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きらびやかな魔道石をふんだんに使用したシャンデリアの下、パーティーの開始を待つ生徒のさざめきがそこかしこから聞こえる。王立学園の卒業パーティーともなれば皆心が浮き足立つのもしょうがないのだろう。
だが、一人の女生徒が会場に入った途端、シンと一瞬静まりざわざわとささめきに変わった。
本来、学園の行事と言えど婚約者があればエスコートされての入場するのが暗黙の了解となっている。ましてや彼女の婚約者も同じく卒業生なのだから共に入場してもおかしくはない筈なのだが。
周りのささめきを雑音と断じ、何事もないかのように振る舞う彼女へと冷たい視線が突き刺さる。なぜならば彼女はこの国では、高貴な身でありながら蔑まれる存在であったからだ。
静かに壁の花と化した彼女へと声をかけるものは誰一人居ない。彼女は常日頃から孤独だった。社交の場である夜会ならいざ知らず、侯爵家令嬢……いや、父亡き後既に爵位を継ぎ彼女自身が侯爵であるにも関わらず彼女と学園でコネクションを結ぼうという輩は居なかった。
ぽっかりと彼女の回りに空間が空く。
彼女が入室するのを見計らったかのように楽団の演奏が止み、ホールの一角に固まっていた集団が壇上に上がる。中心に居る男は隣の少し小柄な少女を慈しむように腕を差し出しつつ、そしてその周りの数人の男は二人を守るように後ろと左右に分かれ、壇上から壁の花の彼女を睨み付けた。
「セレネ・ヴィンラード!!」
男の一人がセレネを呼びつけると、内心溜め息を吐きながら、セレネはホール中央へと進み出た。
「お呼びでしょうかイーサン殿下」
静かに軽く礼をする彼女に、ピクリとイーサンの眉が上がる。
「立礼とは不敬だぞ」
「今日は卒業パーティー。事前に『最後の無礼講』とおっしゃっていたのは殿下ではありませんか。私が膝を突かなければいけないと言われる筋合いはありません」
王太子の横に控えていた眼鏡の男が咎めると、セレネは静かに反論した。正論で返されぐっ、と言葉に詰まる。
「筋合いが無いだと?」
今度は眼鏡の男とは反対の位地に立つ大男が怒鳴るように声を張り上げる。声の余りの大きさに、観衆…特に女性が怯えたようにふらっと倒れかかるのを、慌てて周りの男性が支えているのをちらり、と横目で見て、セレネは視線を壇上へと戻した。
「犯罪者は犯罪者らしく大人しく膝を突いていればいいものを!!」
「犯罪とはなんのことでしょう?心当たりがまるでございません」
「とぼけるな!!シスリーを殺そうとしただろう!!」
殺す、の単語に周りがざわめく。
「とぼけるなと言われましても。まして殺すなど。それにそもそもがシスリー様とはどなたの事ですの?」
「っ!!こ、この…っ!!」
「待て。熱くなりすぎだ」
「っ!?も、申し訳ありません」
中央のイーサンが、またしても大声をあげようとした側近の大男を、手で制す。流石にこの場でこのまま怒鳴り散らす事による印象の悪さに気付いたのだろう。軽く頭を下げ、やや後ろに下がった。
だが、一人の女生徒が会場に入った途端、シンと一瞬静まりざわざわとささめきに変わった。
本来、学園の行事と言えど婚約者があればエスコートされての入場するのが暗黙の了解となっている。ましてや彼女の婚約者も同じく卒業生なのだから共に入場してもおかしくはない筈なのだが。
周りのささめきを雑音と断じ、何事もないかのように振る舞う彼女へと冷たい視線が突き刺さる。なぜならば彼女はこの国では、高貴な身でありながら蔑まれる存在であったからだ。
静かに壁の花と化した彼女へと声をかけるものは誰一人居ない。彼女は常日頃から孤独だった。社交の場である夜会ならいざ知らず、侯爵家令嬢……いや、父亡き後既に爵位を継ぎ彼女自身が侯爵であるにも関わらず彼女と学園でコネクションを結ぼうという輩は居なかった。
ぽっかりと彼女の回りに空間が空く。
彼女が入室するのを見計らったかのように楽団の演奏が止み、ホールの一角に固まっていた集団が壇上に上がる。中心に居る男は隣の少し小柄な少女を慈しむように腕を差し出しつつ、そしてその周りの数人の男は二人を守るように後ろと左右に分かれ、壇上から壁の花の彼女を睨み付けた。
「セレネ・ヴィンラード!!」
男の一人がセレネを呼びつけると、内心溜め息を吐きながら、セレネはホール中央へと進み出た。
「お呼びでしょうかイーサン殿下」
静かに軽く礼をする彼女に、ピクリとイーサンの眉が上がる。
「立礼とは不敬だぞ」
「今日は卒業パーティー。事前に『最後の無礼講』とおっしゃっていたのは殿下ではありませんか。私が膝を突かなければいけないと言われる筋合いはありません」
王太子の横に控えていた眼鏡の男が咎めると、セレネは静かに反論した。正論で返されぐっ、と言葉に詰まる。
「筋合いが無いだと?」
今度は眼鏡の男とは反対の位地に立つ大男が怒鳴るように声を張り上げる。声の余りの大きさに、観衆…特に女性が怯えたようにふらっと倒れかかるのを、慌てて周りの男性が支えているのをちらり、と横目で見て、セレネは視線を壇上へと戻した。
「犯罪者は犯罪者らしく大人しく膝を突いていればいいものを!!」
「犯罪とはなんのことでしょう?心当たりがまるでございません」
「とぼけるな!!シスリーを殺そうとしただろう!!」
殺す、の単語に周りがざわめく。
「とぼけるなと言われましても。まして殺すなど。それにそもそもがシスリー様とはどなたの事ですの?」
「っ!!こ、この…っ!!」
「待て。熱くなりすぎだ」
「っ!?も、申し訳ありません」
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