勇者パーティーを追放された俺は辺境の地で魔王に拾われて後継者として育てられる~魔王から教わった美学でメロメロにしてスローライフを満喫する~

一ノ瀬 彩音

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「ふぅ……危なかったな……」
そう呟く俺の横では、ルミナスとルナが肩を寄せ合って震えていた。
それを見た俺は二人を安心させるべく優しく抱きしめてあげることにした。
すると二人は嬉しそうな表情を浮かべた後で俺の胸に顔を埋めてくる。
そんな二人を見ていると愛おしさが込み上げてきて、
思わず頭を撫でてしまう。
そうすると二人とも気持ち良さそうに目を細めている姿がとても可愛らしいと思ってしまった。
暫くの間そうやって過ごしていたのだが、
いつまでもこうしている訳にはいかないので、
そろそろ出発することにする。
立ち上がり歩き出そうとしたところでふと思いついたことが
あったので、二人に声をかけてみた。
「なあ、ちょっといいか?」
そう言うと不思議そうな顔をしながら振り返る二人に
向かって手招きしながら呼びかけると、
「何ですか?」
と言いながら近づいてきたので、
そのまま引き寄せてから抱きしめた。
すると二人は顔を真っ赤に染め上げながらも大人しく
身を委ねてくれたので、しばらくの間、
二人の温もりを感じていたのだった。
やがて満足したところで解放してやると、
名残惜しそうな顔をしていたが、気づかないフリをしておいた。その後は何事も無かったかのように歩き出したので、
俺もそれに続く形で歩き始めたのだった。
さて、これからどうするか。
そんな事を考えているうちに目的地である村に辿り着いたので、まずは村長の家を訪ねることにした。
「おお、これはこれは冒険者様方よくぞいらっしゃいました!」
出迎えてくれたのは初老の男性だったわけだが、
何やら随分と興奮しているようだな。
一体どうしたというのだろうか?
そんなことを考えているうちに彼は矢継ぎ早に質問を投げかけてきたので、とりあえず落ち着いてもらうことにしたんだ。
それから話を聞いてみると、どうやらこの村では最近
流行っている病気のせいで深刻な問題に直面している
ようだということを聞いたので、詳しい事情を聞いてみる
ことにしたんだ。
その結果分かったことなんだが、どうやら原因不明の
奇病らしく、治療法も確立されていないということだった。
その為、治療するには高価なポーションが必要らしく、
そのために多くの患者が苦しんでいるとのことなんだ。
それを聞いた俺は何とかしてあげたいと思ったんだが、
今の俺たちに出来る事は限られているし、
それに俺たちの目的はあくまで魔王討伐であって
人助けじゃないしなと思い直した俺は、ひとまずギルドに
戻ることにしたんだ。
だがしかし、ここで予想外の出来事が
起きたのである。
なんと帰り道の途中で急に雨が降り
出してしまったんだ。
雨宿りしようにも近くに良い場所が
なかったので仕方なく濡れながら走ることになったんだが、
これがまた大変だったんだよ。
何せ全身ずぶ濡れになりながら走り続けたんだからな。
そのせいで風邪を引いてしまいそうになるくらい体が
冷えてしまったんだが、それでも何とかギルドまで
辿り着くことが
できたんだ!
やっと帰ってこれたぜ。
そう思いながら中に入ったところで、
思わず固まってしまったよ。
何故ならそこに居た人物に 見覚えがあったからさ。
その人物とは、何とルミナスだったのだ。
しかも何故かメイド服を着ていておまけに猫耳まで
付けているじゃないか。
いや、それだけならまだしも、尻尾まで生えてるように
見えるんだが気のせいだろうか?
あまりの衝撃的な光景を前にして言葉を失っていると、
彼女の方から声をかけてきたんだ。
「お帰りなさいませご主人様! お風呂の準備が出来ておりますのでどうぞこちらへ」
俺はため息をついて歩き出す。
こんなに幸せでいいのだろうか?
「どうしたのですか?」
心配そうに顔を覗き込んでくる彼女になんでもないと
答えると再び歩き始める。
脱衣所に着くと服を脱ぎ始めたところで背後からの視線を
感じたので振り向くと、案の定彼女が立っていたところ
だったのだ。
彼女は頬を赤らめながらもじっとこちらを見つめていて
その視線は明らかに俺の体に向けられていることが分かるほど
だった。
俺は気がないから、ウザイだけなのだか......これも礼儀だと思い、こう聞いた。
「どうかしたのか?」
すると、彼女は恥ずかしそうに俯いてしまう。
その様子を不思議に思い、首を傾げていると、意を決したように顔を上げて口を開いた。
「あの、お願いがあるのですが、聞いてもらえますか?」
その言葉に頷くと、彼女は嬉しそうに微笑んだ後、こう言った。
「私に、お勉強を教えていただけないでしょうか!?」
その言葉に、今度は俺が驚く番だった。
俺は思わず聞き返した。
「え!? 君が俺に教わりたいの?」
すると彼女はコクリと頷いた。
(マジかよ……)
正直言ってかなり驚いたが、それと同時に嬉しくもあった。
なぜなら、今まで誰かに頼られることなんて
なかったからである。
だからこそ、この子の力になってあげたいと思った。
だから俺は笑顔で答えた。
「もちろんいいよ! 一緒に頑張ろうね!」
その言葉を聞いた瞬間、彼女の顔がパァッと明るくなった
気がした。
それからというもの、俺と彼女の勉強会が始まった。
最初はぎこちなかったけれど、少しずつ打ち解けていく
ことができたと思う。
そんなある日のこと、事件は起こった。
それは、勉強会が終わった後のことだった。
片付けをしている最中に突然後ろから声をかけられたんだ。
「リュート様」
振り返るとそこには魔族の男性が立っていた。
「何か用かな?」
尋ねると彼は真剣な表情で話し始めた。
その内容は、彼が仕えている主からの伝言であり、
その内容というのが、近いうちに迎えに行くというもの
だったんだ。
それを聞いて愕然としたよ。
だってそうだろう?
いきなりそんなことを言われても困るだけだからね。
だけど断るわけにもいかなかった為、渋々了承したんだ。
数日後、迎えに来た彼に連れられ馬車に乗り込むことに
なったんだ。
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