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死の雨Ⅰ
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《それは真なのかの!?》
「本当だ。俺は先に青龍さんと行っている。ミクちゃんは準備ができ次第こっちに来てくれ。アスモデウスさんは一度魔界へ戻ってルシファーの件を早急に片付けるんだ。手を借りたいときは、青龍さんの強制転移で呼び寄せる」
《分かった》
《了解じゃ》
「じゃあな。できるだけ急いでくれ」
俺がそう言うと2人は「うん」と頷いてくれた。
「さあて」
千里眼で見た限り、奴が最初に標的としたのはアードルハイム帝国だ。帝都を潰してしまった本人が言うのもどうかと思うが、国の体制やら政治やらをやっと立て直している最中だ。
俺は早速転移イヤリングを使って奴のところへ向かう。
「少し遅かったな。ナリユキ殿」
そう声をかけてきたのは先に到着していた青龍さんだ。今回は龍の姿をしている。
「ミクちゃんとアスモデウスさんに連絡していました」
「成程。タイミングとしては良かった。奴はまだ何もしていないからな」
青龍さんが見据える先には不敵な笑みを浮かべるのは龍の姿をした黒龍がいた。
「来ると思っていたぞ」
「ずっと見ていたのだろう?」
青龍さんがそう問いかけると「何の事やら――」と誤魔化す黒龍。
「それで? 何でアードルハイムを狙うんだ?」
「決まっているだろ。そろそろ破壊を行わないとイライラしてな」
「奴にアードルハイムを狙う理由を聞いても意味ないぞ。ナリユキ殿。破壊する事が全てだ。そこに理由などない」
「そういう事だ」
ニッと不気味に口角を吊り上げる黒龍。確かにコイツは話が通じない生命体だからな。話が通じないという点では黒の殲滅軍のワイズと同じだ。
この場所は帝都より上空200mの地点。勿論眼下には大勢の人々がいる。
「何だあれは?」
「黒い龍?」
「お――恐ろしい! 何という巨大さじゃ!」
と、下は騒然としていた。勿論、アードルハイムも様々な人種や種族がいる国なので――。
「あれはもしかして黒龍じゃないのか――?」
「そんな馬鹿な! 大昔、青龍様と龍騎士様によって封印されていたのでは無かったのか!?」
「それではあそこにいるのは青龍様か!?」
「何という事だ……」
一人の説明によって一気に絶望の淵へと叩き落とされたアードルハイムの国民達。
「騒がしいな」
そう言って不気味な笑みを浮かべた黒龍は口を大きく開いた。
「黒滅龍炎弾!」
そう言って放たれた直径10m程の黒い炎はマシンガンの如く地上へ降り注ぐ。俺達の事は敵としてみなしていないのだろうか?
「何度も同じ技を出させるな。水球」
そう言って展開された水のドームは帝都を丸ごと包み込む超巨大な水の球だった。
「何っ!?」
無数の隕石のように降り注がれた黒滅龍炎弾は、青龍さんの水球によって無力化された。冗談じゃない。帝都は端から端まで100kmあるんだぞ?
「随分と強くなっているようだな」
「余もZ級になっているからな。気付かなかったか?」
「それは面白い。ここに1人のZ級と、2頭のZ級がいるという事だな?」
「そういう事だ。先日戦った時とは、スキルの規模も威力も桁違いだ。油断していると火傷するぞ?」
「俺様が火傷とは笑わせてくれる。少しは楽しめそうだな」
俺はその言葉に違和感を覚えた。Z級2人を前にして怯むどころか、まだまだ余力を余しているような口調。俺達ではまだまだ敵わないという事か?
「分かっている。空中戦は不得意だろう? 援護射撃を頼む」
「了解です」
援護射撃と言っても俺ができるのは、黒紅煉刀の斬撃を飛ばすことくらいだ。
そう思っていると青龍さんが姿を消した。どうやら黒龍の後ろに回り込んだみたいだ。
黒龍はすぐに後ろに振り向いたが、それは既に遅かったようだ。
「グアアアア――!?」
と、苦痛に歪んだ声をあげる黒龍。一体何が起きているのか分からないようだ。シンプルな話、青龍さんが黒龍の腹部に嚙みついただけの話だけど、物理攻撃って食らうんだっけ?
