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(いつの間に用意したんだろう?)
そう思いながら席に着くと食事を始めることにした。
ちなみにメニューはパンとスープだった。
食べ終わると、片付けをして、早速出かけることにした。
まずは情報収集を行うことにした。
それからしばらくして、ようやく有力な情報を手に入れることができた。
その情報を整理すると、次のようになる。
まず、魔王城の場所だが、ここから南西にある山を越えた先にあるようだ。
そして、その山の麓には大きな街があるらしい。
そこで準備を整えてから向かう事にした。
翌日、朝早くに出発して、昼頃には到着することができた。
さっそく中に入ると、武器屋に向かう事にした。
店の中には様々な種類の武器が置かれていた。
その中でも特に目を引いたのは魔剣と呼ばれるものだった。
それを手に取り眺めていると店主に話しかけられる。
「兄ちゃん、それが気に入ったのかい?」
そう聞かれたので頷く。
すると、店主は嬉しそうに言った。
「そいつは、かなりの業物だぜ、今なら安くしておくぜ」
そう言われて値段を見ると、金貨50枚と書かれていた。
(高っ!)
そうは思ったものの、せっかくなので買うことにした。
そして、ついでに防具も買っておくことにする。
リュートは鎧などを身につけるのはあまり好きではなかった。
だから普段は軽装なのだが、さすがにそれでは心許ないと思ったからだ。
そんなわけで、リュートは装備を整えると、そのまま街の外へと向かった。
そして、そのまま近くの森へと入っていく。
しばらく進むと、魔物が現れた。
その数は五匹ほどだったが、リュートは臆することなく立ち向かう。
そして、剣を構えると、一気に斬りかかる。
しかし、その攻撃はあっさりと避けられてしまう。
その後も何度も攻撃を仕掛けるが、全て避けられてしまう。
(くっ、当たらない)
焦るリュートに追い打ちをかけるように、一匹が攻撃を仕掛けてくる。
それをギリギリで躱すと、カウンターを放つ。
しかし、それも避けられてしまう。
(こうなったら、接近戦で勝負だ)
覚悟を決めると、リュートは相手に接近する。
それに対して相手は魔法を使ってくるが、それをなんとか防ぐと、懐に潜り込むことに成功した。
そして、渾身の一撃を叩き込んだ。
すると、その一撃によって相手は絶命した。
それを見た他の二匹は逃げ出すが、リュートは追いかけようとする。
だが、その前に、後ろから声をかけられた。
「父さん」
「ルーティアにはならないと言ったからな、何か困ったことはあるか?」
そう言われたので正直に答える事にした。
それを聞いたクロードは苦笑するとこう言った。
「そうか、ならついてこい」
そう言われたのでついていく事にした。
たどり着いた場所は小さな小屋だった。
中に入ってみると意外と広くて驚いた。
クロードはここで生活しているらしく、部屋がいくつもあった。
その中の一つに案内されると、そこに荷物を置くように言った後、部屋を出て行った。
一人残されたリュートは荷物を下ろすと、ベッドに横になる。
(これからどうなるんだろ……)
そんな不安を抱きながら眠りにつくのだった。
次の日、目が覚めると、昨日と同じように朝食が用意されている。
それを見て驚いていると、クロードが話しかけてきた。
「おはよう、よく眠れたか?」
その質問に頷くと、食事をしながら話をすることにする。
まずは現在の状況について聞いてみたところ、現在この国では内乱が起こっているらしい。
その為、国王である父は留守にしているそうだ。
それを聞いて納得すると同時に疑問が生まれたので聞いてみることにする。
「父さんはどうしてここに住んでいるの?」
そう質問すると、少し考えた後にこう答えた。
それは、自分が人間ではないことに起因するという。
なんでも、人間と魔族の間に生まれた子供であり、母親は既に亡くなっているらしい。
父親は人間に殺されたと聞いているという。
そんな話を聞いた時、俺は複雑な気持ちになった。
(まさか、そんな事情があったなんて……)
そんなことを考えているとクロードが言う。
「まぁ気にするな、今はお前がいるだけで十分だよ」
(それってどういう意味なんだろう?)
そんなことを考えているとクロードが立ち上がる。
そして、そのまま外に出て行ってしまった。
リュートは慌てて追いかけると、クロードは森の中を歩いていた。
そのまま進んでいくと、やがて開けた場所に出る。
そこには巨大な城が建っていた。
それを見たリュートは思わず言葉を失う。
(これが、父さんの暮らしていた場所なのか……)
そう思っていると、クロードが振り返る。
そして、リュートに向かってこう言った。
「今日からここがお前の家だ」
そう言われた時、リュートは嬉しかった。
今までずっと一人で暮らしてきたリュートにとって、誰かと一緒に暮らすというのは憧れだったのだ。
だが、それと同時に不安もあった。
(本当に俺なんかでいいのか?)
そんな事を考えていると、クロードはリュートの頭を優しく撫でると、そのまま抱き上げた。
突然の事に驚くリュートだったが、すぐに我に帰ると、慌てて抵抗しようとした。
しかし、いくら暴れてもびくともしない。
それどころか、さらに強く抱きしめられてしまった。
リュートは諦めて大人しくすることにした。
それから数日後、リュートはようやく歩けるようになった。
まだ、歩くのは遅いが、それでも進歩はしている。
そんなリュートを見てクロードは言う。
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