勇者パーティーを追放された俺は辺境の地で魔王に拾われて後継者として育てられる~魔王から教わった美学でメロメロにしてスローライフを満喫する~

一ノ瀬 彩音

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彼女の話を聞いてみると、どうやら私に頼みたいことがあるらしい。
(なんだろう?)
不思議に思ったが、とりあえず聞いてみることにした。
すると、彼女は言った。
「実は貴方の力を借りたいのです。どうか力を貸していただけないでしょうか?」
と言ってきた。
それを聞いて俺は考える。
(どうしよう……)
悩んでいると、彼女は再び口を開くと言った。
どうやら時間がないらしく、急がないと手遅れになってしまうかもしれないのだという。
(うーん……)
俺は悩んだ末に決断する事にした。
彼女の様子を見る限り、嘘を言っているようには見えないし何より命がかかっている以上、見捨てるわけにはいかなかったからだ。
なので、俺が代わりに行ってやろうと思ったのだが、なぜかアリア達に反対されてしまったのである。
理由を尋ねてみたところ、アリアが言うには、もしもの時に備えて一人くらい側に残った方がいいのではないかということだった。
だが、いくら何でもそれはないだろうということでなんとか説得に成功した俺は早速向かうことにしたのだが、
そこで問題が発生した。
なぜならアリア達も一緒に行くと言い出したからである。
さすがに全員で行ったら目立ってしまうだろうし危険なので俺はそれを止めたのだが、
彼女達は全く聞く耳を持たずに押し切ってきてしまったのだ。
(まったく困ったものだな……)
俺は内心でため息をつくと目的地に向かって歩き始めたのだった……。
こうして俺達は目的の場所に向かうことになったわけだが、
ここで一つ問題があることに気づいた俺はアリアに話しかけることにした。
というのも移動手段がないという問題があるのだ。
いや、正確に言えばあることはあるんだが、アリアの体格ではちょっと厳しいものがあるからな。
そんなことを考えているうちにアリアも気づいたようで、どうしようか悩んでいたようだったが、
やがて何かを思いついたような表情を浮かべると俺の方に向き直ると笑顔で言ってきた。
「ねぇ、お願いがあるんだけどいいかしら?」
そう言ってくる彼女を見て嫌な予感を覚えた俺は咄嗟に拒否しようとしたが遅かったようだ。
次の瞬間、俺の視界は真っ暗になり意識を失ってしまったのだった……。
しばらくして目を覚ますと、そこには信じられない光景が広がっていた。
なんと、目の前にはアリアがいたのだが、その姿はどう見ても幼い少女にしか見えなかったのだ。
それを見た俺は混乱しながらも何とか平静を装って尋ねることにした。
すると彼女は微笑みながら答えてくれた。
どうやら彼女は俺が眠っている間に自分の魔力を分け与えて成長させたらしい。
そんなことが出来るなんて聞いたことがなかったが、
実際に目の前で起きているのだから信じるしかないのだろう。
俺が驚いているのを尻目に彼女は更に驚くべきことを告げた。
なんと、これから旅に出るというのだから驚いてしまった。
(おいおい、いくらなんでもいきなりすぎるだろ!)
俺が抗議しようとした時、不意に背後から声を掛けられた。
振り向くとそこにいたのはニーナだった。
彼女は申し訳なさそうな表情でこちらを見ていたが、何かを決意したかのように顔を上げると、
こちらに近づいてきた。
そのまま目の前まで来ると頭を下げる。
突然のことに戸惑っていると彼女は話し始めた。
要約すると、彼女は俺達に付いていきたいということらしい。
もちろん断ったが彼女は諦めようとしなかった。
どうしても一緒に行きたいという強い意志を感じたため、仕方なく連れて行くことにする。
ただし、絶対に危険な真似はしないように言い聞かせておく。
彼女は嬉しそうな顔で頷いてくれたので一安心すると、俺達は出発することにする。
ちなみに、例の三人娘は置いていくことになった。
これ以上一緒にいると情が移ってしまいそうになるのでちょうどよかったのかもしれない。
そんなことを考えながら歩いているうちに目的の場所に到着したようだ。
そこは森の中にある小さな小屋だった。
ここが今回の討伐対象がいるという洞窟の入口だそうだ。
中に入る前に準備を整えることにする。
武器や防具、アイテムなどを確認し終えるといよいよ中に入っていくことになった。
しばらく進むと広い空間に出たのでそこに足を踏み入れた瞬間、視界が真っ白になった。
「うおっ!?」
驚いた声を上げると、隣に立っていたニーナも同じように声を上げていた。
どうやら彼女も無事だったようだ。
俺は安堵すると改めて周囲を見回すことにした。
少し離れた場所に一人の女性が立っているのが見えた。
恐らく彼女が今回派遣された魔王の娘なのだろう。
俺は警戒しながら近づいていくことにした。
向こうもこちらに気づいたようでこちらを見つめている。
その表情からは敵意のようなものは感じられないが油断はできないと思った俺は、
いつでも戦えるように身構えながら話しかけた。
彼女は意外な言葉を口にしたのだ。
「魔王、リュートにお願いがあります」
その言葉を聞いた俺は思わず聞き返してしまった。
「はい、なんでしょうか?」
そう聞き返すと彼女は真剣な表情のまま答えた。
「私を貴方の仲間にして欲しいのです」
その言葉を聞いても俺はすぐに反応することができなかった。
(何を言っているんだ?)
俺は混乱していた。
まさか魔族から仲間になりたいと言われるとは思わなかったからだ。
だが、よく考えてみればそれほど不思議なことではないのかもしれない。
なぜなら魔王の娘がここにいるということは、彼女の父親である魔王はすでに、
この世にはいないということになるからだ。
つまり、彼女は帰る場所がないのだ。
だから、こうして俺に頼んできたというわけか……。
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