ポン・すけ 日記

詩悠

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ミステリアスなヒト

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 若干、興奮ぎみのカースケと話しこんでいたら、お姉ちゃんが帰ってきたわ。

「おっと、長居し過ぎたな。じゃぁ、またな!  カァァ    カァァ」

 慌ててカースケが帰っていったけど、何か不都合なことでもあったのかしら?
 慌てることなんてないひとだと思ってたけど、慌てることもあるのね。
 今日は珍しいことをたくさん見れる日だわ。

「今のからす……」

 お姉ちゃんが飛び去ったカースケを目で追いながら、呟いたわ。何か気になることでもあったのかしら?

「ホントに鴉かな?」

 まぁ! あの真っ黒なカースケ、鴉以外のナニに見えるというの!?

「今の鴉、ポンと話してたよね?」

 見られてたのね。

 でも、黙秘させていただくわ。

「前に……さっきの鴉、田んぼのへりでトンビと並んでたたずんでたんだよ。……猛禽類と鴉……天敵じゃない?」

 何してたのかしらね?
カースケのことだから井戸端会議かしら?

 トンビと井戸端会議なんて、わたしは遠慮するわ。トンビに食べられちゃうもの。

「その後は白鷺しろさぎとやっぱり、田んぼのへりで佇んでた。白と黒だからあんがい目立ってて、直ぐに気づいたんだよ。」

 カースケって、おしゃべり好きよね。

「異種間であんなに近くに並んでいられるものかな? 狭くはなく、広い場所で、他の鳥はどこにも見当たらないのに……」

 カースケ、おしゃべり好きだから。

「その後は猫! 下の土手で縞模様の猫とくっついてた……ポンも今、一緒にいたね?」

 縞模様の猫……マルかしら?
 マルはカースケにとても懐いているの。わたしと同じように助けられたことでもあるのかもね。

「猫って、鴉嫌いじゃない?」

 何にでも例外というものがあるのよ。

 わたしはりっぱなレディですもの、色々なことに柔軟に対応することができるわ。

「ん~ あの鴉、足が三歩あったりしないよね?」

 そんな変なひとじゃないわ。

 でも、ちょっと謎の多いひとかもね。

 ミステリアス……なんだか楽しそうな響き。ドキドキするわ。

 カースケにはドキドキしないけど、
「ミステリアスなヒト」
 わたしも目指してみてもいいかもね。


 それにしても、お姉ちゃんは個体の鴉の区別がつくのかしら?

 お姉ちゃんも十分にミステリアスなヒトだわ。

 

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