悪役令嬢はお嫁に行けません！～身代わりとしてなぜか婚約者から溺愛されて困っています〜

14.

私は、サディエルの方を振り向いた。
サディエルが、何かを言いたげな様子でした。でも、なかなか切り出さないのでした。
（どうしたのでしょうか？）
（あーもうどうしたらいいかわかんねー）
（あーもうどうしよう）
（あーもうどうすりゃ良いんだよ）
（あーもうどうすれば……）
私は、サディエルが何か悩んでいるような感じだったので声をかけました。
ちらっとこっちを見ただけで、何も言いません。
「サディエル王太子って意外とシャイ？」
私は思わずそう言うと、 サディエルの眉間にシワができるのが見えました。
私は慌てて言いました。
「ごめんなさい、殿下に逢う人間になる様に教育を受けていたのです」
そう言った途端行き成りの事でした。
サディエルが、リリアーナの肩を掴むとそのまま押し倒してきたのです。
リリアーナは、思わず悲鳴を上げてしまいました。
サディエルは、リリアーナの口を手で塞ぐと、リリアーナの身体に覆い被さりました。
リリアーナは、サディエルに押さえつけられてしまいました。
リリアーナは、サディエルの瞳を見ると思わず見惚れてしまいました。
サディエルは、リリアーナの目を真っ直ぐに見ています。
リリアーナは、自分の鼓動が早くなるのを感じました。
サディエルは、リリアーナの口から手を離すと、リリアーナに囁きかけました。
「今なんて言った」
「その、王妃教育を」
「誰がそれをしろって？」
その問いかけに怒気が含まれている気がして、私は思わず謝ってしまいました。
サディエルは、私の上から退くと、私の腕を引いて起こしてくれました。
私は、サディエルの服の裾を思わず握ってしまいました。
サディエルは、私の方をチラッと見ると、私の手を握り返して言いました。
私は、思わずドキッとしてしまって、思わずサディエルから視線を逸らすのでした。
サディエルは、私の手を放して言いました。
「婚約を破棄する」
そう言われた時、私は、一瞬何を言われてるのかさっぱりわかりませんでした。
でも、すぐに理解しました。
「私が悪役令嬢だからですか」
「違う」
「ではなぜ」
「勝手に動かれて怒るなって？　父さんの元に居たんだろう、俺を頼れなかったんだろう」
私は、王太子の言葉に何も答えられませんでした。
確かにそうなのです。
私は、王太子に迷惑をかけたくなかった。
でも、王太子に嫌われたく無かったのです。
でも、王太子に心配をかけてしまったのですよね…… 私が黙り込んでいると、
王太子がため息を吐いていました。
私は、王太子に申し訳ない気持ちになります。
私は、王太子に謝罪します。
でも、王太子は何も言わずに、私に背を向けると、部屋を出て行ってしまったのでした……
***
私は、王太子に何も言えないまま、数日間何も出来なくなるのです。
一方王太子の部屋に ヒリス王が現れるのです。
「盛大に振ったな我が子よ」
そう言って現れたのは、ヒリス国王陛下でした。
「父上はこうなるのが分かっていたんだろう」
そう言って、ヒリス王はため息を吐いていた。
「お前が幼いとまだ知れてよかったよ、婚約破棄は確定だと思っていたからな」
そう言ってそっと微笑む。
「とりあえず、リリアーナはお前が面倒見なさい、婚約者では無いからと言って
城からも国からも追放するなよもお前が惚れさせたのだから最後まで責任取れ、
どうせなら側室にしてやるのもいいだろうな」
サディエルは溜息を尽いた。
「でも、父上、それは」
「お前の王位継承の試練とする、まぁ、頑張れ」
そう言いながらすぐ出て行くのでした。
「困ったな、側室って虎児ているのに、そばに置けって」
そう言いながらリリアーナの居るお屋敷に向かうのでした。
そうとも知らないリリアーナはぼさぼさの髪でボーとしていた。