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まあそれは置いといて……あっちの女が着ている服についての説明を聞く。
……なんと言うのだろうかね、黒衣を纏っていて胸元を大きく開けて
見せつけるかのようなデザインがされていた。
かなり挑発的であるがあそこから漂う甘い香りからくる効果によって
俺は理性を失わされている最中であった。
俺の目は自然に胸に向かっていくんだが、それを見て俺の視線に対して
気付いたからか俺からそっぽを向いてしまうのがわかる。
恥ずかしかったからなのかもしれないがそんな態度を取られてしまっているので
余計に見てしまいたくなるので我慢できなかったんだよな。
たださすがに見られるのは不味いだろ。
そういう風に考えていた。
「あんまり見られるのは好ましくねえな……そんなに見せつけたいのかあんたよ」
そういうのが気に入らないという表情をしながら言ってきたのが気に喰わなかったが
それでも気にしないというのが正しいのだろうか?そんなふうなことを思ってきていた。
気にしないようにしている。
そんなときに限ってだ……何故かあいつの方が積極的に俺に接触しようと
思っているのか話しかけたりしてくることが多いのが悩ましいんだがな。
俺の方もそんな気持ちは持っていないという訳ではないという事が分かったりするんだが。
あいつ自身はどうなのだろうかという所まで考えは行かなくて……俺の考えが
上手く働かなかったりしたことも何度かある。
……とはいえ。
「今はそこまでのことを考えなくても良いのは事実だよな。
とにかく俺は生き延びて家族を守る。そのために……
色々と手に入れる必要があったわけだけど」
と俺は改めて決意をすることが出来た。
しかし問題が無いわけではなく、問題は俺の力がまだ完全でない点だった。
俺が得た力はそれほど強くはなかった。
だからこそ自分自身の力で 戦うわけでもなく、何かしらの補助が必要だったわけだ。
「しかし、どうしてこう俺の元いた世界で見た小説の登場人物の能力なんかを手に入れたのか不思議でならないが……
とりあえず使ってみてもいいんだろうかと思うくらいかな。これについては疑問を抱くわけだがどうなんだろうか?
とりあえず試すか……俺に使えればの話ではあるが、もしもこれが仮に使おうとして出来るようになれば
強い武器を手にすることが出来なくなるわけだし使うだけ意味は無いが一応やってみる。
……とりあえず呪文的なモノを唱えることにしようかと思うが……
イメージが大事な世界なんだろうか?  そこの部分は良く解らないから適当にしか言えないが……。
こんな所でどうだろうか。こういうやり方であってるかが解らん」
「我が命じる。出でよ、炎よ!  ……ファイア!」
……何も起こらないが、やはり違うのか。
それともこれが正しいのかどうか……。
とりあえず他の属性を使ってみたらどうなるのか気になるし別の種類を
詠唱すれば良いだけじゃないのかと思うし……これはどうなのかと思うわけで……。
ただ、 俺が考えた通りのことが行えるとは限らなかった。
俺の想像通りに発動しなかったらどうするかをまず決めるべきか……。
……と、思っていたのだが実際にどうするかを決める前に俺の唱えたことが
きちんと成功したかを確認しようか……。
もし失敗してしまったら、 無駄に終わるだけに過ぎないのだから。
「……失敗した場合。
それならばもう一度だ……
次はもう少し詳しく決めてみるかな……これだ。…………これで行けるはずだが」
今度は俺なりに工夫を加えてみた結果……成功させる。
俺の体が淡い輝きを放ち始める。
その現象を見ていた俺は一体何が起こっているのだろうと 思っていたわけだが。
次の瞬間に俺は眩しい光が視界を埋め尽くしてしまい何が起きているかわからなくなってしまったが暫くしてから
俺が目を開けた時には……目の前に一人の女性が立っていた。
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