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「ははっ。その気持ち分かるぞ。だが俺の娘ならきっと問題ないだろうさ」
と父親が笑うとエリザベッタはすかさず反論した。
「ちょっと待った。私が先に産んでいるのですからまずは私からで良いじゃありませんの」
父親の方がエリザベッタと近い時間を過ごしてきた関係で優先度はそちらにあると主張し始めると今度は
母親の方が口を出した。
「お前はそうやって自分が先陣を切ろうとしているんじゃ無いの。その行為自体が傲慢としか言いようが無いじゃないか」
「なんとでもおっしゃい。結局、子供を一番多く授かっている者が正妻となるのではないのかしら?」
と俺の母親であるエリザベージが答えると父親の方は俺の耳元で囁いた。
「という訳で頼むぜ。あの女に負けるでないぞ。ワシは二番目になってしまうのだからな。こればかりはどうしようもない。それと今後は妾は置かん事にすることにした。これは元々、エリザベッタも望んでいたことである。ゆえに問題はなしということにしておいてくれぬかの。彼女には幸せになって欲しいからな」
「……分かりましたよ」
「いや助かる。さすが若い奴は話が早うて嬉しい限りだわい」
と言いながら彼は笑っていたが目は笑ってはいなかった。なので俺は逆に釘を差しておいた方がいいだろうと考えたのだ。
「こちらとしてもこれ以上増えられるよりかはマシですから」
こう言われれば父親は何も言い返せず渋々納得していたが、本当に分かってくれていたのかは疑わしいものである。ただ、
「それでもたまには夜伽に来て頂くとありがたいものですわね。こんなおばさんではなく現役女子高〇生とか呼んでくださいまし」
などと言うものだから彼女は彼女なりで苦労をしているのだという事も伝わってきた。そう思えば尚更力添えをした方が良いように思える。こうしてしばらく家族団らんの日々を過ごした後、再び公務に戻った俺は王妃を連れて隣国へと出掛ける事になった。本来であればエリザベッタを伴うべきところなのだが妊娠四ヶ月に入ったという事もあり今回は俺一人で赴き、彼女を離宮に置いておくこととした。流石に生まれたばかりの赤ちゃんを残してまで国外に出向くわけないわけにはいかない。
「まぁ行ってらっしゃいまし。留守は私にまかせて下さい。あの人もついていきたかったらしく残念がっておりましてね……」
エリザベッタが寂しそうに話すので早速手紙を書いてやったらそれは喜んで受け取り、涙ぐみながらも笑顔を浮かべてくれたのだ。俺もそんな彼女の為に同行したいと考えていたので今回ばかりは同行を取りやめることにした。その代わり俺が不在の間はエリザベッタが代理で動いてくれるということで話は落ち着いたのだが、この日から数ヶ月後に大きな事件が起きるとは知る由もなかったのである。
今回の旅の目的は外交の面も兼ねていたが本当なら国賓を招き入れ、
「歓迎パーティ」
を開くはずであったが相手が来ていないという事だったので俺一人で行う事となった。幸い会場の準備は完璧であり特に困ることは無く迎えた客人は王族関係者であり俺との面会は望まないとのことだった。俺も余計なお喋りはせずにひたすら食事をすることに専念した。
食事の最中も様々な人に話しかけられはしたものの基本的に相槌を打っているだけでそれ以上の会話は避けておきたいと伝えると向こうは諦めて立ち去ってくれた。
特にトラブルもなく終わったと思っていた。夜になると俺の元に一人の女性がやってきて、
「申し遅れましたわ。私はアルデバラン公爵家の長女のカリアーナにございます。私は貴方様のことをこの身をかけてご奉仕させていただきとうございます。どうかお情けを」
などと挨拶してきたのである。正直かなり面倒な出来事であったが俺は一応対応しておくことにした。俺としてはあまり乗り気ではないが 相手に悪い印象を持たせても仕方ないし、相手の立場も
考慮した結果である。
だが結果としては酷いものとなってしまった。彼女は俺が用意した高級宿に泊まることになったが俺の元を訪れることはほとんどなく、彼女は使用人達の手を借りて生活をしていたようだ。