龍姿の青龍さんは、さらに力強く黒龍の腹部に嚙みつく。
「貴様――!」
怒号を飛ばす黒龍は尻尾で青龍さんを払った。尻尾が一振りする度に黒炎がまき散らされる。
「なんて熱さだ――」
この黒炎は一体何度なのだろう――? 千度近くあるんじゃないか? と思えるほどの灼熱地獄だ。熱無効の効果が無効化されているのでコイツの炎をモロに感じる。多分あっちの世界だったら焼かれて死んでるな。異世界補正ってやつだ。
尻尾で吹き飛ばされた青龍さんは数キロ程飛んで行ってしまった。体長100mを超える青龍さんが数キロ吹き飛ばされただけなので、それほどめちゃくちゃ飛んで行ったという感覚は無いが、青龍さんの表情を見る限り、受けたダメージは結構大きいようだ。
「援護射撃? そんなもんコイツ相手に通じないだろ」
俺は殺戮の腕で透明化を行って姿を消した。そして縮地を何度も使って黒龍の背後に回り込んだ。
「喰らえ! 烈冥斬!」
冥王ゾークの魂魄と、俺が所有していた剣のアクティブスキルが統合して出来た新たなアクティブスキル。まだ試し撃ちもした事がないこの技の威力は――?
直径約1km程の巨大な赤黒い斬撃――? なのか? ちょっと巨大すぎて自分でも吃驚なんだが、その斬撃が飛ぶスピードも異常な速さだった。天眼を持っている黒龍の左半身を切り落とす事ができた。
「あれ? マジ?」
さらにそれだけでは無い。斬撃はそのまま貫通して帝都の外側にある連なる山脈を割ってしまった。
「これはやりすぎだな。どう考えても」
苦笑いしか出てこない。しかしまあ、黒龍に対して、俺も青龍さんもダメージを与えることができている。このまま押し通せば勝機は見えてくる。
「本当だ。俺は先に青龍さんと行っている。ミクちゃんは準備ができ次第こっちに来てくれ。アスモデウスさんは一度魔界へ戻ってルシファーの件を早急に片付けるんだ。手を借りたいときは、青龍さんの強制転移で呼び寄せる」
《分かった》
《了解じゃ》
「じゃあな。できるだけ急いでくれ」
俺がそう言うと2人は「うん」と頷いてくれた。
「さあて」
千里眼で見た限り、奴が最初に標的としたのはアードルハイム帝国だ。帝都を潰してしまった本人が言うのもどうかと思うが、国の体制やら政治やらをやっと立て直している最中だ。
俺は早速転移イヤリングを使って奴のところへ向かう。
「少し遅かったな。ナリユキ殿」
そう声をかけてきたのは先に到着していた青龍さんだ。今回は龍の姿をしている。
「ミクちゃんとアスモデウスさんに連絡していました」
「成程。タイミングとしては良かった。奴はまだ何もしていないからな」
青龍さんが見据える先には不敵な笑みを浮かべるのは龍の姿をした黒龍がいた。
「来ると思っていたぞ」
「ずっと見ていたのだろう?」
青龍さんがそう問いかけると「何の事やら――」と誤魔化す黒龍。
「それで? 何でアードルハイムを狙うんだ?」
「決まっているだろ。そろそろ破壊を行わないとイライラしてな」
「奴にアードルハイムを狙う理由を聞いても意味ないぞ。ナリユキ殿。破壊する事が全てだ。そこに理由などない」
「そういう事だ」
ニッと不気味に口角を吊り上げる黒龍。確かにコイツは話が通じない生命体だからな。話が通じないという点では黒の殲滅軍のワイズと同じだ。
この場所は帝都より上空200mの地点。勿論眼下には大勢の人々がいる。
「何だあれは?」
「黒い龍?」
「お――恐ろしい! 何という巨大さじゃ!」
と、下は騒然としていた。勿論、アードルハイムも様々な人種や種族がいる国なので――。
「あれはもしかして黒龍じゃないのか――?」
「そんな馬鹿な! 大昔、青龍様と龍騎士様によって封印されていたのでは無かったのか!?」
「それではあそこにいるのは青龍様か!?」
「何という事だ……」
一人の説明によって一気に絶望の淵へと叩き落とされたアードルハイムの国民達。
「騒がしいな」
そう言って不気味な笑みを浮かべた黒龍は口を大きく開いた。
「黒滅龍炎弾!」
そう言って放たれた直径10m程の黒い炎はマシンガンの如く地上へ降り注ぐ。俺達の事は敵としてみなしていないのだろうか?
