勇者パーティーを追放された俺は辺境の地で魔王に拾われて後継者として育てられる~魔王から教わった美学でメロメロにしてスローライフを満喫する~

一ノ瀬 彩音

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『初めまして、マスター』
驚いて周囲を見回すが、声の主と思われる存在はいないようだった。
困惑していると、再び声が聞こえてきた。
『私はあなたの剣です。名前をつけてください』
そう言われても困るのだが、とりあえず思い浮かんだ名前を口に出してみることにする。
「じゃあ、お前の名は今日から《エターナル》だ」
そう言うと、彼女は嬉しそうに微笑んだような気がした。
「ありがとうございます、マスター」
そしてそのまま黙り込んでしまったため会話が続かなくなってしまった。
どうしたものかと考えているうちに目的地に到着したようだ。
馬車から降りてみると、目の前には大きな屋敷があった。
ここが新しい住まいになるようだ。
早速中に入ると中は思ったよりも広くて綺麗だった。
これなら快適に過ごせそうだと思いながら部屋を見て回っていると、ある部屋の前で立ち止まった。
この部屋だけ鍵がかかっているのだ。
不思議に思って調べてみると隠し扉を見つけたので入ってみることにした。
そこには地下へと続く階段があった。
慎重に下りていくと広い空間に出た。
どうやら地下室のようだ。
そこには大量の書物や魔道具らしきものなどがたくさん置かれていた。
それを見て目を輝かせていると、背後から声がした。
振り返るとそこには一人の女性が立っていた。
その女性は黒髪黒目で色白で美しい顔立ちをしていたが、無表情で何を考えているのかわからなかった。
服装は黒のローブに身を包んでいて、手には杖を持っていることから魔法使いであることは一目瞭然だった。
彼女はこちらに気づくと声をかけてきた。
「おや、あなたは誰ですか?」
その問いに答えるべきか迷っていると、彼女が先に言ってきた。
「ああ、別に答えなくても構いませんよ。大体察しはつきますから」
そう言うと、彼女は自己紹介を始めた。
彼女の名前はアリサといい、この家に住んでいるらしい。
そして今は魔法の勉強をしているところだという、何でも将来は宮廷魔術師を目指しているそうで、そのために日々努力を重ねているのだとか。
そんな彼女に対して俺は問いかけた。
「ところで、さっきの続きなんだけどさ……」
そう切り出すと、彼女は途端に慌て始めた。どうやら忘れていたらしい。
その様子を見て苦笑すると、改めて自己紹介をする事にした。
「それじゃあ今度はこっちからだな、俺はリュート、見ての通り冒険者をやっているんだが、今はちょっと事情があって休んでいる最中なんだ」
そう言って握手を求めると、彼女もそれに応えてくれた。
それからしばらく話をした後、別れることになったのだが、最後に一言だけ言い残していった。
「もし何か困ったことがあったら相談してくださいね、力になりますから」
そう言って微笑む彼女の顔はとても美しかった。
(さて、これからどうするかな……)
そんな事を考えているうちに眠ってしまったようで目が覚めると朝になっていた。
起き上がって窓の外を見ると雲一つない青空が広がっているのが見えた。
天気もいいことだし今日は外に出ることにしようと思い身支度を整えた後、宿を出たのだった。
大通りに出るとたくさんの人が行き交っていた。
相変わらず活気があるなぁと思いつつ歩いていると不意に声をかけられた。
「あ、あの……!」
振り返るとそこにいたのは見知らぬ少女だった。
年齢は10代半ばくらいだろうか?身長はやや低めでスレンダーな体型をしており、髪は銀髪のショートカットだった。
瞳は紫色でややツリ目気味だったが顔立ちは非常に整っており、まるで人形のように可愛らしい少女だと思った。
彼女はこちらをじっと見つめたまま黙っている様子だったのでこちらから話しかけることにした。
「えっと、俺に何か用かな?」そう聞くと彼女はビクッとした後、慌てて話し始めた。
「あ、あの!すみません、突然声をかけてしまって……! でもどうしてもお聞きしたいことがあって……」
そこで一旦言葉を区切ると深呼吸してから意を決したように話し出した。
「わ、私を買ってくれませんか!?」
その言葉に俺は一瞬固まってしまった。
聞き間違いでなければ今この子が言ったのは間違いなく自分を買うという意味だろうと思う。
(おいおい、いきなり何を言い出すんだこの子は?)内心動揺しつつも平静を装って聞き返すことにした。
「買うってどういう意味だい?」
すると彼女は顔を真っ赤にしながら答えた。
「ですからその、私をお嫁さんにして欲しいんです!」
予想外の発言に頭が真っ白になってしまったが何とか気を取り直して聞き返した。
「どうしてそんなことを言い出したんだい?」
すると彼女は俯いてモジモジしながら答えた。
「実は私、家が貧乏でお金がないんですよ。だから働くこともできなくて、このままだと生活していけないと思ったのでこうして声をかけたんです。お願いします、どうか私を買ってください!」
必死になって頼み込んでくる姿に少し同情してしまったものの、さすがに見ず知らずの女性を嫁にするわけにはいかないと思い断った。
すると彼女は目に涙を浮かべながら訴えかけてきた。
「そんなぁ……酷いですよ、あんまりです! ここまでお願いしてるのに断られるだなんてあんまりじゃないですか!!」
そう言いながら詰め寄ってくる彼女に対し、どう対応すればいいのかわからず困っていると、突然後ろから声をかけられた。
振り返るとそこには1人の男性が立っていた。
歳は20代前半といったところだろうか?
身長はかなり高く、180cm以上はあるように見える。
顔は中性的で整った顔立ちをしており、髪も長く後ろで結んでいた。
服装はシャツにズボンといったラフな格好をしており、腰には剣を差していた。
彼はこちらを見るなり驚いたような表情を浮かべていたが、すぐに笑顔になると話しかけてきた。
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