と父親が笑うとエリザベッタはすかさず反論した。
「ちょっと待った。私が先に産んでいるのですからまずは私からで良いじゃありませんの」
父親の方がエリザベッタと近い時間を過ごしてきた関係で優先度はそちらにあると主張し始めると今度は
母親の方が口を出した。
「お前はそうやって自分が先陣を切ろうとしているんじゃ無いの。その行為自体が傲慢としか言いようが無いじゃないか」
「なんとでもおっしゃい。結局、子供を一番多く授かっている者が正妻となるのではないのかしら?」
と俺の母親であるエリザベージが答えると父親の方は俺の耳元で囁いた。
「という訳で頼むぜ。あの女に負けるでないぞ。ワシは二番目になってしまうのだからな。こればかりはどうしようもない。それと今後は妾は置かん事にすることにした。これは元々、エリザベッタも望んでいたことである。ゆえに問題はなしということにしておいてくれぬかの。彼女には幸せになって欲しいからな」
「……分かりましたよ」
「いや助かる。さすが若い奴は話が早うて嬉しい限りだわい」
と言いながら彼は笑っていたが目は笑ってはいなかった。なので俺は逆に釘を差しておいた方がいいだろうと考えたのだ。
「こちらとしてもこれ以上増えられるよりかはマシですから」
こう言われれば父親は何も言い返せず渋々納得していたが、本当に分かってくれていたのかは疑わしいものである。ただ、
「それでもたまには夜伽に来て頂くとありがたいものですわね。こんなおばさんではなく現役女子高〇生とか呼んでくださいまし」
などと言うものだから彼女は彼女なりで苦労をしているのだという事も伝わってきた。そう思えば尚更力添えをした方が良いように思える。こうしてしばらく家族団らんの日々を過ごした後、再び公務に戻った俺は王妃を連れて隣国へと出掛ける事になった。本来であればエリザベッタを伴うべきところなのだが妊娠四ヶ月に入ったという事もあり今回は俺一人で赴き、彼女を離宮に置いておくこととした。流石に生まれたばかりの赤ちゃんを残してまで国外に出向くわけないわけにはいかない。
「まぁ行ってらっしゃいまし。留守は私にまかせて下さい。あの人もついていきたかったらしく残念がっておりましてね……」
エリザベッタが寂しそうに話すので早速手紙を書いてやったらそれは喜んで受け取り、涙ぐみながらも笑顔を浮かべてくれたのだ。俺もそんな彼女の為に同行したいと考えていたので今回ばかりは同行を取りやめることにした。その代わり俺が不在の間はエリザベッタが代理で動いてくれるということで話は落ち着いたのだが、この日から数ヶ月後に大きな事件が起きるとは知る由もなかったのである。
今回の旅の目的は外交の面も兼ねていたが本当なら国賓を招き入れ、
「歓迎パーティ」
を開くはずであったが相手が来ていないという事だったので俺一人で行う事となった。幸い会場の準備は完璧であり特に困ることは無く迎えた客人は王族関係者であり俺との面会は望まないとのことだった。俺も余計なお喋りはせずにひたすら食事をすることに専念した。
食事の最中も様々な人に話しかけられはしたものの基本的に相槌を打っているだけでそれ以上の会話は避けておきたいと伝えると向こうは諦めて立ち去ってくれた。
特にトラブルもなく終わったと思っていた。夜になると俺の元に一人の女性がやってきて、
「申し遅れましたわ。私はアルデバラン公爵家の長女のカリアーナにございます。私は貴方様のことをこの身をかけてご奉仕させていただきとうございます。どうかお情けを」
などと挨拶してきたのである。正直かなり面倒な出来事であったが俺は一応対応しておくことにした。俺としてはあまり乗り気ではないが 相手に悪い印象を持たせても仕方ないし、相手の立場も
考慮した結果である。
だが結果としては酷いものとなってしまった。彼女は俺が用意した高級宿に泊まることになったが俺の元を訪れることはほとんどなく、彼女は使用人達の手を借りて生活をしていたようだ。
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