「何度も同じ技を出させるな。水球」
そう言って展開された水のドームは帝都を丸ごと包み込む超巨大な水の球だった。
「何っ!?」
無数の隕石のように降り注がれた黒滅龍炎弾は、青龍さんの水球によって無力化された。冗談じゃない。帝都は端から端まで100kmあるんだぞ?
「随分と強くなっているようだな」
「余もZ級になっているからな。気付かなかったか?」
「それは面白い。ここに1人のZ級と、2頭のZ級がいるという事だな?」
「そういう事だ。先日戦った時とは、スキルの規模も威力も桁違いだ。油断していると火傷するぞ?」
「俺様が火傷とは笑わせてくれる。少しは楽しめそうだな」
俺はその言葉に違和感を覚えた。Z級2人を前にして怯むどころか、まだまだ余力を余しているような口調。俺達ではまだまだ敵わないという事か?
「分かっている。空中戦は不得意だろう? 援護射撃を頼む」
「了解です」
援護射撃と言っても俺ができるのは、黒紅煉刀の斬撃を飛ばすことくらいだ。
そう思っていると青龍さんが姿を消した。どうやら黒龍の後ろに回り込んだみたいだ。
黒龍はすぐに後ろに振り向いたが、それは既に遅かったようだ。
「グアアアア――!?」
と、苦痛に歪んだ声をあげる黒龍。一体何が起きているのか分からないようだ。シンプルな話、青龍さんが黒龍の腹部に嚙みついただけの話だけど、物理攻撃って食らうんだっけ?
龍姿の青龍さんは、さらに力強く黒龍の腹部に嚙みつく。
「貴様――!」
怒号を飛ばす黒龍は尻尾で青龍さんを払った。尻尾が一振りする度に黒炎がまき散らされる。
「なんて熱さだ――」
この黒炎は一体何度なのだろう――? 千度近くあるんじゃないか? と思えるほどの灼熱地獄だ。熱無効の効果が無効化されているのでコイツの炎をモロに感じる。多分あっちの世界だったら焼かれて死んでるな。異世界補正ってやつだ。
尻尾で吹き飛ばされた青龍さんは数キロ程飛んで行ってしまった。体長100mを超える青龍さんが数キロ吹き飛ばされただけなので、それほどめちゃくちゃ飛んで行ったという感覚は無いが、青龍さんの表情を見る限り、受けたダメージは結構大きいようだ。
「援護射撃? そんなもんコイツ相手に通じないだろ」
俺は殺戮の腕で透明化を行って姿を消した。そして縮地を何度も使って黒龍の背後に回り込んだ。
「喰らえ! 烈冥斬!」
冥王ゾークの魂魄と、俺が所有していた剣のアクティブスキルが統合して出来た新たなアクティブスキル。まだ試し撃ちもした事がないこの技の威力は――?
直径約1km程の巨大な赤黒い斬撃――? なのか? ちょっと巨大すぎて自分でも吃驚なんだが、その斬撃が飛ぶスピードも異常な速さだった。天眼を持っている黒龍の左半身を切り落とす事ができた。
「あれ? マジ?」
さらにそれだけでは無い。斬撃はそのまま貫通して帝都の外側にある連なる山脈を割ってしまった。
「これはやりすぎだな。どう考えても」
苦笑いしか出てこない。しかしまあ、黒龍に対して、俺も青龍さんもダメージを与えることができている。このまま押し通せば勝機は見えてくる。
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