトラ、それにシロロもユウが通る時には必ずと言っていいほど、ユウに近づいていくし、この間は散歩中の犬がつけられているリードを振り切って、ユウにジャレついていたもの。
 その時のユウはもちろん、べそかきながら帰ってきたわ。

 前には、お母さんに「おばけ~」って、脅かそうとして、言った自分が怖くなって、半べそかくようなこともあったしね。

 
 
 とても、ボスにはなれそうにはないわ。


 でも、でも、ひょっとして、あの子が大人になる頃には、もっと逞しく、頼りがいのある人間になって、動物たちのボスにもなってくれるのかしら?


 未来を考えるってたのしいわね。

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