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エリーの初陣Ⅰ
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「ど――どうなっているんですか!?」
私は辺りを見渡した。何でこんな広大な草原があるのだと。
「あれ知らないのか? それも仕方ないか」
「し――知りませんよ!」
私がそう反論すると、リストキー副所長は優しい笑みを浮かべていた。
「これは仮想空間だ。空間拡張装置と仮想空間装置くらいは聞いたことあるだろ?」
「はい。空間拡張装置と仮想空間装置は、ヤコブ・ゲイツさんと、オリュンポスの技術開発のマスターズのノイマンさんが開発したという――」
「そうだ。そしてその二つを組み合わせたのを開発したのが、うちのサミュエルなのさ。俺達はこの装置の事を仮想拡張空間装置と呼んでいる。この装置を部屋に取り付けるだけで、広い部屋に違う環境のところで鍛錬できる訳だ。山、海、溶岩、森林、荒野、街といった空間を作り出すこともできて、その仮想空間でリアルな温度だったり湿度だったり、重力だったりを体感できる。そしたらあらゆる環境でも戦える戦士になれる訳だ」
「す――凄い」
本当に凄い。
『本当に凄いわね。私もこの施設にこんな空間があるとは思っていなかったわ』
そう声をかけてきたのはセレネだった。これを見て流石に黙ったままではいられなかったらしい。
「そうよね。やっぱりセレネでも気になるの?」
『当り前よ。今度絶対にゲイツ君に私の手入れ頼んでね? きっと凄く気持ちいいわ!』
「分かったわよ。今度頼んであげるから」
『やったー! じゃあ戦闘訓練頑張ろう!』
セレネはそう言って気分が高揚していた。ゲイツさんの技術力に感心したらしい。まあ正直私も開いた口が塞がらない状態だけど。
「それじゃあ早速始めるか。いつでもかかって来い」
「い――いつでもかかって来いって。よし――」
私がそう意気込んだ時だった。ピリリリ――という電子音が聞こえた。私の着信音では無いから――。
するとリストキー副所長がポケットから小型のデバイスを取り出して、ボタンを押すとホログラムでアンソルスランさんが登場した。
「副所長大変よ」
「こっちも今オリエンテーション中なんだけど」
リストキー副所長がそうぶっきらぼうに言うと、アンソルスランさんは「それどころじゃないわよ」と反対した。
「何かトラブルか?」
「ええ。実は保安局からの依頼なの。ユーロ大聖堂で世界政府の反対運動をしている連中がいたらしいんだけど、保安局の人間が取り押さえようとしたところ、その反対運動している集団が逆上して暴れているらしいのよ」
「それで何で俺なんだよ」
「保安局の人間では鎮圧できない程強いらしいのその集団」
「ったく――分かった。今すぐエリー連れて向かう」
リストキー副所長はそう言って頭を掻いていた。
「助かるわ。報酬は私が交渉しておいたから」
アンソルスランさんはそう言って嬉々とした表情を浮かべていた。対するリストキー副所長は眉を寄せていた。
「まさか、またぼったんじゃないだろうな。保安局から出るお金は国民の税金だぞ」
「あら。町を守るんだから別にいいじゃない。ほら、早く行ってください! 位置情報は念のためにスマートデバイスに送っておくから、マップ機能を開いたらルート案内されるからね。それではご武運を。正義執行!」
すると、アンソルスランさんとの通信が途絶えた。
「――勝手に俺の決め台詞言いやがって。待たせたなエリー。何やらトラブルらしい。」
「そのようですね。保安局で手に負えないって一般人レベルでは無いって事ですかね?」
「まあそうだろ。その辺の武氣が小さい犯罪者では無いって事だ。早速危ない任務になるかもしれないけど気合い入れろよ?」
「はい! お任せ下さい!」
