勇者パーティーを追放された俺は辺境の地で魔王に拾われて後継者として育てられる~魔王から教わった美学でメロメロにしてスローライフを満喫する~

一ノ瀬 彩音

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結局なす術もなくされるがままになってしまうことになってしまった俺は悔しかったが、どうすることもできなかった。
せめてもの救いは相手が女の子であることだろうか?
まあ、それでも十分問題なのだが、今はそんなことを気にしている場合ではないと思い直すと、
なんとか説得しようと試みることにした。
「待ってくれ、落ち着いてくれ、頼むから話をしようじゃないか、なっ?」
そう言って宥めるように語りかけるも全く効果はないようだった。
それどころか余計に興奮させてしまったようで鼻息が荒くなっているのがわかった。
そとうとう我慢できなくなったのか襲いかかってきたので思わず叫んでしまった。
「やめてくれえええ!」
その瞬間、我に返ったように動きを止めると慌てた様子で謝ってきた。
その様子を見て安心したのも束の間で今度は泣き出してしまったものだから困ってしまった。
どうしたものかと思っているうちに泣き止んだようだが気まずい雰囲気が流れる中、先に口を開いたのは俺の方からだった。
それからしばらく沈黙が続いた後で意を決して話しかけた。
すると意外にも普通に返事をしてくれたのでホッとしたよ。
その後はお互いに自己紹介をして握手を交わしたところで
本題に入ったんだがその前に一つ確認しておきたいことがあったんだったわ。
だから聞いてみたら予想通りというかなんというか、やっぱり覚えてないみたいだったんだよね。
でもそれならそれでいいかなって思ったんだよ。
だって無理に思い出させる必要もないだろうしね。
そんなわけでこの件に関してはこれで終わりってことにして話を進めることにしたんだわ。
「さて、それじゃあそろそろ行こうか」
そう声をかけると二人は頷いた後に立ち上がり歩き始めたのだが、
すぐに立ち止まったかと思うと振り返ってきたので何事かと思って見てみるとどうやら忘れ物に
気づいたらしいことがわかったので取りに戻るように言ったところ素直に従ってくれたようだ。
良かったと思いつつ待っている間暇なので周囲を見回してみると、どこまでも続く草原が広がっているのが見えた。
空を見上げれば雲ひとつない青空が広がり太陽が照りつけているのがわかるほど眩しい光を放っている
光景を眺めながらボーッとしていると後ろから声をかけられたので振り向くと二人が戻ってきていたようで
その手には大きな鞄を持っていたことからおそらく必要な物を詰め込んできたのだろうと思われたんだが案の定その通りだったようだ。
中身を確認してみると着替えや日用品などが入っており、
「こんなもので大丈夫か?」
と聞くと笑顔で頷いていたので大丈夫そうだと判断した俺は出発する事にしたんだ。
ちなみにこの時はまだ知らなかったんだが、この後とんでもない事になるなんて思いもしなかったんだよな。
まさかあんなことになるだなんて夢にも思わなかったぜ。
あれから数日が経過したある日のこと、俺たちは森の中にある小さな村へとやってきていたんだが、
そこで偶然出会った少女がいたんだよ。
その子の名前はティナと言って、なんでも旅をしている途中だったらしいんだ。
それを聞いた俺達はせっかくだから一緒に行動しないか誘ってみたんだが快く承諾してくれて嬉しかったよねぇ、
その後色々と話し合った結果、しばらくはこの村で過ごす事になったんだよ!
いやぁ~それにしても楽しみだなぁ!
「さあ、着いたぞ。ここが今日から暮らす家だ」
彼はそう言うと扉を開けて中に入るように促してきたのでそれに従って
入ることにすると中は思ったよりも広くて綺麗だったので驚いた。
さらに部屋数も多く、これなら家族全員で暮らしても余裕がありそうだなと思ったほどだった。
(すごいな……これ全部一人で作ったのかよ……? さすがとしか言いようがないよな)
そう思いながら感心していると、彼が話しかけてきたのでそちらに視線を向けると優しく微笑んでいる姿が目に映った。
その表情を見た瞬間ドキッとしたが、悟られないように平静を装っていると、
突然抱きしめられたので驚いて固まっていると耳元で囁かれた言葉に衝撃を受けることになった。
「もう、大丈夫だから……」
その言葉を聞いた瞬間、涙が止まらなくなってしまったが、そんな俺を慰めるように頭を撫でてくれる
彼女の優しさに甘えているうちに落ち着きを取り戻すことができた。
その後、落ち着いた頃を見計らって声をかけてきた彼女に対して謝罪の言葉を口にすると、
気にするなと言われたので安堵すると共に感謝の気持ちを伝えた。
「ありがとう、本当に助かったよ。君がいなかったらどうなっていたことか……。
改めて礼を言わせて欲しい、本当にありがとう。この恩は絶対に忘れないよ。
いつか必ず恩返しさせてもらうから、それまで待っていてくれるか?」
俺がそういうと、彼女は微笑みながら頷いてくれたので嬉しくなった俺は自然と笑みが溢れていた。
「よしっ、じゃあまずは腹ごしらえだな!」
そんな俺の言葉に同意するかのようにお腹が鳴った音が聞こえたので二人で笑い合った後、
朝食の準備をするために台所へと向かったのだった。
こうして始まった俺達の生活だったが、最初は戸惑うことばかりだったものの、
今ではすっかり慣れてしまっていた。
特に困ったことがあるとすれば食料の確保くらいだろうか?
というのもこの辺りには動物がほとんどいないため、
狩りに行く必要があるのだが、これがなかなか大変な作業なのだ。
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