浮気する人とはもう恋愛出来ないので婚約破棄します～その後、義父に愛されて可愛がられて、蜜愛な住処～

45.

次に出てきたのは、過去の英雄譚でした。
そこには私達の祖先である勇者様の活躍が描かれています。私はその本を読んでいる内に、胸の奥が熱くなるのを感じました。
私は気がつくと泣いていたのです。
周りの人には気付かれなかったと思いますが、アンダレシュは私の異変に気付いたみたいです。
「どうしたリリィ？ 何かあったのか？」
「いえ、何でもないんです」
「そうか」
アンダレシュはそれ以上は何も聞いてきませんでした。
私はアンダレシュの優しさに感謝しながら、次の催物の見学に向かうのでした。
次は演劇でした。
演目は恋愛もので、主役は私達でした。
私は自分が演じる場面が来ると、気が気ではありませんでした。
私は舞台に上がると、観客達に挨拶をしました。
すると、拍手喝采が起こりました。
私はホッとすると、そのまま劇を続けました。
劇は無事に終わると、観客席から盛大な拍手が起きました。
私はそれにお辞儀をして応えると、そのまま控え室に戻っていくのでした。
私は自分の出番が終わったのを確認すると、アンダレシュの様子を見に行きました。
アンダレシュは私の方を見ると、優しく微笑んでくれました。
私はそんなアンダレシュにドキッとして、顔を赤くしながら、慌てて目を逸らしてしまいます。
アンダレシュはそんな私を見てクスクス笑うと、手を差し伸べてきました。
私はアンダレシュの手を握ると、一緒に歩き出すのでした。
その後も私達は色んなものを見て回りました。
出店では食べ物を買って食べました。
私は甘いものに目がなく、ついつい買い過ぎてしまいます。
アンダレシュはそんな私を呆れながらも、付き合ってくれるのでした。
私達はそうやって、一日を楽しく過ごしていきました。
楽しい時間はあっという間に過ぎるもので、もう日が落ち始めていました。
私は名残惜しく思いながら、アンダレシュと一緒に城を後にしました。
私達は帰りの馬車に乗り込むと、帰路に就くのでした。
私とアンダレシュは馬車の中で手を繋ぎながら、寄り添っていました。
私はアンダレシュの肩に頭を乗せながら、うとうとしていました。
アンダレシュは私の頭を撫でてくれると、私は安心して眠ってしまいました。
私が目を覚ますと、そこは私の部屋でした。
アンダレシュの姿はありません。
私は不安になって辺りを見渡すと、机の上にメモが置いてありました。
『仕事が片付いたら帰る』
私はそれを読んで、安堵のため息を吐くと、ベッドに潜り込みました。
暫くすると、アンダレシュが帰ってきました。