私がそう言ってリストキー副所長に敬礼をすると、「いい面構えだ」と言ってくれた。
早速私達はこの部屋を出た。
「移動は何でされるんですか?」
「ん? ホバーバイクだよ。ロッカールームに行って早速着替えるぞ」
「ほ――ホバーバイクなんかあるんですか!?」
「ああ。サミュエルが造ったんだ。普通に買えば1億円くらいするからな」
「ゲイツさん本当に凄いですね――ホバーバイクは確か6つあるファンのうち、大きい2つのファンが空中に浮かぶ揚力となっていて、小さな4つのファンでバランスを保って走ることができるんですよね?」
「そうそう。ほいコレ」
いつの間にかロッカールームに着いて黒いヘルメットと、黒いライダースーツを上から着るように指示された。
「これ上から着れるんですか?」
「無理だったら外に出て着替えてもらうの待ってるって。伸縮性抜群だから割と無理やり着れる」
私は指示された通り戦闘服の上からライダースーツを着ることができた。本当に吃驚するくらい伸びる。
「よし着れたな。早速向かうぞ」
「はい」
リストキー副所長も数秒でライダースーツに着替えると、私達はヘルメットを抱えて事務所の裏口まで移動した。そこには駐車場が5つあり、ホバーバイクは3台停まっていた。ホバーバイクは2つの大きなファンがあり、四方には4つの小さなファンがあった。操縦席や後部席はその2つの大きなファンの上に付属されているような形となっており、黒を基調としたスーパーカーのようなデザインだった。私はTVでしかホバーバイクを見たことが無かったので、正直言って興奮している。凄く格好いい。
「さあ行くぞ。後ろに乗れ」
「はい!」
私は返事をした後リストキー副所長の後ろに乗車した。すると、リストキー副所長がホバーバイクの電源を入れると、ファンが回転を始めて地面から5m程の高さで浮く。
リストキー副所長が私がヘルメットを被った事を確認すると、事件が起きているユーロ大聖堂へと向かった。
これから私の初任務。くれぐれもリストキー副所長の足を引っ張らないようにしなきゃ!
私は辺りを見渡した。何でこんな広大な草原があるのだと。
「あれ知らないのか? それも仕方ないか」
「し――知りませんよ!」
私がそう反論すると、リストキー副所長は優しい笑みを浮かべていた。
「これは仮想空間だ。空間拡張装置と仮想空間装置くらいは聞いたことあるだろ?」
「はい。空間拡張装置と仮想空間装置は、ヤコブ・ゲイツさんと、オリュンポスの技術開発のマスターズのノイマンさんが開発したという――」
「そうだ。そしてその二つを組み合わせたのを開発したのが、うちのサミュエルなのさ。俺達はこの装置の事を仮想拡張空間装置と呼んでいる。この装置を部屋に取り付けるだけで、広い部屋に違う環境のところで鍛錬できる訳だ。山、海、溶岩、森林、荒野、街といった空間を作り出すこともできて、その仮想空間でリアルな温度だったり湿度だったり、重力だったりを体感できる。そしたらあらゆる環境でも戦える戦士になれる訳だ」
「す――凄い」
本当に凄い。
『本当に凄いわね。私もこの施設にこんな空間があるとは思っていなかったわ』
そう声をかけてきたのはセレネだった。これを見て流石に黙ったままではいられなかったらしい。
「そうよね。やっぱりセレネでも気になるの?」
『当り前よ。今度絶対にゲイツ君に私の手入れ頼んでね? きっと凄く気持ちいいわ!』
「分かったわよ。今度頼んであげるから」
『やったー! じゃあ戦闘訓練頑張ろう!』
セレネはそう言って気分が高揚していた。ゲイツさんの技術力に感心したらしい。まあ正直私も開いた口が塞がらない状態だけど。
「それじゃあ早速始めるか。いつでもかかって来い」
「い――いつでもかかって来いって。よし――」
私がそう意気込んだ時だった。ピリリリ――という電子音が聞こえた。私の着信音では無いから――。
