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十二歳、夏至祭と波乱の夏 5
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「続きましては……」
会場の勢いが治まらない内に男は次の芸を披露しようとした。
「待て」
中央にいた騎士が手が片手を上げ、男の語りを中断させる。
歓声を上げていた声がぴたりと止まった。
「殿下が直接貴殿に賛辞を送りたいそうだ。箱を持って、こちらに参られよ」
騎士の言葉に従い男が赤い箱を持って、中央のエイデンが座る特別席に恭しく参上する。
跪いて首を垂れる男にエイデンが何か言っているように見えるが、よく聞こえない。
多分、賛辞を述べているのだろう。
男はさらに恭しく畏まって、床に頭を擦りつけんばかりだ。
エイデンが座席に再び座り、男が立ち上がって方手に赤い箱、もう片手には木の枝を持ち、大げさな身振りを始める。
もう一度、芸を披露するように言われたらしい。
舞台の上だけでは満足出来なかったのだろう。
さすがは我儘王子。
そんな風に思っていたら―――
隣にいるミルフィーユがエイデンに何か耳打ちしたのが見えた。
ミルフィーユの言葉を聞いたエイデンは頷き、使用人に顎をしゃっくってみせる。
何を指示したのか、使用人は突然、男木に歩みより言葉を交わしたかと思いきや、手から枝を奪い取った。
強引に杖を奪われた男はよろめき、赤い箱を地面に落とす。
それをエイデンはすかさず控えていた他の使用人に拾わせ、箱と杖のそれぞれを自分の目前に持ってこさせた。
元の持ち主であった男は特別席から追い出され、舞台の袖へと罪人のように引っ張られ連れて行かれてしまう。
再度、騎士が高らかに叫ぶ声が木霊する。
「皆の者、聞くがよろしかろう。只今より、この箱と杖はアビスモラ王国第一王子であらせられるエイデン殿下の物となった。これより殿下が特別に箱を操る所をご披露なさるそうだ。皆、ありがたく見るように」
なんて強引なの……
一連の流れを見ていたグレースはエイデンに酷い嫌悪感を抱く。
エイデンの行為は、とても一国の王子とが取る行動とは思えない。
前に出ていって、止めてやりたい。
自分の中で静かな怒りを感じる。
しかし、今のグレースには見守ること以外は出来ず、やり場のない怒りに強く拳を握るしかなかった。
王子が使用人から枝をを受け取り、床の上に置かれた赤い箱の札の部分を叩いた。
箱は持ち主の願いに応じ、先程のようにぶるぶる震える。
箱の口から望みの宝石が飛び出す。
その場にいた誰もが予想していただろう。
だが―――
事態は最悪の方向へと転換する。
箱は何も吐き出さず、その動きをぴたりと止めた。
静まり返る会場。
そこへ誰かの声が大きく響く。
声からして酒に酔った男性の声だ。
「なんだ、出て来ぬではないか!」
男性の声を皮切りに、会場は騒然となる。
「失敗したのでわ?」
「箱が壊れたのかしら……」
「もう一度、あの男を呼び戻してはどうか」
人々は好き勝手にのたまった。
当然、エイデンの機嫌はみるみる悪化し……
どうなっているんだ! と、言わんばかりにエイデンは貼りついた札を何度も枝で叩いた。
箱はうんともすんともいわない。
ただ赤いだけの目立つ箱に戻ってしまった。
闇雲に枝を振り下ろし続け、肩で息をするエイデン。
我慢ならんくなったのか、持っていた枝を床に叩きつけた。
どうやら彼の怒りが頂点に達したか。
そう思われた時だった、ほんの後ろに控えていたミルフィーユがエイデンの隣に並び、彼に語りかける。
エイデンは納得したかのように頷き、使用人に枝を拾わせ受け取った。
それに合わせてミルフィーユが一歩前に歩み出て、箱に手をかざす。
同時に彼女の背後に光の剣が複数出現、手を振り下ろした瞬間に一斉に箱目掛けて光の刃が飛んだ。
パリンっ。
光の剣は箱を貫通したかと思われたが、硝子の割れるような音とともに消え、箱に貼られていた札も一緒に消滅した。
彼女は何をしたかったのか。
