世界樹の下で

瀬織董李

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にゃんこは好きだけど

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 あのあとランクス殿下に出口まで送ってもらえたのは非常に助かった。王子に道案内させるなんて贅沢と言うか不敬だけど、本人気にしてないみたいだから良し。逃げるように帰ったのでちゃんと迷わず帰れたか心配……というオルドル様に言われて気付いたらしい。わざわざ自分で来るんだから存外にお人好しだ。ちなみにオルドル様もずっといた。ひとっことも喋んなかったけど。

 夕方の農作業を終え、部屋に帰ってタライでひとっ風呂浴びる。ホントは肩まで浸かりたいけど、湯船なんて部屋に置けないしねえ。それに水って出すのは簡単だけど消すのが面倒臭いのが難点。いちいち電気分解しなきゃならない。まあ、それくらいの化学知識あったお陰で消せるからこその贅沢だけど。多分私しか出来なさそうだからバレたら不味いし。特にどっかの魔法バカに。

 そんなこんなで最後はふて寝した翌日。

 いつものごとく朝の農作業に精を出す。そういや、私が旅に出ちゃったらこの畑どうすんだろ。最低一年はかかるけど。宰相様とランクス殿下はちゃんと国王陛下に許可貰ってるのかしらん。なにせ王族専用畑っしょ?ここで作ったらから美味しくなる訳じゃなくて、私のチートでこその味なんだけど。

 まあいいや。それは私の考える事じゃないな。なんて考えながらいつもの様に厨房に野菜を運んで、一休み。今日は夕方の作業が無い……というか出来ない。なぜならランクス殿下が根回しして、今日は夜まで付き合わされることになったのだ。くそう、朝寮母さんにニヤニヤされながら『朝帰りすると明日の仕事に差し支えるよ』とか言われた日にゃ、こういう時どんな顔すればいいか分からないの、状態だよトホホ。

 まあ、夜まで付き合う代わりに、晩ごは…もといディナーをご馳走してもらえる事にはなった。よく考えたら私ってこっちに来てから自分で作った作物、全く食べたこと無かったから、どんな料理になってるのか知らないしね。まあ、あの料理長がどの程度の腕前なのか気にはなってたからいい機会ではあるけど。もし素材の良さを殺してたら、絶対殿下にチクってやる。

 なんて事を思いつつ、約束の時間までなにしてようか考えながら通用門へ向かって歩いていると、黒いローブが目に入った。魔導士が着ているやつだ。

 そもそも、魔導士というのは『塔』と呼ばれる研究機関に所属する魔法使いをそう呼ぶそうだ。ランクス殿下も塔に居る時はローブを着ているらしい。ローブの色は階級の様なもので、黒はまあまあ上のランクだった気がする。

「いた。にゃんこのひと」

 いや、私はただの猫好きであって猫じゃないし。
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