するとリストキー副所長がポケットから小型のデバイスを取り出して、ボタンを押すとホログラムでアンソルスランさんが登場した。
「副所長大変よ」
「こっちも今オリエンテーション中なんだけど」
リストキー副所長がそうぶっきらぼうに言うと、アンソルスランさんは「それどころじゃないわよ」と反対した。
「何かトラブルか?」
「ええ。実は保安局からの依頼なの。ユーロ大聖堂で世界政府の反対運動をしている連中がいたらしいんだけど、保安局の人間が取り押さえようとしたところ、その反対運動している集団が逆上して暴れているらしいのよ」
「それで何で俺なんだよ」
「保安局の人間では鎮圧できない程強いらしいのその集団」
「ったく――分かった。今すぐエリー連れて向かう」
リストキー副所長はそう言って頭を掻いていた。
「助かるわ。報酬は私が交渉しておいたから」
アンソルスランさんはそう言って嬉々とした表情を浮かべていた。対するリストキー副所長は眉を寄せていた。
「まさか、またぼったんじゃないだろうな。保安局から出るお金は国民の税金だぞ」
「あら。町を守るんだから別にいいじゃない。ほら、早く行ってください! 位置情報は念のためにスマートデバイスに送っておくから、マップ機能を開いたらルート案内されるからね。それではご武運を。正義執行!」
すると、アンソルスランさんとの通信が途絶えた。
「――勝手に俺の決め台詞言いやがって。待たせたなエリー。何やらトラブルらしい。」
「そのようですね。保安局で手に負えないって一般人レベルでは無いって事ですかね?」
「まあそうだろ。その辺の武氣が小さい犯罪者では無いって事だ。早速危ない任務になるかもしれないけど気合い入れろよ?」
「はい! お任せ下さい!」
私がそう言ってリストキー副所長に敬礼をすると、「いい面構えだ」と言ってくれた。
早速私達はこの部屋を出た。
「移動は何でされるんですか?」
「ん? ホバーバイクだよ。ロッカールームに行って早速着替えるぞ」
「ほ――ホバーバイクなんかあるんですか!?」
「ああ。サミュエルが造ったんだ。普通に買えば1億円くらいするからな」
「ゲイツさん本当に凄いですね――ホバーバイクは確か6つあるファンのうち、大きい2つのファンが空中に浮かぶ揚力となっていて、小さな4つのファンでバランスを保って走ることができるんですよね?」
「そうそう。ほいコレ」
いつの間にかロッカールームに着いて黒いヘルメットと、黒いライダースーツを上から着るように指示された。
「これ上から着れるんですか?」
「無理だったら外に出て着替えてもらうの待ってるって。伸縮性抜群だから割と無理やり着れる」
私は指示された通り戦闘服の上からライダースーツを着ることができた。本当に吃驚するくらい伸びる。
「よし着れたな。早速向かうぞ」
「はい」
リストキー副所長も数秒でライダースーツに着替えると、私達はヘルメットを抱えて事務所の裏口まで移動した。そこには駐車場が5つあり、ホバーバイクは3台停まっていた。ホバーバイクは2つの大きなファンがあり、四方には4つの小さなファンがあった。操縦席や後部席はその2つの大きなファンの上に付属されているような形となっており、黒を基調としたスーパーカーのようなデザインだった。私はTVでしかホバーバイクを見たことが無かったので、正直言って興奮している。凄く格好いい。
「さあ行くぞ。後ろに乗れ」
「はい!」
私は返事をした後リストキー副所長の後ろに乗車した。すると、リストキー副所長がホバーバイクの電源を入れると、ファンが回転を始めて地面から5m程の高さで浮く。
リストキー副所長が私がヘルメットを被った事を確認すると、事件が起きているユーロ大聖堂へと向かった。
これから私の初任務。くれぐれもリストキー副所長の足を引っ張らないようにしなきゃ!
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