皆はさらに騒いだが、グレースにはある推測に瞬時に辿り着いた。
会場の勢いが治まらない内に男は次の芸を披露しようとした。
「待て」
中央にいた騎士が手が片手を上げ、男の語りを中断させる。
歓声を上げていた声がぴたりと止まった。
「殿下が直接貴殿に賛辞を送りたいそうだ。箱を持って、こちらに参られよ」
騎士の言葉に従い男が赤い箱を持って、中央のエイデンが座る特別席に恭しく参上する。
跪いて首を垂れる男にエイデンが何か言っているように見えるが、よく聞こえない。
多分、賛辞を述べているのだろう。
男はさらに恭しく畏まって、床に頭を擦りつけんばかりだ。
エイデンが座席に再び座り、男が立ち上がって方手に赤い箱、もう片手には木の枝を持ち、大げさな身振りを始める。
もう一度、芸を披露するように言われたらしい。
舞台の上だけでは満足出来なかったのだろう。
さすがは我儘王子。
そんな風に思っていたら―――
隣にいるミルフィーユがエイデンに何か耳打ちしたのが見えた。
ミルフィーユの言葉を聞いたエイデンは頷き、使用人に顎をしゃっくってみせる。
何を指示したのか、使用人は突然、男木に歩みより言葉を交わしたかと思いきや、手から枝を奪い取った。
強引に杖を奪われた男はよろめき、赤い箱を地面に落とす。
それをエイデンはすかさず控えていた他の使用人に拾わせ、箱と杖のそれぞれを自分の目前に持ってこさせた。
元の持ち主であった男は特別席から追い出され、舞台の袖へと罪人のように引っ張られ連れて行かれてしまう。
再度、騎士が高らかに叫ぶ声が木霊する。
「皆の者、聞くがよろしかろう。只今より、この箱と杖はアビスモラ王国第一王子であらせられるエイデン殿下の物となった。これより殿下が特別に箱を操る所をご披露なさるそうだ。皆、ありがたく見るように」
なんて強引なの……
一連の流れを見ていたグレースはエイデンに酷い嫌悪感を抱く。
エイデンの行為は、とても一国の王子とが取る行動とは思えない。
前に出ていって、止めてやりたい。
自分の中で静かな怒りを感じる。
しかし、今のグレースには見守ること以外は出来ず、やり場のない怒りに強く拳を握るしかなかった。
王子が使用人から枝をを受け取り、床の上に置かれた赤い箱の札の部分を叩いた。
箱は持ち主の願いに応じ、先程のようにぶるぶる震える。
箱の口から望みの宝石が飛び出す。
その場にいた誰もが予想していただろう。
だが―――
事態は最悪の方向へと転換する。
箱は何も吐き出さず、その動きをぴたりと止めた。
静まり返る会場。
そこへ誰かの声が大きく響く。
声からして酒に酔った男性の声だ。
「なんだ、出て来ぬではないか!」
男性の声を皮切りに、会場は騒然となる。
「失敗したのでわ?」
「箱が壊れたのかしら……」
「もう一度、あの男を呼び戻してはどうか」
人々は好き勝手にのたまった。
当然、エイデンの機嫌はみるみる悪化し……
どうなっているんだ! と、言わんばかりにエイデンは貼りついた札を何度も枝で叩いた。
箱はうんともすんともいわない。
ただ赤いだけの目立つ箱に戻ってしまった。
闇雲に枝を振り下ろし続け、肩で息をするエイデン。
我慢ならんくなったのか、持っていた枝を床に叩きつけた。
どうやら彼の怒りが頂点に達したか。
そう思われた時だった、ほんの後ろに控えていたミルフィーユがエイデンの隣に並び、彼に語りかける。
エイデンは納得したかのように頷き、使用人に枝を拾わせ受け取った。
それに合わせてミルフィーユが一歩前に歩み出て、箱に手をかざす。
同時に彼女の背後に光の剣が複数出現、手を振り下ろした瞬間に一斉に箱目掛けて光の刃が飛んだ。
パリンっ。
光の剣は箱を貫通したかと思われたが、硝子の割れるような音とともに消え、箱に貼られていた札も一緒に消滅した。
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皆はさらに騒いだが、グレースにはある推測に瞬時に辿り着いた。
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