元勇者パーティーの雑用係だけど、実は最強だった〜無能と罵られ追放されたので、真の実力を隠してスローライフします〜

一ノ瀬 彩音

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「随分にぎやかな雰囲気の村になってきたんだねぇ」
と俺は村の長を務める青年と談義をしながらそんな感想を抱いていた。
というのも最初の頃とは雲泥の差といって過言ではなく、当初はまるで死にかけた老人がひとりぼっちで住んでいるかのような感じだったが今では村人同士で会話をしたりしながら暮らしている姿が多く見受けられるようになっていた。
「本当に皆さんのおかげですよ」
彼の感謝の言葉に対して俺は肩をすくめるだけに留めた。
それに関しては全てこちらの手柄だとかそんな意味を込めたつもりで あるから相手もその程度のことはすでに承知の上であった。
「ところで……君は勇者について知っているかい」
唐突に話題を変えてきた。
俺は知らないと答えた。
すると
「君と同じ境遇に立たされた人々の大半はその後の人生において様々な災難に見舞われるケースが散見されているんだよ」
例えば、ある者は突如現れた凶悪な魔王によって家族を奪われ、残された財産をすべて奪われたり、挙句は奴隷商人に売られそうになったりと散々な目に遭うことが多いそうだ。
そうなる前に逃げ出すことも
考える者もいたが、
「この辺りは治安が最悪だからね。どこも安全じゃない」
その一言で押し切られる格好となった。
確かに彼の言うとおりだ。
この街で暮らす者達は基本的に弱い立場にいるのだから。
故に結局は元の世界に戻らずこのままこの世界で一生を終える覚悟をするのが大半を占めるようになったという。
そしてそのせいで帰るに帰れなくなってしまったのが実情という訳だ。
「だからこそ僕は君のことを応援することに決めたんだよ。せっかくの機会なのに手ぶらじゃつまらないよね!  僕が出来る範囲ならば何でも協力するし遠慮無く頼ってくれても構わない。お金については当面の間は心配しないでも大丈夫だと思うけど足りないようなら相談してくれればいくらでも融通を利かせるしなんだったら投資という形で出させてもらうつもりだよ」
「そういえば……あなたはどうしてここに来たんですか?」
俺は質問をぶつけることにした。
何気なしに聞いたことではあるが実は結構気になっていたりする内容でもあったのだ。
だってそうだろう、
「もしも何か困ったことがあったときは是非ともご連絡ください。その時は全力で力になりますのでどうかよろしく頼みます!」
まさかこんな台詞を言われる時が来るなど誰が想像できるというのか。
少なくとも俺は思わなかった。
「私は商売のためにやって来ました。と言っても表向きは本屋なのですけれど……」
……なるほど本屋の経営者ということらしい。
それからというもの彼との交流が始まった。
向こうは俺のことを応援してくれたらしく、彼が持っているコネクションを駆使して本を格安で譲ってもらうことが出来た。
その数ざっと20冊程度。どれも貴重なものばかりであり、今までで一番のお宝といえるくらいの価値はありそうである。
しかし、それ以上に重要なことがある。
それは魔法についての知識が得られる本が含まれていることだった。
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